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通勤ローディ、たまにホビーレース

3Dプリンターで自転車部品の製作って、あること、ないこと?

2013-06-29 20:02:16 | その他部品調査
3Dプリンター。最近の流行で、もちろん私も、仕事ではお世話になっています。
この3Dプリンター、機械加工、冶金ではあり得ない形状が作れるので、とても面白いものです。(例えば、中空のボールは、3Dプリンター以外では、作れない)

最近では、3Dプリンターで金属部品も作れちゃうとのこと。
じゃあ、「自転車部品も作れちゃうのでは?」と、その可能性について書かれた記事がこちら








この記事では、
「樹脂だけでなく、金属部品も、3Dプリンターで製造可能」
「(3Dプリンターを使えば)大手メーカー品だけでなく、個人プロデュースのガレージコンポーネントメーカーの誕生も近いのかもしれない」
「CNCなどの切削では、どうしても分子構造的に弱い方向性が生まれてしまうが、3D金属プリンターでは各方向に均一な強度を出すことができるのだ」
と書かれているが、本当にそうだろうか??


この3D金属プリンター、工法は簡単、焼結の粉をレーザーで焼き固めながら、成型していくもの。
単一金属だけでなく、色んな金属を混ぜることも可能。つまり、チタンチューブだけど、ネジ部だけ鉄にするなんてことも、原理的には可能。

「これって、金属の粉を焼き固めた「焼結」と同じじゃない?」「形状の制約がなくなるから、超軽量ラグが簡単に作れるよね!」と思ってしまうのは時期尚早。
これって、むしろ「焼結の欠陥品」に近いかもしれないのです。


まず、「焼結も3D金属プリンターも、粉を焼き固めて成形するのは同じだよね?」ですが、同じではありません。

(一般的に)焼結は、金属の粉をプレスで「押し固めて」密度を上げてから、「焼いて」金属粉同士を接合させます。
この焼くときの温度管理が重要。粉の表面だけを溶かして、粉同士の結合強度を上げます。温度を上げすぎると、組織が変態して、強度が劣ってしまいます。

一方、3D金属プリンターには、押し固める工程がありません。つまり「クズクズの低密度の金属体」になります。
また、その接合方法も、レーザー溶接。つまり、どの程度ちゃんとくっ付いてるかなんて、よく分からない状態になっています。

つまり、3D金属プリンターで作られた部品には、金属としての強度はおろか、機能部品の材料として使うのは、かなり困難だと思われます。


じゃあ、「3D樹脂プリンターなら、自転車用の部品を作れるのか?」と言うと、これも困難なんです。

3Dプリンターには、幾つかの手法が存在しますが、概して、だんだんと形状を作っていく方式です。(積層のような)
樹脂部品の設計で、もっとも気を使うのは「ウェルド」、つまり樹脂同士の繋ぎ目で、積層の場合、そのウェルドが多数存在していることになります。
3D樹脂プリンターでは、例えば「PEEK」のような、基本特性はアルミ並みの強度を持つスーパーエンプラも取り扱えるとのことですが、このウェルドがあると、強度はその数分の1程度しか出ません。
数分の1の強度でいい部品なら、まぁ、作れますが、強度が必要な機能部品に使うのは、現段階では、強度、コストとも、通常の型で作る成形品に敵わないと思います。


と言う訳で、色んなチャレンジが行われ、展示会や記者発表で、良い事だけを言う適当な発表に、いちいち振り回される記者もいらっしゃるようですが、3Dプリンターで製品を作ってくるメーカーは、・・・出て欲しくないもんです。

ただ、見た目は大変美しいので、「オイラも、こんな自転車が欲しいなぁ~」なんて、ちょっと本気で思っちゃいました。


今、オイラも次のミニベロの部品集め中。今日も朝練帰りにFITさんに部品注文完了。
早く届かないかなぁ~・・・って、実はやり切る為には、かなりの勉強が必要になりそうですけどね。

