Today's agenda

通勤ローディ、たまにホビーレース

MIL規格(Di2の線)

2013-10-07 08:13:23 | シマノ製品調査
久々の更新です。

まだ、ミニベロ、電動アルフィーネ化をコツコツやってます。

最近、悩んでいたのが、「Di2の信号線とコネクターって、どこで買えるんだろう?」ってこと。

まず、コネクターと線も規格が分かりません。
いろいろ調べた結果、
- コネクターは、「MCX」とかいうマイクロコネクターか?
- 線は「RG-179」とかいう、MIL規格の線か?(MIL規格:昔アメリカ軍が、兵器用に定めた、割と厳しい規格。今では、民間用でも使われているらしい)
ということが分かってきました。

「規格が分かれば、後は買い物するだけだよね」と、またいろいろググッた結果、コネクターは千石商会で買えるのですが、線が手強い。

MIL規格だけあってか、一般には、ほとんど流通していない。
径が3mmの同軸ケーブルで10vを流せるって、多分、なかなか難しいのだと思いますよ。(下手に使うと、溶けそう)

しかも、50m巻での販売とか、ちょうどいいのがなかなか売っていない。
やっと見つけたのが、「5mで420円」と手頃なものでしたが、購入にすったもんだがあり、諸費用1000円以上をかけて、無事に購入。


たかが線一本にえらい苦労しました。

しかし、こんなMIL規格の線を使うなんて(未確認ですが)、シマノさん、あんたもマニアだねぇ~。


今日はここまで




アルフィーネDi2搭載のミニベロを製作中

2013-08-18 09:00:00 | シマノ製品調査
夏バテなんてなんのその。メタボ化が進む夏、如何お過ごしでしょうか?

秋に向け、メタボを解消しようと、新しいチャリ通マシンを作り始めました。

FUJIのCOMETの中古フレームに、11速アルフィーネDi2。
シングルスピードっぽいけど、しっかりヘタレギアが選べる内装11速。
スカシのメタボなヘタレには、必須の装備ではないでしょうか?(←ガチで頑張る気はないのか?)


ただ、やはりそれなりに苦労しています。

問題の一つが、エンド幅。
エンド幅120mmを135mmに拡大しないと、アルフィーネは付きません。


強引ですが、やったのはこのやり方。

内側のナットを締めていき、エンド幅を広げます。
135mmまで広げて、ナットを緩めると、あらら…、もとの120mmに戻ってしまいました

もっと広げないと135mmにはならなさそうですが、一気に広げると、何処から「ぐにゃ」とか「ポキッ」って音がしそうなので、締めては緩め…の繰り返しで、最終的には155mmまで広げて、やっと135mmになりました。
心配だった、センターも、とりあえず目視では、出ていそうです。


次の課題は、アルフィーネのコントロールユニット。
自作はギブアップしましたが、いったい、どの部品がコントロールユニットを持っているのやら?
ディスプレイユニット?モーター内?まさか、レバー内?

誰か、知っている人がいたら、教えて下さいな。


今日はここまで

NEWアルテグラのブレーキ

2013-05-03 22:00:00 | シマノ製品調査
シマノ、NEWアルテグラが発表になりましたね。

私は、カンパユーザなので、今は使うことはできませんが、昔はアルテグラを愛用していました。
さて、そのアルテグラ、どんな風に変わったのでしょう?


まず、注目は、ブレーキ。

形状は、デュラのそっくりさん。


もう、名前を書いてないと分からないぐらい、よく似ています。

ところが、価格は、デュラエースは32000円ぐらいなのに対し、アルテグラは13000円ぐらい。
似てる形状なのに、なんで、どこが、こんなに価格差を生む結果になったのでしょう??
ちょっと、勝手な推測をしてみました。



まず、概観。

デュラは、ご丁寧に塗り分けていますね。これが高い。
塗装か、表面処理か分かりませんが、どっちにしても、処理前に「マスキング」が必要になります。

私も、よく設計で、表面処理をしたくない箇所にマスキングする構想をしますが、見積もり価格を見ると、一気にその気が失せます。一声、数十円~百数十円から。
マスキングしてる部品は3個。売価は10倍換算と仮定して、これだけで、数千円。


とは言っても、デュラエース。まさか、見た目だけにお金を掛ける訳がありません。

インプレ記事(こちら)では、「操作してみて感じたのは、わずかではあるがやはりデュラエースよりも操作の重さを感じるところ。それと、シフト操作するときに指先で感じるレバーの形状が少し違っているように思った。ブレーキの効き方は制動力の立ち上がりが、デュラエースよりガツンとしている」と書いてある。

ふーん、シフトワイヤーが同じなのに、「どこかにフリクションが高い部位がある」と言うことでしょうか。どこでしょう?


