■放送:1976年NHK
■原作:海音寺潮五郎(『平将門』『海と風と虹と』より)
■脚本:福田善之
■音楽:山本直純
■演出:岸田利彦、大原誠、松尾武、榎本一生、重光亨彦
■出演:加藤剛、緒形拳、山口崇、吉永小百合、真野響子、草刈正雄 、吉行和子、他
昨日に続き平将門を主人公とした大河ドラマ「「風と雲と虹と」について書いていきたいと思います。このドラマを観て大きな発見は、昨日も書きましたが吉永小百合の美しさです。それまであまり気にもならなかった彼女の美しさ、このドラマでは絶世の美女の名に値するほどの輝きがあります。その吉永小百合演じる貴子は、加藤剛演じる将門に恋をします。惚れられた将門もまんざらではなく、これはいい関係に発展しそうと物語は展開していくのですが、肝心の将門が優柔不断で彼女へのモーションがイマイチもどかしい。その将門ですが、正義感、使命感が強く腐りきった都の政治に嫌気をさしながらも盗賊退治で一躍ヒーローになります。ところが一転退治した彼等は皇族関係者であったことがわかり立場が悪くなってしまい、奈落へと落ちてしまう…。
将門はほとぼりがさめるまで、西国の海賊退治の役を仰せ遣うことになります。それにより貴子には不安と寂しさがおそいます。そこに山崇演じる将門のいとこにあたるプレイボーイでならす平貞盛が付け込んできます。なんだ?ふざけんじゃないよ、と言いたくなる展開。彼女は貞盛と関係を持ってしまいます。これが女の性?と描かれても、演じる吉永小百合が美しいすぎるため合点がいきません。悲しいです。切ないです。よりによって貞盛の毒牙にやすやすとはまってしまうなんて!貴子、あなたはそれで気持ちが満足するのか。もう、画面に向かって叫んでいました。(これはもう嫉妬の状態です)
四国に渡った将門はそこで藤原純友と再開、都から派遣された海賊退治の追捕使らを一網打尽にする純友の謀略から逃れその身を守ることができる。それは将門に共鳴する純友の計らいでもあったのですが。将門はそれに気づいていたのか、気づいていなかったのか、それはわかりませんが、純友と比較して見ると将門は鈍感な青年に見えてしまい、おそらく気づいていないのだろうなと。このドラマでは純友は頭も切れる反逆児として、頼れる男として魅力的に描かれています。(緒方拳がいい)
将門は京都に戻り貴子のもとを訪ねるのですが、そこで見たのは彼女と貞盛の逢瀬。将門は悲しくなり走り出してしまいます。大地に臥して咽び泣くのですが、涙目の向こうに見えた“土”グッと握りしめ、故郷の坂東の地を思い出し再び立ち上がります。なにか映画の「風と共に去りぬ」のエンディングを想起させるような。スカーレットならぬ「私には坂東がある」なのである。
失意のもと故郷の坂東に帰る将門ですが、環境変われば思いも変わる?新しい意中の人ができます。それはいとこの良子(演じるは真野響子)、そこへいくのかと思わせてくれます。しかし良子には縁談が持ち上がり、またしても失恋ムードに。相手は平家一族と相対する源扶、つまり平家と源家の政略結婚ともいえなくもないのだ。我慢ができなくなった将門はとんでもない行動にでてしまう。良子を略奪して自分のものにしまうのだ。これではまるでダスティ・ホフマンが主演した名作映画「卒業」ではないか。今回の将門はアメリカン映画しているのだ。
でもここからが大変だ。面子を潰された平家、源家ともに将門潰しが始まる。争いの幕が開いたのだ。
◆クリック、お願いします。 ⇒
◆関連書籍DVDはこちら↓↓
※以下は「風と雲と虹と」(第十三回~第二十四回までのあらすじ)ネタばれ、あらすじの文章はNHKのサイトから引用しました。
◆第十三回 「酷い季節」 伊予に在る純友と螻蛄婆は越智半島の宮崎の浜に海賊の棟梁たちを集合させていた。出自様々な彼らを純友は、腐ったこの国を敵とする者として平等に扱った。そして、「賊であることを誇ろう」と熱く語る純友に、海賊たちは皆心を寄せた。一方小次郎は、成敗した賊の正体が貴族の子弟であったことを知る。小次郎の功名を羨んでいた同僚たちも、安堵感を含んだ冷たい目で小次郎を見ていた。
