MAKIKYUは先月末に千葉県の房総方面へ出向く機会があり、その際には房総半島を縦断する非電化ローカル私鉄の小湊鉄道と、いすみ鉄道にも乗車する機会がありました。
その内いすみ鉄道は元国鉄木原線を第3セクターに転換した路線で、3セク発足後は今日に至るまで、菜の花色のレールバスが活躍していますが、昨年末にはJR西日本からキハ52形と言う古参気動車を1両購入した事でも注目を集めています。
キハ52形はキハ20系列の2エンジン両運転台車両で、いすみ鉄道が購入した車両はJR線では最後まで活躍した車両の1両、またキハ20系列自体も、他にはひたちなか海浜鉄道と水島臨海鉄道でキハ20形が少数活躍する程度の古参車両ですので、非常に希少な存在です。
この事もあって昨年末に大多喜へ搬入された後、撮影会が行われた際には、MAKIKYUもたまたま日程が確保できた事もあって足を運んだのですが、その際には物凄い混雑振りで、相当注目されている事を実感させられたものでした。
(昨年開催された撮影会時の姿は、こちらをクリックして下さい。また大糸線で活躍していた頃の姿は、こちらをクリックして頂ければご覧になれます)
昨年大多喜で撮影会が行われた際には、JR時代末期の装いのままで公開され、老朽車で雪国の過酷な環境を永年走り続けた事もあってか、車体の痛みなどが気になったものでしたが、その後徹底的な整備が行われ、予定より多少の遅れもあったものの、今年春には新天地となった房総の地で新たな活躍を始めています。
昨年の撮影会開催時における余りの混雑ぶりなどを考えると、運行開始直後は…という事で、少し落ち着いた頃を見計らって足を運ぶ事を考えており、先月末にようやくいすみ鉄道におけるキハ52形の活躍ぶりを見ると共に、乗車も実現したものでした。
いすみ鉄道での活躍に際しては、同車がJR時代末期に纏っていた紺色と黄土色の装いではなく、大糸線で最後まで活躍した3両の中で、1両が纏っていたクリームと朱色の国鉄時代全盛期を連想される装いに塗り替えられており、側面には「千カウ」標記が見受けられるなど、細かい所にも随分なこだわりを感じます。
整備後のいすみ鉄道における運行開始から日が浅い事もあってか、古参車ながらもかなり綺麗な姿となっており、要急行料金(300円)の急行列車として走らせている事もあってか、前面には愛称名を掲げたヘッドマークを掲げ、側面にも愛称名と共に一部座席指定である事を示すプレートを掲出するなど、ファンサービスを随分意識しているとも感じたものでした。
またいすみ鉄道におけるキハ52形の営業運行は、実車が1両のみの存在という事もあってか、基本的には土日祝日の急行列車に限られており、土日などに休みが確保できないと乗り難いのは難点で、急行列車の運転区間も大原~大多喜間に限定されています。
しかしながらMAKIKYUがいすみ鉄道に乗車した日には、急行列車以外に「アジサイ臨時列車」と案内している朝の大多喜~上総中野間で運転される臨時列車にも充当され、日程的に都合が良い日に丁度この列車が運転される事も、いすみ鉄道に足を運ぶ大きな動機となったものでした。
アジサイ臨時列車は普通列車扱いで、いすみ鉄道では通常急行料金が必要となるキハ52形充当列車も、この列車に限っては乗車券・運賃のみで乗車できるのも大きなポイントで、様子見でキハ52形を少しだけ堪能したいという場合にもおススメの列車です。
大多喜~上総中野間の旅客営業列車でキハ52形に乗車できると言う点でも希少で、大多喜~大原間での乗車では乗車時間が短くて物足りないという場合にも、上総中野発臨時列車は大多喜からそのまま急行に変わり、大原まで直通しますので、いすみ鉄道全線をキハ52形で踏破したい場合にも絶好の機会と言えます。
大多喜行きアジサイ臨時列車では、車内でも大多喜以遠の急行券(車内補充券)の販売を行っていますので、大多喜を除く臨時列車の停車各駅(全て無人駅)から乗車し、急行区間に跨って乗車したい場合も問題ありません。
(急行券の販売は枚数を限定している事もあり、基本的には列車始発駅(大原/大多喜)に限定されています)
最初はアジサイ臨時列車にだけ乗車する予定が、キハ52形にもう少し乗車したいと思って…といった際にも対応可能なのはあり難い限りで、この列車への充当もあって「大原←→上総中野」のサボを掲出しているものの、運行途中で「大原←→大多喜」へサボ交換している点も
芸が細かいものです。
(その気になれば「大原←→大多喜←→上総中野」のサボ一つで済ませる事もできるかと思いますが…)
上総中野へのアジサイ臨時列車におけるキハ52形充当は、いすみ鉄道側の告知によると今後9・10日にも予定されており、上総中野周辺でキハ52形に乗車したい場合にはチャンスですが、上総中野では接続する小湊鉄道の列車本数が極めて少なく、五井方面から臨時列車(大多喜から急行)に乗り継ぐ場合に1時間程度の待ち時間が発生すると共に、キハ52形と
これまた古参車両として知られる小湊鉄道気動車の並びが見られないのも残念なものです。
ちなみにアジサイ臨時列車の設定は、その後7月16~18日にも予定されていますが、こちらは多客が予想される事もあってか、通常のレールバス(いすみ200型)充当予定となっていますので要注意です。
いすみ鉄道キハ52形に関しては、近日中に車内編として続編記事も公開したいと思います。
こちらが乗車した時は、上総中野臨時延長に合わせて足を運び、本数の少ない小湊鉄道末端部と組み合わせての行程だった事もあってか、非常に早い時間から動き出す事になりました。
とはいえ大多喜や大原へ足を運ぶだけならそこまでの不便はなく、午後にも列車設定があるなど、千葉県内をはじめ首都圏各地から比較的足を運びやすいのは魅力ですね。
またキハ52形は外観こそ国鉄の雰囲気を強調しており、日替わりのヘッドマークなどが注目の反面、車内は大糸線時代の雰囲気を強く残しているのも特徴的でしたが、ワンマン設備が活用されていないのは少々勿体無いと感じたものでした。
この車両は今後いすみ鉄道の目玉として活躍し、再訪者も楽しめる様に様々な企画を目論んでいる様ですが、今後の展開にも期待したいものです。
自宅が千葉県八千代市でJR最寄り駅が津田沼であるので大多喜にはキハ52形の1便が発車30分前に着く事も余裕でして最初の1往復は乗ってみました。やはり昭和の良き時代を再現するのに力が込められていて素晴らしいもので、これからもリピートして行きたいものです。ヘッドマークは基本的には土曜日が「急行夷隅」で日曜日が「急行そと房」ですがGWには修学旅行列車の「きぼう」のマークが付いていましたが、2往復目を国吉の警報器と遮断機の無い踏切で撮影した時に最後の大多喜行きの先頭には「ひので」のマークが付いていたので、これは大変貴重(鳥塚社長のブログによると)なカットの様です。