
◎2020年6月27日(土)
草津温泉スキー場駐車場(8:06)……登山口(8:15)……香草・常布の滝展望地(8:48)……毒水(9:23)……横笹・大平湿原分岐(9:36)……桜清水(10:06)……芳ケ平ヒュッテ(10:39)……休憩(10:41~10:53)……芳ケ平周回(10:54~11:25)……芳ケ平ヒュッテ(11:25)……毒水(12:14)……常布の滝廃道入口(12:35)……登山口(13:21)……駐車場(13:29)
15日に松井田でヒルにやられて10日以上も経つのに、かじられた二か所の痕は小さなカサブタで残り、腫れたりツユが出たりはしていないものの依然として痒さは残っている。痒みは忘れた頃に集中して襲ってくる。特に風呂上りやら日中の暑い時。都度に抗ヒスタミン剤の軟膏を塗るのも面倒になり、その場しのぎにキンカンを塗って痒みを押さえていた(痒みが消えたのは二週間後だった)。ヒルに噛まれるとこういうことになるのか。しばらくは沢歩きもやめておこうかと、27日は山の歩きをする予定でいた(山とてヤブはこれにマダニが加わって危険ではあるが)。そんな中で26日の上毛新聞を見ると、芳ケ平のワタスゲが見頃を迎えたという記事が目に付いた。予定していた山は敢えてこの時期に登る必要もなく、先送りして旬のワタスゲを選ぶことにした。
(上毛新聞の記事)

芳ケ平は中之条町ということになってはいるが、自分の地理的な感覚としては草津町になってしまう。花に執心があるわけでもなかったが、以前から、芳ケ平自然遊歩道のコース上に常布の滝の展望地と滝への入口があることは知っていて、記事を見て、ついでに滝入口の調査もしてみたくなった。元より滝まで行くつもりはない。調査だけ。あくまでもワタスゲ見物が主目的。
草津に向かう途中、当初予定にしていた山が見えた。長野原町の山だ。丸岩。実に奇怪な山容をしていて、『子連れ狼』の大五郎の頭を思い出す。これもまた上毛新聞の記事を見て行きたくなっていた山だが、意識して現物の山を車窓から眺めると、やはり近々に行かなきゃならない気分になる。山の景観とは違ってマイナーな山だ。
草津は遠い。高速の便が悪く、渋川インターから長い一般道になる。松井田も遠かったが、家を出て2時間半かかった。駐車予定の草津温泉スキー場の第四駐車場はすぐにわかった。車が10台もなかったが、その多くがハイカーとは限らない。すでに東京ナンバーも目立つ。二人連れ、単独氏が登山口の方に歩いて行った。芳ケ平のワタスゲだけが目的なら、わざわざここから歩かずとも、渋峠から下る楽チンコースがある。単純標高差は340mだ。
念のため、地下タビに今回は新たに導入の<ヒル下がりのジョニー>を吹き付けた。これまで使っていた<ヤマビルファイター>もそうだったが、逆さにしてスプレーできないのが難点だ。ついでに、全身に自分で調合したハッカ油スプレーをかける。一時しのぎかもしれない。草津とはいえ、朝から暑いし、風も流れていず、陽射しは強い。汗で流れ落ち、何度も吹き付けることになるだろう。
(登山口というかハイキングコース入口)

(出だしからなだらで歩きやすい道。こんなところをしばらく行く)

登山口はすぐかと思ったが、車道をしばらく下った左手にあった。ここからの帰りはちょっとした登りになるから、疲れた身体にはきつく感じるかもしれない。登山口に立ちはだかるように車が横づけされている。別に規制はないからとやかく言えないが、こういう置き方はどんなものだろう。まして他県ナンバーのワゴン車だ。群馬県民としては図々しいヤツだと思ってしまう。
平坦なハイキングコースが続いていた。ラッキーだ。地形図を見て予想はしていたが、芳ケ平までは緩やかな登りになっているようだ。ほっとした。結局、一部、本当に若干の急なところはあったが、至っておだやかだった。ただ、後で気になったのは、地形図では登山道入口の標高が1250m弱で最高点の芳ケ平ヒュッテは1803m。その後は芳ケ平平坦地の周回なのに、カシミールの標高グラフでは累積標高が1000m近くになっていて、500mも違うのはどういうことなのか。寄り道してもうんざりするアップダウンはなかったし、ここはカシミールの数値は信用できかねる。ただ、往復の歩行距離は14kmになっていて、これは相応かと思う。ピストンだったからか余計に長く感じた。
ここで自分の無知をさらすことになる。これまで、草津よりも軽井沢の方が標高が高いと思っていた。だが、役場の標高は草津が230mも高く、草津町役場の標高1171mは町役場としては日本一だそうだ。後で知ったこと。それでいて軽井沢の方が涼しく感じるのは湿度の違いだろうか。
幅広のハイキング道を行く。最初のうちは一部陥没部分もあって気をつかったが、概ね広くて歩きやすい。100mほど先を単独氏が歩いている。ほぼ自分と同歩程だ。振り返ると、ハイカーの姿は見えない。自分には極めて理想的なスタイルの歩きだ。まだ8時半なのにすでに下って来るオジサンがいた。芳ケ平ヒュッテにでも泊まったのか。
こんなゆるやかな登りでも汗は容赦なく流れ出す。周囲は広葉樹が続いている。シャツの首の周りはすぐに汗で濡れ、下着もベットリとなった。シャツの裾を外に出したいが、虫刺さされを考えれば、まだ安心はできない。今のところ、蚊も羽虫も寄ってこない。
ここを歩くのは初めてだ。歩きながら、何となく東北の山を歩いている錯覚になった。ことに船形山のコースに似ている。この印象は、芳ケ平が近づいてさらに強くなった。つまり、上ほどに高原状のきれいな風景が広がっているということ。
すでに1kmは歩いただろうところに標識があって、そこには「芳ヶ平5.3K」とある。反対側は「草津1K」とあるから、この草津は登山口のことかと思う。それにしても往復13km近くになると、いくらゆる歩きでも長過ぎる。ここのところの歩きではしばらくご無沙汰の距離だ。これを見て少し気力が失せてしまった。果たして歩き切れるだろうか。これは謙遜でも何でもない。正直な気持ちだ。
(屋根だけの石祠)

(蟻の塔渡り)

屋根だけ残った石祠があった。いつのものかは不明だが、ここは古道だったのだろう。白根神社の奥宮に続く道だったのか、あるいは渋峠越えの信州に至る脇街道だったのかはわからない。
続いて「蟻の塔渡り 通行注意」。意識もしなければただの尾根歩きだが、確かに左右は急斜面になっていて、ことに進行右側は落ちたらかなり下まで転落しそうだ。「戸渡り」ではなく「塔渡り」であることがやさしさを感じる。このままでも危険は感じないが、親切にも両サイドに手すりが設けられている。
そして来た方向には「谷沢原を経て草津2.5km」。はて? 谷沢原という地名には気づかなかった。それらしき原っぱもなかったし、分岐もなかった。<山と高原地図>を広げる。「谷沢川第二砂防ダム」というのはあった。その近くのスポット、もしくは地名か。次は左に立入禁止のガード。こういうのを見ると、どこに行くのか気になるが、地図を確認する限りはわからず、おそらく、砂防ダム関係の作業道かと勝手に解釈する。
(路肩が溝状になっていて、このコースの強いて記せばの難点だ。もう終わったかと思ったら、また出てきた。一瞬だが)

(常布の滝展望地へ)

(展望地から。肉眼でもこの程度にしか見えない距離感だ)

(アップして)

(さらにアップ。自分のカメラではこれが限界)

前方を歩いていた単独氏が右手から突然出てきた。ここでコンニチワになったのだが、用足しでもしていたのかと思ったら、標識の右手方面は「常布の滝 落差70m」とあった。ここから滝まで行けないことは知っている。あくまでも展望スポットだ。取りあえず寄る。むき出しの垂直の大きな岩盤の左側を落ちている滝、あれが常布の滝だ。細いながらも水流には勢いがある。ここからでは上半分くらいしか見えていず、遠過ぎる。滝周囲を遠望する限りはかなりの傾斜を下らないと滝の間近には行けないようだ。果たして、そんなところに遊歩道が通っていたのだ。
(案内図)

元に戻ると、「渋峠草津探勝歩道案内図」看板があって、常布の滝までは破線が記されている。破線の意味は「歩道」で、今歩いている芳ケ平方面への実線は「探索歩道」の扱いだ。芳ケ平から白根山までも破線の歩道になっている。これを見る限りでは常布の滝まで行けるのではと単純に思ってしまうが、それは昔のことで、事前に調べたネット記録では歩道どころか、かなりの危険を伴うコースになっているようだ。標識には気づかなかったが、ここが「香草」というスポットらしい。
(ここが滝への以前の遊歩道入口らしい。右の看板は板書書きもないのっぺらぼうだった)

(だが、裏に回るとこう記してあった)