この話は、また後日。
あっ、ツール見なくっちゃ・・・。

今日はここまで



ハミルトン

2013-06-22 14:35:48 | レース観戦
ブログの更新が、週一程度になってしまった…。
書きたいことはあるのに、眠気との戦いに連敗中。

今日は、そんな敗戦処理みたいな記事です。

ツール開幕を前に、今読んでいる本が、こちら。

シークレット・レース。ドーパー、タイラー・ハミルトンの告白本。
「秘密のレース」ではなく、「レース界の暗黙の掟」みたいな内容で、不思議とスッキリとした気持ちになれる本。


この本を読むのは、自分のブログで、ドーピング問題について触れた以上、推測に元ずく勝手な意見だけを言い放つのは、無責任かな…と思ったから。
例えば、「じゃあ、ドーピングをした者の気持ちを考えた事があるのか?」との問いに、黙ってしまうようでは、語る資格はないのだろうね・・・と。


昨今のグランツールは、お決まりのように「ドーピング違反」が続いています。先のジロでも、残念ながら、ありました。
この背景にあるのは、もちろん、検査技術の向上によるものですが、ズルをする(させられる)選手側も、更に高度な(痕跡の残らない)ドーピングをやっているとの話もあります。
いや、むしろ、痕跡をなくすドーピングの方が、簡単なんでしょうね。

こんな「イタチゴッコ」が繰り返される以上、UCIも、「ズルは許されない」と摘発に力を入れるだけなく、選手が(そして選手に)ドーピングをさせない環境にしてあげる事も必要ではないでしょうか。

あれだけ過酷な競技で、チームも選手も、将来が全く保証されていない。
つまり、何年も自転車競技一筋でやってきた挙句、運悪く、無名のままでクビになると、路頭に迷ってしまう。チームだって、成績が悪ければ、スポンサーが付かずに「解散」となる。

(ドーピングせずに)一発当てないとクビ、ドーピングで引っかかってもクビ。なら、引っかからないドーピングに躍起になるのも、残念ながら、分かる気がします。


結局、お金なんです。自分は我慢できても、家族が生活できないと、プロ選手はやっていけない。
沿道の観客から、観戦料を頂くことが出来ないロードレースなれば、ファンとして、選手やチームに利益を還元できる取り組みはできないものでしょうか?

具体的には、競輪みたく公営ギャンブルにするのも一つの案でしょうし、身近な所では、チームのグッツを買うとか、ファン倶楽部の人達との交流会とかが、私はうれしいかも。


ツールも、今年が100回目。
物事を根本的に見直すには、いい時期なのではないでしょうか?


今日はここまで


35ハンドルはカーボンステムからの要求?

2013-06-14 08:20:06 | その他部品調査
自転車整備で困ること。
樹脂(カーボン)部品に使われているボルトの、シビアなトルク管理。


樹脂(カーボン)にボルトを直接締め付けたり、樹脂部品を挟んで締め付けたりすると、「座面の陥没」と「クリープ(正確には応力緩和)による、ボルト軸力低下(緩み)」に気を付ける必要があります。

特に樹脂の場合、季節の温度差ですら、樹脂とボルトの熱膨張係数の違いにより、ボルトの軸力が大きく変わるので、注意が必要です。

最近は、ステム、ディレイラーの板、シートレールなどが樹脂化され、その締め付けには、M5ボルト(又はM6)が使われています。

この、「樹脂にM5ボルト締め付け」が、とっても難しい。


特に、カーボンステム。

あの4本のM5ボルトが緩むと、とても怖い思いをしますよね。

「ダンシングしようと思ったら、いきなりハンドルが回っちゃって、怖かったよぉ~」って、長く自転車に乗ってる人なら、一度は経験してるのではないでしょうか?

