たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

雪の谷川連峰を見たくて十二ヶ岳へ。

2020年03月04日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2020年3月1日(日)

高山村登山口駐車地(8:29)……カタクリ自生地(9:05)……稜線(9:17)……男女坂分岐(9:22)……十二ヶ岳(9:37~10:08)……ミスで引き返し(10:15)……石祠(10:19)……927m標高点付近(10:45)……小野子山林道(11:06)……駐車地(11:13)

 雪山に行きたいが、今季は山の積雪もかなり少ないようだ。赤城山も一時期は白かったものの、地元から眺める限り、今や一帯は黒く、かろうじて黒檜の頭の一部がうっすらと白いだけ。半端な雪では嫌だと先延ばししていたらもう三月に入ってしまった。これから大雪が降る可能性は低かろう。おそらく今季の雪山歩きは一月に行った赤城長七郎山の一回で終わりかもしれない。まめに雪山を歩いている方々のブログを拝見すると、うらやましくも元気なものだと感心するが、雪不足と足の不具合を体の良い言い訳にしてぼやいても詮方ない。身体が先行しなけりゃ意味がない。 ※「可能性は低かろう」と記したが、これは甘かった。5日に日光地域に大雪警報、群馬北部に大雪注意報が出され、翌日は赤城山も白さを取り戻していた。
 せめて、雪の谷川岳を眺めてみたい。天気も良さげだ。期待して小野子三山に向かった。ここは十二年前の一月に南の渋川側からは登っているが、反対側の高山村からは登ったことはなかった。当たり前のように三山セット歩きのつもりだったが、考えてみれば、谷川岳を見るだけなら、展望抜群の十二ヶ岳だけで事足りる。高速を下りてから気が変わった。十二年前に登った時の印象では、小野子山も中ノ岳もたいした展望ではなかった。今回は十二ヶ岳だけにしよう。
 谷川岳も今の自分には、富士山みたいに眺める山になりつつあるのが複雑なところだ。そのうちに日光の山も眺めるだけの存在になるかもしれない。
 十二ヶ岳のコースタイムは、『たかやま山歩きマップ』を見ると、登山口から上り60分、下り60分と2時間コースだ。それもピストンコース。違いは男坂、女坂の部分だけ。女坂の方が楽な分、時間がかかるようだ。物足りない気もするが、無理に中ノ岳に行っても無駄な時間、体力消費になるだけなのでこれはやめる。十二ヶ岳の山頂でゆっくりすればいい。ここのところ三時間歩きが続いている。今日も、結果としては三時間にも満たない歩きになった。それどころか実質二時間。これはかなりまずい状況だ。どこかで打開せねばなるまい。幸いにも近場の山に雪はない。

 高山牧場を通過して小野子山林道。冬季閉鎖にはなっていない。舗装道ながらも対向車があれば場所によってはつらい。途中、路肩の雪も凍結もまったくなかったし、対向車もいなかった。十二年前に来た時には、もっとも渋川側の林道だったが、凍結した坂道で車がスタックして四駆にして脱出したりしていた。三山の山頂には雪もあった。その時とは大違いだ。

(登山口。この林道を歩くのかと思ったが、標識の裏を尾根に上がる形になる)


(ハイキングコース)


 登山口に着いた。三山周回の場合、大方はここからキャンプ場の駐車場まで、5~6kmの林道歩きで戻っている(紅葉の時期はそれも良いらしい)。そんなことはせず、中ノ岳に戻って、手頃な尾根下りつなぎで林道歩きを短縮するつもりでいた。その計画はなくなった。十二ヶ岳だけならハイキングコースのピストン以外に考えようがない。駐車地には数台のスペースがある。他に車はない。十二ヶ岳のお気軽ハイカーには、時間的に8時半はまだ早いのかもしれない。
 登山口の傍らにあるコース案内看板に違和感を覚えた。よく考えたら南北が逆になっていた。普通は北を上にするものだが、南が上になっている。ただ、この地図を逆転させてしまうと、林道の位置も進行方向も、山の配置もすべて現場とは反対になって混乱してしまう。ハイキングコースを歩くだけだし、持参地図の東西南北に固執していたら、方向感覚がおかしくなりそうだ。ところで、ここの看板地図には十二ヶ岳までの上りは1時間、下りは40分となっている。十二ケ岳まで2180m、中ノ岳まで2060mの標識もある。ところで「十二ケ岳」か「十二ヶ岳」で迷ったが、ここは地理院地図と『山歩きマップ』に合わせて「ヶ」にする。標識はずっと「ケ」だった。
 目の前の林道を行くのかと思ったら、すぐに右の尾根に上がるようになっている。ヒノキの植林が知らぬ間に松になった。何の松かは知らない。松かさがやたらと落ちている。傾斜は緩くて楽だが、薄暗いから陰気な気分になる。そのうちに光が入り込んで明るくなるが、どうしても看板地図が頭に残っていて、北に向かっているのに、何で正面から光が入るのかと、瞬時、不思議に思ったりしている。実際は南に向かっていて、すでに混乱している。

