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【cinema】『ねことじいちゃん』

2019-03-01 00:36:07 | cinema

2019.02.23 『ねんことじいちゃん』鑑賞@ヒューマントラストシネマ有楽町

 

試写会はあったのかな? 見かけた覚えがない。猫好きとしては絶対見なきゃってことで公開翌日見に行ってきた~


ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「小さな島で暮らす大吉は、数年前に妻を亡くし今は猫のタマと1人と1匹の暮らし。毎日一緒に散歩するのが日課。島の人々との穏やかな暮らし。ある日、美智子という若い女性がカフェを開き、島に新風を吹き込む。」あらすじを書こうとするとこんな感じかな。ちょこちょこエピソードはあるものの、特に大きな事件もなく日常が綴られる。ベタだけどホッコリする。そして、ほぼ全編どこかに猫が登場! さすが岩合光昭監督だけに、どの猫も自然。猫好きとしてはとっても楽しめた。

 

猫といえばの動物写真家岩合光昭初監督作品。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ一家と世界のかわいいコたち』(感想はコチラ)は監督作品ではないということなのね。原作はイラストレーターねこまきの同名漫画。漫画は未読。毎度のWikipediaは漫画メインで、その中に映画の項目があるけど、簡単な説明とキャストの記載があるくらい。なので抜粋は割愛😌

 

特にストーリーがあるわけではなく、日常の中にちょこちょことエピソードが入ってくる形。主人公の妻役で田中裕子が出演しているけれど、既に亡くなっている設定なので回想シーンのみの登場。そんな感じなので、書いてみないと分からないけど全体的にザックリした感じになるかも? 毎度どうでもいいと思うけれど、一応断り書きとして書いておく😌

 

冒頭、老人が目を覚ますと胸の上に猫。この猫目線で老人が自分の飼い主大吉(立川志の輔)であることなどが語られるので、この感じで続くのかと思ったら「・・・と思ってるんじゃないのか?」と愛猫タマ(ベーコン)に話しかける。説明があったのに聞き逃したのかもしれないけれど、郵便配達の内村聡(葉山奨之)が先生と呼んでいるので、大吉さんは学校の先生だったらしい。数年前に妻よしえ(田中裕子)に先立たれ、平屋の小さな家で1人と1匹つつましく暮らしている。きちんと片付いた部屋で、自炊もしている。子猫(玉三郎)の頃、よしえさん拾われたタマと2人で散歩に出かけるのが日課。のんびりした暮らし。

 

タマは大吉さんを置いて猫の集会に出たり、片思い中の三毛猫ミーちゃんに会いに行ったりする。島では猫たちが気ままにくらしているらしい。ちなみにミーちゃんの飼い主はサチ(銀粉蝶)さん。大吉さんの親友巌(小林薫)さんは、サチさんのことを思っている様子。この2人の他にいつもケンカばかりしている2人のおばあさんトメさんとたみこさん。公式サイトにもWikipediaにも記載がないので、役者さんの名前が分からない。お2人ともなんとなく素人さんのような感じだったのだけど違うのかな? 素人さんにしては出演シーンにボリュームがあるし、棒読み芝居というわけはないのだけど、自然な演技というのとは違う素朴さ。

 

この他に医者の若村健太郎(柄本佑)先生と、前述の聡、そして東京(だったかな?)から移住してカフェを開く美智子(柴咲コウ)さんが主な登場人物。あと島に残る男子高生と、東京の大学に進学する女子高生のカップルのエピソードがちょこちょこ差し込まれる。高齢化問題だけでなく、過疎化問題などもチラリとにじませているのかなと思うけれど、とってつけたような印象だったので、この2人のエピソードは不要だったかも🤔

 

大吉さんは妻の味を再現したいと思うけれどなかなか上手くいかない。美智子さんからレシピが残っているといいのにと言われ探してみると、タマが見つけてくれるという王道パターン。妻のイラスト入りのレシピノートはなんと4ページで終了。美智子さんの提案で、レシピノートを引き継ぐことにした大吉さんは、サチさんらと共に美智子さんから料理を教えてもらうことになる。そんなこともあり、美智子さんのカフェが皆の新しい集いの場になったりする。