すぐ先に、右に分岐する明瞭な道を見て、これを行けば常布の滝に行けるのかと思ったが、今、その調べで体力を消耗したくはない。今日の目的は芳ケ平ワタスゲで、滝は第一にしたくともあくまでもついでだ。帰りに入ってみようと先に行くと、バリケードがあって、「このコースは上級者向コースです 岩場が多く滑りやすく危険な為 登山に自信のない方はご遠慮下さい 群馬県草津町」の注意看板が置かれていた。ここが常布の滝への入口か。その脇に無地の看板があり、気になって裏を見ると、「常布の滝遊歩道入口 草津町」とあった。注意書きがいくつか記されていて、「経験を要する」、「自己責任」の言葉が入り込んでいる。この看板そのものは古くはない。ただ、最近まで「遊歩道」として存在していたことだけは確かのようだ。バリケードの先はうっすらと踏み跡のあるササに覆われたヤブ。古い赤テープが先に見えている。その先は帰りに覗いてみよう。気になるのは、遊歩道入口の看板を撤去することなく、手間をかけて裏返しにした観光行政に何か意図でもあるのか。だとしたら、遊歩道を整備すればよいのにと思う。もしくは、そのつもりでいるのか。普通の感覚なら、町が観光の目玉にもなる「日本の滝百選」への道を荒れ果てた難路のままにしておくわけがない。ちなみに、遊歩道は「コース全長0.72km 片道30分」とあった。往路は下りになるから、復路に時間がかかったとして一時間半もあれば戻って来られるタイムだ。それも整備された遊歩道になっていればという前提だ。時間的に30分は、後で寄る嫗仙の滝に10分プラスの距離だ。
ここまでダラダラと標識ごとに記している。それも常布の滝にこだわったからだが、これでは芳ケ平のワタスゲになかなか出会えない。常布の滝の入口を確認しただけでも、この時点では十分。後は帰路での調査ということにして、少し端折って先に行くことにする。自分が歩いているこのコースはポピュラーなコースなので、ネット情報もあふれているし、より最近のワタスゲ情報もわかるだろう。私情優先の本記事よりもすんなりと芳ケ平に行き着ける。と記しながらも、後で読み返すと、端折ったのは帰路の行程だけだった。
(ハイキングコースも普通の山歩きコースになった)

(大岩。これは帰路で撮影したもの)

遊歩道が狭くなって「大周り」の標識。以前はここまで作業用の車が入っといたのだろう。先行氏はカメラを空に向けて撮っている。深緑と青空のセット撮影かと思うが、自分にはさほどに珍しい風景でもない。東京者だろうか。それはともかく、ここでカーブしているから大周りなのだろうが、実は右から迂回するだけの小周りだった。ここでようやく半分を過ぎたようで、芳ケ平までは3.1kmとなった。
歩道が狭くなっても階段はついているから、歩幅は合わないが楽なことは確か。周囲はササに覆われ、このササは芳ケ平まで続くことになる。
「大岩」。過ぎてから標識で気づいた。岩というほどのものでもない小岩があった。これが大岩だろうが、振り返って見る限りはスポットして大岩と命名するには?マークになってしまう。過ぎてから写真撮りするにはただの岩のある景色だから、帰りに下から撮ることにする。それなりに大岩に見えるかもしれない。この岩とて、白根山の噴火で飛んで来た由緒あるものだろう。ここで立ち休みして水を一口飲む。時間は9時15分。立ち休みしながらも、ここまで一時間以上は歩きっぱなしだった。最近の歩きからしては快挙だ。今のところ、足やら腰の痛み、ゼーゼーもなく、ヒルもアブも蚊にもやられていない。この辺から風が出てきて、心地よい歩きになったが、汗が引くことはなかった。
「一本松」。あと2.5km。どこを探してもその名に値する松の木は見あたらない。松の木を探すこと自体が体の良い立ち休みの理由にはなった。風があっても暑い。手拭いはすでにびっしょりで、メガネのレンズにも帽子のすき間から汗が落ちてくる。先行者の姿はすでに見えなくなった。
今日は草津観光公社のHPで見た歩道のイラストマップを持参していた。この地図には沿道の草花が記されていたので柄にもなく持ってきたのだが、これによれば、一本松までの間でギンリョウソウとシラタマノキ、ハクサンシャクナゲを見ることができたらしい。いずれも気づかなかった。草花に強い方なら、小さな花でも目ざとく見つけたろうが、こちらは大きくなきゃ気がつかない。ギンリョウソウとシャクナゲくらいは知っているから見ておきたかった。もっとも、シャクナゲだったらすぐにわかるから、すでに花は落ちたのかこれからなのか。マップでは、この先には三種ともに存在せず、代わってサラサドウダン、イワカガミ、ゴゼンタチバナが配置されている。おそらく見ることができたとしても、取りあえずは写真撮りして、家に帰ってから、花の名前を特定する作業になる。何度見ても、草花の知識は頭の中に入らずに通過する。
(樹林帯から抜けて。かすかに赤いのが見えた)

(アップで。何の花だろう)

(アサギマダラかと思う。後でみー猫さんからメールをいただき「キモンガ」では?とのこと。調べると、どうもそうらしい)

(石仏)

一本松の先からは樹林帯の歩きから開放され、シラビソが出てきて、雰囲気が良くなり、歩いていても、涼しい風が流れてきて気持ちが良い。この感じが東北の山を歩いているかのような気分になるわけだ。ただ、陽をさえぎるものがなくなり、直射を浴びて暑くなる。
石仏が一基、ポツンとあった。弁財天。山の置物としては珍しい。年代はその場で特定できたが、後で撮った写真を見直すとはっきりと読み取れない。忘れてしまった。古い年代ではなかった。明治だったかも。
白い花が目に付くようになった。まずはゴゼンタチバナ。この先にずっと続いて咲いていた。いつもなら、ただの白い花が並んで咲いているなぁで通過し、何という花なのか思考する段階には達しない。花マップを持ってきたばかりに意識している。そして、線香花火のように放射線状の花。これを調べるのには苦労した。木の名前のようだがモミジカラマツというらしい。図鑑は持っていても、調べる術を知らず、結局はネット頼りでこの花かなとなってしまったが。
(橋から毒水川下流)

橋が二つ続いた。下を沢が流れ、先の標識には「毒水」。草津の湯は酸性だ。この沢水も酸性なのだろう。だから毒水というわけか。沢の名前も毒水沢となっている。この沢が先で常布の滝となる。芳ケ平までは2.4km。一本松から100mしか歩いていない。河原の石に腰かけて一服したいが、いったい自分がどれほどの遅速で歩いているのかさっぱりわからない。登山口から1時間8分経過している。標準タイムはいかほどか。『山と高原地図』を確認すると、この先の「横笹」までが1時間40分になっている。そのまま先に行く。
(石がごろごろしてくる)

(大平湿原分岐の標識)

階段を登って行くと、大平湿原への分岐。標識にスポット名はないが、ここが横笹らしい。1時間20分か。20分ほど短縮してはいる。休める手頃なところを探す。不思議にこの遊歩道にはベンチがなく、腰かけ石もない。休憩はヒュッテまで我慢できなくもないか。
この大平湿原、どんなところなのかは知らないが興味はあった。ピストン歩きではつまらないと、帰路に立ち寄るつもりではいるが、周回を加えたとしても、結局はここに戻って来ないといけない。そのあたりの歩き方の面白みが欠ける。『山と高原地図』の付録には、紅葉がきれいそうな写真が載っている。その時期でもいいかと、現時点では、帰路にその気があったらということにしておくが、湿原よりも常布の滝への踏み跡が気になる。両方の探索は無理。
(半端ではあったが、ここで樹林帯から抜ける。先のカラっとした風景に期待した)

(やはり、いい感じの風景。ヤブ越えしてあっちに行きたくなる)

視界がさらに広がり、トゲのある紫の固まりが目に付いた。これはただの開花前のオニアザミのようだ。
前にも後ろにもハイカーはいない。いつもならまとわりついてうっとうしい羽虫や蚊、アブも依然として現れない。聞こえてくるのはカッコウの鳴き声だけ。自然に歩きも緩やかになり、ヘタな写真撮りに時間がかかる。袋状の花が現れる。これはアカモノだろうか。続いてツマトリソウ。これはあまり続かず、アカモノがしつこく続く。そのうちに芳ケ平1kmの標識が出てきた。もう惰性で歩いて行ける距離だ。おそらく、ワタスゲの群落地は新聞に出たくらいだから少しは混んでいるだろうが、わざわざ草津の方から歩いて行くハイカーが何と少ないことか。その分、いろいろと余計な詮索もせずにのんびりと歩ける。ゴゼンタチバナとモミジカラマツが続く。
(桜清水)

(奥の山並みは知らないが、いい感じだ。紅葉の時季ならもっときれいかもと思っても、植生からして見事にはならないような気がする)

(このピークに向かう明瞭な踏み跡があったからそちらに行くのかと思ったが、そちらには向かわずに左に行くことになる。地図を見てもそんなコースはなかった。遠回りルートだと知っていれば、敢えてあのピークに登った。ただ、続く道はなかった)

次の標識も、芳ケ平1kmとなっている。あれから100mは歩いている。こういうことにぴりぴりしていてはせっかくのハイキングもつまらないものになる。あまり気にしないようにする。そして、細い沢。おそらくは池塘から流れ出した水だろう。雰囲気も高原状になり、ペンキの落ちた標識が置かれている。文字の窪みを読み取ると「桜清水」。清水としながらも、飲むにはかなりの抵抗がある。ただ清水といている以上は、湧き水なのかもしれない。ここにベンチがあり、腰かけて数分休む。ワタスゲはこれからだが、今日はここを選んで正解だったといった気分が続いている。
(親切な階段が続く)