(最初の林道。ここは直進)


(二本目。ここも直進)


 林道が続けて二本横切る。一本目は作業道に近い。未舗装で松葉に覆われているところからして廃道だろう。二本目は舗装道。これは、登山口から延びていた林道の延長と思われる。両方ともに、地図上では実線も破線路にもなっていない。それでいて、小野子山林道から稜線までの区間に、破線路はやたらと記されている。これはあんまり信用しない方がいいようだ。現に、登山口まで来る途中、破線路が出ているはずのところに車を止めて、周辺をうろついたが、踏み跡すら見つからないところもあった。さらに、途中で「穴十二登山口」の標識が立った林道が南に向かっていた。この穴十二とは何なのか後で調べると、中ノ岳北斜面にある穴の開いた巨石らしい。信仰の対象とか。二本目の林道から右手に十二ヶ岳が間近に見えた。

(三本目。ここは直進せずに林道を歩く)


(林道歩き)


(左に林道を離れる)


(これまでの景色とは違う)


 そしてまだあった三本目。これは廃道らしいが、かすかに轍が見える。横切るのかと思ったら、標識はこの道を右に歩くように指示している。逆らわずに従う。一時間歩きコースならこんなものかもしれない。もしかしたらハイキングのレベル未満かも。谷川岳見物が目的だから、ゴチャゴチャ言うのは控えよう。周囲はヒノキの植林に戻っている。
 区間としてはそれほどに長くはなかったが、廃道だか林道を離れた方向に標識は向いていて、廃道はそのままに右、つまりは西に下っているようだった。ここでも身体の向きを逆にして正面を北に向けて東西南北を確認する始末。山頂まで1090mの標識に合わせて行くと、いきなり雑木の森になって明るくなった。ようやく好みの歩き環境になったようだが、すでに、先に稜線は見えている。この部分だけは凍結したところもある。

(カタクリ自生地)


(小野子三山の稜線に出た)


 ここで、ロープが歩道の左右にガードされたカタクリ自生地に出たようだ。看板も置かれている。ここが案外に長かった。つぶさに斜面を見ても、暖冬とはいってもカタクリの気配はまだない。ロープが消えるとすぐに稜線に出た。ここに置かれた標識に、登って来た方向に向けて「火の口林道」と記されていた。前述した三番目の廃道らしき林道がそれなのだろうか。ちなみに、南側に向けて「JR小野上温泉駅」とあった。

(十二ヶ岳)


(男坂、女坂の分岐)


 十二ヶ岳に向かう。振り返ると中ノ岳、その右側に見えているのが小野子山だろう。ここで、十二ヶ岳が岩峰であることを知った。こちらから見ると奇怪な形をしている。間もなく男女坂分岐。『山歩きマップ』ではここまで50分。細かいことだが53分かかっている。途中で立ち休みはしても長い休憩はとっていない。まして、腹具合が悪くなったりもしていない。こんな緩い上りで3分ながらもタイムオーバーか。何ともはやのノロ足。

(険しさは感じる)


(こんなところも通過するが、ロープが垂れている)


(山頂直下が長い)


(十二ヶ岳山頂。左に浅間山、右に草津白根山が見えている)


(女坂は反対側から上がって来る)


 ここは男坂を選ぶ。女坂は下り使用のつもり。確かに急で岩がち。ただ、さっき見た岩峰風情の左の切れ落ちからはコースが少し離れているので、さほどの恐怖感はない。まして、ところどころにロープもある。ここでも10分のところを15分かけて十二ヶ岳山頂。山頂付近でなだらかになってからが長く感じた。途中で女坂と合流すると思っていたが、女坂は正反対の方から上がって来ていた。12年前に歩いた記憶はすでに飛んでいるが、展望の素晴らしさだけは記憶そのままだ。小野子三山の中では二等ながらも唯一の三角点峰だ。ゆっくりした。

