新しく買った本 Ⅰ
*3月のレンゲの会で赤羽末吉さんを取りあげたので、文庫には赤羽さんの昔話絵本が17冊ぐらいあるのですが、新しく3冊購入しました。
①『さるとかに』 神沢利子 文 赤羽末吉 絵 BL出版 2017
最初に出版されたのは1968年(講談社)。その後絶版になり、1974年に銀河社から出版され、2017年にはBL出版から復刊になりました。
インパクトのある表紙です。たくさんのカニにおそわれ、あわてて逃げ出すサルを動きのある線でダイナミックに描いています。裏表紙にまで続く絵は迫力があります。青い柿をカニに投げつける場面も、サルの顔めがけてクリが飛んできた場面も、見開き一杯に描かれるサルの姿も表情も動きがあり、愉快です。カニたちと一緒に仇討に向かうクリや牛のふんやうすが、両手を出して黍団子をもらう場面も愉快です。白い画面に色鮮やかに描かれるカニたちもインパクトがあります。
当時、『スーホの白い馬』を、2年かけて仕上げた後だったので、解放されたい気持ちもあって、思い切り楽しい『さるとかに』を描こうと思ったと、赤羽さんは言っています。
松居直さんが『絵本を読む』(日本エディタースクール出版部 1983)で、この絵本と、『かにむかし』(木下順二/清水崑 岩波書店)と『さるかに』(松谷みよ子/瀬川康男 講談社)の3冊を取りあげて、興味深い比較をしています。興味のある方はぜひ一読を。
②『ほしになったりゅうのきば』
蕭甘牛 採話 君島久子 再話 赤羽末吉 画 福音館書店 1976
最初に出版になった『ほしになったりゅうのきば』(福音館書店 1963)は水墨画風の絵本で、赤羽さんの4作目の絵本です。初めての単行本でしたが、その後、描き直すことになります。「壮大華麗な大ロマンという設定で」「絵も密度の高い華麗なものにして」(『絵本よもやま話』赤羽末吉)描き直したのがこの絵本です。中国苗族の民話です。
子どものいない老夫婦の願いが叶って授かった男の子、サンの壮大な冒険の物語です。南山に住む竜と北海に住む竜が争って、天が破れ、その裂け目から雨やひょうが降って人々を苦しめます。その天の裂け目を繕うためにどうすればいいか、サンは九十九の川を渡り、九十九の山を越えて、ライロン山に住む老人を訪ねます。老人は繕いが上手なクマ王の娘のことを教えてくれます。クマ王には3人の娘がいて、その娘たちとのやり取りが楽しいです。やっと3番目の娘が結婚を承諾し、繕ってくれることになりますが、サンの前にはまだ困難な仕事が残っています。どんな困難にも立ち向かっていくサンの勇気に感動をもらえます。
横長の大型絵本の画面で描かれる赤羽さんの絵は、どのページも物語の持つ壮大さを見事に描き、素晴らしいです。表紙の竜の絵も迫力があります。子どもの空想力をかき立てるような壮大な物語を子どもたちにいっぱい見せたいという赤羽さんの思いが伝わる絵本です。
*3月のレンゲの会で赤羽末吉さんを取りあげたので、文庫には赤羽さんの昔話絵本が17冊ぐらいあるのですが、新しく3冊購入しました。
①『さるとかに』 神沢利子 文 赤羽末吉 絵 BL出版 2017
最初に出版されたのは1968年(講談社)。その後絶版になり、1974年に銀河社から出版され、2017年にはBL出版から復刊になりました。
インパクトのある表紙です。たくさんのカニにおそわれ、あわてて逃げ出すサルを動きのある線でダイナミックに描いています。裏表紙にまで続く絵は迫力があります。青い柿をカニに投げつける場面も、サルの顔めがけてクリが飛んできた場面も、見開き一杯に描かれるサルの姿も表情も動きがあり、愉快です。カニたちと一緒に仇討に向かうクリや牛のふんやうすが、両手を出して黍団子をもらう場面も愉快です。白い画面に色鮮やかに描かれるカニたちもインパクトがあります。
当時、『スーホの白い馬』を、2年かけて仕上げた後だったので、解放されたい気持ちもあって、思い切り楽しい『さるとかに』を描こうと思ったと、赤羽さんは言っています。
松居直さんが『絵本を読む』(日本エディタースクール出版部 1983)で、この絵本と、『かにむかし』(木下順二/清水崑 岩波書店)と『さるかに』(松谷みよ子/瀬川康男 講談社)の3冊を取りあげて、興味深い比較をしています。興味のある方はぜひ一読を。
②『ほしになったりゅうのきば』
蕭甘牛 採話 君島久子 再話 赤羽末吉 画 福音館書店 1976
最初に出版になった『ほしになったりゅうのきば』(福音館書店 1963)は水墨画風の絵本で、赤羽さんの4作目の絵本です。初めての単行本でしたが、その後、描き直すことになります。「壮大華麗な大ロマンという設定で」「絵も密度の高い華麗なものにして」(『絵本よもやま話』赤羽末吉)描き直したのがこの絵本です。中国苗族の民話です。
子どものいない老夫婦の願いが叶って授かった男の子、サンの壮大な冒険の物語です。南山に住む竜と北海に住む竜が争って、天が破れ、その裂け目から雨やひょうが降って人々を苦しめます。その天の裂け目を繕うためにどうすればいいか、サンは九十九の川を渡り、九十九の山を越えて、ライロン山に住む老人を訪ねます。老人は繕いが上手なクマ王の娘のことを教えてくれます。クマ王には3人の娘がいて、その娘たちとのやり取りが楽しいです。やっと3番目の娘が結婚を承諾し、繕ってくれることになりますが、サンの前にはまだ困難な仕事が残っています。どんな困難にも立ち向かっていくサンの勇気に感動をもらえます。
横長の大型絵本の画面で描かれる赤羽さんの絵は、どのページも物語の持つ壮大さを見事に描き、素晴らしいです。表紙の竜の絵も迫力があります。子どもの空想力をかき立てるような壮大な物語を子どもたちにいっぱい見せたいという赤羽さんの思いが伝わる絵本です。
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