橋下氏が6月に訪問を予定しているサンフランシスコ市やサンフランシスコ大阪姉妹都市協会は17日までに相次いで声明を発表し、同氏の発言は女性の人権を侵害し、国際関係に悪影響を与えるものと厳しく批判している。
サンフランシスコ市のエミリー・ムラセ女性地位局長は、同市が「女性の権利を守る人権都市であり、性暴力の根絶へ向けた国際的な運動を展開している」と強調した上で、橋下氏に発言が与えた損害を修復する行動を即座にとるとともに、戦時中の女性への人権侵害を公式に認めるよう要請した。
サンフランシスコ大阪姉妹都市協会は、同氏の発言が「姉妹都市協会の立場や精神を反映するものではない」と指摘し、「戦時中の女性に対する虐待と破壊的な暴力を正当化する発言は、国際関係に悪影響を与えるものであり、協会の使命に反する」と非難した。
一方で、米下院外交委員会のロイス委員長(共和党)は15日の下院本会議での演説で、旧日本軍の慰安婦制度は「国家が後押しした性的蛮行」と指摘。「軍の士気を高める手段として慰安婦を正当化しようとした。発言は言語道断だ」と強く非難した。
ロサンゼルスの日系新聞「羅府新報」英字版は17日、米カリフォルニア州サンフランシスコ市のエミリー・ムラセ女性地位局長による「性奴隷は決して必要ではない」と題する寄稿文を掲載した。橋下徹大阪市長は姉妹都市のサンフランシスコ市を6月に訪問する方向で調整中。寄稿文は「日本と世界の女性団体と連帯し、橋下市長に発言の撤回と、戦時性奴隷制度による人権侵害を認めるよう求める」と主張した。
寄稿文でムラセ氏は、大阪市とのこれまでの友好提携の実績に言及しながらも「サンフランシスコ市は1998年に女性人権条例を制定した人権先進市であり、性暴力撲滅運動の国際運動に参加している」と強調し、不快感を表明した。MAINICHI
更新:橋下氏の訪米断念、きっかけは米からのメールだった。
6/11
更新記事:橋下氏訪問に文書で「拒絶」通告 米サンフランシスコ市
米サンフランシスコ市が大阪市に送った、橋下市長訪問を「拒絶」する文書の日本語訳
旧日本軍の従軍慰安婦発言をめぐり、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が訪問予定だった米サンフランシスコ市が5月、「公式訪問としては扱わない。表敬訪問も受けない」と拒絶する内容の文書を大阪市に送っていたことが10日、大阪市関係者への取材で分かった。
文書を送ったのは、訪問計画の交渉窓口となっていたサンフランシスコ市幹部。大阪市は5月22日に受け取り、翻訳を同日中に橋下氏に示したが、公表していない。
文書は「サンフランシスコ市役所のスタンス」として「橋下市長が個人的に来ることは妨げられない」と記載しながらも、公式訪問や表敬訪問を拒むと明記。
「訪問先のすべてで抗議集団に囲まれるだろう。警備体制の費用が多大な負担になる」「訪問を決行すれば大阪市のイメージダウンは避けがたい」などと忠告を重ね「市民は訪米を歓迎していない。警備面と大阪の経済発展の見地からみて訪問が延期されることを望む」と締めくくられていた。
橋下氏は6月10日から16日までの日程で、サンフランシスコ市とニューヨーク市を訪問する予定だった。
5/29
:橋下氏訪米中止でキャンセル料、住民監査請求へ
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が一連の問題発言への批判を理由に断念した米国視察について、市民グループ「見張り番」が最大180万円に上る渡航関連キャンセル料の公費支出を追及する住民監査請求を行う方針を固めた。
計画では、6月中旬にサンフランシスコ、ニューヨーク両市長との面会のほか、企業や学校の視察など5泊7日で約20か所を訪問。渡航費は総額約480万円を見込んでいた。
