晴れ、27度、86%
昨日は、気の重いことが重なってありました。若い頃に比べると、気持ちの起伏も少なくなり、そのことで一番恩恵を受けているのは私自身でした。つまり、精神的にアップダウンが少ないと、障りになるものがなく、視界が明るくなります。
ところが昨日は、わだかまった心が長続きして、夕方には、体もヘトヘト。私なんかより、疲れて帰宅した家人に、何度も疲れた、疲れた、と言ってしまったほどです。疲れてますから、コトンと眠ります。朝いつものように目が覚めて、まだまだ、心のしこりは消えていません。ここ数年こんなことはなかったのに、よほど気に障ったのでしょう。
モモさんの散歩をすませ、東に向かって走りに出ました。東の空には、半分以上欠けた月がかかっています。今年は、ひと月に2度満月が見られるブルームーンだな、などと思っているのですが、気持ちは心にある嫌なことに向いたままです。普段なら、折り返して家に向かうころから、こんな嫌な気持ちは、汗と一緒に流れて行ってくれるのに、引きずっています。
私の走る香港島のボーエンロードは、朝から夜まで、走る人が絶えません。早朝に走る人たち、ここ数年顔ぶれは決まっています。挨拶も交わしますし、立ち止まってスモールトークを交わすこともあります。私なんかより長い常連の、イギリス人のジョージさん。お年も私と同じくらいです。2年ほど前、怪我をしてしばらく走れなかったのですが、今年に入ってまた戻って見えました。ジョージさん、今朝は挨拶のあと手招きをします。そして、私の後方の東の空を、指差して。「今朝の月はきれいだね。」そして、高い空の月の横に光る星を指差して、「金星だね。」
ほんとに1分にも満たない短い会話の間、見上げた東の空です。
ジョージさんと別れて、家に向かうとき、はっと気付きました。あれだけ、しつこく私の心にあった嫌なことが、見る型もなく消えています。
明けの明星は、ずっと高い位置に輝いていました。半分近く欠けた月も、少女のように優しく空にありました。月と金星、東の空を指差して声をかけてくれたジョージさんに、ありがとう。