「…だから、トルクレンチで、締め付けトルクを管理しましょう」と、以前アッサリと書きましたが、よくよく計算すると、φ25.8とφ31.8のカーボンステムが成立していないんですよ。マジで。


結論から書くと、夏場に締めたカーボンステムは、冬のダンシングでハンドルが滑り(回転する)、冬場に締めると、夏場にボルト座面が陥没し、次の冬に滑ります。


「滑るならM5ボルトをもっと締めればイイじゃん!」と、パッと思い付きますが(私も出先だとそうする)、こうすると、ボルトを締めた瞬間に座面の樹脂が陥没しちゃうんです。



計算してみましょう。

カーボン樹脂の場合、許容圧縮応力を140MPa(許容圧縮応力の高い、低弾性カーボンの下限値)とし、それをJIS規格の六角穴付きボルトで締めたとすると、最大締め付けトルクが3.8Nmで、樹脂の座面応力安全率が1.0の限界値になります。(軸力バラツキ考慮)。

慣れた人なら、手感でも「そろそろ座面がヤバイかな?」と感じとれるでしょう。

ちなみに、これ以上のトルクで締めると、座面が陥没(破壊)しながら、ボルトの軸力を上げることになります。


その3.8Nmで締めた時の軸力が4.4kN程度。ボルト4本で、計17.5Nmの軸力になります。
この軸力で、ステムはハンドルバーを固定しています。

この軸力を、φ31.8ハンドルの耐回転トルクに換算すると、「75.0Nm」のトルクにまで耐えられます。
(摩擦係数は、ハンドル表面をザラザラに処理したと仮定して、0.3±0.03で計算)


一方、体重80kgのライダーが、全体重をハンドルにかけてダンシングした場合、ハンドルを回転させるトルクは、「78.4kN」なります。


あれ?耐回転トルクを超えちゃった…。滑りますよね。


「オイラは体重60kgだから大丈夫!」って訳でもありません。
ダンシングしてる時に、路面の凸凹で突き上げ荷重を受けると、アウトですから…、残念!(←もう流行ってないよ)



そこで登場するのが、DEDAのφ35のハンドル。(トレンテチンクエ)

同じ締め付けトルクでも、耐回転トルクが「82.7Nm」まで上がります。
とりあえず、普通に走る分には、ある程度は滑らなくなりそうです。

DEDAのエライのが、ステムをカーボン化していないこと。
軸力を倍(8.8kN)程度まで上げられるので、まずハンドルは滑らないでしょう。

先の計算は誰でもできることなので、「カーボン化するなら、M5ボルトでは心配。でも、M6にするとゴツくなるしなぁ…。まぁ、皆が見慣れた頃に出そうっと」とのDEDAの思惑でしょうかね。
そのうち、カーボンステムもラインナップされると思いますが、もし、M5ボルトだったら笑いますけどね。(でも、イタリア人の仕事だしなぁ…)


DEDAは、「35ハンドルはハンドルの剛性を上げる為だぁ!」なんて言い張ってますが、先のZEROステムのリコールで懲りているメーカーなれば、「実は、ハンドルが滑るのが怖いから、φ35にしました」なんてネガティブな事は言えないもんね。

色んなサイトでは、「φ35ハンドルの剛性は必要か?」なんて議論されているようですが、まず、ギリギリスペックを追い求める部品の、設計成立性を議論するのが先ではないでしょうか?
(文系の人には、チョットキビシイかな?)


とかく、ハンドルは滑ると大事故になりかねないので、ボルトのトルク管理は、季節の変わり目毎に行うことを、オススメ致します。

ただ、そのトルクレンチでも悩みが…。
この話は、次回に。


今日はここまで



TTバイクには進化の余地が沢山?

