
■製作年:1956年/大映
■監督:市川崑
■出演:淡路千景、山本富士子、若尾文子、品川隆二、他
泉鏡花の名作「日本橋」を映画化した作品でボクが生まれた昭和36年の4年前、昭和32年に公開されたものです。古いけどカラーの作品で、監督は名匠の誉れも高い市川崑監督。
映画を見て、清葉という清楚な芸者の役で山本富士子が登場したとき、最初、彼女が主役かなと思いました。苦学して医学部に勤務する葛木晋三の行方知らずの姉に生き写し、彼がその想いを告白する場面があったからです。流れの中で彼女は理想の女、そんな雰囲気を醸し出していたからです。しかし、その予想は外れて、幾分、いや結構癖のあるといってもいい勝ち気な芸者・お孝(=淡路千景)が主役でありました。
お孝は真逆な性格の清葉にライバル心、敵意のようなものを抱き、彼女に言い寄り振られた男に近づき、男と女の関係になってしまうのです。それも一人や二人でないようで、彼女の行動自体かなり皮肉れていると見えてしまうのですが、体を張って生きる女の社会、そうしたひねくれて気の強い女性もいたんでしょうね。お孝はいろいろな面で想いが強すぎる女性なのです。
それは葛木が彼女のもとから去って行ったとき、そのまま気がふれてしまったことや、赤熊と呼ばれている浮浪者に身を落とした五十嵐伝吾という男に執拗に言い寄られることなどに象徴されています。その想いの強さが適度に相手に伝わらずかえって逆効果になったり、思いもよらぬ結果を引き込んでしまうのです。それはある意味、自己責任、鏡の法則ではないですが自分に大きな要因があるように見えます。
お孝は、その気丈さから赤熊に刃物で殺されそうになった時、逆に開き直り背中を見せて惚れた男の名前を彫りながら殺せとたんかを切る希代のカッコよさを見せるのですが、気持ちがハイな分だけその赤熊から刃物を奪い取って殺してしまいます。そこにはどういった心理が働いていたのでしょう。最後は自ら硝酸を飲み自害して落し前をつけてしまう悲劇的な女性なのです。彼女の想いの強さがそうさせた、先にも書いたようにその悲劇性は彼女自身から由来しているといえましょう。
それに比べ、当時では相当なインテリになるであろう葛木の優柔不断さであります。本当は姉の面影を残す清葉に本心があろうものの、お孝の色仕掛けの誘いにすぐに乗ってしまう。結局、想いの強いお孝を間接的に死に追いやったのは葛木とも言えなくもない。極端な優しさと真面目さ、それは時に厄介なもので、間接的に人を不幸にさせる?そこはしっかり見極めて行動すべき、そんなことを教えられたような葛木の行動でありました。
余談ですが、若尾文子がまだ若く、おぼこい女の役を演じていたのには驚きました。
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■監督:市川崑
■出演:淡路千景、山本富士子、若尾文子、品川隆二、他
泉鏡花の名作「日本橋」を映画化した作品でボクが生まれた昭和36年の4年前、昭和32年に公開されたものです。古いけどカラーの作品で、監督は名匠の誉れも高い市川崑監督。
映画を見て、清葉という清楚な芸者の役で山本富士子が登場したとき、最初、彼女が主役かなと思いました。苦学して医学部に勤務する葛木晋三の行方知らずの姉に生き写し、彼がその想いを告白する場面があったからです。流れの中で彼女は理想の女、そんな雰囲気を醸し出していたからです。しかし、その予想は外れて、幾分、いや結構癖のあるといってもいい勝ち気な芸者・お孝(=淡路千景)が主役でありました。
お孝は真逆な性格の清葉にライバル心、敵意のようなものを抱き、彼女に言い寄り振られた男に近づき、男と女の関係になってしまうのです。それも一人や二人でないようで、彼女の行動自体かなり皮肉れていると見えてしまうのですが、体を張って生きる女の社会、そうしたひねくれて気の強い女性もいたんでしょうね。お孝はいろいろな面で想いが強すぎる女性なのです。
それは葛木が彼女のもとから去って行ったとき、そのまま気がふれてしまったことや、赤熊と呼ばれている浮浪者に身を落とした五十嵐伝吾という男に執拗に言い寄られることなどに象徴されています。その想いの強さが適度に相手に伝わらずかえって逆効果になったり、思いもよらぬ結果を引き込んでしまうのです。それはある意味、自己責任、鏡の法則ではないですが自分に大きな要因があるように見えます。
お孝は、その気丈さから赤熊に刃物で殺されそうになった時、逆に開き直り背中を見せて惚れた男の名前を彫りながら殺せとたんかを切る希代のカッコよさを見せるのですが、気持ちがハイな分だけその赤熊から刃物を奪い取って殺してしまいます。そこにはどういった心理が働いていたのでしょう。最後は自ら硝酸を飲み自害して落し前をつけてしまう悲劇的な女性なのです。彼女の想いの強さがそうさせた、先にも書いたようにその悲劇性は彼女自身から由来しているといえましょう。
それに比べ、当時では相当なインテリになるであろう葛木の優柔不断さであります。本当は姉の面影を残す清葉に本心があろうものの、お孝の色仕掛けの誘いにすぐに乗ってしまう。結局、想いの強いお孝を間接的に死に追いやったのは葛木とも言えなくもない。極端な優しさと真面目さ、それは時に厄介なもので、間接的に人を不幸にさせる?そこはしっかり見極めて行動すべき、そんなことを教えられたような葛木の行動でありました。
余談ですが、若尾文子がまだ若く、おぼこい女の役を演じていたのには驚きました。
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