(草津の街並みだろうか)

(とにかく、こんな中を歩いているのは気分が良い、急だったらバテている)

(同じく)

(さらに同じく)

これも白根山の噴火によるものだろうが、部分的に大きな石が集積しているところが視界に入るようになり、やがてようやくイワカガミが出てくる。いくら花音痴でもこれぐらいはわかる。このイワカガミ、しばらく道沿いに咲き、また歩行がのろくなった。我ながら飽きないのが不思議だ。サラサドウダンはどこにいるのか。しばらくアカモノをサラサドウダンと勘違いしていて、そこいら中に咲いていると錯覚していた。結局、見ることはなかった。
ここまで記して読み返す。まったく自分流の文章になっていない。何も知らない人間が、花の名前をゴチャゴチャと記したせいだ。自分には花が似合わないのだ。よほどに削除して書き直そうかと思ったが、せっかく時間をかけて調べたのだから残した。こんな文章を二度と書くことはあるまい。そもそも、サラサドウダンにしても、実は見ていたかもしれない。また、気づきもしない高山の花がかなりあって、素通りしただけの花もあったろう。つまり、いくら頑張っても、自分には草花の写真は出せても文章は書けないということに尽きる。
(高台に出た)

(草津白根山方面。小さな雪渓が見える)

(そしてこちらにも雪)

ようやくヒュッテまで200mの距離になった。まだまともには休んでもいないし、一服もつけていない。ヒュッテで休もう。このあたりは階段の存在は嫌味感もなく、ゴツゴツした岩も加わり、自然庭園の雰囲気になっている。標高はすでに1800mに近く、白根山の山腹には、雪渓と言うには大げさだが、残雪の塊が見える。
ハイキングコースにも残雪があった。まさかとは思ったが、この雪もあと数日だろう。上に乗って4~5歩は歩けた。足を強く押したらミシッと音がした。
(草津白根山分岐)

(ここまで来て興ざめな道路)

(白根山アップ)

(芳ケ平ヒュッテ)

相変わらず、花を見ながら行く。こんな歩きはこれまでの四十年の歩きでも初めてだろう。以前も以降もない。花見歩きと写真撮りは体の良いノロ歩きの理由になることを改めて知った。左に幅広の道、つまりは砂利道が分岐。標識は「白根」となっている。元より白根山を意識はしていなかったから事前調べもしなかったが、山頂の湯釜から1km以内は入山規制されているのではなかったろうか。この砂利道には、ロープも警告看板もない。砂利道をそのまま行くと、橋を渡って芳ケ岳ヒュッテに到着。登山口から2時間25分。コースタイムが2時間40分。だらだらと写真撮りとメモなんかもしていたし、この時間は上出来だ。落胆せずに済んだ。
(芳ケ平はすぐそこということも知らずに休んでいる)

このヒュッテで嫌な物を目にした。現役のトラック。つまり、砂利道はヒュッテの荷物運搬用の道だったわけだ。トラックを目にして休むのも嫌だし、もっとも、手頃なベンチもなかったので、ヒュッテの先の道端に石を見つけて座り込んだ。お腹も空いていたので、おにぎりを食べ、ようやくの一服。風は一時的に止み、やたらと暑い。手拭いは二本目を出した。目の前を5人グループがヒュッテの方に去って行き、逆方向から女性、男性の単独さんが前後してやって来た。オレの後ろを歩いていたのだろう。
腰を上げて芳ケ平に向かった。わざわざ足を投げ出した無様なスタイルで休むまでもなく、すぐに一面ワタスゲの世界が視界に入りこんだ。芳ケ平の入口カーブで休んでいたわけだ。
(最初に目にしたワタスゲ)

(以下、芳ケ平のワタスゲ1)

(芳ケ平のワタスゲ2)

(芳ケ平のワタスゲ3)

(芳ケ平のワタスゲ4)

(芳ケ平のワタスゲ5)

(芳ケ平のワタスゲ6)

(芳ケ平のワタスゲ7)

(芳ケ平のワタスゲ8)

(芳ケ平のワタスゲ9)

(芳ケ平のワタスゲ10)

(芳ケ平のワタスゲ11)

(芳ケ平のワタスゲ12。もう十分だろう)

芳ケ平湿原をゆっくりと周回。もちろん木道歩きになっている。20人くらいはいたろうか。意外と少ない。軽装の方は渋峠からだろう。これまで、ワタスゲそのものに大した興味はなかったが、これだけ群生していると、やはり見ごたえもあって、上毛新聞の記事に気づいてよかったと思う。たまにワタスゲに混じって青い花を見かける。これはヒオウギアヤメらしい。これまでなら、トリカブトかただのアヤメにしてしまう。今度見たらまたトリカブトに戻る。
ベンチが空いたので腰かけてしばらく眺めた。この芳ケ平湿原、渋峠から下るのはさも邪道のように記したが、峠から見るこの湿原の風景は素晴らしいものであることを後で知った。紅葉がきれいならさぞ見ごたえのある風景が広がっているはずで、その際は横手山も含めて歩くことにしようか。幸いに横手山には行ったことがない。ただ、横手山そのものの紅葉はどんなものなのか。ネットで調べる限りは「素晴らしい」としながらも、これを撮ったいくつかの紅葉の光景はさほどのものでもなかった。
(下る。本日の課題がまだある)

十分に満足して下る。ついでに白根山方面に行きたい気持ちもあるが、課題があと二つ残っている。常布の滝と嫗仙の滝。嫗仙(「おうせん」または「おおせん」)の滝は観光滝だろうが、草津に来たからには見ておきたい。草津に来ることは滅多にないし。
ピストンの歩きだし、改めて下りの描写を長々と記しても致し方ない。芳ケ平に向かう方4人ほど、ヒュッテに泊まる様子の3人とすれ違った。日帰りならともかく、明日の天気、午前中は確実に雨だ。宿泊者はどうするのだろう。
(往路では気づかなかった石仏。大平湿原分岐にあった。楽器は持っていないが、ヘアースタイルからして、これも弁財天だろう。何か弁財天の因縁でもあるのだろうか)

帰路のことは、かいつまんで記すことにする。大平湿原には結局、寄り道はしなかった。紅葉の時期に回そう。
(毒水沢上流の景色。これだけなら、簡単に行けそうだが、後でネット記事を調べると、温泉に行き着くまでは滝があったりで厳しく、ヘルメットも必要なようだ。オッサンはヤワだなと思ったがとんでもなかった。温泉で汗を流しても、戻りは冷や汗を大量にかくことになりそうだ。

例の毒水の河原で休んでタバコを吸おうとしたら、休んでいるオッサンがいた。残念ながらタバコは控えた。雑談を交わした。オッサンはこれから芳ケ平に向かうのかと思ったら、ここが終点で、ここから下るとのこと。話が飲み込めない。釣り竿を持っているわけでもなく、そもそも、こんな酸性の強い沢に魚がいるわけがない。きょとんとしていると、説明してくれた。この毒水川の上流に天然の温泉があって、そこに友人と行く予定でいたが、友人はドタキャンになってしまった。ついては一人でやって来はしたが、沢の一人歩きはどうも不安で、ここに至って温泉はあきらめて帰ることにしたとのこと。滝のことがなかったら、じゃ、私も行きましょうかとなるが、そうもいかない。
話の延長で常布の滝の話になった。様子を見に行くと言ったら、さっき出会った方が常布の滝まで行ったと言っていたとのこと。もちろん単独。今日のことだ。その方とはおそらく、途中で出会っているはずだが、それらしき方がどなただったのか見当もつかない。特定できていたら、かなりしつこく情報を聞きたかった。オッサンとはそのまま別れて先に下る。
(常布の滝のゲート越え直後。写真写りは悪いが、まだ踏み跡は明瞭だった)

(次第に薄くなる。写真では判別がつかなくなっている)

(この窪地が旧歩道だとすれば、ヤブでも構わないのだが)

(ここで行き詰まる。テープはこの先で大迂回の左についていた。あっという間に探索は終了した)

続いて常布の滝のこと。バリケードを越えて旧遊歩道に入り込む。後で調べると、3年前に土砂崩れで閉鎖されたとのことだが、昨年の台風19号もあって、さらに壊滅的な状態になったことは想像できる。それにしても、この3年の間にここまでヤブに復帰するとはすごいものがある。元々、谷を下って滝を見に行く人もあまりいなかったのだろう。
最初のうちはまだ覆われたササの下に明瞭な踏み跡が確認できたが、そのササも次第に高くなり、踏み跡もあちこちに跳んで不明瞭になった。頼りは間隔が短く付けられたテープだが、テープそのものが色落ちして古い。このテープが外れてでもいたら、歩く手がかりはなくなる。現に、先で180度の転換をしたりしていた。そのうちに、ササの枝が跳ね返って顔に当たったり、いろんな下枝が足に巻きついてもつれるようになった。もちろん、踏み跡も定かではなくなっている。これ以上の探索は断念した。もう少し我慢すれば、歩道の名残に出会えたかもしれないが、その先が安泰とはいえまい。いずれにしても、一人で滝に向かう自信はまったくなくなった。強力な助っ人の同行でもなければ、常布の滝に行くことはあるまい。せめて好き者が三人もいれば、騒ぎながらのルーファンを楽しめるかもしれない。二人ではすぐに口数も少なくなりそうだ。遊歩道に戻ると、下半身は真っ白になっていた。
(改めて常布の滝。この滝よりも、霧降の滝上段の方が手っ取り早い気がする。ヤマビル覚悟だろうが)

