東京R&D。この会社をご存知でしょうか?
F4用のフォーミュラカーを製造したり、ショーカー、特殊車両の製造なんかをする、研究を得意とする会社です。
その東京R&Dが、自社で行った、C-FRP(カーボン)製ロードバイクの解析プロセスを発表しました。(@6/29)
テーマは、「C-FRPの積層仕様最適化」、つまり、C-FRPは、繊維の向きによって強度が大きく異なるので(異方性)、どうやったら、剛性の高いフレームが作れるかの、そのプロセスについての紹介です。こちら
C-FRPの強度解析なんて、難しいロードのフレームでやらなくてもいいのに…。社内でよっぽど好きな人がいるんでしょうね。
この手の解析会社がアピールしてナンボですから、がんばったのでしょうね。
中身は、要約すると、以下です。
・C-FRPは、異方性があるので、その積層方法によって、無数の組み合わせができる。勘と経験だけでは設計不可能で、CAE解析は必須。
・解析により、開発期間を短くする、コストを低減することができる。
・(コストを無視すれば)アルミフレームと同じ剛性を、積層仕様最適化により、重量を-48%できる。(要するに、アルミの半分の重さのフレーム)
面白いですね。でもね、ツッコミ所は満載。
まず、開発のプロセスが古臭い。今時、試作を2回も3回もやるようでは、時代遅れ。結局、ある程度は、勘と経験に頼っている。
「組み合わせが無数+CAE解析」とくれば、品質工学のパラメータ設計の出番でしょう。CAEの中で各パラメータの感度を見極めてこそ、定量的な対策ができるもんです。
次に、目標とするのが「アルミの剛性」ってこと。
「硬きゃいいのか?」「そもそもアルミって硬くしか設計できないし。」「乗り味とか、踏み応えとか、脚にくるとかって考えないのか?」、…もういくらでもツッコミできます。
まぁ、話を簡単にする為に、あえて剛性だけにしたのでしょうが。
ロードのフレームの設計で難しいのは、数字を追いかけるのか、感覚を大事にするのか。
一昔前の設計では、CAEで良くても、テストライダーがダメならNGだったらしいけど、今は、CAEでいい結果なら、テストライダーに不評でも、数字は本当にいい結果が出るらしいです。(PCとCAEソフトの進化の賜物ですね)
だから、レース用機材って、味も素っ気もなくてもタイムはしっかり出るものだったりするし、市販モデルの中には、演出過剰なまでに乗り心地に拘ったモデルがあったりしますよね。
さて、ここで問題となるのが、インプレライダーの評価。
大体、雑誌のインプレでは、感覚だけの感想文が多く、無論、タイムなんて計ったりしない。(←同一条件にするのも困難だし)
この場合、演出過剰な方に高評価を与えてしまいがちになっちゃいます。人間が評価する以上は、仕方がありませんね。
しかし、勝負の為のレース用機材として選ぶならば、今や、インプレを参考にするのではなく、今や、CAEの数字を追いかけた方がいいのではないでしょうか?
今や、コンピュータの能力とCAEソフトの進化によって、どこのメーカでも、CAEぐらいできます。(ちなみに、私でも(ある程度は)できます)
しかし、(機械系エンジニアならご存知と思いますが)実は、CAEにも、勘と経験の世界があります。(メッシュに切り方、拘束条件の与え方、計算方法の選択…など)
ツールやオリンピック、トラック競技を見てると、この日の為に鍛え上げたマッチョや極限まで絞ったアスリート達が、汗臭い体育会系の勝負を繰広げています。
無論、プロのアスリートの彼らには、一流のエンジニアが設計したロードバイクが与えられます。
一般の人の場合は、体育会系な鍛え方をした後は、エンジニアリングの方も鍛えないと、良い道具にめぐり合うことはないのかもしれません。
練習は楽しいバイクに乗りたいもんですが、レースじゃ、「楽しいよりも、なんでもいいから加速してくれよ!」ですもんね。
「ロードバイク、インプレッション」、私の大好きな雑誌ですが、「ロードバイク、数値試験結果」とかいう雑誌が、そのうち出てくるかもしれませんね。(←だったら買うのか?楽しいのか?)
