チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ビルのある景色

2017年01月28日 | 香港

晴れ、16度、77%

 「吉祥如意」たくさんある中国のお正月の挨拶の言葉の一つです。「万事うまく行きますように」と意味があります。出会う人出会う人にこうしたお正月の挨拶をして、赤い袋に入った「利是」と呼ばれるお年玉を渡します。香港の街は静かな春節の朝を迎えました。

 毎年一番寒くなると言われている旧正月ですが、今年はちっとも寒くなりません。お天気もまずまずの日が続いています。本帰国に向けての大きな仕事がひとまず片付いた午後セントラルに向かいました。我が家からセントラルに降りる道は数ありますが、ここ数日は好きな道を選んで通っています。その一つが「卑利街」PEEL STREETです。理由は簡単、この景色が見たいためです。

 我が家を出て、やや西よりの坂を下ります。2つ下の大きな道「堅道」の上には古い歩道橋が架かっています。その歩道橋を登り始めると少しづつ姿を見せるのが、「中環中心」THE CENTERのビルです。左右は香港の古いビルが下の市場まで続きます。歩道橋の上からは、見上げずとも目の前に広がる景色です。見出し写真のこのビルの一番下は小さく市場が写り込んでいます。こうした雲ひとつないお天気の日に、歩道橋の上から見るこの景色は、なぜか私に元気をくれました。この景色が好きです。お天気のいい日には、遠回りになってもこの道を選びます。私にとってはありふれたひとつの景色を見るために、この道を下ります。

 ここからまだ下に坂を下ります。途中には、古い「廟」が階段沿いにあります。 地元の人がお参りする「廟」です。お線香の火が絶えることがありません。まだ坂を下りると、市場に入ります。市場のお店だって坂道ですから、 写真に撮ると斜めに見えます。もっと坂を下りると、 「中環中心」は大きく見えます。この時の私は顎を上げています。ここまで来る間に幾度となくこのビルを見上げます。

 実はこの「中環中心」は今私が座っているこの部屋からも見えています。この家に移り住んで17年、日の上る前のネオンを消した真っ黒な「中環中心」、夕方6時過ぎから虹色にネオンを灯す「中環中心」。雲の多い、湿度の高い日はガスって見えません。考えてみれば、一日中、「中環中心」と生活をしていました。お風呂の明かりを消して、この「中環中心」のネオンを見ながら湯船に浸かることもありました。オフィスビルです。先日ひょんな事からこの上階のオフィスに行く機会がありました。私が坂を下る「卑利街」が山に向かって上がっているのが見えます。毎日通っている道なのに急に懐かしくなりました。

 あと数日でこの私の日常に別れを告げます。一日中、私の生活を見ていてくれた「中環中心」もう一度、青空を背景にしたこのビルを歩道橋の上から見てみたい、そう思います。

 

コメント
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