ついでだが、往路で見た「右に分岐する明瞭な道」に入ると、ただのショートカットで、すぐに滝の展望スポットへの道に合流した。せっかくだから改めて滝の見物になった。
(登山口に戻る)

(思っていたように車道歩きは長く感じた)

(橋から見下ろした谷沢川。沈殿池のようだ)

(駐車地に戻った)

登山口に戻った。さすがに下りは長く感じ、足の裏も痛くなっていた。車道の縁石に、例の毒水で出会ったオッサンが腰かけて休んでいた。どうでしたか?と聞かれたが、正直に答える。すぐに追い返されたのを恥じてもしょうがない。このオッサン自身も常布の滝には行ったことがないと言っていた。秘境の温泉には興味があっても、滝の趣味はないのだろう。この時点では、毒水沢の入口を見る限りは単独の遡行に問題があるようには見えなかったのだが。
駐車場に到着。かなり暑くなっていて風も吹いていない。駐車場は八割方埋まり、スキー場の遊園地は子供連れで混んでいた。ふだんの土日の草津の風景に戻ったようだ。汗を拭い、履き替えるのも面倒くさく、地下タビのままで嫗仙の滝に向かう。途中で湯畑の近くを通った。最寄りの駐車場は満車状態で順番待ちになっていた。
(芳ケ平の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
※出会った花たち
花の名前くらいは入れようと思ったが、まったく同じ花なのに、最終的に元ネタにしたネット記事ではそれぞれに三種の別名になっていたりしているので、恥の上塗りはしたくもない。写真の羅列だけにしておく。同じ花も繰り返しで出している。なお、最後の花はギンリョウソウかと思う。帰路で常布の滝の調査から歩道に戻り、地べたに座ってタバコを吸った際にたまたま足元で目にした。実は、この歩道の入口近くに群生があったらしい。同日に歩いた方のヤマレコ記事にそうあった。おそらく、自分は反対側を歩いて気づかなかったのだろう。
















【嫗仙の滝】
この滝、行くのに失敗した。ナビに「おうなのたき」を入れると出てきたので目的地とした。くねくねした林道を走らされて到着したところには滝の看板すらなく、駐車スペースもない。あるのは沢寄りのヤブの空地で、そこはガードレールが切れてはいるがロープで閉ざされている。観光滝でこんなことはあり得ない。さらに先に進むと、ナビ地図の沢からどんどん離れていった。
今度はスマホのGoogleマップを使った。これにも嫗仙の滝はすぐ出てきた。目的地からは点線が嫗仙の滝に向かって記されている。これを見れば、だれしも点線を歩けば滝に行けると思う。車を反転させてそこに向かうと、何ということはない。車ナビと同じところに着いてしまった。
ここでようやく地図を広げた。駐車場は沢をはさんだ反対側だった。近くに創価学会の施設があったのでそこにセットし直しして向かう。直線で行けるわけがない。途中に橋はない。一旦、また町に入って山に向かう。6kmは走った。地図も見ないでナビ頼りで行った己が悪い。
(まずは案内図の看板)

(滝歩道の入口)

駐車場には他に2台。人は出払っている。実はこの嫗仙の滝、よく調べないで来ている。観光滝だと甘く考えていた。勝手が違うなと思ったのは入口に「上級者向き」と記された看板があったこと。それでも、まだ舐めている。観光客には上級者向けとするのが常だ。
それ以上に気になったのが、駐車場に設置された「嫗仙の滝案内図」看板。これを見ていてあれっと思ったのは、さっき間違って車で行ってしまった対岸のロープ張りの空地。案内図では、滝への遊歩道はそのまま滝のある小雨川をまたいで対岸に上がるようになっている。もしかしたら、あのヤブの空地につながっているのではなかろうか。小雨川に出てから対岸を見てみたが、それらしき道は見えなかった。廃道になって久しいのだろう。
(この辺はまだよかった)

(ここまではの話)

(いきなりの急下りになった)

(帰りが気になってそれどころではなかったが、名物のコナラの巨木らしい)

歩道はどんどん下る。途中からジグザグの急斜面になった。ロープがあるから安心ではあるが、肝心の沢音がしばらく聞こえてこなかった。これでは、戻る時にえらい思いをするのではないのか。後で調べると、駐車場と滝下の標高差は190mほどあった。
途中で2ファミリーと出会った。それぞれに帰るところで、山歩きスタイルではない。しんどそうな顔をしていなかったのが不思議だった。まぁ、これで車2台分がいなくなり、一人で楽しめるということだ。
(ようやく沢に出た)

(下流、ナメの流れ)

(そして、嫗仙の滝が見えた。滝つぼまで行くなということだったが、だれもいないのでつい行ってしまう)

(この滝の特徴は茶色の地肌にあるのだろう)

(左右の色の違いもさることながら、岩壁に甌穴があるというのも珍しい。アジの開きに見えなくもない)

(滝つぼ。かなり水をかぶっている)

(落ち口。水しぶきで撮っているのも限界。滝から離れる)

(嫗仙の滝。明るく撮り過ぎた)

(アップ)

(下流のナメ)

(名残惜しい滝だった。下の緑の塊りが最後まで邪魔だった)

この嫗仙の滝、これまでに何度かネット記事で見かけたが、一度見れば、その容貌を忘れることはない。初めて見る滝ではないような気がした。その特徴をうまく表現はできないが、極めて滝らしく、妙な雰囲気が漂う滝であったとしか記しようがない。落差はまちまちで、25mだったり35mとあったりする。その中間値が妥当かもしれない。
滝つぼに行き、見上げてカメラを向けたら、もろに飛沫を浴びた。早々に逃げて下流に向かうと、3人ファミリー。パパは一眼で滝を撮っていた。まったく気づかなかった。パパにはオレの姿が邪魔だったことは想像できる。悪いので、下流のナメの写真撮りに転じた。
(かなりしんどい戻り)

(手前から登って来た。「少し楽」の左から回る)

(合流して)

(息も絶え絶えに駐車場)

予定ではここでおにぎりを食べ、ゆっくりと一服するつもりでいたが、なかなか帰らないファミリーがいたのではそうもできなくなり、先に上がることにする。
芳ケ平で散々に歩いた身体には、この帰路の登りがとてつもなく地獄に感じた。さっぱり先に進まない。立ち休みばかりしている。そのうちに、ファミリーが上がって来た。少し広いところに腰かけられる石があったので、もはや食べたくもなくなっていたおにぎりを無理に食べて時間を稼ぎ、先行してもらう。スカートを履いた娘とスリムそうなママはさっさと登って行き、パパは少し重い足取り。それでもオレよりはマシな歩き方をしている。
途中から「少し楽」とある迂回路を使ったが、それでも下りで20分、登りで30分費やしてしまった。当然、ファミリーの車はすでにない。山では200mlの水しか飲まなかったが、この滝の登りで300mlも飲んでしまった。そういえば、沢が流れているのに、ここにはアブがいなかった。
草津に来たからには立ち寄り温泉経由というのが常套かもしれないが、自分はいくつかの理由で、基本的には立ち寄り風呂は積極的にはなれない。風呂が嫌いということではなく、状況によってはどうしても寄りたくなることもある。
まず、風呂に寄れば、その場はすっきりしても大汗をかいて何だかベトベトになることが嫌だ。まして蒸し暑いこの時期だ。そして、そもそも、自分の感覚として、温泉は泊まってゆっくり何度も気の向くままに浸かりたいところと心得ている。風呂上りはのんびりと横になって冷たいビールでも飲む。まずい料理を食べてもう数杯。朝起きたら、さっさと風呂に行く。その自由が立ち寄りではできないのがもどかしいのだ。以前は気軽に日帰り湯に寄り、生ビールを飲み、しばらくごろ寝してから帰るパターンを続けていたが、今はそうもいかない。酒気帯びだけで新聞に名前が出る。
今日はたっぷり汗をかいた。駐車場にはだれもいない。乾いたタオルで身体を拭き、下着も含めて着替えをしてさっぱりした気分になった。頭は汗で臭いがこれで結構。だれに会うわけでもない。
今日は一日楽しんだ。ワタスゲもさることながら、アブ、蚊、ヒル、ダニの類にまったく関わりがなく歩けたことが一番だ。一匹でも遭遇していたら、ずっと不快な歩きになったろう。
帰路、混んでいたのは湯畑ばかりではなかった。時間的に行楽地からの帰り時間だ。県道でも国道でも車の流れは鈍い。高速は区間的に短いから問題はないが、車の量は多かった。緊急事態宣言を解除したものの、東京の新型コロナ感染者は連日50人以上になり、その年代も若年層が中心になりつつある。キャバクラ、カラオケであっ気なく感染し、埼玉県の知事は東京で飲食をするなと呼びかける始末だ。
東京方面のナンバーの車が群馬辺りを走っているのを見かけると、内心のところ来ないで欲しいなと思ってしまう。新型コロナもこれからどういう展開になるのだろう。日本は第二波に向けての小康状態を装ってはいるが、世界中で蔓延が続いている。特効薬はいつになったらできるのか。できたとしても、すぐに使えるわけもない。毎年のインフルエンザの予防接種すら、年齢別で順番にしたり、病院の通院患者以外は受け付けなかったりする始末だ。
実は、一月に、四月の旅行の予約を入れていた。これがコロナの影響で六月に延期した。それが昨日の出発だった。もっとも、搭乗予定の飛行機は運休になっていた。さらに今回もキャンセルして台風の季節が過ぎてからということにしているが、半年近く先で収まっているという保証はまずないだろう。
草津温泉スキー場駐車場(8:06)……登山口(8:15)……香草・常布の滝展望地(8:48)……毒水(9:23)……横笹・大平湿原分岐(9:36)……桜清水(10:06)……芳ケ平ヒュッテ(10:39)……休憩(10:41~10:53)……芳ケ平周回(10:54~11:25)……芳ケ平ヒュッテ(11:25)……毒水(12:14)……常布の滝廃道入口(12:35)……登山口(13:21)……駐車場(13:29)
15日に松井田でヒルにやられて10日以上も経つのに、かじられた二か所の痕は小さなカサブタで残り、腫れたりツユが出たりはしていないものの依然として痒さは残っている。痒みは忘れた頃に集中して襲ってくる。特に風呂上りやら日中の暑い時。都度に抗ヒスタミン剤の軟膏を塗るのも面倒になり、その場しのぎにキンカンを塗って痒みを押さえていた(痒みが消えたのは二週間後だった)。ヒルに噛まれるとこういうことになるのか。しばらくは沢歩きもやめておこうかと、27日は山の歩きをする予定でいた(山とてヤブはこれにマダニが加わって危険ではあるが)。そんな中で26日の上毛新聞を見ると、芳ケ平のワタスゲが見頃を迎えたという記事が目に付いた。予定していた山は敢えてこの時期に登る必要もなく、先送りして旬のワタスゲを選ぶことにした。
(上毛新聞の記事)

