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■製作年:1978年
■監督:ブライアン・デ・パルマ
■出演:カーク・ダグラス、ジョン・カサヴェテス、エイミー・アーヴィング、他
ブライアン・デ・パルマ監督の「フューリー」のラストはもう笑うしかないというか、壮絶なる結末を向かえます。私のベスト映画の一つ「グロリア」を作ったニューヨーク派と表される映画監督ジョン・カサベテスが演じる秘密諜報部員が、超能力によってその肉体を爆発させられてしまうからです。飛び散る肉片と生首。ドヒャーという感じなのですが、まだこの映画が作られたころはCGなどない時代なので特殊効果技術による映像、ですから生々しいリアリティは今の映像と比較するとそんなにはありません。時代を経てチープ感させ漂う肉体爆発映像なのですが、その結末の持って行き方がすごいとしか言いようがありません。もし、公開当時(私は高校生)に映画館で見たならば、若さも相俟ってビックリしただろうし、何らかの影響を受けていたかもしれません。ちなみに、超能力による頭部爆発映像が話題になり一躍スター監督となったデイヴィッド・クローネンバーグ監督の映画「スキャナーズ」が作られたのがこの「フューリー」の3年後なので、いかにデ・パルマ監督の感性が先行していたかが伺いしれるというものです。
この「フューリー」は他の作品と同様にスローモーション、カメラの長回しといったデ・パルマ調の映像は全開で、ドライでカラッとした印象のSF映画となっているのですが、一抹のやるせなさがあるのは、超能力を持った息子を救出すべくアジトに入り、変わり果てた息子の姿を見た父親の気持ちを考えてしまうからだろう。父親は息子を救う一心です。しかし当の息子は超能力が肥大した化け物と化してしまい最早父親と認識できず逆に倒しにかかってきます。なんとむごい関係かと。息子は転落死し、父親も後を追うように自殺してしまいます。そこには親子の情愛は失せてしまい、超能力を軍事的に利用しようとする情報諜報部の冷酷さしかありません。呆気なく自殺する父親を演じるのは変装するために靴墨まで頭に塗って熱演したカーク・ダグラスです。超能力を持ったヒロインを演じたのは水着姿も披露した(細身の欧米人らしくない体型)エイミー・アービング、「キャリー」に続くデ・パルマ監督作品の出演となっています。
ドライの中にちょっとだけ情愛を刺激する部分があるのが余韻を残す秘訣?なんでしょうか?当時のキネマ旬報では以下のように評されています。《映画「フューリー」の成功は、ともすれば父親と親子の心理的葛藤、中年の恋人たちの愛の交わりと喪失、といった内面的なドラマが色濃く漂ってきそうなストーリーを、思い切りよくアクションとサスペンスの面だけに引きつけて書き通したそのフンギリの良さによるものである。》(※キネマ旬報1978年10月上旬号所収・亀和田武から引用)確かにアクションとサスペンスが目立つもやはり息子の父親への情愛が消えてしまっているのは切ないですが、私は…。
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