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次期型ブレーキへの一案

2012-04-08 05:00:58 | シマノ製品調査
ブレーキネタ、ファイナルです。


話もせず、人が設計した製品を見て、気が付いた所だけ、勝手なコトを言ってるって、もし、その担当のエンジニアの方が、ご覧になってたら、ご立腹されているかもしれませんね。
ブログという性格上、互いに意見を交わすことは困難ですが、今回はこちらから、ネタを発信したいと思います。

「次世代ブレーキ」について、拙い知識を素に書いてみました。
妄想ワールド…ですが、意外とマジメな読みにくい内容かも…。スミマセン。


<結論>
次世代ブレーキとして、「長繊維熱硬化性カーボン強化樹脂製のブレーキ」を提案します。
工法は、複数のインサート部品を鋳込む射出成型。
形状はアーム太さを主応力方向に1.5倍にアップ。


<設計思想の概要>
コントロール性重視のカンパ式のコンセプトとする事で、アームが必要とする材料強度を上げない。
現モデルのアルミの耐疲労強度が100MPa程度なので、アームの縦寸法を1.5倍にすれば(3乗に比例)、33MPaまで応力を低減可能。。
33MPaであれば、熱硬化性のカーボン強化繊維の許容疲労応力内。つまり、「アームの樹脂化」が可能。
(尚、ここでのカーボン強化樹脂は、積層用ではなく、充填用)


<解決すべき課題>
(一般にはあまり知られてないかもしれませんが)カーボン樹脂は、その繊維と樹脂の「界面剤」が性能の肝となる。
繊維単体強度が60tだろうが80tだろうが、樹脂と繊維が一体化してこそ、複合材料としての強度が得られる。

例えば、カーボンナノチューブ(CNT)は、単体では「アルミの半分の軽さで、鉄鋼の20倍もの強度」と、素晴らしい特性を示すが、この界面剤の開発が製品化レベルに至っていない。

実際に製品化へ向けて開発できるのはCNTではなく、「長繊維カーボン強化樹脂」。
短冊みたいな長いカーボン繊維を熱硬化性樹脂に混ぜたもので、この(従来よりも)長い短冊が材料強度を上げる。(詳しくは、月刊プラスチックス参照)

この熱硬化性長繊維カーボン強化樹脂を射出成型して、ブレーキアームなどの部品を作るのだが、課題は以下です。

・長繊維が流れにくい。
・ウェルドラインから割れる。(穴周りとか)

どちらの問題解決も、高度な技術を要します。
流れは解析で、ウェルドは、注入後の型内での穴あけで乗り切るかと。
型の温度管理、射出圧のコントロール、可動型の設計と調整など、力技でしかやり切れませんが、樹脂部品の一発成形は、長繊維樹脂の性能をフルに発揮できるし、コスト面も魅力的です。


<所感>
本当は、シマノと国内の大手樹脂メーカーが主導権を握って、CNT樹脂の開発を進めて欲しい所だけど、…あのコンサバティブな製品をみてると、そして日本の企業体質であることを考えると、多分期待はできない。(何処かのサードパーティでは、開発力が足りないし、樹脂屋も相手にしないだろうし)

よって、現段階では大手メーカーが作るにはコストが成立しないだろうが、戦略的に考えられるカンパみたいな会社のみが、製造技術を向上させることによって、カーボン強化樹脂ブレーキを開発できる唯一のメーカーになるのだと思う。(先のCULTみたくね)

個人的には、カンパの次期型ブレーキは、アルミではないと思う。アルミを使う理由がない。
それが、積層カーボンか充填か、熱可塑性か熱硬化性かは、分からないけど、樹脂化された超軽量な製品になって欲しいなぁ。


なんか、やっぱり、カンパへの想いばかりですが、日本で設計に従事されている方は、こんなアバンギャルドな設計に憧れる人も多いのではないでしょうか?


さぁ、オイラもストレス発散の為に、カンパファンを続けないとね。


今日はここまで