芳ケ平は中之条町ということになってはいるが、自分の地理的な感覚としては草津町になってしまう。花に執心があるわけでもなかったが、以前から、芳ケ平自然遊歩道のコース上に常布の滝の展望地と滝への入口があることは知っていて、記事を見て、ついでに滝入口の調査もしてみたくなった。元より滝まで行くつもりはない。調査だけ。あくまでもワタスゲ見物が主目的。
草津に向かう途中、当初予定にしていた山が見えた。長野原町の山だ。丸岩。実に奇怪な山容をしていて、『子連れ狼』の大五郎の頭を思い出す。これもまた上毛新聞の記事を見て行きたくなっていた山だが、意識して現物の山を車窓から眺めると、やはり近々に行かなきゃならない気分になる。山の景観とは違ってマイナーな山だ。
草津は遠い。高速の便が悪く、渋川インターから長い一般道になる。松井田も遠かったが、家を出て2時間半かかった。駐車予定の草津温泉スキー場の第四駐車場はすぐにわかった。車が10台もなかったが、その多くがハイカーとは限らない。すでに東京ナンバーも目立つ。二人連れ、単独氏が登山口の方に歩いて行った。芳ケ平のワタスゲだけが目的なら、わざわざここから歩かずとも、渋峠から下る楽チンコースがある。単純標高差は340mだ。
念のため、地下タビに今回は新たに導入の<ヒル下がりのジョニー>を吹き付けた。これまで使っていた<ヤマビルファイター>もそうだったが、逆さにしてスプレーできないのが難点だ。ついでに、全身に自分で調合したハッカ油スプレーをかける。一時しのぎかもしれない。草津とはいえ、朝から暑いし、風も流れていず、陽射しは強い。汗で流れ落ち、何度も吹き付けることになるだろう。
(登山口というかハイキングコース入口)

(出だしからなだらで歩きやすい道。こんなところをしばらく行く)

登山口はすぐかと思ったが、車道をしばらく下った左手にあった。ここからの帰りはちょっとした登りになるから、疲れた身体にはきつく感じるかもしれない。登山口に立ちはだかるように車が横づけされている。別に規制はないからとやかく言えないが、こういう置き方はどんなものだろう。まして他県ナンバーのワゴン車だ。群馬県民としては図々しいヤツだと思ってしまう。
平坦なハイキングコースが続いていた。ラッキーだ。地形図を見て予想はしていたが、芳ケ平までは緩やかな登りになっているようだ。ほっとした。結局、一部、本当に若干の急なところはあったが、至っておだやかだった。ただ、後で気になったのは、地形図では登山道入口の標高が1250m弱で最高点の芳ケ平ヒュッテは1803m。その後は芳ケ平平坦地の周回なのに、カシミールの標高グラフでは累積標高が1000m近くになっていて、500mも違うのはどういうことなのか。寄り道してもうんざりするアップダウンはなかったし、ここはカシミールの数値は信用できかねる。ただ、往復の歩行距離は14kmになっていて、これは相応かと思う。ピストンだったからか余計に長く感じた。
ここで自分の無知をさらすことになる。これまで、草津よりも軽井沢の方が標高が高いと思っていた。だが、役場の標高は草津が230mも高く、草津町役場の標高1171mは町役場としては日本一だそうだ。後で知ったこと。それでいて軽井沢の方が涼しく感じるのは湿度の違いだろうか。
幅広のハイキング道を行く。最初のうちは一部陥没部分もあって気をつかったが、概ね広くて歩きやすい。100mほど先を単独氏が歩いている。ほぼ自分と同歩程だ。振り返ると、ハイカーの姿は見えない。自分には極めて理想的なスタイルの歩きだ。まだ8時半なのにすでに下って来るオジサンがいた。芳ケ平ヒュッテにでも泊まったのか。
こんなゆるやかな登りでも汗は容赦なく流れ出す。周囲は広葉樹が続いている。シャツの首の周りはすぐに汗で濡れ、下着もベットリとなった。シャツの裾を外に出したいが、虫刺さされを考えれば、まだ安心はできない。今のところ、蚊も羽虫も寄ってこない。
ここを歩くのは初めてだ。歩きながら、何となく東北の山を歩いている錯覚になった。ことに船形山のコースに似ている。この印象は、芳ケ平が近づいてさらに強くなった。つまり、上ほどに高原状のきれいな風景が広がっているということ。
すでに1kmは歩いただろうところに標識があって、そこには「芳ヶ平5.3K」とある。反対側は「草津1K」とあるから、この草津は登山口のことかと思う。それにしても往復13km近くになると、いくらゆる歩きでも長過ぎる。ここのところの歩きではしばらくご無沙汰の距離だ。これを見て少し気力が失せてしまった。果たして歩き切れるだろうか。これは謙遜でも何でもない。正直な気持ちだ。
(屋根だけの石祠)

(蟻の塔渡り)

屋根だけ残った石祠があった。いつのものかは不明だが、ここは古道だったのだろう。白根神社の奥宮に続く道だったのか、あるいは渋峠越えの信州に至る脇街道だったのかはわからない。
続いて「蟻の塔渡り 通行注意」。意識もしなければただの尾根歩きだが、確かに左右は急斜面になっていて、ことに進行右側は落ちたらかなり下まで転落しそうだ。「戸渡り」ではなく「塔渡り」であることがやさしさを感じる。このままでも危険は感じないが、親切にも両サイドに手すりが設けられている。
そして来た方向には「谷沢原を経て草津2.5km」。はて? 谷沢原という地名には気づかなかった。それらしき原っぱもなかったし、分岐もなかった。<山と高原地図>を広げる。「谷沢川第二砂防ダム」というのはあった。その近くのスポット、もしくは地名か。次は左に立入禁止のガード。こういうのを見ると、どこに行くのか気になるが、地図を確認する限りはわからず、おそらく、砂防ダム関係の作業道かと勝手に解釈する。
(路肩が溝状になっていて、このコースの強いて記せばの難点だ。もう終わったかと思ったら、また出てきた。一瞬だが)

(常布の滝展望地へ)

(展望地から。肉眼でもこの程度にしか見えない距離感だ)

(アップして)

(さらにアップ。自分のカメラではこれが限界)

前方を歩いていた単独氏が右手から突然出てきた。ここでコンニチワになったのだが、用足しでもしていたのかと思ったら、標識の右手方面は「常布の滝 落差70m」とあった。ここから滝まで行けないことは知っている。あくまでも展望スポットだ。取りあえず寄る。むき出しの垂直の大きな岩盤の左側を落ちている滝、あれが常布の滝だ。細いながらも水流には勢いがある。ここからでは上半分くらいしか見えていず、遠過ぎる。滝周囲を遠望する限りはかなりの傾斜を下らないと滝の間近には行けないようだ。果たして、そんなところに遊歩道が通っていたのだ。
(案内図)

元に戻ると、「渋峠草津探勝歩道案内図」看板があって、常布の滝までは破線が記されている。破線の意味は「歩道」で、今歩いている芳ケ平方面への実線は「探索歩道」の扱いだ。芳ケ平から白根山までも破線の歩道になっている。これを見る限りでは常布の滝まで行けるのではと単純に思ってしまうが、それは昔のことで、事前に調べたネット記録では歩道どころか、かなりの危険を伴うコースになっているようだ。標識には気づかなかったが、ここが「香草」というスポットらしい。
(ここが滝への以前の遊歩道入口らしい。右の看板は板書書きもないのっぺらぼうだった)