まず、これがデュラエースのブレーキの分解図。(シマノHPより)

・・・あんまり役に立たない。

デュラエースの説明文では、「ツインベアリングがピボットでの抵抗を軽減」と書いている。
このピボット部のベアリングが、デュラエースとアルテグラは違うのだと思います。

デュラエース7900の分解図では、このピボット部にφ6とφ7のベアリングを仕込んで、摩擦係数を下げていますね。↓


一方、アルテグラ6800のブレーキでは、ベアリングはφ7のみで、一個ケチられています。↓

つまり、多分(かなり推定)、アルテグラのブレーキでは、ベアリングはケチられて、滑り軸受けになっているのだと思います。

滑り軸受けと、ベアリングでは、摩擦係数は一桁(場合によっては二桁)違います。特に静摩擦係数が違います。
インプレでも、「アルテグラは僅かに抵抗が大きい」と書かれているのは、この滑り軸受けの抵抗なんだと思っています。
きっと、アルテグラのベアリングには、研磨は入っていません。コスト的にお金が掛かる研磨なんて、アルテグラでは、出来ないでしょう。


「じゃあ、やっぱりアルテグラのブレーキってダメなの?」ってういと、・・・少しばかりの、改善策はあります。

まず、ブレーキを分解し、軸受け部を徹底的に磨き倒します。できれば、軸受けに熱処理を入れて、硬度も上げてやると、より良いでしょう。
そうすれば、表面粗さが良くなった効果と、軸受け部の硬度が上がった効果で、摩擦係数が下がり、僅かばかりの改善は望めます。(と言っても、摩擦係数が0.12→0.07になる程度だが・・・。ベアリングは0.015だもんね。)


それでも、NEWアルテグラのブレーキがいいと思えるのは、やっぱり、構造なんです。
シマノのこの絵↓を見てください。

そもそも、ブレーキのピボット部に掛かる荷重が下がっているので、F=μN(←高校物理の公式)に則ると、N(荷重)が下がっているので、ブレーキ部での摩擦力は下がっているハズです。
まぁ、もっとも、「総摩擦力=コントロールレバー内の摩擦力+ワイヤーの摩擦力+ブレーキでの摩擦力」ですから、ブレーキのシステムで考えると、微々たる差かもしれません。

また、材質が違うとはいえ、デュラもアルテも、(基本的に)同じヤング率(ポアソン比も)の物性ですから、形状によるコントロール性は、デュラもアルテも同じハズです。
絶対的なブレーキ力(ストッピングパワー)は、主にパットが決めることですから、ここも、デュラとアルテの差はないハズです。



まとめましょう。

今回のデュラエースとアルテグラのブレーキの差は、以下です。

 1. 主に、初期タッチにおいて、アルテグラの方が、僅かに摩擦力が大きい。

 2. コントロール性、ブレーキ力は、デュラもアルテも同じ。

 3. 見た目は、デュラの方が、お金が掛かっている。


「初期タッチ」と「見た目」の差で、デュラとアルテは、値段が1万9000円違う。
安いと思うか、高いと思うかは、きっと、ユーザーが置かれてる状況によって変わるんでしょうね。(レースの集団内では、微妙なブレーキが必要だし、カッコイイバイクにしたい人には、見た目は大事だし)


今日はここまで

TeXtremeカーボンを選択した、デュラエースC75、C50

2013-03-15 17:57:58 | シマノ製品調査
シマノのカーボンホイール。その積層技術が面白いです。


「TeXtreme」のステッカーがありますが、どうやら、リムはOxeon社がシマノに供給しているようです。
シマノのハブは評判が良かった(リムはイマイチだった)ので、今度のデュラエースのホイールは、きっと良い物になることでしょう。


そのOxeon社(HPはこちら)、2003年にスウェーデンに、できたばかりの会社。(まだ10年!)
もとはチャルマース工科大学の人が設立したようです。(←エリート校らしい。材料工学かしら?)