いつの時代も、楽しいバイクを買うか、速いバイクを買うか、悩みは尽きませんねぇ。
設計する方も、「楽しいバイクを速いバイクと見せかけて売るか」「速いバイクを楽しいバイクと錯覚させて売るか」、きっと、悩んじゃいますよね。
さあ、東京R&D! 試作の次は、どんな、楽しい?速い?バイクを発表するのかしら?! 期待してますよ!(←色んな意味で ←ちょっとイジワル)
今日はここまで
F4用のフォーミュラカーを製造したり、ショーカー、特殊車両の製造なんかをする、研究を得意とする会社です。
その東京R&Dが、自社で行った、C-FRP(カーボン)製ロードバイクの解析プロセスを発表しました。(@6/29)
テーマは、「C-FRPの積層仕様最適化」、つまり、C-FRPは、繊維の向きによって強度が大きく異なるので(異方性)、どうやったら、剛性の高いフレームが作れるかの、そのプロセスについての紹介です。こちら
C-FRPの強度解析なんて、難しいロードのフレームでやらなくてもいいのに…。社内でよっぽど好きな人がいるんでしょうね。
この手の解析会社がアピールしてナンボですから、がんばったのでしょうね。
中身は、要約すると、以下です。
・C-FRPは、異方性があるので、その積層方法によって、無数の組み合わせができる。勘と経験だけでは設計不可能で、CAE解析は必須。
・解析により、開発期間を短くする、コストを低減することができる。
・(コストを無視すれば)アルミフレームと同じ剛性を、積層仕様最適化により、重量を-48%できる。(要するに、アルミの半分の重さのフレーム)
面白いですね。でもね、ツッコミ所は満載。
まず、開発のプロセスが古臭い。今時、試作を2回も3回もやるようでは、時代遅れ。結局、ある程度は、勘と経験に頼っている。
「組み合わせが無数+CAE解析」とくれば、品質工学のパラメータ設計の出番でしょう。CAEの中で各パラメータの感度を見極めてこそ、定量的な対策ができるもんです。
次に、目標とするのが「アルミの剛性」ってこと。
「硬きゃいいのか?」「そもそもアルミって硬くしか設計できないし。」「乗り味とか、踏み応えとか、脚にくるとかって考えないのか?」、…もういくらでもツッコミできます。
まぁ、話を簡単にする為に、あえて剛性だけにしたのでしょうが。
ロードのフレームの設計で難しいのは、数字を追いかけるのか、感覚を大事にするのか。
一昔前の設計では、CAEで良くても、テストライダーがダメならNGだったらしいけど、今は、CAEでいい結果なら、テストライダーに不評でも、数字は本当にいい結果が出るらしいです。(PCとCAEソフトの進化の賜物ですね)
だから、レース用機材って、味も素っ気もなくてもタイムはしっかり出るものだったりするし、市販モデルの中には、演出過剰なまでに乗り心地に拘ったモデルがあったりしますよね。
さて、ここで問題となるのが、インプレライダーの評価。
大体、雑誌のインプレでは、感覚だけの感想文が多く、無論、タイムなんて計ったりしない。(←同一条件にするのも困難だし)
この場合、演出過剰な方に高評価を与えてしまいがちになっちゃいます。人間が評価する以上は、仕方がありませんね。
しかし、勝負の為のレース用機材として選ぶならば、今や、インプレを参考にするのではなく、今や、CAEの数字を追いかけた方がいいのではないでしょうか?
今や、コンピュータの能力とCAEソフトの進化によって、どこのメーカでも、CAEぐらいできます。(ちなみに、私でも(ある程度は)できます)
しかし、(機械系エンジニアならご存知と思いますが)実は、CAEにも、勘と経験の世界があります。(メッシュに切り方、拘束条件の与え方、計算方法の選択…など)
ツールやオリンピック、トラック競技を見てると、この日の為に鍛え上げたマッチョや極限まで絞ったアスリート達が、汗臭い体育会系の勝負を繰広げています。
無論、プロのアスリートの彼らには、一流のエンジニアが設計したロードバイクが与えられます。
一般の人の場合は、体育会系な鍛え方をした後は、エンジニアリングの方も鍛えないと、良い道具にめぐり合うことはないのかもしれません。
練習は楽しいバイクに乗りたいもんですが、レースじゃ、「楽しいよりも、なんでもいいから加速してくれよ!」ですもんね。
「ロードバイク、インプレッション」、私の大好きな雑誌ですが、「ロードバイク、数値試験結果」とかいう雑誌が、そのうち出てくるかもしれませんね。(←だったら買うのか?楽しいのか?)
いつの時代も、楽しいバイクを買うか、速いバイクを買うか、悩みは尽きませんねぇ。
設計する方も、「楽しいバイクを速いバイクと見せかけて売るか」「速いバイクを楽しいバイクと錯覚させて売るか」、きっと、悩んじゃいますよね。
さあ、東京R&D! 試作の次は、どんな、楽しい?速い?バイクを発表するのかしら?! 期待してますよ!(←色んな意味で ←ちょっとイジワル)
今日はここまで