2018.04.06 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』鑑賞@HTC有楽町
見たのはもう半年以上前。その頃何本か見た映画が重なって、感想書くのが後回しになってた。どんどん後回しになり、一度は感想書くのは諦めたのだけど、せっかく見たのだし軽いメモ的な感想をアップしておこうと考えたわけです😌
ややネタバレあり
何故これを見に行こうと思ったのか忘れてしまったけど、確かこの不思議なタイトルに惹かれたのと、評判が良かったからだと思う。
見る前から不条理な映画っぽいなと思っていたので、見ている間もなるほどねと思っていたし、見終わった感想も思った通り後味が悪いなというものだった。始まった瞬間から後味がよさそうな雰囲気は一切なかったし、そもそも『ロブスター』の監督だし😅
話としては酔っぱらった状態のまま執刀し、患者を死なせてしまった外科医スティーブン(コリン・ファレル)が、その息子マーティン(バリー・コーガン)に復讐される話。ただし、彼の復讐はスティーブン本人だけでなく、その妻アナ(ニコール・キッドマン)や子供たちをも巻き込むものであるというのが後味の悪さの原因。まぁ結果的にそれが一番外科医を苦しめることになるわけだけど。
ただ、一筋縄ではいかないのは、そこにオカルト的な不可思議な要素が入って来ること。例えばマーティンが思春期の娘に近づき、彼女がマーティンに対して性的に興味津々であることは十分復讐になりうるし、それは患者のマーティンが直接やっていることなので見ている側としては腑に落ちるわけです。でも、外科医の幼い息子の具合がどんどん悪くなってしまい、次第に寝たきりになってしまうことについては、全く説明がつかない。もちろん映画に描かれているのだからマーティンと因果関係がないわけはないのだけど、彼がどうやって息子や娘を昏睡状態にまでしてしまうのかが分からない💦
どうやら呪いとかそういうことらしいのだけど、その辺りもハッキリしない。ただただこの患者の息子の得体の知れなさが不気味。この感じをジワジワと味わう映画なのだと思う。なので、そういうのが好きじゃない人には合わないかもしれない。
全く知らずに見に行っていたのだけど、どうやらWikipeidaによるとサイコホラーらしい。そういわれれば、例えば姉弟が入院する病院の建物内の不安な感じとかホラー的な演出が多々ある。子供たちの病状がどんどん悪化してしまうので、アナが次第に追い詰められていくのもホラーテイストではある。このアナの感じも見ていて怖い。
配役が絶妙で、コリン・ファレルは酔ったまま執刀して失敗してしまいそうだし、その件を隠蔽しようとしそうな気もする。って失礼か。ニコール・キッドマンは美しく完璧な妻だからこそ狂気を帯びていく感じが似合う。そして、なんといってもバリー・コーガンが不気味。ホメてます! 最初はまるでスティーブンを慕うかのように近づいてきて、だんだん家族の中に入り込んでくる感じ。ジワジワ怖くて嫌な感じ。
ラストはとんでもないことになってしまう😣 なぜそうなってしまうのかと思うけれど、でもそうせざるを得ない状況に追い込まれていく。なので衝撃の結末ではあるのだけど、あまりの展開に驚愕という感じとも違う。ジワジワと追い詰められて、究極の状態に追い込まれた結果。しかし、家族に罪はないのに😢
ヨルゴス・ランティモス監督作品は『籠の中の乙女』『ロブスター』を見ているけれど、不条理でどんよりしたストーリーや性的描写など独特な雰囲気。今作にしてもホラー映画ということだけど、ミステリーっぽくもある。『ロブスター』なんてめちゃくちゃな設定なのに、どこかで現実的なものに引き付けようと見てしまう。自分が勝手にやっていることかもしれないけれど、他のホラーを見ている時はそんなことはないので、監督の持ち味なんだと思うけれど違うかな? とにかく3作の中では今作が一番好き。
ということで、当然ながら既に上映終了しているし、DVDもとっくにレンタルされているんじゃないかな? 今更オススメするのもなんだけど、不条理感を味わいたかったら是非是非!
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