たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

期待どおりに涼しかった野反湖の八間山。

2024年06月21日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2024年6月19日(水)

富士見峠・野反峠登山口(8:24)……イカ岩の肩(8:52)……イカ岩の頭(9:21)……八間山(9:48~10:03)……車道に出て湖畔遊歩道へ(10:59)……駐車地(12:09)

 前々日まで、日光でぶなじろうさんが先週行かれたコースを歩くつもりでいたが、漠然と気になっていた八間山を調べると、八間山の標高は1934.5m、車で行ける登山口は1561mであることを知った。大汗かかずに登れそうで、標高的にも涼しそうだ。日光は延期して八間山に行くことにした。難点は、地元の群馬県とはいっても自宅から野反湖まではかなり遠いこと。
 八間山は今回で二度目になる。一回目は奇しくも20年前の同月同日だった。その時は、野反湖北側の地蔵峠経由で白砂山に登り、ピストン下りの予定でいたが、白砂山到着がコースタイムよりも一時間も早かったため、気を良くして、堂岩山から八間山に下って駐車場に戻った。当時の山行メモには「調子にのって八間山へ。ヘトヘト。寄り道は失敗」とある。今は白砂山そのものもヘトヘトレベルで済むはずもなく、体力的にも遠い存在になっている。前衛の八間山で茶を濁すのが精いっぱいだ。その八間山も、単に標高差だけで楽そうな気になっただけのことで、実際のところはわからない。

(駐車場から八間山。山頂はここからでも見えている)


(野反湖。こういうのをコバルトブルーというのだろうな)


 富士見峠と野反峠、いずれの表記で悩むところだが、他所から富士山は見えたものの、富士見峠から富士山が見えたかはつぶさに確認していないので(チラ見では見えなかった)、以降、「野反峠」と記す。バス停は「野反峠」となっていた。
 野反峠の駐車場には車が4台ほど。その台数分の方々が湖畔に下ったり、周辺をうろうろしていたから、八間山方面に向かったハイカーはいないようだ。涼しいというよりも、風が強くて寒い。シャツ一枚ではきつそうだなと、ゴソゴソと車の中からヤッケを見つけて着込み、帽子も飛ばされかねないのできつく締めて出発。

(八間山登山口)


(早速、レンゲツツジ。最後までお付き合いになった)


 前後の広い視界にだれもいないというのは気が楽だ。八間山、そしこの周辺は高山植物に恵まれているようで、まだ早いが、来月にはニッコウキスゲ(ここではノゾリキスゲと言うらしい)で賑わうだろう。四年前の7月半ばに野反湖の西側を歩いてカモシカ平まで行ったが、キスゲにはちょっと早過ぎて、はるばる何をしにここまで来たのかといった思いをした。もしかすれば例年よりも不作だったのかも。自宅から3時間近くもかかるのでは、簡単に来られやしない。シラネアオイは先月に終わっている。今は、レンゲツツジが終盤を迎えていた。上までずっと続いていて、とにかく湖畔も含めて至るところで咲いている。先週の赤城では、もう色褪せかけだったので、車をわざわざとめることもなく素通りした。ここでまだ見頃の残るレンゲツツジを見られるとは思いもしなかった。

(草津白根と野反峠の駐車場)


(せっかくの見頃を撮っておく。実はレンゲツツジはあまり好きではない)


 登りながら、傾斜は緩いのに、野反峠の駐車場がどんどん小さくなっていく。風も弱くなり、ヤッケは脱いだ。身体を動かしている以上、汗はかくが、頭からメガネに落ちてくるほどではない。だれもいない安心さからか、やたらと小花の写真撮りをしながら登った。花の名前を知っているわけでもなく、後で調べることもない。知ったところですぐに忘れる。苦手というか、頭が受け付けないものは次から次へと抜け出す。それでも山歩きスタイルとばかりに撮っている。嫌いでもないし。

(登ったところがイカイワの肩かと思う)


(浅間山。もう雪はない)


(イカイワの肩)


 高くなっていくと、景色の写真撮りも多くなり、遅々として先に進まない。ここで、今日は八間山を選んで正解だったなと思った。イカイワの肩の標識を過ぎると、行く手に八間山がはっきりと見えてくる。いい感じだ。周囲の展望は良く、視界右手から草津の山々、榛名、赤城、袈裟丸が見渡せる。だが、個々にあれが何山だと言える自信はない。ここで脱線だが、前日のNHKニュースの話題。草津白根の湯釜は立入禁止になっている。ここに入り込んで、湯釜を撮影して山歩き記事に掲載し、オレもワタシもと写真アップする輩が増えているらしい。ニュースではヤマップと名指ししていた。気軽に写真とコメントだけを載せ、簡単にネット記事にアップする。確かにYAMAP利用者風情だなとは思う。オレも記事を参考にしたりはしているが、浅間山山頂同様に、自己責任とはしながらも、立入禁止エリアの写真を掲載するのは、ハイカーとしてのモラルの問題だろう。まぁ、いろいろと他人様のことを言える立場にはないが。

(緩くて歩きやすい道が続く)


(イカイワの頭と右に八間山)


(野反湖を見下ろす)


(富士山がここから見えるとは思わなかった。甲武信はどれだい?)