◆第十四回 「再開」 面を付けた盗賊の事件から、小次郎は海賊追捕使を率いる軍勢に加わらざるを得なくなった。小次郎を慕う貴子もそれを心から悲しんだ。そんな貴子の様子を見た太郎は、抑えきれない嫉妬の念が湧き上がり、貴子を強引に抱き寄せた。最初激しく拒んだ貴子も最終的には、彼を受け入れてしまう。伊予の純友は都からの海賊追捕使を皆殺しにするつもりであった。しかし玄明から小次郎も追捕使に加わっていることが伝えられ、彼だけを生かす方法を探ろうとする。
◆第十五回 「伊予の海霧」 小次郎は伊予へ上陸、純友と再会を果たした。純友は密かに海賊の小屋で、都からきた追捕使を仲間や民人の犠牲無しに、しかも小次郎も無事のまま討ち取る方法を打ち合わせていた。海上の中島で海賊が集結しているという偽の情報を流すと同時に、板島あたりに別の一手が騒ぎを起こしたと、偽の使者によって知らせをもたらし、そこに小次郎と純友だけを向かわせるという算段が決まった。その夜、追捕使たちは霧深い海を中島へ、小次郎と純友は板島へと向かい出発した。
◆第十六回 「恋の訣れ」 中島へと向かった追捕使の軍団は地元で集められた兵士を除き、玄明と海賊たちによって皆殺しにされた。一方、小次郎は板島へ向かう道中で土地の人々が海賊に敬意と親しみを表していることに衝撃を受けていた。海賊の下手が純友の元へ追捕使全滅を知らせる。それが純友にとっては予定通りの結果だったと気付いた小次郎は怒りに打ち震えた。任務を終え、都へ着いた小次郎は、貴子の屋敷へ向った。そこで見たものは、堂々と貴子の寝所へ入って行く太郎の姿であった。
◆第十七回 「曠野の蝶」 小次郎は坂東へ帰った。彼が留守の間、家を守っていた弟・三郎から領地に関して、また怪しい点があるという報告を受ける。真相を確かめようと上総の伯父・良兼のもとへ向かった小次郎は、美しく成長した良兼の娘・良子と再会する。明るく育った伯父の子供たちを見た小次郎には、良兼が悪意のある人間ではないように思えた。その良兼から、小次郎の家の土地は、亡き良将によって源護へ贈られたと聞く。納得のいかない小次郎の様子を見て、良兼は源家へ確かめに行こうと提案する。
◆第十八回 「氏族放逐」 源護の家には、国香、良兼、良正の伯父も集まった。問題の土地の手形には譲状と国府の認可状が付き、いずれも手落ちなく規定の手続きを踏んだものであった。しかし書類の日付は父・良将の死後一年が過ぎ、小次郎が京へ上がってからの日付になっていた。伯父たちの言い訳に納得のいかない小次郎は、土地に詳しい翁を証人に立てようとした。しかし、翁は突然飛んできた矢に胸を射抜かれ「ここはあなたのお家の領地」と言い残し、息絶えてしまう。
◆第十九回 「桔梗の里」 良兼の娘・良子の明るさに好感を抱いていた小次郎は、菅原景行を仲立ちに、結婚を申し込むことにした。良兼は驚くが、礼を尽した頼みに気を良くし、良子をやってもよいと思った。しかし源家出身の妻・詮子は、良子を弟・源扶の嫁にし両家を重縁の仲にしたいという。妻の意に逆らえぬ良兼は、その意を受け入れ、小次郎の申し出を断った。小次郎は断られただけでなく、良子の嫁ぎ先が源扶の所と知り、胸中穏やかでなかった。
◆第二十回 「良子掠奪」 使用人の小春丸から小次郎へ、良子の輿入れの日取りの情報がもたらされた。小次郎は、腹心の郎党・伊和員経とともに源家へ向う良子の列を襲い、良子を豊田の館へ連れ帰った。気まぐれで自分をさらったと思った良子は憤慨していた。しかし、小次郎が正式に結婚の申し出をしたのに良兼が勝手に断っていたことを知った良子は、小次郎の嫁になることを決意する。その日の夜、二人は質素な祝言を挙げ、家族や家人、傀儡の人々や民人たちに祝福された。
◆第二十一回 「欺し討ち」 小次郎の館・豊田への出陣の準備に忙しい良兼の許に、良子からの手紙が届く。娘の幸せそうな文面に決心の揺らぐ良兼であった。病の床についてしまった良兼に代わり、詮子が家を取り仕切る。小次郎の使者として上総を訪れた玄明は、詮子から小次郎自身が源家へ行き、侘びを入れれば事態が収拾すると進言された。小次郎はその言葉を信じ、早速源家へ出かけて行くが、源扶と平国香の軍勢の欺し討ちに遭う。一行は全滅、逃れられたのは小次郎と郎党の二人だけであった。