HPのトップページではF1が出てきますが、どうやらレッドブルF1チームやNASCARにも供給しているようですね。自転車ではFELTのバイクにも使われています。



(↑Redbull HPより。確かに使われてますね)


このカーボンの何がスゴイのか?

カーボンの軽量化をしているんです。

カーボン(CFRP)は、マトリックス(樹脂)に対し、約30%ぐらいまでしか添加できません。これは、カーボン糸の束を固めるのに必要な量で、先の堺の大手成型屋さんも「30%程度が限界」と言っています。(ここはEUに対し、10年ぐらい技術が遅れているが…)

Oxeon社の面白いのは、テープ状のカーボンを積層しているところ。こうすれば、確かに必要なマトリックスは少なくて済み、薄いCFRPができます。


強度を上げるには、カーボン糸の纏まりをできるだ小さくして(1K(1000本)とか)編み込むのが、これまでの手法でしたが、Oxeonは、従来からあるカーボンテープを織り込んできました。
単体の引張り強度では、T1000とかの方が上でしょうが、比強度(重量に対する強度)なら、いいかもしれません。

また、フレームにしろホイールにしろ、全ての箇所に高い強度の材質が必要という訳ではありません。そんな所には、薄くて軽いCFRPが重宝されます。
逆に強度が必要な所には、何枚も必要な方向に積層してやればいいのです。

これは面白い設計ができますよね。薄い所はとことん薄く。取扱いを間違えると、すぐにパキッっといきそうですが、レース用機材なら、それもアリでしょう。


こうして出来たのが、シマノのホイールC75、C50。
OEM先の技術故、あまり自慢できないらしく、らしく書くのに苦労していますよね。(「…素材を選択し…設計を開発した」と書いてあるのがツボ。素材が開発されて、設計が選択されたのが正解なのでは?)
ただ断面を見ると、ありえないぐらい、薄い所は薄くなっています。

(↑シマノカタログより抜粋)

まあ、ともかく、リムもハブも「いいとこどり」の組合せなので、いいホイールである事は間違いないでしょう。
ハブが相変わらずの金属なので、全体ではそこまで軽くありませんが、高剛性のハブと、軽量リムのお陰で、トルクを掛けても上れるホイールなのではないでしょうか?


過去、シマノのデュラエースのホイール(金属)を履いたことがありますが(借り物ですが)、「悪くはないけど、面白くないホイールだなぁ」なんて思っていました。
今回の、この選択された素材により、どんな設計が選択されたのか、もし試せる機会があったら、試してみたいです…が。

…そう、オイラはカンパ乗り。一生、このホイールの良さは試せないかも…。


今日はここまで





マウンテンバイクの空力

2013-03-08 08:27:13 | シマノ製品調査
仕入先の展示会の日。今回は、もともと堺の大手樹脂成形屋さんです。

堺…となれば、当然のシマノの関西連合の筈…。探すまでもなく、ど真ん前に自転車部品の展示が。

まず、アルテグラのレバー。あの指で握るレバーです。
もちろん担当のエンジニアを捕まえて、オタクトーク。

私:材質って、なんですかね?

担当:○○材でっせ。△を添加してまんねん。もう一つ上のグレードは、カーボンを添加してますがね。(注:担当者のキャラはフィクションです)

私:(…つまらんなぁ)ライバルは、カーボンのラミネートで成形してますよね。樹脂のグレードも高いし、そっちは検討しなかったの?

担当:いや、あの、成形技術の面で、ちょっと…。

確かに、横を見ると、ラミネートをプレス成形したテストサンプルがあるけど、そんなにキレイなもんじゃない。

更に横を見ると、XTRのクランクのギア板があるじゃないですか!
トリプルギアの真ん中のギアのようですが、なんで?

私:…自転車のギアですよね。

担当:そうでんねん。マウンテンバイク用で、ほら、飛び石とかでチェーンが外れまっしゃろ?この樹脂の所まで石の噛み込みを防ぎまんねん。

私:(よー喋るオッサンやなぁ~) 飛び石対策だけに樹脂ですか?

担当:いやいや、低コストな変速性能もあるし、空力が良くなる形状も織り込んでるんでっせ(@ドヤ顔で)。


驚きました。マウンテンバイクで、トリプルギアで、その真ん中のギアの「空力」を気にするなんて。

そのうち、マウンテンバイクのレースで、空力を気にして、TTメットを被ったライダーが現れるかもしれませんね。
そうなると、やっぱり、カンチェラーラが強いのかしら?


