飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

怨霊・平将門②・・・「風と雲と虹と」(NHK大河ドラマ))-1-

2009-12-10 | 平将門
■放送:1976年NHK
■原作:海音寺潮五郎(『平将門』『海と風と虹と』より)
■脚本:福田善之
■音楽:山本直純
■演出:岸田利彦、大原誠、松尾武、榎本一生、重光亨彦
■出演:加藤剛、緒形拳、吉永小百合、山口崇 、新珠三千代、宍戸錠、草刈正雄 、他

昨年ぐらいから平将門のことがだんだん気になってきました。理由hわからないけど。無意識のところで、たとえば東京のオフィス街のど真ん中にあり数々の伝説で畏れられている将門の首塚のことが気になっていたのが大きいのかも知れません。あるいは未読ですが荒俣宏の「帝都物語」に出てくるのをどこかで聞き記憶していたのかも市rません。不思議に思うのは、中世に現れ当時の都から遠く離れた関東の地で反乱を起こした人物が、それこそ江戸の守護神として崇められ、千年の時を経てもそれが色褪せず大事にされているのか?何かそこにはあるような気がするのです。

いずれにせよ、平将門のことをもっと知りたいと個人的に思い立ったわけです。で、まずは文字より映像から入ったほうが入りやすいだろうと調べるとNHKで大河ドラマ化されていました。放送された年は1976年、番組のタイトルは「雲と海と虹と」であります。ボクはそんな作品が放送されていたことも全く知りませんでした。幸運にもそれは完全版として全放送作品がDVD化されていました。まずそれを観てみようと。ドラマによって茶の間に好感が持てるよう創られた平将門のイメージが、もしかしたらついてしまうかもしれないけど、彼をより身近いに感じ知るには大河ドラマという長いスパンの作品は好都合だろうと思ったのです。

そのドラマで平将門を演じるのは加藤剛、そして彼に影響を与える人物として藤原純友を緒方拳が演じています。今回記事としてアップしたのは第一話から第十二話までのDVDの3枚分、将門はうぶで純粋、物事に真面目に取り組み、武術にも優れた無骨な金太郎さん的な男として描かれています。だんだんドラマを観ていくと加藤剛のいかにも潔白な顔がだんだんと力強くたのものしく見えてくるから不思議なものです。

将門は、山口崇演じるいとこで女好きの平太郎貞盛の不祥事を被る形で陸奥の国へ、そして父の死で故郷の坂東に戻るも京都へ行くなどダイナミックな動きをします。陸奥へ京都へといいますが、当時は移動だけで大変だったと思います。それを思うと人間とは移動する動物なんだなと感じます。その千年後には、地球の外にも向かうわけですから。

京都行きは、お祭の夜に関係を持った女(演じたのは多岐川由美)にその感触が忘れられず、その女の親、親は相対する領主源護、に官位を取れと命じられ向かうのですが、そこで経験したことは宮廷権力が蔓延る中、理不尽で堕落しきった体制でした。げに凄まじきは宮仕えを体感するわけです。まったくその様子はバカバカしくなるほど形式的で身分による待遇もはっきりしている。将門同じく上京したいとこの貞盛は世渡り上手で献上、賄賂を巧に使い出世を加速させます。一方の将門はそういった配慮、手段に疎くくすぶってしまいます。エネルギーの消化不良をなわけです。

そこに登場する藤原純友は反骨精神を失っていない大人の野心家で、その堂々と振る舞いがたのもしく見えます。また、彼を取り巻く傀儡師達が忍者のようなのですが、ある意味一番人間味があるように見えてきます。彼等はいわば芸能の始まり、大道芸のようなもので、そこで見せる木の実ナナ(役柄は美濃)の踊りは今でいうところのストリップに近いインパクトがあったのかも知れません?