2013-06-08 18:21:43 | フレーム調査
TTのバイクって、まだまだ詰める所が多い。

↑トニ・マルティン。

いいフォームですね。こんなのを見ると、エンジニアなら、本能的に機材側も負けてられない気になってきます。

何が足りなく、何がムダかとの目で見ると、「車体フロント側の空力的努力」と、「なんとなく存在しているバックステー」、そして、「ディレイラーの存在」をなんとかしたくなってくる。

ドーフィネのコースは、どフラット。スタート以外は、あまり変速しないでしょう。
ヘタれた時は、既にタイムは期待できないので、「ヘタレの為のギアなんて、ない!」ってことで、切り捨ててもいいでしょう。(←他人には厳しい人)

となれば、変速機はいらない。単なる重りか、空力を悪くする突起物でしかない。
いや、変速機が必要としても、誰が外装式って決めたのでしょう?(←UCIが)

コーナーがあり、不確定要素の多い一般道ベースのコースでは、ブレーキは必要なんですが、誰がキャリパーブレーキ前提なんて言ったのでしょう?(←だから、UCIが!)


こう考えると、究極的には、ディレイラーもキャリパーブレーキもいらない。
変速機がいるなら、アルフィーネでも付けておけばいいし、ブレーキはコースターブレーキで、いいんじゃないでしょうか?




しかし、ライダーが苦悶の表情を浮かべながら頑張っているのに、自転車がUCI規定のせいで、旧態依然としてるのは、なんだか勿体ない。

某サイトには、「機材の進化は必要なのか?」とありましたが(変速機の家電化…?)、機材を使う最高峰のレースなれば、最先端の技術を使ってこそ、そのプライオリティが上がるもんだし、一般ライダーも、そんな自転車が市場に出ることを望んでいる人も多いと思います。

競輪選手は確かにスゴイけど、その自転車は半世紀前の技術のもの。その自転車の方に憧れる人は、(多分)あんまりいないでしょう。(競輪自転車ファンの方、ごめんなさい)



機材を使うスポーツは、選手だけが戦っている訳ではありません。

機材メーカ、サプリメーカ、マッサージャー、トレーナー、監督など、チームを構成する個々が、それぞれの視点から、それぞれの勝利を得る為に、日々努力しています。

UCIも、そんな化石化した自転車での競争となる前に、もう少し、技術の進化に見合った規定に、少しはアジャストして欲しいもんです。

とかく選手だけにスポットライトが当たりがちですが、裏方まで含めたチームスポーツとの視点で、ロードレースを見てみたいもんです。


…なので、今、そんなテストカーを製作中。(チャリ通用のビアンキの後継車)
妄想の世界も楽しいけど、実走からは沢山のフィードバックがあるからね。

何をやるのかは、まだ書ける段階ではありませんが(苦手な分野だし)、ツールを戦うコンポーネント開発の、気分だけでも味わいたいもんです。


今日はここまで

SRX-6

2013-06-04 01:00:23 | 日記
最近、すっかり更新頻度が落ちています。

仕事が忙しいのは、サラリーマンなら当たり前なのですが、休みの日まで忙しくしている原因がコイツ↓。(SRXです、一応)


バイクっぽい形になってますが、まだまだ未完成。電装系がまるでなってない。

昨日は、息子と二人でテスター片手にバッテリー信号をチェックしてたら、何処かで「バチバチ」って音が。
「あれ?」っと音のしたほうを見ると、なんと火の手が上がっている。「ヤバイ!」叫び、息子と二人で「フーフー」して、消し止めました・・・。(危なかった・・・)

原因は、どうやら、線を引張った拍子に、ヒューズ管がフレームと接触し、ショートしたようです・・・。
息子にも怪我なく、ヒューズ全焼で済んだのが幸いでした。こんなバイクじゃ、怖くて洗車もできたもんじゃありません。


そんなこんなで、まだまだ、エンジン付きのバイクとの「じゃれ合い」を楽しめそうです。


エンジンなしの方も、実は少し進展させようと、企んでいます。
苦手なジャンルに挑戦するので、ちょっと構想に時間が掛かっていますが、只の通勤車でも、折角だから、楽しく作って、楽しく乗りたいもんね。


今日はここまで