しかし、この樹脂屋、めっちゃ濃い。
がっついて見てると、見事に開発部隊の人達に囲まれ、スーパーエンプラの押し売り攻撃に。
「今度、用事がなくても伺いますから、まっ、ひとつ、ヨロシク頼みまんがな」なんて言われると、やっぱり、会社の門の所に、「押売り、お断り」って札を貼っておいた方がいいのかしら?(んなこと御構い無しに来そうですが…)

関西連合はコワイなぁ…。


今日はここまで



内装式電動11速Alfineで、ラルプデュエズ??

2012-12-15 23:59:36 | シマノ製品調査
腰痛でPCの前に座るのがツライので、しばらくお休みしてました。見に来てくれた方、すみません。もう大丈夫です。


今、夢中になっているのが、シマノの新型「Alfine電動11速」。内装式11速が、ついに電動化されました。
正直、「内装式11段」でも「??」なのに、「電動内装式11段」にまで進化すると「???」です。

重さは、1.6kg。ヘビー級ですが、この断面図をみると、まぁ、納得です。

ATをミニチュア化したようなもんですね。いや、11速もあるから、こっちの方が、進歩しているのかも。

ただ、やっぱり、重さ1.6kgが気に入らない。このギア全部、樹脂化して軽量化できないもんでしょうか?

これまで書いてきたように、昨今の樹脂の進化は凄まじいものがあります。樹脂屋にして、「あと5年待ってくれたら、もっとスゴイ樹脂が出来る」と言い切ります。
自動車の世界では、ギアが樹脂化される例が多々あります。エンジン内では、トヨタARエンジンのバランサーギアがいい例です。こちら

…ほらね。できるような気がしてくるでしょ?

ただ、課題はやっぱりコスト。この樹脂の値段を聞きましたが、鉄の200倍以上のコスト。スーパーエンプラともなると、これが相場です。
最近は、スーパーエンプラを超える樹脂も開発されており、そうなると、名前は「ウルトラエンプラ」?、更に進化すると「エクストリームエンプラ」?、その先は「アルティメットエンプラ」とかでしょうか?
ともかく、構造強度の問題は、ある程度素材が解決してくれます。きっとコストも、「数量効果」で安くなると信じましょう。

樹脂化するだけで、重さの問題は解決します。
この手のエンプラの比重は、鉄の1/5程度。全部が樹脂に出来るわけではないとして、それでも、半分以下の重量にはできるハズです。ざっと、1/3にはなるでしょう。
そうすると、1.6kg → 530g程度。今度の電動デュラエース(9070)の、リアデュレイラー+カセットスプロケット+リアハブ=217+116+258=591g!
なんと、外装式より内装式の方が、軽くなるじゃないですか!!(←その頃には、外装式ももっと軽くなってるよ…とのツッコミは、あえて無視!)


よく、ロードレースでは、落車、接触などでのメカトラで、チェーンが外れることも多いもんですが、内装式にすれば、そんな問題も解決!(←UCI規定も無視!)
メカニックも、面倒なデュレイラーの調整から解放されます。

ただ、そのスタイルは、どう見ても「ピストバイク」そのもの。
ラルプデュエズの坂を、苦ともせず上っていくピストバイク…。でも、クランクはシャカシャカと高ケイデンス…。なんか、ちょっと気持ち悪い光景かもしれません。


馬車が車に変わったように、技術の進化は、歴史を進化させるものです。
今のロードバイクも、進化した次の姿でのレースを見てみたいもんです。


今日はここまで




ブレーキパット・・・は調査中。

2012-11-29 23:51:03 | シマノ製品調査
日曜日は、長良川クリテ。
気持ちも盛り上がってきましたが、…やってしまった。また、ローラー台でレースモードの練習を。

いい感じで走れたのはいいのですが、脚ガクガク状態。こりゃ明日は筋肉痛だな。
こんなので、日曜日までに回復できるのでしょうか?まぁ、楽しかったから、いっか。


シマノのデュラ9000系、ブレーキシューって、どんなんだろう?

