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■製作年:1974年
■監督:ブライアン・デ・パルマ
■出演:ポール・ウィリアムス、ウィリアム・フィンレイ、ジェシカ・ハーパー、他
ブライアン・デ・パルマ監督の「ファントム・オブ・パラダイス」はカルト映画として名高い作品で、ある意味で監督の一連の映画の中で一番はちゃけた作品であり、ユニークであり面白さもずば抜けているものと言えそうです。よく言われる「オペラの怪人」や「ファウスト」から題材をとってきていることを全く知らなくても、まるで一つのコミックを見ているようにその世界にのめり込んでいくことができます。映像的にも随所にデ・パルマ調のテイストのみならず様々な所で実験的な手法を懲らしているのですが、それを今見てもそれは陳腐化しておらず十分受け入れられるものでありむしろ画面にメリハリを与えていて映画を引き立てています。
私がまず一番気になったのはウィリアム・フィンレイの怪優ぶりです。人見知りがちで思い込みが激しく自分独自の世界の住人でもあり、それによりどこか異常性までも感じさせてしまう変人(?)を存在自体から含めて見事に演じきっています。特に仮面の向こうに見える目玉の演技!凄い!!この怪演ぶりは「悪魔のシスター」で狂気を孕んだドクターを演じて見せたことでも伺うことができるのですが、この「ファントム・オブ・パラダイス」は彼の存在なくしてここまで伝説の作品になりえたでしょうか?それほどオーラの出た存在感を見せてくれます。一方、悪魔に魂を売ったロック帝王スワンを演じているポール・ウィリアムスも独特の味わいをだしています。ポール・ウィリアムスはミュージシャンとして著名な方らしいのですが、私は知りませんでした。そのとっちゃん坊やの風貌が怪しく、背の高いウィリアム・フィンレイとのアンバランスが画面に異様さを醸し出していましたし、悪魔に魂を売った男として見ても違和感はありませんでした。
この「ファントム・オブ・パラダイス」は一部に熱狂的なファンを持っていて、映画評論家でイラストレーター、漫画家の三留まゆみさんなどは棺桶にまで持って行きたい映画と発言しているのは(洋泉社から出ている「ブライアン・デ・パルマ」による)、おどろきです。昔はビデオなどなく、自宅で何度も映画を見直すということができなかったので、気に入った映画を何度も見て自分のものにしたい!と思えば「ぴあ」などで名画座のスケジュールを確認し足繁く映画館に通い、併映しているどうでもいい映画も同時にがまんして見ながらお目当ての映画を長時間に渡りそこの椅子に座りながら見るということをしなくてはなりませんでした(私にも同じような経験があります。思うに得てしてそうしたくなる作品はいわゆる名作と呼ばれるものではなくカルトな魅力に充ちた作品のような気がますが…)。三留まゆみさんなどもその口でこの「ファントム・オブ・パラダイス」を見ていたようです。そこまでのめり込ませるのはブライアン・デ・パルマ監督は素晴らしい!
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