 ところで、このイカイワ。地名なのか岩の名前なのかわからない。少なくとも、露出した大きな岩は見えない。相変わらず、景色や花を見ては写真を撮る作業は続く。ふと、スズの音が前方で聞こえた。オジさんが立ち止まって風景を眺めている。一緒になってしまった。今日は富士山が見えると言う。実は、その山には気づいてはいたが、まさか群馬の奥から富士山でもあるまいと思っていた。オジさんははっきりとこう言った。「甲武信の後ろに見えている」と。この方、相当に場数を踏んでいるようだ。オレには、甲武信ケ岳がどれなのか皆目わからない。オジさんは、オレが富士山を撮っている間に先に行ったが、また一緒になり、自分は遅いからと、先を譲られた。

(イカイワの頭)


(八間山もすぐそこだ)


(レンゲも続く)


(右に榛名と左に赤城)


(強いて記せば、ここが多少は急だったかも)


(イカイワの頭と肩。オジさんの姿が見えている)


(ここを抜け出せば山頂かと思う)


(中央部に見える田んぼのような窪みが何なのかわからなかった。人工的に造ったものだろうけど)


 相変わらずに花撮りをしながらイカ岩の頭。ここの標柱は「岩」になっている。やはり、素地は岩峰になっているようだ。ここから八間山は間近になったが、幾分、傾斜も急になった気がする。樹にはシラビソが混じるようになり、ササも多くなってきている。陽射しもまた強くなってきた。直射日光で汗ばんできたが、風が通っているのでさほどのむし暑さは感じない。

(山頂が見えて)


(八間山山頂)


(白砂山。もう一度は行ってみたいが…)


(奥に、右手から袈裟丸、皇海、日光連山)


 山頂に到着。出発から1時間24分。ダラダラというわけではないが、写真も撮らず、景色も見ずなら1時間もかかるまい(CTは1時間20分。これはかなり甘い)。せっかく、時節によっていろんなものを見たり楽しめるこの山は、それではつまらないと思う。山頂の写真を撮った後にすぐに見に行ったのは白砂山。超然とし、このあたりの盟主といった存在感。ここからコースタイムで2時間半としたら、明るいうちに戻れるかは微妙。今日は、いやこれからもか? 眺めるだけで結構。昨年あたりまで、整備されたらしい<ぐんま県境稜線トレイル>に興味があり、いろいろ調べたりしていたのに、もはや縁のない世界のようになっている。今さらながらの話になる。これは群馬県境ではないが、20年前に白砂山に行った際、次は佐武流山まで歩いてみたいとずっと思っていた。登山道の整備を待っていたわけでもなく、ヤブ漕ぎは覚悟の上だった。結局は実現できなかった。体力が充実している時に、無理にでも歩いておけばよかったと後悔している。余計な話だった。
 廃材置き場らしいところに腰かけて栗まんじゅうを食べていると、オジさんが上がって来た。オジさんは大きな一眼レフで周囲の風景を写真に収め、さっさと下って行った。オレと同じに、北西の登山道から湖畔に出るようだ。この「廃材置き場」だが、古い記録を見ると、ここに避難小屋だか物置の写真が出ていた。

(下山。すぐ右に白砂山への分岐道がある。本道の1/3の幅もあったろうか)


(間もなく悪路)


(えぐられているところも結構あった)


(ようやく普通の道になった)


 山頂から改めて景色を眺め、白砂山の姿を見て下山。下山路は悪路だった。粘土質の泥濘に滑るし、段差もある。整備はしていないようだ。とにかく歩きづらい。これがまた長い。ようやく道がおとなしくなったところで、オジさんの姿をとらえた。オジさん相手にぶつくさ言ってもはじまらないが、オジさんも同じ印象を持ったそうだ。

(ここからの)


(野反湖)


(下ったところは「茅の尾根」というらしい)


 「野反湖見晴」の道標があったが、周囲は木に覆われ、ちらりとコバルトブルーが見えるだけ。ここでがっかりしたのは、標柱に記された、登山口まで1キロの表示。そろそろだろうと思っていただけに、少々うんざりした。下りでは撮るものもかなり少なくなっていて、手持無沙汰でもあった。

(車道に出た)


(湖畔遊歩道入口)


(じわじわと暑くなってきた)


(野反峠までは2.5kmとあるが、遊歩道入口からはすでに400mは歩いている)


(この野反湖。大正から昭和の初頭にかけては自然湖だったが、電力会社が目を付けてから、盛り上げ工事で、区分はダム湖になったらしい)


(対岸の山並み)


(湖畔に出てみた。海ではないからあまり感慨はない)


(歩きやすい遊歩道)


