まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本・寄贈本 11月

2021-11-21 10:15:33 | 文庫のページ
新しく買った本
①『子どもの本で平和をつくる ―イエラ・レップマンの目ざしたこと―』
        キャシー・スティンソン/マリー・ラフランス さくまゆみこ訳 小学館2021.7
 1946年、まだ食糧難の続くドイツで開かれた子どもの本の展示会の様子を描いた物語。
 父を亡くした姉弟が登場します。ふたりはいつもおなかをすかせていましたが、その展示会でたくさんの子どもの本を目にし、おなかのすいていることも忘れます。展示会で読んでもらった『はなのすきなうし』の絵本や紹介してもらったピッピの本に元気づけられていく姉弟の姿が印象的です。
 絵本の中では名前が出ていないのですが、姉弟に本の話をしてくれた女性が戦後間もなく、大変な努力の末、世界中から4,000冊の子どもの本を集め、展示会を実現させたイエラ・レップマンです。最後に詳しい紹介が載っています。1949年、世界各国の子どもの本を集めた世界で初めての国際児童図書館をミュンヘンに創設し、国際児童図書評議会(IBBY)の創設にも大きくかかわった人です。
②『水族館 いきものとひとのいちにち』 ほりかわあさこ 福音館書店2021.7
 子どもたちの大好きな水族館の中がどうなっているのか、スタッフの人たちがどんなふうに働いているのか、大型絵本の画面いっぱいの絵で詳しく語ってくれます。細部まで丁寧に描きこまれた絵からは様々なことを読み取ることができて楽しいです。
 イワシの大群が音楽に合わせて一斉に泳ぎだす場面は感動的です。どうやって水槽の水をきれいにしているのか、大水槽はどんな仕組みになっているのか、舞台裏も見せてくれます。サンゴは動物か植物か、チンアナゴの面白い習性など新しい発見もありそうです。水族館ではたくさんの人が働いていることに改めて気づかされます。水族館に行きたくなる本です。
③『かくれ家のアンネ・フランク』 ヤニー・ファン・デル・モーレン 西村由美訳 岩波少年文庫2019
 オランダの作家によるアンネの伝記物語です。
 1929年生まれのアンネはもし生きていたら今年92歳になります。アンネがどんな時代を生き、ユダヤ人であるがゆえに受けた様々な苦難がどんなものであったか、改めて考えさせられます。
 好奇心いっぱいのアンネは最後まで希望を失わず作家になる夢を持ち続けて、かくれ家での2年間、日記や童話を書き続けます。15年数ヶ月のアンネの人生をたくさんの資料やアンネたちを知る人への取材を通して、感動的に描いています。
 「アンネ・フランクは、決して、過去ではない! のです。」という翻訳をした西村さんの言葉もしっかり受け止めたいと思います。
④『チョウはなぜ飛ぶか』 日高敏隆 岩波少年文庫2020.5
 『チョウはなぜ飛ぶか』(1975年出版)とその後のエッセイ2編を収めています。
 日高さんは虫取りに夢中だった小学校の高学年の頃、神奈川県より西にしかいないモンキチョウに住んでいた東京渋谷で出会い、チョウはどんな道を飛ぶのかという疑問にぶつかります。戦争で中断しますが、戦後もずっとその疑問を追い続け、40代半ばにこの本を出版します。
 チョウによって違うのですが、ついに「チョウ道」があることにたどりつくまでの粘り強い実験、観察のようすを知ることができます。さらにオスはどのようにしてメスを見つけるのか、メスはどうやって産卵する木を見つけるか、次々と出てくる疑問にも取り組んでいきます。
 チョウについての興味、関心が大きく膨らむ本です。
⑤『50代になった娘が選ぶ母のお洋服 魔法のクローゼット』 くぼしまりお 角川書店2021.8
 『魔女の宅急便』の作者である角野栄子さんは現在86歳です。「毎日のお洋服を考えるのが面倒になった」という角野さんの代わりに、洋服のコーディネートを始めて6年になる娘のくぼしまさんの書いた本です。
 角野さんのすてきなファッションが写真とイラストで紹介され、見ているだけで楽しくなります。ページを縁取る鮮やかな色使いも模様も美しく、おしゃれでセンスのよさを感じさせるすてきな本です。シニア世代のおしゃれについてたくさんのヒントがもらえます。
 くぼしまさんの『ブンダバー』(全10巻)は文庫にもあります。さし絵は佐竹美保さんです。
寄贈本   ありがとうございます。
◆長野ヒデ子さんからいただきました。
『かこさとしの手作り紙芝居と私 原点はセツルメント時代』 長野ヒデ子 石風社2021
 2017年3月から10回、紙芝居文化推進協議会発行の通信に「加古里子の手作り紙芝居」と題して連載したものと、「子どもの文化」に掲載されたかこさんの追悼の原稿を一冊にまとめたものです。
 1950年、60年代にセツルメント活動の中で生まれたかこさんの手作り紙芝居を取りあげ紹介した興味深い本です。絵本『どろぼうがっこう』や『わっしょいわっしょいぶんぶん』『あかいアリくろいアリ』などは、最初は紙芝居として作られたものだったことを知ることができます。かこさんとの初めての出会いは45年前、長野さんが福岡で文庫をしていた頃のことだったという話も興味深いです。
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レンゲの会と大人のコーヒーサロン ご案内