◆第二十二回 「修羅の旋風」 後詰の三郎軍と合流した小次郎率いる豊田軍は、形勢を逆転させる。劣勢となった源軍は敗走、扶も弟たちと自らの左目を失った。石田の館へ小次郎の軍が押し寄せたときには、源軍に組した国香も背に矢を受け既に死んでいた。国香の郎党・佗田真樹が仇討ちを仕掛けるが、小次郎はそれを制止し、都へ行って太郎に事の次第を伝えるように言う。夜、貴子の部屋で休んでいた太郎のもとに国香討死の知らせが届く。太郎は小次郎が親の仇となったことが信じられなかった。
◆第二十三回 「あだ桜」 太郎は父の死を悲しみつつも、都を離れたくなかった。栄達の道に背を向けて、坂東での争いに巻き込まれるなど真っ平であったのだ。そのうち親を討たれても、坂東へ帰らない太郎を揶揄する歌が流行りだす。藤原忠平はその歌が追捕使に参加させている坂東者の武勇の信頼を失わせるのを恐れ、なかば強引に太郎を坂東へ返すことにした。太郎帰郷の知らせは、小次郎のもとへ玄道によってもたらされた。やはり太郎と戦わなければいけないのかと小次郎は憂鬱であった。
◆第二十四回 「川曲の戦い」 坂東へ帰ってきた太郎は菅原景行に仲立ちになってもらい、小次郎と対面した。今までのことを全て水に流すことにした二人は、また会おうと言い笑顔で別れた。詮子は相変わらず良兼に豊田への挙兵を促し、良兼もとうとう良正とともに兵を挙げることにした。戦は良正と小次郎の一騎打ちで始まった。しかし、刀が折れても向ってくる小次郎の姿に、良正は底知れぬ恐怖を覚え、背を向け逃走した。小次郎は勝った。しかしこの勝利は、次のより大きな戦いへの導火線でしかなかった
■原作:海音寺潮五郎(『平将門』『海と風と虹と』より)
■脚本:福田善之
■音楽:山本直純
■演出:岸田利彦、大原誠、松尾武、榎本一生、重光亨彦
■出演:加藤剛、緒形拳、山口崇、吉永小百合、真野響子、草刈正雄 、吉行和子、他
昨日に続き平将門を主人公とした大河ドラマ「「風と雲と虹と」について書いていきたいと思います。このドラマを観て大きな発見は、昨日も書きましたが吉永小百合の美しさです。それまであまり気にもならなかった彼女の美しさ、このドラマでは絶世の美女の名に値するほどの輝きがあります。その吉永小百合演じる貴子は、加藤剛演じる将門に恋をします。惚れられた将門もまんざらではなく、これはいい関係に発展しそうと物語は展開していくのですが、肝心の将門が優柔不断で彼女へのモーションがイマイチもどかしい。その将門ですが、正義感、使命感が強く腐りきった都の政治に嫌気をさしながらも盗賊退治で一躍ヒーローになります。ところが一転退治した彼等は皇族関係者であったことがわかり立場が悪くなってしまい、奈落へと落ちてしまう…。
将門はほとぼりがさめるまで、西国の海賊退治の役を仰せ遣うことになります。それにより貴子には不安と寂しさがおそいます。そこに山崇演じる将門のいとこにあたるプレイボーイでならす平貞盛が付け込んできます。なんだ?ふざけんじゃないよ、と言いたくなる展開。彼女は貞盛と関係を持ってしまいます。これが女の性?と描かれても、演じる吉永小百合が美しいすぎるため合点がいきません。悲しいです。切ないです。よりによって貞盛の毒牙にやすやすとはまってしまうなんて!貴子、あなたはそれで気持ちが満足するのか。もう、画面に向かって叫んでいました。(これはもう嫉妬の状態です)
四国に渡った将門はそこで藤原純友と再開、都から派遣された海賊退治の追捕使らを一網打尽にする純友の謀略から逃れその身を守ることができる。それは将門に共鳴する純友の計らいでもあったのですが。将門はそれに気づいていたのか、気づいていなかったのか、それはわかりませんが、純友と比較して見ると将門は鈍感な青年に見えてしまい、おそらく気づいていないのだろうなと。このドラマでは純友は頭も切れる反逆児として、頼れる男として魅力的に描かれています。(緒方拳がいい)