 

前述のケンカばかりの2人は「早く死んじゃえばいい!」などとビックリ発言も飛び出すけれど、ぽっちゃり体型のトメさんは口の悪いたみこさんを心配している。たみこさんは映画などに良く出て来る典型的な素直になれない人。いわゆる頑固ばあさん。たみこさんが引きこもってしまい、トメさんを初めとした人々を心配させ、トメさんが「あんたがいなくなったら誰とケンカすればいいの」という感動セリフを言ったりするのは王道ながらホロリとする。

 

大吉さんには東京で暮らす剛(山中崇)という一人息子がいる。剛には妻と高校生の娘がいるけれど、妻は最近料理教室だったか、食べ物屋さんだったかを立ち上げ忙しく、娘も学校生活が楽しくあまりかまってもらえないらしい。義母であり祖母であるよしえさんの三回忌に、この妻と娘が来ないのは登場人物を省くためかもしれないけれど、三回忌って無くなった翌々年だよね? いくらなんでも2年後の法要に出ないって非常識ではと思ってしまったり😅

 

大吉さんの親友巌さんとサチさんは若い頃恋人同士もしくは恋人未満的な感じだったのかな? 詳しい説明がないので巌さんが結婚したことがあるのか不明だけど、サチさんは結婚したことがあるらしい。とにかく現在2人は独身。夜道をサチさんを送って行く途中、若い頃巌さんがダンスホールに連れて行くと約束してくれたことを話す。どうやら実現しなかったようだけれど、サチさんはとてもうれしかったと語る。サチさんの結婚生活がどんな感じだったのか不明なので、その間ずっと巌さんを思っていたわけではないのかもしれないけれど、少なくなくとも今現在は巌さんのことを思っている様子。巌さんについては早い段階からサチさんを思っている描写が入っている。

 

えーと。聡からの依頼だったかな? とにかく島全体で楽しめる企画を考えてほしいということで、美智子さんがいつものメンバーに相談する。若先生の盆踊りなどボツが続く中、巌さんが提案したのはダンスホール。もちろんサチさんを喜ばせたいから。盆踊りと何が違うのかという若先生のボヤきもあるものの、この案が採用される。サチさんのミラーボールはある?の問いに、借りられますよと笑顔で返す美智子さん。島はこの企画に向けて動き出す。トメさんは引きこもっているたみこさんに声をかけるけど、キッパリ断られてしまう。この掛け合いは良いアクセントになっている。

 

"秋のロマンティックダンスホール"と銘打ったダンスホールが開かれた。島の老若男女が集う。あの高校生カップルもやって来る。大吉さんは美智子さんと一緒に握った3種類のおにぎりで参加。巌さんはサチさんをダンスに誘う。2人楽しそう。そしてなんとたみこさんも着飾ってやって来る。トメさんは喜んで2人で踊る。ベタな展開ではあるけど楽しいシーンだし、"秋のロマンティックダンスホール"というネーミングが素晴らしい

 

ダンスホール会場の外、美智子さんが佇んでいると若先生がやって来る。ビールを勧めるとタバコを吸いたくなっちゃうからと断る。美智子さんは禁煙中ということなのかな? ナチュラルな美しさと優しさで島に馴染み、いつの間にか大吉さんたちに頼られている美智子さんだけど、都会でいろいろあったのかもと思ったりする。一方の若先生は以前は大きな病院に勤めていたものの、前任者の引き継ぎで赴任。でも、この島では自分がなりたかった医者になれたと語る。若先生は美智子さんに一目惚れしているし、この2人はいずれ結婚するかもしれないと思いつつ、映画の中ではこれ以上進展しない。

 