2021-11-20 16:19:50 | 文庫のページ
レンゲの会  11月29日(月)10:00~13:00
 月1回、子どもの本についておしゃべりしています。どなたでも参加できます。
 残念ですが、今年度は会食なしでおこなっています。
「ナルニア国物語」全7巻 C.S.ルイス(瀬田貞二訳 岩波書店)を取りあげます。
1冊目の『ライオンと魔女』はぜひ読んでください。6冊目の『魔術師のおい』はナルニア国誕生の物語です。年代でいえば『ライオンと魔女』の前の時代の物語です。『ライオンと魔女』の世界がもっとよく理解できるので、これもおすすめです。もちろん2冊目、3冊目も時間があったら読んでください。
 次回は2022年1月31日(月)10:00の予定です。
小野かおるさんの絵本・児童書(さし絵)を取りあげます。
『オンロックがやってくる』『われたたまご』など「こどものとも」で出た絵本多数。
『先生のつうしんぼ』(宮川ひろ)『800番への旅』(カニグズバーグ)『ゆびぬき小路の秘密』(小風さち)のさし絵も描いています。

≪大人のコーヒーサロン≫  12月8日(月1回 第2水曜日)
 10月は7人、11月は5人でおしゃべりを楽しみました。
 10月はKさんが1歳のお子さんを連れて参加。いつもと違うあたたかい雰囲気のコーヒーサロンになりました。
 Sさんが珍しい多羅葉の葉を持ってきてくれました。はがきの語源にもなっている、肉厚で字が書ける葉っぱです。たくさんいただきましたので、欲しい方はどうぞおっしゃってください。
 12月は今年最後のコーヒーサロンです。寒くなりますが、どうぞご参加ください。1月は文庫が15日(土)から始まりますので、コーヒーサロンは特別に第3水曜日に開きます。
次回は、2022年1月19日(水)です。
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11月・12月の文庫の日

2021-11-20 15:39:12 | 文庫のページ
11月・12月の文庫の日
11月17日(水)
 4:00 おはなし「ブラックさんとブラウンさん」 松尾
 4:30 牛乳パックのこま
11月20日(土)
 4:00 おはなし「三びきのくま」 武田
 4:30 おりがみ(クリスマスのリース)
11月24日(水)
 4:00 おはなし「ちいちゃいちいちゃい」 松尾
 4:30 おりがみ(クリスマスのリース)
11月27日(土)
 4:00 秋の特別おはなし会

12月1日(水)
 4:00 おはなし「ぶんぶくちゃがま」 武田
 4:30 布で作るクリスマスツリー
12月4日(土)
 4:00 おはなし「マメ子と魔物」 松尾
 4:30 布で作るクリスマスツリー
12月8日(水)
 4:00 おはなし「おいしいおかゆ」 松尾
 4:30 おりがみ(サンタの封筒)
12月11日(土)
 第2土曜日は文庫お休みです