(山頂の東側から南、西、北へと一周する。まずは中ノ岳、小野子山)


(榛名山)


(浅間山。四阿山がチラリと)


(草津白根山)


(谷川連峰)


(谷川連峰の東側。展望盤には白毛門、朝日岳とある)


(少しアップで)


(上州武尊)


(雲の流れが速いようで、顔つきが変わった)


(日光白根)


(赤城山だけは確実。以上、間違っていたらご容赦を。その時は展望盤に合わせて見ていたのでわかったつもりでいたが、写真だけではアップ撮りもあったりしてかなりごちゃごちゃになっている)


 途中、女坂から犬連れのご夫婦が上がって来た。この山は何度も来ているような雰囲気があり、座って、景色を眺め、ちょっと休んでさっと下って行った。犬はオレの方に寄ってきたが、おそらく犬の臭いがかすかにしたのだろう。

(改めて山頂)


(女坂を下りかけると登って来る方がいた)


(この標識に引きずられてとんでもない方向に歩いてしまった)


 さて下るかと、女坂に向かうと、ジイサンとオッサンが登って来たので待機。以降はだれとも会うことはなかった。それはもっともなことで、このまま女坂を下り、男坂との合流から、登って来た道をそのまま下るのが嫌だったからで、そのきっかけになったのが下ってすぐにあった標識。道が分岐し、そちらには「小野上温泉駅(1時間50分)」の標識が置かれている。方向的に、こちらでも行けやしないかと、数分歩いたところで思い出した。小野上温泉駅がどこにあるのか知らないが、いずれにしても南側だ。十二ヶ岳の鞍部に、南に向けて小野上温泉駅の標識があったじゃないか。ということは、この道は大回りをして鞍部からの道にどこかで合流して南に下るということだ。このまま行ってしまったら、また鞍部に登り返すことになる。

(女坂に戻って下る)


(この石祠のところで)


(女坂から離れる)


 やはり仕方ないかと、女坂に復帰し、地図を改めて見る。この先に、北西に下る尾根があった。927m標高点を経由し、一本尾根になっている。等高線は密でもない。ここを下ってみようか。変化が乏しそうなのには難があるが、同じところを下るよりはいいだろう。こんなハイキンングでも少しは色をつけておかなきゃ自己満足もできやしない。
 石が積まれた石祠。これには見覚えがある。ここで直進コースから左に外れる。尾根型は不明瞭だが、次第に尾根型がはっきりしてきた。念のため破線路との接点にコンパスを合わせる。
 たまに倒木があったりするが、歩行の妨げにはならない。密な枝ヤブは部分的に集中しているだけで、概ね歩きやすい。たまにこれは作業する人のだろうが、踏み跡が目に入ったりする。気に入ったのはまったく目障りな目印類がないこと。それは無理もない。ショートカットルートでもあるまいに、ここをわざわざ歩くハイカーがいるわけもない。

(本日、身近に唯一見かけた雪)


(倒木が目につくようになり)


(林道に出る)


(穴ぼこがあるとは知らずにその脇を下って来た)


(927m標高点付近)


(こうやって見ると、下れなくもなさそうだが下れなかった)


 破線路に近づく。おそらく例の三番目の火の口林道かと思う。たやすく林道には出られたが、火の口林道だとすれば、もうこちら側は完全に廃道で、轍すらない。
 この先の枝ヤブがひどかった。そして倒木も目立つ。衣類とザックが引っ張られる。すぐにおとなしくなって、目の前に平らな高台が見え、ここが927m標高点らしい。
 また林道とクロスした。地図にもないのでわからないが、おそらく、登山道から続いている林道の延長と思われる。この林道にすんなりとは降りられない。擁壁ではないが、高さは4mほどある。見下ろしながら迂回し、高さが2.5mほどになったあたりで枯れた草の根を束でつかんで下った。

(枝ヤブがうるさい)


(谷側に下り)


(小野子山林道に出た)


 この先、コンパスの指す方向は植林で薄暗く、急な斜面になっている。右手は明るい緩斜面。コンパスを無視して右手を下ったが、そのうちに左向きになって、コンパスの針に合ってくれた。枝ヤブは続いている。
 この尾根をこのまま下っても、地図で見る限りは小野子山林道に出るにはまったく問題もなさそうだが、右下に谷状の地形が現れ、そちらを歩いてみたくなったのでそちらに下る。倒木をまたぐと前方に電柱が見え、林道にすんなりと出た。
 林道脇の石に腰かけて一服する。時間的にあっけない歩きだった。山頂からの眺めが良かったから、これで良しとしよう。