そんな中、サチさんの訃報が入ってくる。飼い猫であるミーをどうするかという話になり、大吉さんは巌さんが適任だと言う。巌さんは猫嫌いを公言しているけれど、何故か猫に好かれる。そしてやはり、巌さんとサチさんの気持ちを察していたからだと思う。でも、巌さんはそれはできないと言う。後に巌さん宅で大吉さんとお刺身を食べるシーンがあって、庭に猫たちが集まって来る。巌さんは出て行けと憎まれ口をききながらお刺身をあげる。そしてポツリと言う。残されるのは辛い。ミーちゃんがまた自分に置いていかれるのは辛いだろうということらしい。結局みんなで見守ることになったのかな? とにかくミーちゃんはサチさんの家の前に戻ってきてしまう。タマは優しくミーちゃんに寄り添う。ホッコリするシーンだけど、結局野良猫になるのはミーちゃんにとって幸せなんだろうか?🤔

 

もっと前の時点でたみこさんが引きこもるキッカケになってしまったのも猫だった。引きこもりがちになってしまったたみこさんを心配した若先生が、子猫による猫セラピーを思いついた。でも、自分の健康状態に心配があるたみこさんは猫なんて飼わない!と強硬に反対。彼女の真意が分からない、もしくは分かっていても心配だからかトメさんたちが飼え飼え言うものだから余計に頑なになってしまったのだった。これは若先生ダメでしょう。本人に許可も取らずにやっちゃダメだし、子猫にとってもかわいそう😢

 

結局、美智子さんのカフェで引き取ることになり、みんなの猫にしようということになる。この島では基本家猫という考え方ではないようで、タマも外に出ている。都会と違って虐待や交通事故の心配は少なそうだけど、避妊をしないと増え続けてしまうし、猫どうしケンカして病気になったりもする。その辺り少しモヤモヤしないでもなかった。とはいえ、やはり自然の中でのんびり過ごす猫たちの姿に癒されるし、本来はこれが猫の姿なのかもしれないと思ったりもする。難しい😣

 

ある日、大吉さんは激しい胸の痛みを感じる。このシーンはなかなか緊迫感があった。タマを閉じ込めないように、いつも戸を開けておいてとよしえさんから言われことを思い出し、必死に戸に向かうけれど倒れてしまう。たまたま訪ねてきた美智子に発見される。駆けつけた剛に若先生は心臓に特に異常は見られないが、念のため精密検査を受けた方がいいと紹介状を書いてくれる。検査の様子は描かれないが、後に異常はなかったとのセリフがあるので大丈夫だったのでしょう。

 

これを機に剛は東京で一緒に暮らそうと言う。次に来る時には返事を聞かせてほしいというけど、個人的に剛の妻子のことが気になった。よしえの三回忌にも来ない妻子が果たして大吉さんとの同居を快く承知するのだろうか? まぁ、きっと島での暮らしを選ぶのだろうから、そこまで深読みしなくてもいいのでしょうけれど😅

 

病院から戻った翌朝、目覚めるとタマがいない。心当たりを探し回り、島の人々にも聞いて回るがどこにもいない。3日経っても帰って来ない。ここまでホッコリさせていたのに、まさかタマが帰ってこない、もしくは死んでしまったという展開?と心配になった頃、大吉さんが家に帰って来ると玄関にお魚が置いてある。もしや?! そうタマが帰ってきたのだった。これはタマが大吉さんに元気になってもらおうとお魚を運んできたってことなのかな。原作通りなのかもしれないけれど、ホッコリ映画はどこまでもホッコリ🤗

 

大吉さんとタマに日常が戻る。目を覚ますと胸の上にタマが乗っており、いそいそと朝ごはんの支度をして食卓に運ぶと、タマが机にちょこんと両手を添えて参加する。そして2人で散歩に出かける。トメさんとたみこさんは相変わらずたまこさん宅のドア越しにケンカ。猫たちものんびり。

 

