曇り、28度、85%
三月の初めに健康診断を受けました。基本のコース以外にマンモグラフィーを受けることにしました。特別胸にしこりがあるからという訳ではありません。周囲の人が、よくそのことを話題にしているので、ちょっと受けてみることにしました。
マンモグラフィーは、レントゲンを撮る際に、乳房をぺちゃんこにして撮ります。痛いという訳ではありませんが、あまり気持ちのいいものではありません。三週間後、結果が戻ってきました。特記事項に、左乳房に影があるので、超音波の検査を受けるようにとのことです。でも、当日の先生の触診は、しこりがないとの記述です。
春先には、もう一つ保険の健康診断があります。そのときでいいと思い、実際に超音波検査を受けたのが今週の月曜日でした。香港の医療体制が、若干、日本のそれとは違います。私が、保険会社の指定のクリニックに行きます。この先生は、婦人科が専門です。その先生に超音波検査を受けたいと言えば、放射線科のクリニックを紹介してくれます。香港では、こうした事情なので、クリニックばかり入っているビルがあります。、今回は、運良く同じビルにある放射線科を紹介してもらいました。もちろん総合の病院に行けば、日本の病院とあまり変わりがありません。
放射線科の先生とは、病状の話もないまま検査に入りました。薄暗くした部屋で、異常のない右胸から検査です。画面をじっと見つめる先生が、右胸を撮り終えたとき、異常はありません。と一言。続いて左胸です。私の気のせいではなく、右より長い時間をかけて映像を撮っています。そして、撮り終えるなり先生は何も言わずに、部屋から出て行きました。残った看護婦さんが、2.3日うちに婦人科の先生から連絡があります。と教えてくれただけでした。
今までの経験から、私に診断の結果を話すことができるのは、放射線の医師ではなく、婦人科の医師だとは理解しています。それでも、左胸をみて、無言の放射線の医師の様子から、これは間違いなく異常があったのだと思いました。
父を40年前にがんでなくしています。体質が私は父に似ています。来るべきものが来たのかしら、複雑な思いでした。
今週の火曜日は、香港は仏誕節で祭日でした。天気のいいその一日、家からでる気もなく考えることばかり。家人も私にかける言葉を選んでいます。東京の息子にも、もしかしたらと電話しました。
次の水曜日、いざのとき、しなくてはならないことなどを書き出してみました。がん治療の流れは、それとなく理解しているつもりです。私は一人っ子で、80をすぎた母がいます。そのことが大きな気がかりでした。家人、息子に迷惑をかけられません。
午後仕事に出かけました。祭日を挟んでいるので、結果がでるのはまだだと思いながらも、携帯が鳴るたびに緊張します。仕事を終えて、ミニバスのバス停に向かっていました。携帯が知らない電話番号を受信しています。取ると、婦人科の先生でした。
全然異常ないよ。早く伝えようと思って。とのことでした。
この先生とは三年前からのおつきあいです。同じ女性として、気遣ってくれたのでしょう。この電話を受けるまで、丸二日。ほんとにたくさんのことを考えました。
当たり前ですが、健康であることのありがたさ。家人、息子、パグ犬モモがいてくれるありがたさ。
いつ病気がきたもおかしくない年齢になっています。この二日考えたことで、自分の身の回りを、もっと軽やかにしようと思いました。何が必要で、何が不要か。自分が見えるいい機会でした。先生からの電話の後、家人、息子にすぐ知らせました。ガチガチに固まっていたからだと心が、少しずつほぐれていきました。
超音波の検査の後、よほど気落ちしたのでしょう、ロッカーの鍵を、帰宅したらバックに見つけました。昨日、結果を受け取りにいくとき戻してきました。
しこりがなくても、乳がんの可能性はあるそうです。今まで以上に、毎日を大切に過ごしてみようと思っています。