(こうなると盛りだねぇ)


 野反湖北側の登山口に到着。駐車場には車が一台もなかった。まさか、このまま車道を戻るわけではない。湖畔遊歩道なるものがある。「富士見峠湖畔コース入口」の標柱はすぐに見つかった。この湖畔コース、湖畔に沿って道は付けられてはいるが、野反湖からは近づいたり、離れたりして、湖そのものに接している歩道ではないが、湖を眼前にしたければ、ヤブを漕ぐしかないものの、それをやってみたら、ササヤブの中に、遠目ではわかりかねたが、明瞭な道があった。わざわざそこまでせずとも、対岸の弁天山、エビ山、高沢山、大高山、三壁山は遊歩道からでも野反湖を入れてよく見える。対岸の遊歩道は歩いたことがある。こちらを歩くのは初めてかもしれない。振り返れば、特定はできないが、八間山らしきピークが見えている。ただ、標高的に低く見え、違うかもしれない。
 遊歩道沿いにもレンゲツツジが続く。歩道の難点は、日除けがないこと。時間とともに気温は上がり、陽射しも強くなってきている。振り返ると、オジさんの姿が間近に見えた。かなり離れたつもりだったが、平坦な歩道ではオレの足は遅いようだ。そろそろ腹を満たそうと、ヤブに入り、樹の下の木陰で菓子パンを食べ、しばらく休んだ。今日の一服はなく、持参しなかったことを後悔した。

(駐車場が見えてきた。わかりづらいが凹部が駐車場)


(まだ1.5kmもある)


(八間山かと思う)


 遊歩道に復帰。野反峠の駐車場が見えてきた。大分、車が増えているようだ。ベンチで食事中の、かのオジさんがいた。「こんなところで食事して暑くないですか?」。「いや、風があるから涼しいよ。どっか寄って来たの?」。「いや、道から外れて木陰で食事してましたよ」。オジさんとは、その後会うことはなかった。

(駐車場へのラストの登り)


(改めて野反湖)


(車が増えていた)


 まもなく駐車場。散策している人たちに出会った。ここを登るのはきついかなと思ったがさほどでもなかった。駐車場に帰着すると、車は30台以上に増えていて、周辺を歩いている人も結構いる。空身で弁天山に登ろうとしている姿も見える。大方は、ベンチに座り、野反湖を眺めながら飲んだり食べたりしている。やはり、ここが涼しいことは地元の方なら常識的に知っているのだろうな。

 今回は、行ってもいない日光と比較すべくもない。後悔することもなく涼しい歩きができたことは、八間山にして良かったということになるが、まして大して苦労もせず歩けた。そんな山がそんなにあるわけがない。八間山は2000mに近い山だ。これを体験してしまったからには、これからの山選びに苦労しそうだ。1000m超えの山でも、風がない限りは暑く感じるだろう。
 帰りがけに滝でもいくつか見て帰ろうかと思っていたが、下の国道に出るとやたらと暑く、億劫になってやめた。この暑い最中、肝心の車のエアコンがほとんど効かず、汗だくになって帰宅した。その足でディーラーに車を持って行ったら、エアコンガスが漏れているとのこと。部品の劣化に因るらしい。9年も乗ればそんなものだろう。修理に出すことにしたが、気分的には、涼んだ山歩きに高い代償を払う形になってしまった。

(今回の軌跡)

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)

【付録】
 今回の山行で見かけた花を、せっかく撮ったんだしと並べてみた。珍しくも何ともない花かもしれない。もっといろんな花も撮ったが、やはり撮り慣れてはいないのか、ボケた画像がほとんどだった。見栄えのするものはこれぐらいといったところだ。敢えて花の名前は記さない。それは素直に認める。知らないからだ。

































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2 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2024-06-22 19:26:21
今晩は。
もくろみ通り涼しい歩きができてよかったですね。奥日光より標高が高い分こちらを選択して正解でしょう。それに花の種類も豊富なようですし。自分はレンゲツツジのオレンジ色が好きで、もう少し近ければ行きたいと思いました。関東南部からはとても遠くて、その分人影が少ないのでしょうかね。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2024-06-23 06:03:14
ぶなじろうさん、ありがとうございます。
歩き足りなくなるような八間山ですが、思っていた以上に良い山でした。花好きな方には、もっと好印象ではと思います。私の場合は「涼しい山行ができた」。これに尽きます。
花も、今は半端な時期なので、涼を求めての行楽客は多いものの、来月はニッコウキスゲの時季ですから、ハイカーもかなり入ると思います。4年前に行った時も、グループを結構見かけましたから。
確かに、中之条町とはいっても、もう長野との県境ですから、群馬南東部の私のところからでもやはり遠いです。ネックは、高速が通っていないということでしょう。渋川インターからはかなりありますし、ぶなじろうさんがよく行かれる岩櫃山からもさらに一時間半はかかるでしょう。地元の方で多くなるのはどうにもならないですね。景観も良いところなのですが。
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