12月15日(水)
 4:00 おはなし「白い家の老人」 松尾
 4:30 おりがみ(ミニサンタ)
12月18日(土)
 3:00   クリスマス会


クリスマス会  12月18日(土)3:00から
昨年はできませんでしたが、今年はなんとか開けそうです。お家の方もどうぞおいでください。
    ❤❤❤ 💛💛 ❤❤❤❤❤ 💛💛 ❤❤❤❤ 💛💛 ❤❤❤
1.キャンドルサービス 部屋を暗くして、持っているロウソクに火を灯していきます。
           部屋の中が少しずつやわらかい光に包まれ、感動的です。
2.おはなし 「十二のつきのおくりもの」スロバキアの昔話 松尾
3.今月の詩 今年1年間楽しんだ詩をみんなで朗読します。
4.紙芝居  「ぐりとぐらのおきゃくさま」 
             1991年、当時4年~6年の子どもたちが作った紙芝居
5.カード  「クリスマスの12にち」マザー・グース
6.短いおはなし 「ブラックさんとブラウンさん」「ふたりのあさごはん」「あのつく話」
7.わらべうた  ひとつひばしでやいたもち  うの字  なかなかほい  
         1、2、3の2の4の5  しゃくとり虫  でんでらりゅうば 他
8.パネルシアター 「これはジャックのたてた家」(マザー・グース)他
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秋の特別おはなし会のご案内

2021-11-20 15:24:55 | 文庫のページ
  秋の特別おはなし会  11月27日(土)4:00
 子どもも大人も誰でもおはなしを語ることができます。
 おはなしをたくさん楽しみたいと思います。どうぞおはなしを語りに来てください。聞きにきてくださる方も大歓迎です。
  ・世界でいちばんきれいな声(フルール)  髙橋
  ・おいしいおかゆ(グリムの昔話)         前野
  ・お百姓はガチョウをどうわけたか(ロシアの昔話) 菅生
  ・ローザとジバル(クロアチアの昔話)       武田
  ・みそ買い橋(日本の昔話)            今野
  ・漁師とウルマとチャラーナ(ジプシーの昔話)   松尾

  ***語ってくれる人はこれからでもかまいませんので、お知らせください。*** 
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今月の詩 11月

2021-11-20 14:55:39 | 文庫のページ
 落ち葉の手紙
           工藤直子


 春がきて夏がすぎ秋になり……
 あんなこと こんなこと いろんなこと
 木々は たくさんの記憶を
 赤や黄色に染まった葉っぱに書きとめる
 そして風に呼びかける

 —―風 風 葉っぱをはこんでおくれ
   ひらひらはこんで 大地にわたしておくれ
   冬の静かな ひとときに
   わたしたち生きものの物語を
   大地に読んでもらいたいから

 木々は知っている
 その物語は ゆっくりと大地にしみこみ
 冬の裸の木々の根っこに
 ふたたび吸いあげられていくことを
 だから しんと静かな日々を
 退屈せずにすごせることを

 さあ 用意はいいですか
 風が 葉っぱの手紙をはこんで
 空をはしる時間です
   (『クヌギおやじの百万年』工藤直子
       今森光彦・写真 朝日出版社)

 11月に入っても、暖かく穏やかな日が続いています。10月31日に最初の一輪を見つけたさざんかが、ここ2週間でどんどん花開いています。これから3月まで雪が降っても咲き続けるさざんかはうれしい花です。庭のハナミズキも御衣黄桜もハウチワカエデもブルーベリーも赤く色づき、散り始めました。
 今月は、赤や黄に染まった葉が木枯らしに舞う情景をすてきに歌った工藤直子さんの「落ち葉の手紙」を選びました。落ち葉は木々たちから大地への手紙だったのですね。風に呼びかける言葉がいいです。
 『クヌギおやじの百万年』は今森光彦さんの写真集です。琵琶湖近くの雑木林が舞台です。四季折々の雑木林が持つ豊かさと美しさに出会える写真集です。その写真にぴったりの工藤直子さんの詩と文章が素晴らしいです。
 この雑木林には今森さんが30年前に出会った幹の太いクヌギがあり、その威張った風貌から今森さんは「やまおやじ」と呼んでいます。工藤さんはそのクヌギを新しく「クヌギおやじ」と呼び、この詩集の主人公にしています。表紙の写真が「クヌギおやじ」です。
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