節約のため、橋下氏以外は格安チケットを確保していたが、訪米中止が決まったのは渡航2週間前に迫った今月28日。渡航費のキャンセル料について、橋下氏は「法的に問題ない」として公費支出する意向だ。
見張り番の代表世話人、辻公雄弁護士は、「キャンセル料は、自身の失言が原因で、公費を充てるのはおかしな無駄遣い。無駄の削減を訴えて住民サービスを切ってきた橋下氏が、自分に甘いのは許されない」と批判する。公費によるキャンセル料支出が確認され次第、返還を求める住民監査請求に踏み切る構えだ。キャンセル料の公費支出については、市役所内からも「法的に問題はなくても、道義的な責任はあるだろう」との声が上がっている。
:橋下・大阪市長 訪米断念 サンフランシスコ、内部文書で「橋下氏に理解促す」
【米国】日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の米国訪問中止を受けて、訪問先となっていたカリフォルニア州サンフランシスコ市側が「発言がいかに間違っていて侮辱的であるか、橋下市長に理解を促し続ける」とする内部文書を作成したことが分かった。
文書では、姉妹都市である大阪市との自治体交流には触れず「民間外交や市民団体との交流促進には関与し続ける」としたうえで「人身売買や性暴力の撲滅に焦点をあてた姉妹都市計画を発展させる」として、姉妹都市交流を人権意識向上に活用する考えを示した。
一方、米国務省のベントレル副報道官代行は28日の記者会見で、橋下市長が米軍に風俗業活用を求めた発言を撤回、謝罪したことについて「世界の地方自治体幹部が、異様で侮辱的で非難すべき発言をしても、我々がいちいちコメントすることはできない」と語った。
5/28
:橋下氏、強気一転… 訪米中止を表明「総合的に判断した」
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は28日午後、市役所内で記者団に対し、来月中旬に予定していた米国視察について、「総合的に判断し、中止を決定した」などと述べ、訪米中止を表明した。慰安婦制度をめぐる発言により米国で批判が高まっており、党共同代表としての言動が市長としての公務に影響をきたした格好だ。
視察は、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」を軸にした大阪活性化に役立てることなどを目的に計画。維新幹事長の松井一郎大阪府知事とともに、ニューヨーク市と、大阪市と姉妹都市のサンフランシスコ市を訪れ、両市長との面会や現地企業との交流などを予定していた。
市によると、予算規模はフライト代やホテル代、通訳代など最大約460万円。中止した場合に発生するキャンセル料は少なくとも100万円は超えるとみられるという。
橋下氏は当初、「(面会予約が)取れなくても行く」と強気だったが、自民党市議団が米国内での反発などから「有益な視察が可能な状況ではない」と中止を要求。松井氏も「(面会予定がなければ)公務として行けない」と疑問視し、橋下氏は「情報収集をして総合判断したい」と慎重姿勢に転じていた。
日本外国特派員協会(東京)で27日に開いた記者会見では、海外メディアに対し、在日米軍に風俗業の活用を勧めた発言を撤回して謝罪。慰安婦発言の真意を訴えていた。
5/27
:橋下氏の訪米中止求め、市民グループが監査請求
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が6月に予定する米国視察について、市民グループ「見張り番」(松浦米子代表世話人)は27日、いわゆる従軍慰安婦問題などを巡る一連の発言で批判を集める中、市への損害につながるとして、中止を求める住民監査請求をした。
見張り番は「国内外から批判を受ける中で、橋下氏が訪米することは、日米両国民の心情を悪化させる」と主張。訪米費用は「市民の利益に反するものだ」として支出の差し止めを求めている。YOMIURI
:橋下氏、訪米に暗雲…広がる反発・訪問先なし?