以前、ブログ友達のタイガーさんが、自身のブログでR55C3になって、「ウェットでの制動が良くなりましたとシマノが言っている」と書いてあったので、これはきっと特許を出してるに違いないと思い、ちょっと調べてみました。

これかしら?
特許公開2002-81477:ウエット条件においても改善されたブレーキ性能を有する自転車用ブレーキシュー

しかし、経過を見てみると、あれれ?拒絶査定??


思うに、ブレーキパットの材質だけで、特許を取るのは困難なのではないでしょうか?
仮にとっても、他社の侵害調査が難しいし、こりゃ、むしろ、技術を公開するだけ「損」ではないでしょうか?

見てみると、これ以降、ブレーキパットの材質に関する特許は出ていない。よって、9000系デュラの材質も不明のまま。

9000系デュラでは、7900系から材質の変更はあったのでしょうか?そもそも7900系の材質ってなんなのでしょうか?
もっと言うと、ブレーキが利くメカニズムって何なのでしょう??そして、マビックのエグザリットって、どんな思想なんでしょう??

いやいや、ブレーキは難しい。ちょっと勉強が必要ですね。


今日はここまで


デュラエース9000系、新型ワイヤーの技術論

2012-11-22 21:34:20 | シマノ製品調査
デュラエース9000系で同時に発売されたワイヤー。
「ポリマーコーティングワイヤー使用により、ディレイラーの操作力低減」とかシマノのHPには書いてますが、イマイチ、ピンとこない。

「何をどうやってフリクションを低減したのか?」、そして、「ワイヤーはこれからどうしたいのか?」を調べてみました。とっても奥が深いですよ。


まず、その新開発のワイヤー。その構造を特許面から調べました。

ありました。実用新案第3179718号。
自転車用のワイヤーは、軸線の束の周りに、スパイラル状に巻線を巻いた構造ですが、この請求(クレーム)の内容は、大きく二つ。

「巻線を、低フリクション材(PTFEとか)にする」ことと、「巻線と軸線を(ポリマーコーティングで)くっつける」こと。




従来のワイヤーのフリクションは、「巻線と軸線」「巻線とアウターケーシング(表面の黒い合成樹脂)」の両方で出る。
そこで、巻線をフリクションの小さなPTFEとかにした上で、接着剤で巻線と軸線を一体化して両者のフリクションを低減するメカニズムです。

巻線をPTFEにしたことで、耐潰し強度は落ちますが、…潰されることなんてないもんね。


面白いのは、PTFEとアウターケーシング(合成樹脂)を滑らせること。

従来のワイヤーは、一生懸命グリスを塗ってフリクションを下げていましたが、ワイヤーの摺動速度は遅い、もしくは0の時もあるので、油膜切れ=高摩擦になることもありました。
このワイヤーでは、PTFEが摺動するので、油膜切れの状況でもある程度のフリクション低減が望めます。
思うに、このワイヤーでは、グリス塗布ではなく、オイル塗布の方がいいような気もしますが…。


個人的には、このワイヤーは、大変素晴らしいと思います。ワイヤーだけでも「買い」の一品です。
んでもって、操作系を軽くしたいなら、7900以前のデュラに付けてもいいと思います。



しかしながら、奥ゆかしいのが、この技術、「特許」ではなく、「実用新案」で登録していること。
シマノは知っているのです。この新しいワイヤーですら、「つなぎ」の技術にしかならないことを。


ご存知の通り、特許は有効期間20年、実用新案は6年ですが、審査がありませんので、登録は簡単です。(しかも登録を発売直前にしている)
シマノが、あえてこの実用新案で登録したということは、次の新しい案を準備中と言ってるようなもんです。

この実用新案が切れる前には、つまり9100系デュラあたりで、シマノのワイヤーは、更に進化するでしょう。(多分ね)


ついでに、どんな進化をするのか、勝手に予想してみましょう。

この実用新案では、アウターケーシングとの摩擦係数を下げたと書いておきながら、アウターケーシング側には、何の工夫もありません。
やるなら、アウターケーシング内壁への表面処理。平たく言えばメッキです。先に書いたDLCなんか、合成樹脂にも処理でき、正に摩擦係数を低減させる処理となります。
となると、この表面処理との相性の良い巻線材を選ぶ必要があります。それは、PTFEかもしれないし、PFAとか、金属系かもしれません。
ここはトライボマテリアルの領域なので、私には少々予想困難ですね。


ともかく、9000系デュラは、次の進化の為の試金石です。流行のエヴァで言えば、0号機みたいなもんです。初号機、弐号機が、シマノのデュラエースの真骨頂となるのでしょう。13号機までは待たなくてもいいですけどね。(←実は、今日エヴァの映画を見た…)


この9000系デュラ、買いかどうかで言えば、…迷うところですね。
シマノ進化歴史の体験者となりたい気もするし、間違いの少ない、次の完成進化版を待つのも手だし。

今は、この大きな出費をできる人が、きっと将来「あの頃のデュラは…」と、酒を飲みながら語ることができるのでしょうね。(←若い衆に向かってね)


さぁ、貴方は9000系デュラ、買いますかな? 買う勇気がありますかな?