(たいして歩かずに)


(駐車地)


 5分ほど歩いて駐車地に到着。予想に反して、自分の車以外に2台あるだけ。そのうちの1台からはこれから登るオッサンが登山口に向かって行った。自分が別ルートで歩いている間に、おそらく何台かの車が入っては出て行ったのだろう。
 せっかくだし、牧場の周辺をドライブしてから帰路に就いた。

(本日の軌跡。敢えて出すほどでもないが)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

(林道に車を止めて)


(あれが上州武尊なら、左は至仏山あたりだろうか)


(これを見たくてわざわざやって来てハイキング)


(展望台から高山高原牧場)


(反対側から)


(これでラスト。むしろ、山頂からよりもこちら側からの方がきれいに見えていたかも)


コメント (4)    この記事についてブログを書く
« 西上州・黒滝山。強い風もあ... | トップ | <いせさき市民のもり公園>... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (瀑泉)
2020-03-05 20:33:25
自分も前の週に獅子ヶ鼻山に登って,谷川連峰やら武尊山を眺めてまいりましたヨ。その時に比べると,武尊山など,随分と雪が減った感じがいたしますネ。
ただ,新潟辺りは,吹雪いているらしいから,山の白さもこの週末には戻りそうですが。
それはさておき,十二ヶ岳もそうですが,岩櫃山や小野子山,子持山など,この辺りの山はまったく登ったことがないんですヨ。よほど草津より近いのに,どうも中途半端な感じがして。いずれどの山も登りたいところですが,確かに十二ヶ岳からの展望は良いモノがありますネ。
返信する
瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2020-03-06 09:39:54
瀑泉さん、こんにちは。
今、獅子ヶ鼻の記事を拝見しましたよ。十二ヶ岳からの展望に満足しているようではみみっちいものだと思いましたよ。
さて、案の定、昨日の大雪注意報の影響なのでしょうね。今朝の、職場に向かう途中から見えた赤城山は真っ白になっていました。それを見て、また赤城山も有りかなと思ったりしたものです。瀑泉さんと違って、身近に楽しめる雪山といったら赤城山ですからね。
小野子山とか子持山は、17号で前橋方面に行くと、榛名と赤城に挟まれる形で、それなりに存在感はあるのですが、それぞれが独立峰といったところで、周囲に街並みが見え、そういう面ではつまらない思うところもありますが、ハイキングがてらに行くのなら、私レベルでは桐生奥よりも十分に楽しめます。とはいっても、今回の十二ヶ岳は苦肉の策に近いです。
子持山も雪の時期ならそれなりに雪山風情を楽しめるのですが、今季は、昨日、今日の冷え込みでも地肌が見えている状態ではないですかね。
返信する
十二で思い出しまして・・ (みー猫)
2020-03-07 19:00:11
本日、十二社ノ峰に行ってまいりました。少しアップでの写真で少し期待したのですが、案の定、雪は少ないものの稜線上では楽しめました。たそがれさんが行かれて大分後になってしまいました。結構稜線に上がるとこが想定より急でした。帰りには暖かさで雪がぐちゃぐちゃで降りにくかったです。小出俣には4人の足跡が向かってたです。十二ヶ岳には南からスタンダードコースを行っただけで、北から入るとは思いつきませんでした。好展望のお山ですね。
返信する
みー猫さん (たそがれオヤジ)
2020-03-08 09:34:12
みー猫さん、こんにちは。
十二社に行かれましたか。私が行ったのはもう7年前になりますね。もう、その時の元気はどこに行ったやらですが、あの辺も雪は少なかったですか。先週あたり、随分と積もったかなと思っていたのですけど。
話は変わりますが、この十二ヶ岳をGoogleで調べていると、河口湖の隣の西湖の北にも十二ヶ岳という山があって、そこからの富士山の眺めは抜群のようです。ここの十二ヶ岳とは違って、一から順番に十二の峰があって、岩場続きで、吊橋もかかっているような険峻な登山道のようです。だれでも行ける山のようですから、さほどの危うさはないかと思いますが、いずれ、そちらの十二ヶ岳にも行ってみたいと思っています。
返信する

コメントを投稿

近所じゃない群馬県の山」カテゴリの最新記事