将門は京都に戻り貴子のもとを訪ねるのですが、そこで見たのは彼女と貞盛の逢瀬。将門は悲しくなり走り出してしまいます。大地に臥して咽び泣くのですが、涙目の向こうに見えた“土”グッと握りしめ、故郷の坂東の地を思い出し再び立ち上がります。なにか映画の「風と共に去りぬ」のエンディングを想起させるような。スカーレットならぬ「私には坂東がある」なのである。
失意のもと故郷の坂東に帰る将門ですが、環境変われば思いも変わる?新しい意中の人ができます。それはいとこの良子(演じるは真野響子)、そこへいくのかと思わせてくれます。しかし良子には縁談が持ち上がり、またしても失恋ムードに。相手は平家一族と相対する源扶、つまり平家と源家の政略結婚ともいえなくもないのだ。我慢ができなくなった将門はとんでもない行動にでてしまう。良子を略奪して自分のものにしまうのだ。これではまるでダスティ・ホフマンが主演した名作映画「卒業」ではないか。今回の将門はアメリカン映画しているのだ。
でもここからが大変だ。面子を潰された平家、源家ともに将門潰しが始まる。争いの幕が開いたのだ。
◆クリック、お願いします。 ⇒
◆関連書籍DVDはこちら↓↓
NHK大河ドラマ 風と雲と虹と 完全版 第弐集 [DVD]ジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
NHK大河ドラマ 風と雲と虹と 完全版 第三巻 [DVD]ジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
平将門〈上巻〉海音寺 潮五郎彌生書房このアイテムの詳細を見る |
平将門〈中巻〉海音寺 潮五郎彌生書房このアイテムの詳細を見る |
平将門〈下巻〉海音寺 潮五郎彌生書房このアイテムの詳細を見る |
※以下は「風と雲と虹と」(第十三回~第二十四回までのあらすじ)ネタばれ、あらすじの文章はNHKのサイトから引用しました。
◆第十三回 「酷い季節」 伊予に在る純友と螻蛄婆は越智半島の宮崎の浜に海賊の棟梁たちを集合させていた。出自様々な彼らを純友は、腐ったこの国を敵とする者として平等に扱った。そして、「賊であることを誇ろう」と熱く語る純友に、海賊たちは皆心を寄せた。一方小次郎は、成敗した賊の正体が貴族の子弟であったことを知る。小次郎の功名を羨んでいた同僚たちも、安堵感を含んだ冷たい目で小次郎を見ていた。
◆第十四回 「再開」 面を付けた盗賊の事件から、小次郎は海賊追捕使を率いる軍勢に加わらざるを得なくなった。小次郎を慕う貴子もそれを心から悲しんだ。そんな貴子の様子を見た太郎は、抑えきれない嫉妬の念が湧き上がり、貴子を強引に抱き寄せた。最初激しく拒んだ貴子も最終的には、彼を受け入れてしまう。伊予の純友は都からの海賊追捕使を皆殺しにするつもりであった。しかし玄明から小次郎も追捕使に加わっていることが伝えられ、彼だけを生かす方法を探ろうとする。
◆第十五回 「伊予の海霧」 小次郎は伊予へ上陸、純友と再会を果たした。純友は密かに海賊の小屋で、都からきた追捕使を仲間や民人の犠牲無しに、しかも小次郎も無事のまま討ち取る方法を打ち合わせていた。海上の中島で海賊が集結しているという偽の情報を流すと同時に、板島あたりに別の一手が騒ぎを起こしたと、偽の使者によって知らせをもたらし、そこに小次郎と純友だけを向かわせるという算段が決まった。その夜、追捕使たちは霧深い海を中島へ、小次郎と純友は板島へと向かい出発した。
◆第十六回 「恋の訣れ」 中島へと向かった追捕使の軍団は地元で集められた兵士を除き、玄明と海賊たちによって皆殺しにされた。一方、小次郎は板島へ向かう道中で土地の人々が海賊に敬意と親しみを表していることに衝撃を受けていた。海賊の下手が純友の元へ追捕使全滅を知らせる。それが純友にとっては予定通りの結果だったと気付いた小次郎は怒りに打ち震えた。任務を終え、都へ着いた小次郎は、貴子の屋敷へ向った。そこで見たものは、堂々と貴子の寝所へ入って行く太郎の姿であった。