ところでこのドラマを観て大きな発見は嵯峨天皇の曾孫・貴子を演じた吉永小百合がこの世のものと思えないほど綺麗なこと。それまで彼女を美人とは思っていましたが、そんなには魅力的には思っていませんでした。しかしこのドラマの吉永小百合は、びっくりするほどの、まさに絶世の美女の名に相応しい美しさを魅せてくれています。ボクは毎夜このドラマを見ているのですが、彼女を見るのが大きな楽しみの一つくらいです。この時だけはボクもサユリストになってしまいます。

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※以下は「風と雲と虹と」(第一回~第十二回までのあらすじ)ネタばれ、あらすじの文章はNHKのサイトから引用しました。

◆第一回 「将門誕生」 延喜三年(903)坂東。平小次郎将門が誕生した。祝いの宴が開かれ、父・平良将は民人たちと共に焚き火を囲んでいたが、招かれた良将の兄・国香と良兼は、下人どもと同席はできないと怒り、帰ってしまう。それから十一年の時が流れる。良将は陸奥の鎮守府将軍に任命され、胆沢城へ向かった。良将は小次郎に坂東武者としての器量を身につけさせるため、陸奥に連れてゆくことにした。その道程、小次郎が後年宿敵として合間見えることになる若き日の田原藤太と出会う。

◆第二回 「恋あらし」 成人した小次郎は数年ぶりに故郷の地を踏んだ。母や兄弟との再会を喜ぶのも束の間、彼らに管理を任せていた良将の所領が彼らによって横領されているのではとの疑惑を耳にする。その真偽を確かめるため石田の平国香のもとへ向かった小次郎は、国香の子で幼馴染の太郎貞盛と再会、筑波の燿歌に連れて行かれる。そこでは、男女が一夜の自由恋愛を楽しんでいた。小次郎も盗賊・鹿島玄道の暴力から助けた姫と一夜を過ごすが、姫は夜明け前に名も告げず走り去ってしまう。

◆第三回 「矢風」 小次郎と夜を共にした姫は源家の姫・小督で、小次郎と別れた後、太郎貞盛と共に時を過ごしていた。源護の嫡男・扶の一団は妹・小督と太郎との仲を怒り、太郎の領地侵略を名目に帰路につく小次郎と太郎を襲撃した。盗賊の鹿島玄道・玄明の助けで何とか切り抜けたものの、源家と平氏一族との大問題になりかねない。太郎の詭弁により体よく悪者にされた小次郎は仕方なく、伯父・国香の指示とおり源家との調停前に、父のいる陸奥へ帰ることとなった。

◆第四回 「筑波の楓」 春。良将が血を吐いて倒れ、この世を去った。国香の側近・侘田真樹より、良将が陸奥へ赴く前に国香に預けた所領の手形が届けられたが、内容を確認すると足りない領地が有る。将門は国香の館を訪れ、疑問をぶつけるが、答えをはぐらかされてしまう。ある日小次郎は燿歌で出会った姫を見かける。玄明が現れ、その姫が源護の三女・小督であると告げる。夜になり小次郎は屋敷へ忍び込むが、姫の寝所を目前にして源護に見つかってしまう。

◆第五回 「平安の都」 「この恋、わしは不承知じゃ。しかるべき人を仲に立てて申し込んでまいられよ」源護に告げられた小次郎は、国香に子督との結婚の仲立ちを頼む。領地を横領していた国香はこの話がうまくいけば諸事円満に片が付くと、快く引き受ける。しかし、源護はさらに結婚の条件として、しかるべき官位を得ることを挙げてきた。小次郎は官位を得るべく京へ向かう。京では、その後の小次郎の人生に大きな影響を与える、藤原純友との出会いが待っていた。 