(だが、裏に回るとこう記してあった)

すぐ先に、右に分岐する明瞭な道を見て、これを行けば常布の滝に行けるのかと思ったが、今、その調べで体力を消耗したくはない。今日の目的は芳ケ平ワタスゲで、滝は第一にしたくともあくまでもついでだ。帰りに入ってみようと先に行くと、バリケードがあって、「このコースは上級者向コースです 岩場が多く滑りやすく危険な為 登山に自信のない方はご遠慮下さい 群馬県草津町」の注意看板が置かれていた。ここが常布の滝への入口か。その脇に無地の看板があり、気になって裏を見ると、「常布の滝遊歩道入口 草津町」とあった。注意書きがいくつか記されていて、「経験を要する」、「自己責任」の言葉が入り込んでいる。この看板そのものは古くはない。ただ、最近まで「遊歩道」として存在していたことだけは確かのようだ。バリケードの先はうっすらと踏み跡のあるササに覆われたヤブ。古い赤テープが先に見えている。その先は帰りに覗いてみよう。気になるのは、遊歩道入口の看板を撤去することなく、手間をかけて裏返しにした観光行政に何か意図でもあるのか。だとしたら、遊歩道を整備すればよいのにと思う。もしくは、そのつもりでいるのか。普通の感覚なら、町が観光の目玉にもなる「日本の滝百選」への道を荒れ果てた難路のままにしておくわけがない。ちなみに、遊歩道は「コース全長0.72km 片道30分」とあった。往路は下りになるから、復路に時間がかかったとして一時間半もあれば戻って来られるタイムだ。それも整備された遊歩道になっていればという前提だ。時間的に30分は、後で寄る嫗仙の滝に10分プラスの距離だ。
ここまでダラダラと標識ごとに記している。それも常布の滝にこだわったからだが、これでは芳ケ平のワタスゲになかなか出会えない。常布の滝の入口を確認しただけでも、この時点では十分。後は帰路での調査ということにして、少し端折って先に行くことにする。自分が歩いているこのコースはポピュラーなコースなので、ネット情報もあふれているし、より最近のワタスゲ情報もわかるだろう。私情優先の本記事よりもすんなりと芳ケ平に行き着ける。と記しながらも、後で読み返すと、端折ったのは帰路の行程だけだった。
(ハイキングコースも普通の山歩きコースになった)

(大岩。これは帰路で撮影したもの)

遊歩道が狭くなって「大周り」の標識。以前はここまで作業用の車が入っといたのだろう。先行氏はカメラを空に向けて撮っている。深緑と青空のセット撮影かと思うが、自分にはさほどに珍しい風景でもない。東京者だろうか。それはともかく、ここでカーブしているから大周りなのだろうが、実は右から迂回するだけの小周りだった。ここでようやく半分を過ぎたようで、芳ケ平までは3.1kmとなった。
歩道が狭くなっても階段はついているから、歩幅は合わないが楽なことは確か。周囲はササに覆われ、このササは芳ケ平まで続くことになる。
「大岩」。過ぎてから標識で気づいた。岩というほどのものでもない小岩があった。これが大岩だろうが、振り返って見る限りはスポットして大岩と命名するには?マークになってしまう。過ぎてから写真撮りするにはただの岩のある景色だから、帰りに下から撮ることにする。それなりに大岩に見えるかもしれない。この岩とて、白根山の噴火で飛んで来た由緒あるものだろう。ここで立ち休みして水を一口飲む。時間は9時15分。立ち休みしながらも、ここまで一時間以上は歩きっぱなしだった。最近の歩きからしては快挙だ。今のところ、足やら腰の痛み、ゼーゼーもなく、ヒルもアブも蚊にもやられていない。この辺から風が出てきて、心地よい歩きになったが、汗が引くことはなかった。
「一本松」。あと2.5km。どこを探してもその名に値する松の木は見あたらない。松の木を探すこと自体が体の良い立ち休みの理由にはなった。風があっても暑い。手拭いはすでにびっしょりで、メガネのレンズにも帽子のすき間から汗が落ちてくる。先行者の姿はすでに見えなくなった。
今日は草津観光公社のHPで見た歩道のイラストマップを持参していた。この地図には沿道の草花が記されていたので柄にもなく持ってきたのだが、これによれば、一本松までの間でギンリョウソウとシラタマノキ、ハクサンシャクナゲを見ることができたらしい。いずれも気づかなかった。草花に強い方なら、小さな花でも目ざとく見つけたろうが、こちらは大きくなきゃ気がつかない。ギンリョウソウとシャクナゲくらいは知っているから見ておきたかった。もっとも、シャクナゲだったらすぐにわかるから、すでに花は落ちたのかこれからなのか。マップでは、この先には三種ともに存在せず、代わってサラサドウダン、イワカガミ、ゴゼンタチバナが配置されている。おそらく見ることができたとしても、取りあえずは写真撮りして、家に帰ってから、花の名前を特定する作業になる。何度見ても、草花の知識は頭の中に入らずに通過する。
(樹林帯から抜けて。かすかに赤いのが見えた)

(アップで。何の花だろう)

(アサギマダラかと思う。後でみー猫さんからメールをいただき「キモンガ」では?とのこと。調べると、どうもそうらしい)

(石仏)

一本松の先からは樹林帯の歩きから開放され、シラビソが出てきて、雰囲気が良くなり、歩いていても、涼しい風が流れてきて気持ちが良い。この感じが東北の山を歩いているかのような気分になるわけだ。ただ、陽をさえぎるものがなくなり、直射を浴びて暑くなる。
石仏が一基、ポツンとあった。弁財天。山の置物としては珍しい。年代はその場で特定できたが、後で撮った写真を見直すとはっきりと読み取れない。忘れてしまった。古い年代ではなかった。明治だったかも。
白い花が目に付くようになった。まずはゴゼンタチバナ。この先にずっと続いて咲いていた。いつもなら、ただの白い花が並んで咲いているなぁで通過し、何という花なのか思考する段階には達しない。花マップを持ってきたばかりに意識している。そして、線香花火のように放射線状の花。これを調べるのには苦労した。木の名前のようだがモミジカラマツというらしい。図鑑は持っていても、調べる術を知らず、結局はネット頼りでこの花かなとなってしまったが。
(橋から毒水川下流)

橋が二つ続いた。下を沢が流れ、先の標識には「毒水」。草津の湯は酸性だ。この沢水も酸性なのだろう。だから毒水というわけか。沢の名前も毒水沢となっている。この沢が先で常布の滝となる。芳ケ平までは2.4km。一本松から100mしか歩いていない。河原の石に腰かけて一服したいが、いったい自分がどれほどの遅速で歩いているのかさっぱりわからない。登山口から1時間8分経過している。標準タイムはいかほどか。『山と高原地図』を確認すると、この先の「横笹」までが1時間40分になっている。そのまま先に行く。
(石がごろごろしてくる)

(大平湿原分岐の標識)

階段を登って行くと、大平湿原への分岐。標識にスポット名はないが、ここが横笹らしい。1時間20分か。20分ほど短縮してはいる。休める手頃なところを探す。不思議にこの遊歩道にはベンチがなく、腰かけ石もない。休憩はヒュッテまで我慢できなくもないか。
この大平湿原、どんなところなのかは知らないが興味はあった。ピストン歩きではつまらないと、帰路に立ち寄るつもりではいるが、周回を加えたとしても、結局はここに戻って来ないといけない。そのあたりの歩き方の面白みが欠ける。『山と高原地図』の付録には、紅葉がきれいそうな写真が載っている。その時期でもいいかと、現時点では、帰路にその気があったらということにしておくが、湿原よりも常布の滝への踏み跡が気になる。両方の探索は無理。
(半端ではあったが、ここで樹林帯から抜ける。先のカラっとした風景に期待した)

(やはり、いい感じの風景。ヤブ越えしてあっちに行きたくなる)

視界がさらに広がり、トゲのある紫の固まりが目に付いた。これはただの開花前のオニアザミのようだ。
前にも後ろにもハイカーはいない。いつもならまとわりついてうっとうしい羽虫や蚊、アブも依然として現れない。聞こえてくるのはカッコウの鳴き声だけ。自然に歩きも緩やかになり、ヘタな写真撮りに時間がかかる。袋状の花が現れる。これはアカモノだろうか。続いてツマトリソウ。これはあまり続かず、アカモノがしつこく続く。そのうちに芳ケ平1kmの標識が出てきた。もう惰性で歩いて行ける距離だ。おそらく、ワタスゲの群落地は新聞に出たくらいだから少しは混んでいるだろうが、わざわざ草津の方から歩いて行くハイカーが何と少ないことか。その分、いろいろと余計な詮索もせずにのんびりと歩ける。ゴゼンタチバナとモミジカラマツが続く。
(桜清水)

(奥の山並みは知らないが、いい感じだ。紅葉の時季ならもっときれいかもと思っても、植生からして見事にはならないような気がする)

(このピークに向かう明瞭な踏み跡があったからそちらに行くのかと思ったが、そちらには向かわずに左に行くことになる。地図を見てもそんなコースはなかった。遠回りルートだと知っていれば、敢えてあのピークに登った。ただ、続く道はなかった)

