abc

news

[核兵器不拡散条約] 安倍政権下の日本、「核の不使用」共同声明に唯一署名せず

2013-04-26 | Weblog

日本 NPTの核不使用声明に署名せず

4月25日
NHK報道日本 NPTの核不使用声明に署名せず

スイスのジュネーブで開かれているNPT=核拡散防止条約の会議で、核兵器は非人道的なものだとして、いかなる状況でも使用すべきではないなどとする共同声明が提出されましたが、唯一の被爆国の日本はこの声明に署名せず、NGOなどから批判の声が上がりました。

この共同声明は、ジュネーブで行われているNPTの再検討会議に向けた準備会合で24日、南アフリカの代表団が提出しました。

声明では「核兵器の使用によって、直接に人が死ぬだけでなく、社会や経済の発展は停止し、環境は破壊され、将来の世代は健康や食糧や水を失うことになる」として、核兵器の非人道性を強調しています。

そのうえで、「いかなる状況でも核兵器を二度と使わないことこそが人類生存の利益につながる」として、核兵器の不使用を訴えています。

共同声明には74か国が名前を連ねましたが、唯一の被爆国である日本は署名しませんでした。

これについて、軍縮会議日本政府代表部の天野万利大使は、記者団に対し、「核兵器が使用された場合の影響が非人道的なものだという点では賛同している」としたうえで、「いかなる状況でも使用しないとしている点が、日本の安全保障政策と相いれない」と述べました。

日本がアメリカのいわゆる「核の傘」で守られていることを、署名をしない理由の1つにしたものですが、会議に参加しているNGOなどからは批判の声が上がり、ジュネーブの軍縮会議日本政府代表部の建物の前で、およそ50人が抗議活動を行いました。

JNN NEWS報道

 開幕前、日本に対し、スイスが賛同を求めましたが、日本は回答を留保。一方で、「いかなる状況下でも」の文言を削るよう求めたということです。

 「今回この部分が日本の安全保障の状況を考えたときにふさわしい表現かどうか、慎重に検討した結果、賛同することを見送った」(菅義偉官房長官)

 菅官房長官は、核兵器の使用が将来にわたり耐えがたい損害をもたらすという声明の基本的な考え方を支持しつつも、賛同しなかった理由として「我が国を取り巻く厳しい安全保障の状況」を強調しました。アメリカのいわゆる「核の傘」への影響や、北朝鮮の核開発問題などを懸念したものと見られます。

 一方、日本が声明に賛同しなかったことについて、広島の松井市長は、「核兵器は『絶対悪』であると訴え続けてきた広島とすれば、到底納得できるものではない」とのコメントを出しました。また、長崎の被爆者団体は、次のように述べています。

 「(声明に)書いてある内容は至極もっともなことだけなんです。ちょっと理解できない、政府の対応というのは。本当に腹が立ちました」(長崎被災協 山田拓民事務局長)

 山田氏はこのように述べた上で、日本政府の今後の動きについても懸念を示しました。

参考

外務省NPTの概要

(1) 条約の成立及び締約国

(イ) 核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:NPT)は、1968年7月1日に署名開放され、70年3月5日に発効(我が国は1970年2月署名、1976年6月批准。)。
(ロ) 締約国は190か国(2010年6月現在)。非締約国はインド、パキスタン、イスラエル。
(2) 条約の目的と内容
(イ) 核不拡散:
 米、露、英、仏、中の5か国を「核兵器国」と定め、「核兵器国」以外への核兵器の拡散を防止
(参考)第9条3「この条約の適用上、「核兵器国」とは、1967年1月1日以前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国をいう。」
(ロ) 核軍縮:
 各締約国による誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定(第6条)。
(ハ) 原子力の平和的利用:
 締約国の「奪い得ない権利」と規定するととも(第4条1)、原子力の平和的利用の軍事技術への転用を防止するため、非核兵器国が国際原子力機関(IAEA)の保障措置を受諾する義務を規定(第3条)。

 参考

NHK「“核”を求めた日本」で報道された内容に関する外務省調査報告書

スペシャル番組「“核”を求めた日本」によれば,1969 年2月,日本と西独が箱根で「日本と西独との間の秘密会議(第1 回日独政策企画協議)」を開催した際,日本側出席者(団長 鈴木孝外務省国際資料部長、故人)が以下のような発言をしたとされる。

 「日本と西独は,米国からもっと自立する道を探るべきだ」

  「両国が連携することが超大国になるために重要だ」

 「10 年から15 年のうちに,(日本として)核保有を検討せざるを得ない『非常事態』が起こると考えている。中国が核を持つことをアメリ カが認めたり,インドが核保有国となるような事態だ」

 「日本は憲法9 条があることで平和利用の名の下に,誰にも止められることなく原子力の技術を手にした」

 「日本は核弾頭を作るための核物質を抽出することができる」

これに対し、外務省は2010年11月29日付調査報告書のなかで、NHK報道に部分的に符合する箇所もあったことを認めたうえで、調査結論を次のように結んでいる。

(引用)

以上に照らせば,同協議の期間中,日本側出席者から報道されたような内容に関連する発言が何らかの形でなされていた可能性を完全に排除することはできない。

この点に関し,我が国の核兵器保有論をめぐる当時の議論や時代背景等を明らかにする可能性の高い文書の探索・分析も行った。その結果,当時の時代状況として指摘し得る点は以下のとおりである。

第一に,1964 年に中国による核実験が行われていたこと。

第二に,当時はまだ米国による我が国への「核の傘」の提供が対外的に公表されていないという状況にあったこと。

第三に,中ソ両国の能力に照らし,核抑止力をわが国独自で保有することは不可能であるとの認識が存在していたこと。

第四に,これらを踏まえ,当時署名が開放されていたNPTへの加入を決定するに当たり,我が国の安全保障の観点から様々な選択肢に関する議論が行われていたこと。

なお,外務省が他国との間で実施する政策企画協議とは,実務者レベルで共通の関心事項につき自由に意見交換することで,中長期的な外交政策の企画立案に役立てることを目的とした協議であり,特定の政策をめぐる交渉や調整のために実施するものではない。こうした同協議の性格についても,十分に留意する必要がある。

かかる性格の協議である日独政策企画協議の後,政治レベルも含めて行われた外交政策全般に関する議論を経て,日本政府はNPT加入に際し,日米安全保障体制に基づく我が国の安全保障,我が国の国際的地位,原子力の平和的利用に関する国際協力の確保等の観点を踏まえ,総合的な判断を行い,非核兵器国としてNPTに加入する決断をした。

(引用おわり)

 

参考

NHKスペシャル番組「“核”を求めた日本」、

唯一の被爆国・日本で、かつて密かに核兵器の保有が模索されていた-。ことし3月に亡くなった元外交官が生前明かしたのは、40年前、日本が核保有を求めて西ドイツと極秘協議を行っていたという事実だった。

さらに政府中枢の情報機関、内閣調査室は、核兵器をつくる具体的な方法まで調査していた。非核三原則を宣言した、佐藤栄作政権時代に行われていた核保有の模索。首相の主席秘書官が残した大量の秘密資料には、佐藤首相が自らは核をもたない代わりに、アメリカの核の力に頼る、「核の傘」に入った過程が記されていた。

核廃絶を掲げながら、核の力を求め続けていた日本。この矛盾と、私たちはどう向き合ってきたのか。独自に入手した極秘文書と、当事者たちの証言から検証し、核廃絶に向けて日本の果たすべき役割を問う。

http://www.nhk.or.jp/asupro/country/country_19.html