◆第六回 「闇の群」 小次郎は小一条院・藤原忠平の御殿へ初めて出仕する。しかし門番に賄賂を渡さねば中へすら入れず、仕事場である待所へ案内されると家人たちは日がな一日と博打をしている。退廃した貴族社会に小次郎は不満を募らせた。ある日待所で、以前は、皇子の館だったという荒れ屋敷のことが話題になった。好奇心が沸いた小次郎が、様子を見に行くと、落ちぶれた生活の影が見られた。恥をかかせてもいけないと声をかけずに帰るが、その姿を壁の穴から二人の女がじっと見ていた。

◆第七回 「女盗有情」 初めてのお役目として主人・藤原忠平の文を届けた帰り道、小次郎は面をかぶった盗賊を見かける。思わず一人を射殺し、その仲間と斬り合いになった。盗賊は傷を負い、その場から逃走。逃げこんだ先は藤原純友の館であった。面をとった盗賊の頭は純友の恋人・武蔵であった。小次郎のもとへ、何者かからの文が投げ込まれる。文の指示に従い出かけると、都外れのあばら家に傀儡たちと藤原純友が待っていた。やがて天下を揺りとどろかす二人の男の出会いである。

◆第八回 「京の姫みこ」 螻蛄婆に案内されたあばら家には、なぜか小一条院の家人仲間・三宅清忠もいた。純友の弁はとうとうと続き、国を救うために「この国を、根こそぎひっくり返してやる」という。驚き、言葉もない小次郎。しかし純友という男に不思議な魅力を感じていた。嵐の翌日。一層荒れ果てた息子の荒れ屋敷へ立ち入った小次郎は、足に怪我を負う。この怪我で屋敷の使用人に世話になり、その縁で小次郎は荒れ屋敷の女主人・貴子姫と出会う。姫は病の床についていた。

◆第九回 「火雷天神」 小次郎は貴子とともに、火雷天神へ病気平癒のお礼参りに行くことになった。奥の社へと案内され、貴子は巫女から宣託を受ける。「その道は東男の子の開かん道ぞ。まっしぐらに乙女よ行け」その言葉に貴子は喜ぶのであった。除目の季節がやってきた。如才なく手をまわした太郎は、左衛門府の少志に任じられたが、貴族たちへの進物もそこそこに貴子の屋敷を修復していた小次郎は、官位を得られなかった。その夜、小次郎が貴子の家で酒を飲んでいると太郎が訪ねてくる。

◆第十回 「純友西へ」 藤原仲平の屋敷に、純友が呼ばれた。無位無官の彼を、生まれ育った伊予国の掾に任命し、都の追捕使とともに海賊討伐をしてほしいという。純友は伊予行きを承知するが、一方で海賊たちが元をただせば貴族の荘を追われた民人であるということも知っていた。その頃、小次郎は、女好きの太郎が貴子の屋敷へまめに通い、贈り物もしているということを聞く。貴子への太郎の接近に不安を感じる小次郎であった。

◆第十一回 「餓狼の頭目」 純友は伊予へ向った。途中淡路島を縄張りとする海賊団の首領・藤原恒利と親交を結び、一方で海賊退治をしている山陰道の巡見使・藤原子高とも面会した。子高の、船乗りや漁師たちを、海賊の名のもとに日に何人と決めて、斬ってゆく手口に、純友は激しい怒りを感じていた。そのころ京では、小次郎と三宅清忠が大学寮の学生から腐敗しきった貴族社会をたおすための決起に同心してほしいと頼まれる。二人は加担を断ったが、学生らは後日捕らえられる。

◆第十二回 「剣の舞」 京に再び除目の季節がやって来た。小次郎も従八位上、右兵衛府の少志となった。右京一帯の警備に当たっていた小次郎が、巡邏を終えて待所に戻ってくると多数の面をつけた盗賊が左京に出没したという知らせが入る。なかなか出動しない上司・同僚を置き、小次郎は一人飛び出していった。次々と退治して盗賊の面をはぐとその下から現れた顔は餓えて凶暴な賊のものではなかった。むしろ氏素性の正しさを思わせる顔立ちであった。
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