今日はここまで

デュラエース9000系、クランクはどうなの?

2012-11-21 23:59:47 | シマノ製品調査
デュラのクランク。
デザイン的にダサい、そして、設計的にも実は革新的とは言い難い。

なんでこんな事になったのか?知る由もありませんが、ちょっと、アタマの中で妄想を膨らませてみました。
登場人物は、デュラクランクの設計者「デュラ男」君と、その先輩、上司です。


<とあるシマ○社内で>

デュラ男:9000デュラのクランク、6本アームで絵を描いてみました、先輩!

先輩:コンセプトは?

デュラ男:更なる高剛性です。ベンチマークを行い、市場トップの剛性を達成できます。重さは、軽さに特化したモデルがあるので狙わず、デュラの売りである「一枚岩のような剛性感」としました。

先輩:いいけど、ちょっと重た過ぎない?CAEで応力解析をやって、軽量化も考えてみて。

デュラ男:…分かりました。(言うのは簡単なんだよなぁ)


<数日後>

デュラ男:応力解析の結果、クランクアームの対面のスパイダーアームは、殆ど機能しない事が分かりました。このアームを薄く細くするのが、軽量化の手だと思います。

先輩:だったら、どこまで出来るか、一度、そのスパイダーアームを外して解析してみようや。


<さらに数日後>

デュラ男:解析できました。あのスパイダーは、あってもなくても、応力はそんなに変わらないですね。

先輩:やっぱり、俺が睨んだ通り、無くてもいいジャン!見た目にも、なんか新しさがあるし、これで行こう!


<上司の席へ>

先輩:新しいデュラ、革新的な形が出来ました!

上司:なんだこの形は!?応力的に大丈夫なのか?

先輩:CAE解析の結果、アームなしでも十分高剛性クランクとのコンセプトは維持できます。剛性重量比でベンチマークに載せても、トップの性能となります。

上司:革新的形状で、トップの剛性感か…。イケるな。営と販促資料を作ってくれ。

デュラ男、先輩:分かりました。


「こうして、9000デュラは発売されました。しかし、販売は思ったように伸びません。さて、この仕事は何が問題だったのか、マネージメントの視点で答えなさい」ってのは、よくあるビジネススクールでの課題ですね。
勝手な妄想ワールドですが、オイラも大企業で開発やってるので、まぁ、きっとこんな感じでしょうね。


9000系クランク、技術の飛躍がありません。単なる、今の形状の延長です。んでもってアームを1本抜いただけなもんだから、ダサいのです。
自転車デザインへの愛も感じられません。デザインに余裕や、優雅さがない、技術屋が考える「ザ・工業製品」ですね。
自転車のみならず、外装部品は、何らかのデザイン部門が入って、開発して欲しいものですが。


思うに、あの9000系クランクだけが欲しいって人は、どれだけいるのだろう?
きっと多くの人は、デュラの変速機能を達成させるコンポーネントの一つとして、9000クランクを買うのだと思う。

特に日本人は「純正」って言葉に弱いので、「シリーズ外の組み合わせにすると、変速性能は落ちます」と言われると、セットで買ってしまいます。事実、シリーズ外のコンポを混ぜると変速性能が落ちる事例は、多く報告されていることも要因となるのでしょう。

シマノが変速機能に関し、システム化して高性能を達成し、ユーザーの囲い込みをする思想は分からなくもない。
しかし、こんな拡張性に制限を付けたがる商品って、本当にユーザーに必要なシステムだろうか?