大吉さんの返事を聞きに来た剛に、やっぱり自分はこの島に残ると言う。ここでタマと暮らしたい。自分はまだ剛世代だから、大吉さんが心配で自分の目の届く所にという気持ちは分かる。医療設備にしたって東京の方がいいに決まっている。でも、気を使って慣れない生活をして数年寿命を延ばすより、自分らしく暮らした方がいいと年を取ったら思うのかもしれない。その気持ちも理解できる。ただ、大吉さんは周りの人々に恵まれているので、全ての島や過疎化した土地に当てはまるかというと難しいけれど🤔

 

テーブルに置かれた2冊めのレシピノートが映り、タマと散歩するシーンで終了。前述したように思うところはあるけれど、良い終わりだと思う😌

 

キャストは若干素人っぽい人もいたし、やや過剰演技と思われる節もなくはなかったけど皆良かったと思う。サチの銀粉蝶は年を重ねてもかわいらしいサチさんを嫌味なく演じていたし、小林薫は頑固で照れ屋な巌さんの繊細で優しい面も感じさせていた。若先生の柄本佑はボケ担当的な役どころでもあって、その辺りやや大げさな気もしなくもないけど、美智子さんに夢を語るシーンは良かったと思う。大河ドラマでの演技が苦手だった柴咲コウも良かったと思う。美智子さんによって島が回っていく感じが伝わって来た😌

 

妻よしえの田中裕子がわずかな登場シーンながら印象を残す。大吉さんとの穏やかな日々が感じられて、大吉さんがその思い出を大切にしていることが、よしえさんの存在を通して伝わる。大吉さんの立川志の輔が良かった。立ち居振る舞いというか、タマとの2人芝居などはやや落語的な過剰演技が感じられなくもないけれど、全体的にホッコリした雰囲気なのは、大吉さんの穏やかさにもあると思うので、そういう意味でとても良かった。そして、気負うことなく話を引っ張っていたと思う。

 

そして! 100匹の猫たちの中から選ばれたタマ役のベーコンがカワイイ😍 どっしりとした猫でホントに大吉さんと一緒に暮らしているみたい。タマにしか見えない名演技。志の輔師匠と一緒に歩いてオーディションしたそうで、じゃれたり他の所に行ってしまう子たちの中、ベーコンだけは志の輔師匠とペースを合わせて歩いたんだとか。その瞬間岩合監督がタマだ!と叫んだのだそう。こういうどっしりとした猫ちゃん岩合さん大好きなんだよね😀

 

ロケ地は愛知県の佐久島で行われたそうで、ここは猫の島として有名なのだとか。実は岩合監督も以前撮影で訪れたことがあるのだそう。「世界ネコ歩き」かな? この島の雰囲気がとっても素敵だった。のんびりとしていて。大吉さんの家は島の方のお家を借りたのかな? 生活感の溢れるお家だった。とはいえ、美智子さんのカフェにはIKEAの人気照明がついてたりしてセットも凝ってた。飯島奈美さんのお料理もおいしそう😋


☝コレ(IKEA KNAPPA)

 

エンドクレジットでは役者さんよりも多く猫たちがクレジットされていてい笑いが起きていた。オーディションで選ばれた猫たちに交じって、島でおばあさんと散歩していた猫もスカウトされて登場しているらしい。とにかくみんな自然でホッコリさせくれる。

 

猫が重要なテーマといえ、岩合さんが映画を撮るというので心配だった。あまり期待せずに見たのだけど、良かったと思う。なによりほとんどの場面に猫が映っていて、それぞれが本当に幸せそう。そして、ベーコンの自然な演技を引き出しているのも岩合監督ならでわだと思う。猫好きとしては大満足😃 そうそう! 子猫時代のタマを演じた玉三郎は保護猫で、兄弟と共に岩合監督に引き取られて幸せに暮らしているのだそう😌

 

猫好きさんはオススメされなくても見てるかな? でもホント猫好きな方は必見の作品だと思う。猫たちの自然な姿にホッコリしつつ、彼らのことを考えるきっかけにもなると思う。

 

そうそう! エンドロール後にもおまけ映像あるので席を立たないように~😃

 

『ねことじいちゃん』公式サイト

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