次の標識も、芳ケ平1kmとなっている。あれから100mは歩いている。こういうことにぴりぴりしていてはせっかくのハイキングもつまらないものになる。あまり気にしないようにする。そして、細い沢。おそらくは池塘から流れ出した水だろう。雰囲気も高原状になり、ペンキの落ちた標識が置かれている。文字の窪みを読み取ると「桜清水」。清水としながらも、飲むにはかなりの抵抗がある。ただ清水といている以上は、湧き水なのかもしれない。ここにベンチがあり、腰かけて数分休む。ワタスゲはこれからだが、今日はここを選んで正解だったといった気分が続いている。
(親切な階段が続く)

(草津の街並みだろうか)

(とにかく、こんな中を歩いているのは気分が良い、急だったらバテている)

(同じく)

(さらに同じく)

これも白根山の噴火によるものだろうが、部分的に大きな石が集積しているところが視界に入るようになり、やがてようやくイワカガミが出てくる。いくら花音痴でもこれぐらいはわかる。このイワカガミ、しばらく道沿いに咲き、また歩行がのろくなった。我ながら飽きないのが不思議だ。サラサドウダンはどこにいるのか。しばらくアカモノをサラサドウダンと勘違いしていて、そこいら中に咲いていると錯覚していた。結局、見ることはなかった。
ここまで記して読み返す。まったく自分流の文章になっていない。何も知らない人間が、花の名前をゴチャゴチャと記したせいだ。自分には花が似合わないのだ。よほどに削除して書き直そうかと思ったが、せっかく時間をかけて調べたのだから残した。こんな文章を二度と書くことはあるまい。そもそも、サラサドウダンにしても、実は見ていたかもしれない。また、気づきもしない高山の花がかなりあって、素通りしただけの花もあったろう。つまり、いくら頑張っても、自分には草花の写真は出せても文章は書けないということに尽きる。
(高台に出た)

(草津白根山方面。小さな雪渓が見える)

(そしてこちらにも雪)

ようやくヒュッテまで200mの距離になった。まだまともには休んでもいないし、一服もつけていない。ヒュッテで休もう。このあたりは階段の存在は嫌味感もなく、ゴツゴツした岩も加わり、自然庭園の雰囲気になっている。標高はすでに1800mに近く、白根山の山腹には、雪渓と言うには大げさだが、残雪の塊が見える。
ハイキングコースにも残雪があった。まさかとは思ったが、この雪もあと数日だろう。上に乗って4~5歩は歩けた。足を強く押したらミシッと音がした。
(草津白根山分岐)

(ここまで来て興ざめな道路)

(白根山アップ)

(芳ケ平ヒュッテ)

相変わらず、花を見ながら行く。こんな歩きはこれまでの四十年の歩きでも初めてだろう。以前も以降もない。花見歩きと写真撮りは体の良いノロ歩きの理由になることを改めて知った。左に幅広の道、つまりは砂利道が分岐。標識は「白根」となっている。元より白根山を意識はしていなかったから事前調べもしなかったが、山頂の湯釜から1km以内は入山規制されているのではなかったろうか。この砂利道には、ロープも警告看板もない。砂利道をそのまま行くと、橋を渡って芳ケ岳ヒュッテに到着。登山口から2時間25分。コースタイムが2時間40分。だらだらと写真撮りとメモなんかもしていたし、この時間は上出来だ。落胆せずに済んだ。
(芳ケ平はすぐそこということも知らずに休んでいる)

このヒュッテで嫌な物を目にした。現役のトラック。つまり、砂利道はヒュッテの荷物運搬用の道だったわけだ。トラックを目にして休むのも嫌だし、もっとも、手頃なベンチもなかったので、ヒュッテの先の道端に石を見つけて座り込んだ。お腹も空いていたので、おにぎりを食べ、ようやくの一服。風は一時的に止み、やたらと暑い。手拭いは二本目を出した。目の前を5人グループがヒュッテの方に去って行き、逆方向から女性、男性の単独さんが前後してやって来た。オレの後ろを歩いていたのだろう。
腰を上げて芳ケ平に向かった。わざわざ足を投げ出した無様なスタイルで休むまでもなく、すぐに一面ワタスゲの世界が視界に入りこんだ。芳ケ平の入口カーブで休んでいたわけだ。
(最初に目にしたワタスゲ)

(以下、芳ケ平のワタスゲ1)

(芳ケ平のワタスゲ2)

(芳ケ平のワタスゲ3)

(芳ケ平のワタスゲ4)

(芳ケ平のワタスゲ5)

(芳ケ平のワタスゲ6)

(芳ケ平のワタスゲ7)

(芳ケ平のワタスゲ8)

(芳ケ平のワタスゲ9)

(芳ケ平のワタスゲ10)

(芳ケ平のワタスゲ11)

(芳ケ平のワタスゲ12。もう十分だろう)

芳ケ平湿原をゆっくりと周回。もちろん木道歩きになっている。20人くらいはいたろうか。意外と少ない。軽装の方は渋峠からだろう。これまで、ワタスゲそのものに大した興味はなかったが、これだけ群生していると、やはり見ごたえもあって、上毛新聞の記事に気づいてよかったと思う。たまにワタスゲに混じって青い花を見かける。これはヒオウギアヤメらしい。これまでなら、トリカブトかただのアヤメにしてしまう。今度見たらまたトリカブトに戻る。
ベンチが空いたので腰かけてしばらく眺めた。この芳ケ平湿原、渋峠から下るのはさも邪道のように記したが、峠から見るこの湿原の風景は素晴らしいものであることを後で知った。紅葉がきれいならさぞ見ごたえのある風景が広がっているはずで、その際は横手山も含めて歩くことにしようか。幸いに横手山には行ったことがない。ただ、横手山そのものの紅葉はどんなものなのか。ネットで調べる限りは「素晴らしい」としながらも、これを撮ったいくつかの紅葉の光景はさほどのものでもなかった。
(下る。本日の課題がまだある)

十分に満足して下る。ついでに白根山方面に行きたい気持ちもあるが、課題があと二つ残っている。常布の滝と嫗仙の滝。嫗仙(「おうせん」または「おおせん」)の滝は観光滝だろうが、草津に来たからには見ておきたい。草津に来ることは滅多にないし。
ピストンの歩きだし、改めて下りの描写を長々と記しても致し方ない。芳ケ平に向かう方4人ほど、ヒュッテに泊まる様子の3人とすれ違った。日帰りならともかく、明日の天気、午前中は確実に雨だ。宿泊者はどうするのだろう。
(往路では気づかなかった石仏。大平湿原分岐にあった。楽器は持っていないが、ヘアースタイルからして、これも弁財天だろう。何か弁財天の因縁でもあるのだろうか)

帰路のことは、かいつまんで記すことにする。大平湿原には結局、寄り道はしなかった。紅葉の時期に回そう。
(毒水沢上流の景色。これだけなら、簡単に行けそうだが、後でネット記事を調べると、温泉に行き着くまでは滝があったりで厳しく、ヘルメットも必要なようだ。オッサンはヤワだなと思ったがとんでもなかった。温泉で汗を流しても、戻りは冷や汗を大量にかくことになりそうだ。

例の毒水の河原で休んでタバコを吸おうとしたら、休んでいるオッサンがいた。残念ながらタバコは控えた。雑談を交わした。オッサンはこれから芳ケ平に向かうのかと思ったら、ここが終点で、ここから下るとのこと。話が飲み込めない。釣り竿を持っているわけでもなく、そもそも、こんな酸性の強い沢に魚がいるわけがない。きょとんとしていると、説明してくれた。この毒水川の上流に天然の温泉があって、そこに友人と行く予定でいたが、友人はドタキャンになってしまった。ついては一人でやって来はしたが、沢の一人歩きはどうも不安で、ここに至って温泉はあきらめて帰ることにしたとのこと。滝のことがなかったら、じゃ、私も行きましょうかとなるが、そうもいかない。
話の延長で常布の滝の話になった。様子を見に行くと言ったら、さっき出会った方が常布の滝まで行ったと言っていたとのこと。もちろん単独。今日のことだ。その方とはおそらく、途中で出会っているはずだが、それらしき方がどなただったのか見当もつかない。特定できていたら、かなりしつこく情報を聞きたかった。オッサンとはそのまま別れて先に下る。
(常布の滝のゲート越え直後。写真写りは悪いが、まだ踏み跡は明瞭だった)

(次第に薄くなる。写真では判別がつかなくなっている)

(この窪地が旧歩道だとすれば、ヤブでも構わないのだが)

(ここで行き詰まる。テープはこの先で大迂回の左についていた。あっという間に探索は終了した)