よくインプレ記事では、「変速速度が上がる=性能が上がる」と書いていますが、「ミックスコンポにした時などは性能が落ちるので、システムの拡張性が制限される」とは書かれないもんです。
また、変速速度至上主義は、レースでは必要かもしれませんが、一般道で、どんだけ変速速度が必要なんでしょう?
「変速が早い=ストレスフリーだ!」なんて言いますけど、一般道で変速速度のストレスなんて、そもそもありましたっけ?誰か、7900デュラの変速速度が遅いって言いましたっけ?


シマノの戦略は、穿った言い方をすると「製品の価値を、シマノが持ち上げたいある視点でのみ語り、他はシマノより劣るとの論調でユーザーの不安を募らせ、シマノワールドが性能だと勘違いして貰い、シマノ製品を継続的に買ってもらう」ことです。
でも実は、どこのメーカーもやってることで、最近では、シャンプーの「ノンシリコンシャンプーの宣伝」が話題になってました。(シリコン入りシャンプーはダメとの一方向からの見解)


言いたいのは、デュラはレース機材として開発され、その性能は素晴らしくとも、その設計思想が、一般道での性能を決める訳ではありません。
我々は、シマノの性能至上主義に囚われることなく、自由なコンポ選びをしても、いいのだと思います。

一般道がメインの人なら、SORAを選ぶことも、時にはアリです。逆にレースをする人は、思い切ってデュラを買うと、いい事があるかもしれません。


ちょっと書きすぎましたが、シマノの性能は素晴らしいとは、私も認めますが、それが、自転車の楽しみ方を方向付けるものではないと思っています。

とか言って、オイラはカンパユーザーなので、説得力のないから騒ぎですね、やっぱり…。



今日はここまで

デュラエース9000系、カセットスプロケットの樹脂軸について

2012-11-19 23:59:01 | シマノ製品調査
トロバラで寒さで筋肉が固まったまま走ったので、脚を痛めてしまいました。
歩き方が変なオッサンです。


デュラのカセットスプロケット、その軸がカーボン樹脂になっています。
歯をチタンにまでしたデュラですから、樹脂化自体に驚きはないのですが、興味は、マトリックスの材質と充填剤と工法。(全部か…)

現物を見れば、ある程度分かるのですが、まだ見てないので、適当に推定してみます。
なので、これは、オイラの空想ですので、悪しからず。


まず、マトリックスから。

強度、耐油、寸法精度を両立できる時点で、絞られます。
ぱっと思い付くのはフェノールですが、どうしても、シマノとフェノール屋との接点が見えない。
シマノにとって、お手軽なのは、ペダルと同じ材料。ナイロンです。
ナイロンなら、まあまあの選択ですが、精度(ヒケも)とウェルドと戦う熱可塑性樹脂は、ベストではないと思うゾ。

そういえば、デュラのグリスも変わりましたね。
この樹脂の軸にも塗布されることを考えれば、樹脂への攻撃性の少ない、又は、極圧剤をふんだんに盛り込んだ変更かもしれません。こっちも、いずれ、チェックしましょう。(どうやって?)
余談ですが、へんなグリスは塗らない方がいいですよ、樹脂部品には。


充填材はカーボン…ですが、長さが気になります。
保守的に短繊維か、ペダルみたく長繊維か?
こればっかりは、見ないと、なんとも言えません。


それよりも、工法が気になります。
ペダルの長繊維も、どんな工法で異方性の問題をクリアーにしたのか?
鍛造屋のシマノの設計者が、樹脂流れと異方性をコントロールした設計をしている訳がないので、ここは島根の仕入先が、頑張ったのでしょう。前にも書きましたが、あの会社の製造技術に対する知見は、大したものです。私なら、丸投げします。

何れにしても、異方性とウェルドをどうクリアーしたのか?できれば、その型を見たいもんです。


しかしながら、そのカセットスプロケットの軸、樹脂化しても、なんの工夫もしてませんね。
これは個人的な感想ですが、仕事が「大企業の会社員」の作業ですね。9000系の開発と言いつつ、設計思想のイノベーションはなく、今ある知見の中でしかその形状が考えられない。
設計者がプアだとすれば、次の9100系ぐらいから、やっと樹脂の特性を活かした、いや、樹脂でしかできない設計を入れてくるはずです。
それすら出来ないならば、今まで通り、広報宣伝に精を出し、中身の無いデュラ伝説で信者からお布施を募る商売を続けるのも、実は戦略的にはアリです。

さあシマノ連合軍、どうする?

次回は、9000系クランクについて、から騒ぎする予定です。


今日はここまで