◆第十七回 「曠野の蝶」 小次郎は坂東へ帰った。彼が留守の間、家を守っていた弟・三郎から領地に関して、また怪しい点があるという報告を受ける。真相を確かめようと上総の伯父・良兼のもとへ向かった小次郎は、美しく成長した良兼の娘・良子と再会する。明るく育った伯父の子供たちを見た小次郎には、良兼が悪意のある人間ではないように思えた。その良兼から、小次郎の家の土地は、亡き良将によって源護へ贈られたと聞く。納得のいかない小次郎の様子を見て、良兼は源家へ確かめに行こうと提案する。
◆第十八回 「氏族放逐」 源護の家には、国香、良兼、良正の伯父も集まった。問題の土地の手形には譲状と国府の認可状が付き、いずれも手落ちなく規定の手続きを踏んだものであった。しかし書類の日付は父・良将の死後一年が過ぎ、小次郎が京へ上がってからの日付になっていた。伯父たちの言い訳に納得のいかない小次郎は、土地に詳しい翁を証人に立てようとした。しかし、翁は突然飛んできた矢に胸を射抜かれ「ここはあなたのお家の領地」と言い残し、息絶えてしまう。
◆第十九回 「桔梗の里」 良兼の娘・良子の明るさに好感を抱いていた小次郎は、菅原景行を仲立ちに、結婚を申し込むことにした。良兼は驚くが、礼を尽した頼みに気を良くし、良子をやってもよいと思った。しかし源家出身の妻・詮子は、良子を弟・源扶の嫁にし両家を重縁の仲にしたいという。妻の意に逆らえぬ良兼は、その意を受け入れ、小次郎の申し出を断った。小次郎は断られただけでなく、良子の嫁ぎ先が源扶の所と知り、胸中穏やかでなかった。
◆第二十回 「良子掠奪」 使用人の小春丸から小次郎へ、良子の輿入れの日取りの情報がもたらされた。小次郎は、腹心の郎党・伊和員経とともに源家へ向う良子の列を襲い、良子を豊田の館へ連れ帰った。気まぐれで自分をさらったと思った良子は憤慨していた。しかし、小次郎が正式に結婚の申し出をしたのに良兼が勝手に断っていたことを知った良子は、小次郎の嫁になることを決意する。その日の夜、二人は質素な祝言を挙げ、家族や家人、傀儡の人々や民人たちに祝福された。
◆第二十一回 「欺し討ち」 小次郎の館・豊田への出陣の準備に忙しい良兼の許に、良子からの手紙が届く。娘の幸せそうな文面に決心の揺らぐ良兼であった。病の床についてしまった良兼に代わり、詮子が家を取り仕切る。小次郎の使者として上総を訪れた玄明は、詮子から小次郎自身が源家へ行き、侘びを入れれば事態が収拾すると進言された。小次郎はその言葉を信じ、早速源家へ出かけて行くが、源扶と平国香の軍勢の欺し討ちに遭う。一行は全滅、逃れられたのは小次郎と郎党の二人だけであった。
◆第二十二回 「修羅の旋風」 後詰の三郎軍と合流した小次郎率いる豊田軍は、形勢を逆転させる。劣勢となった源軍は敗走、扶も弟たちと自らの左目を失った。石田の館へ小次郎の軍が押し寄せたときには、源軍に組した国香も背に矢を受け既に死んでいた。国香の郎党・佗田真樹が仇討ちを仕掛けるが、小次郎はそれを制止し、都へ行って太郎に事の次第を伝えるように言う。夜、貴子の部屋で休んでいた太郎のもとに国香討死の知らせが届く。太郎は小次郎が親の仇となったことが信じられなかった。
◆第二十三回 「あだ桜」 太郎は父の死を悲しみつつも、都を離れたくなかった。栄達の道に背を向けて、坂東での争いに巻き込まれるなど真っ平であったのだ。そのうち親を討たれても、坂東へ帰らない太郎を揶揄する歌が流行りだす。藤原忠平はその歌が追捕使に参加させている坂東者の武勇の信頼を失わせるのを恐れ、なかば強引に太郎を坂東へ返すことにした。太郎帰郷の知らせは、小次郎のもとへ玄道によってもたらされた。やはり太郎と戦わなければいけないのかと小次郎は憂鬱であった。
◆第二十四回 「川曲の戦い」 坂東へ帰ってきた太郎は菅原景行に仲立ちになってもらい、小次郎と対面した。今までのことを全て水に流すことにした二人は、また会おうと言い笑顔で別れた。詮子は相変わらず良兼に豊田への挙兵を促し、良兼もとうとう良正とともに兵を挙げることにした。戦は良正と小次郎の一騎打ちで始まった。しかし、刀が折れても向ってくる小次郎の姿に、良正は底知れぬ恐怖を覚え、背を向け逃走した。小次郎は勝った。しかしこの勝利は、次のより大きな戦いへの導火線でしかなかった
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます