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映画「キャリー」・・・<恍惚の視線>デ・パルマ監督NO.3

2013-07-31 | ブライアン・デ・パルマ

■製作年:1976年
■監督:ブライアン・デ・パルマ
■出演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ナンシー・アレン、ジョン・トラボルタ、他

 

ブライアン・デ・パルマ監督の出世作である「キャリー」 にまだブレイクする前のジョン・トラボルタが出演しています。トラボルタは当時の監督の妻であったナンシー・アレンとは「ミッドナイト・クロス」でも共演することになります。この映画でのトラボルタは悪ガキの役で、キャリーに豚の血を浴びせるための準備をするどちらかというとちょい役での出演です。一方のナンシー・アレンですが、そのトラボルタを唆す反抗的な女学生の役、とても高校生には見えないんですが。彼女はとびきりの美人ではないものの私は好きなタイプですね。それは同じくデ・パルマ監督の「殺しのドレス」にも出演しており、さきの「ミッドナイト・クロス」同様、映画に痺れると同時にヒロインにも好感を持ったのかもしれません。また、私自身ちょっとやんちゃな感じの女の子を好む傾向にあり、ナンシー・アレンはそうした系列に位置している女性に感じています。

さて、映画のほうですが「キャリー」はホラー映画の系譜に連なっている作品ですが、久しぶりに見た印象は教育映画ではないか、という感想を持ったのでした。ホラーとして見ても怖くはない。むしろ牧歌的な部分さえある。それよりもキャリーという女の子を集団でいじめるその雰囲気、体質のほうが怖いと感じるのです。「キャリー」は現代の日本でもおおきな問題の一つである<いじめ>をテーマにした作品でありました。徹底的にキャリーをいじめ馬鹿にする集団。しかしそんな非人間的なことをしていると、やがて自分に返ってくるのだということをこの映画はストレートに描いていたと思います。人間としての尊厳を無視したことによって生じる怒りとは最悪死にまで至らしめるくらい怖いんだよ、という教育的な要素を私は感じとったのでした。キャリーは親からもひどい仕打ちを受けて育ったかわいそうな女の子で、この親がまず元凶ではないかという程にいかれた母親なのでしたが、それも最後には自業自得で業火の火に焼かれてしまうわけですが、どんなにひどい仕打ちを受けても親は親、母親を求める愛情から身を破滅させてしまうキャリーが愛おしく感じてしまいました。また、ホントの最後に腕が墓から飛び出てくるギョッとさせる場面があるのですが、これも自分がしでかしたことへの罪による幻想からくるものと思えば、いじめはやっぱりいけませんよというメッセージを暗示的に孕んだ映像と言えるのです。

 

映像的にはブライアン・デ・パルマ監督の特徴であるスローモーションや画面分割、あるいは私が絶賛する「ミッドナイト・クロス」感動的な花火のシーンを想起させる回転する風景や人物の映像などが多用されています。それは私流に言えば映像のエクスタシーであり陶酔感を持った映像表現となるのでした。また、一方で冒頭からシャワー・シーンで始まり、その心地よさから酔いしれているかと思えば、遅い初潮が始まるという、大胆な展開でその後も、デ・パルマ監督の特徴である下世話な展開も全開であると言えるのでした。そのチープさこそブライアン・デ・パルマ監督の真骨頂ではないかと思います。

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20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント

 

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