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が6月中旬に予定している米国視察が危ぶまれている。
いわゆる従軍慰安婦問題や在日米軍に風俗業の活用を勧めた一連の発言に対し、米国内で非難の声が広がっており、訪問先との日程調整が難航しているからだ。橋下氏はなお実現を諦めていないが、市議会から中止を求める声が上がるなど、訪米への道のりは日々厳しさを増しており、橋下氏は27日にも最終判断する考えだ。
◆講演で謝罪へ
「米国と米国民に対しておわびと発言の撤回をしなければならない」。橋下氏は25日のテレビ番組で、米軍に風俗業の活用を提案した自らの発言について、27日の日本外国特派員協会(東京)の講演で謝罪し、撤回する考えを表明した。
橋下氏の訪米計画では、6月中旬に同党幹事長の松井一郎大阪府知事と共に、ニューヨーク市と、市の姉妹都市であるサンフランシスコ市を訪問。大都市経営を視察し、「うめきた」再開発など、大阪の活性化に役立てる狙いだ。
米では自治体要人との面会や企業視察を計画しているが、日程調整が進まない。
橋下氏が発言の軌道修正を迫られた背景にあるのは、米で広がる反発だ,
◆強い反発
発言について米メディアは「橋下氏がsex slaves(性奴隷)を容認した」などと報じ、米国務省報道官が「言語道断で侮辱的だ」と不快感を示した。
サンフランシスコ市のエミリー・ムラセ女性地位局長は地元日系紙に抗議声明を寄稿。同紙(電子版)によると、ムラセ局長は「女性地位局は、性奴隷制度が必要だったとする橋下市長の主張を批判するグループに加わる」と明言し、「我々の価値観に相反する発言を非難するのが姉妹都市としての責務だ」と訴えた。
サンフランシスコ市があるカリフォルニア州は、中国系、韓国系住民が多い。特に、サンフランシスコはアジア系住民が3割を占める。市長も中国系だ。もう一つの訪問先のニューヨークでは1月に同州上院が従軍慰安婦問題は「人道に対する罪」とする決議案を採択しており、橋下氏の発言への反発が強い。
◆訪問先なし
橋下氏は発言について「今、慰安婦が必要だとは一言も言っていない。第2次世界大戦当時は世界各国がやっていたことなのに、なぜ日本だけが非難されるのか問題提起した」と釈明。ニューヨーク、サンフランシスコ両市に文書で発言の真意を説明する考えだ。
大阪市関係者は「はっきり断られてはいないが、要人との面会は難しいだろう」と明かす。すでに視察予定の現地企業からは断りの連絡が入っており、訪問先がなくなる可能性もある。
橋下氏の滞在中に周辺で人権団体がデモを計画しているとの情報もあり、自民党市議団は今月23日「有益な視察が可能な状況ではない」と訪米中止を文書で橋下氏に申し入れた。YOMIURI
5/23
:橋下大阪市長、6月訪米に慎重論 慰安婦発言で
旧日本軍の従軍慰安婦などを巡る発言で、橋下徹大阪市長が6月に予定している米国視察に慎重な対応を求める声が強まっている。訪問先のサンフランシスコ市幹部が「性奴隷は決して必要ではない」と地元紙に寄稿するなど批判が広がり、自民市議団は23日、「有益な視察が可能な状況ではない」と文書で中止を申し入れた。橋下市長も同日の定例記者会見で、「しっかり情報収集して判断しないと、大変なことになってしまう」と話し、状況を見守る意向を示した。来週中にも最終判断する方針だ。
橋下市長は6月10日から6日間、松井一郎大阪府知事らと訪米し、サンフランシスコ市長やニューヨーク市長と面会する意向だ。IT企業が集まるシリコンバレーで約10社を視察する予定だが、23日時点で訪問予定が決まった企業はゼロ。市の担当者は「様子見をしているのだろうか」と気をもむ。
橋下市長は21日、「視察は都市の雰囲気をつかむのが第一。道路や広場、公園の状況、街並みを感じてくる。アポイントメント(面会予約)がなくても行こうと思っている」と述べたが、松井知事は「何の予定もなく行くとすれば、公務にならない。単なる観光で行くことはない」と慎重だ。橋下市長もその後、「時期が適切でないとの指摘は真摯(しんし)に受け止める」「視察が成り立つ状況かどうか情報収集する」などと揺れている。一連の発言を巡り、橋下氏は27日に日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見し、その際の反響などを基に最終判断する。MAINICHI