続いて常布の滝のこと。バリケードを越えて旧遊歩道に入り込む。後で調べると、3年前に土砂崩れで閉鎖されたとのことだが、昨年の台風19号もあって、さらに壊滅的な状態になったことは想像できる。それにしても、この3年の間にここまでヤブに復帰するとはすごいものがある。元々、谷を下って滝を見に行く人もあまりいなかったのだろう。
最初のうちはまだ覆われたササの下に明瞭な踏み跡が確認できたが、そのササも次第に高くなり、踏み跡もあちこちに跳んで不明瞭になった。頼りは間隔が短く付けられたテープだが、テープそのものが色落ちして古い。このテープが外れてでもいたら、歩く手がかりはなくなる。現に、先で180度の転換をしたりしていた。そのうちに、ササの枝が跳ね返って顔に当たったり、いろんな下枝が足に巻きついてもつれるようになった。もちろん、踏み跡も定かではなくなっている。これ以上の探索は断念した。もう少し我慢すれば、歩道の名残に出会えたかもしれないが、その先が安泰とはいえまい。いずれにしても、一人で滝に向かう自信はまったくなくなった。強力な助っ人の同行でもなければ、常布の滝に行くことはあるまい。せめて好き者が三人もいれば、騒ぎながらのルーファンを楽しめるかもしれない。二人ではすぐに口数も少なくなりそうだ。遊歩道に戻ると、下半身は真っ白になっていた。
(改めて常布の滝。この滝よりも、霧降の滝上段の方が手っ取り早い気がする。ヤマビル覚悟だろうが)

ついでだが、往路で見た「右に分岐する明瞭な道」に入ると、ただのショートカットで、すぐに滝の展望スポットへの道に合流した。せっかくだから改めて滝の見物になった。
(登山口に戻る)

(思っていたように車道歩きは長く感じた)

(橋から見下ろした谷沢川。沈殿池のようだ)

(駐車地に戻った)

登山口に戻った。さすがに下りは長く感じ、足の裏も痛くなっていた。車道の縁石に、例の毒水で出会ったオッサンが腰かけて休んでいた。どうでしたか?と聞かれたが、正直に答える。すぐに追い返されたのを恥じてもしょうがない。このオッサン自身も常布の滝には行ったことがないと言っていた。秘境の温泉には興味があっても、滝の趣味はないのだろう。この時点では、毒水沢の入口を見る限りは単独の遡行に問題があるようには見えなかったのだが。
駐車場に到着。かなり暑くなっていて風も吹いていない。駐車場は八割方埋まり、スキー場の遊園地は子供連れで混んでいた。ふだんの土日の草津の風景に戻ったようだ。汗を拭い、履き替えるのも面倒くさく、地下タビのままで嫗仙の滝に向かう。途中で湯畑の近くを通った。最寄りの駐車場は満車状態で順番待ちになっていた。
(芳ケ平の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
※出会った花たち
花の名前くらいは入れようと思ったが、まったく同じ花なのに、最終的に元ネタにしたネット記事ではそれぞれに三種の別名になっていたりしているので、恥の上塗りはしたくもない。写真の羅列だけにしておく。同じ花も繰り返しで出している。なお、最後の花はギンリョウソウかと思う。帰路で常布の滝の調査から歩道に戻り、地べたに座ってタバコを吸った際にたまたま足元で目にした。実は、この歩道の入口近くに群生があったらしい。同日に歩いた方のヤマレコ記事にそうあった。おそらく、自分は反対側を歩いて気づかなかったのだろう。
















【嫗仙の滝】
この滝、行くのに失敗した。ナビに「おうなのたき」を入れると出てきたので目的地とした。くねくねした林道を走らされて到着したところには滝の看板すらなく、駐車スペースもない。あるのは沢寄りのヤブの空地で、そこはガードレールが切れてはいるがロープで閉ざされている。観光滝でこんなことはあり得ない。さらに先に進むと、ナビ地図の沢からどんどん離れていった。
今度はスマホのGoogleマップを使った。これにも嫗仙の滝はすぐ出てきた。目的地からは点線が嫗仙の滝に向かって記されている。これを見れば、だれしも点線を歩けば滝に行けると思う。車を反転させてそこに向かうと、何ということはない。車ナビと同じところに着いてしまった。
ここでようやく地図を広げた。駐車場は沢をはさんだ反対側だった。近くに創価学会の施設があったのでそこにセットし直しして向かう。直線で行けるわけがない。途中に橋はない。一旦、また町に入って山に向かう。6kmは走った。地図も見ないでナビ頼りで行った己が悪い。
(まずは案内図の看板)

(滝歩道の入口)

駐車場には他に2台。人は出払っている。実はこの嫗仙の滝、よく調べないで来ている。観光滝だと甘く考えていた。勝手が違うなと思ったのは入口に「上級者向き」と記された看板があったこと。それでも、まだ舐めている。観光客には上級者向けとするのが常だ。
それ以上に気になったのが、駐車場に設置された「嫗仙の滝案内図」看板。これを見ていてあれっと思ったのは、さっき間違って車で行ってしまった対岸のロープ張りの空地。案内図では、滝への遊歩道はそのまま滝のある小雨川をまたいで対岸に上がるようになっている。もしかしたら、あのヤブの空地につながっているのではなかろうか。小雨川に出てから対岸を見てみたが、それらしき道は見えなかった。廃道になって久しいのだろう。
(この辺はまだよかった)

(ここまではの話)

(いきなりの急下りになった)

(帰りが気になってそれどころではなかったが、名物のコナラの巨木らしい)

歩道はどんどん下る。途中からジグザグの急斜面になった。ロープがあるから安心ではあるが、肝心の沢音がしばらく聞こえてこなかった。これでは、戻る時にえらい思いをするのではないのか。後で調べると、駐車場と滝下の標高差は190mほどあった。
途中で2ファミリーと出会った。それぞれに帰るところで、山歩きスタイルではない。しんどそうな顔をしていなかったのが不思議だった。まぁ、これで車2台分がいなくなり、一人で楽しめるということだ。
(ようやく沢に出た)

(下流、ナメの流れ)

(そして、嫗仙の滝が見えた。滝つぼまで行くなということだったが、だれもいないのでつい行ってしまう)

(この滝の特徴は茶色の地肌にあるのだろう)

(左右の色の違いもさることながら、岩壁に甌穴があるというのも珍しい。アジの開きに見えなくもない)

(滝つぼ。かなり水をかぶっている)

(落ち口。水しぶきで撮っているのも限界。滝から離れる)

(嫗仙の滝。明るく撮り過ぎた)

(アップ)

(下流のナメ)

(名残惜しい滝だった。下の緑の塊りが最後まで邪魔だった)

この嫗仙の滝、これまでに何度かネット記事で見かけたが、一度見れば、その容貌を忘れることはない。初めて見る滝ではないような気がした。その特徴をうまく表現はできないが、極めて滝らしく、妙な雰囲気が漂う滝であったとしか記しようがない。落差はまちまちで、25mだったり35mとあったりする。その中間値が妥当かもしれない。
滝つぼに行き、見上げてカメラを向けたら、もろに飛沫を浴びた。早々に逃げて下流に向かうと、3人ファミリー。パパは一眼で滝を撮っていた。まったく気づかなかった。パパにはオレの姿が邪魔だったことは想像できる。悪いので、下流のナメの写真撮りに転じた。
(かなりしんどい戻り)

(手前から登って来た。「少し楽」の左から回る)

(合流して)

(息も絶え絶えに駐車場)

予定ではここでおにぎりを食べ、ゆっくりと一服するつもりでいたが、なかなか帰らないファミリーがいたのではそうもできなくなり、先に上がることにする。
芳ケ平で散々に歩いた身体には、この帰路の登りがとてつもなく地獄に感じた。さっぱり先に進まない。立ち休みばかりしている。そのうちに、ファミリーが上がって来た。少し広いところに腰かけられる石があったので、もはや食べたくもなくなっていたおにぎりを無理に食べて時間を稼ぎ、先行してもらう。スカートを履いた娘とスリムそうなママはさっさと登って行き、パパは少し重い足取り。それでもオレよりはマシな歩き方をしている。
途中から「少し楽」とある迂回路を使ったが、それでも下りで20分、登りで30分費やしてしまった。当然、ファミリーの車はすでにない。山では200mlの水しか飲まなかったが、この滝の登りで300mlも飲んでしまった。そういえば、沢が流れているのに、ここにはアブがいなかった。
草津に来たからには立ち寄り温泉経由というのが常套かもしれないが、自分はいくつかの理由で、基本的には立ち寄り風呂は積極的にはなれない。風呂が嫌いということではなく、状況によってはどうしても寄りたくなることもある。
まず、風呂に寄れば、その場はすっきりしても大汗をかいて何だかベトベトになることが嫌だ。まして蒸し暑いこの時期だ。そして、そもそも、自分の感覚として、温泉は泊まってゆっくり何度も気の向くままに浸かりたいところと心得ている。風呂上りはのんびりと横になって冷たいビールでも飲む。まずい料理を食べてもう数杯。朝起きたら、さっさと風呂に行く。その自由が立ち寄りではできないのがもどかしいのだ。以前は気軽に日帰り湯に寄り、生ビールを飲み、しばらくごろ寝してから帰るパターンを続けていたが、今はそうもいかない。酒気帯びだけで新聞に名前が出る。
今日はたっぷり汗をかいた。駐車場にはだれもいない。乾いたタオルで身体を拭き、下着も含めて着替えをしてさっぱりした気分になった。頭は汗で臭いがこれで結構。だれに会うわけでもない。
今日は一日楽しんだ。ワタスゲもさることながら、アブ、蚊、ヒル、ダニの類にまったく関わりがなく歩けたことが一番だ。一匹でも遭遇していたら、ずっと不快な歩きになったろう。
帰路、混んでいたのは湯畑ばかりではなかった。時間的に行楽地からの帰り時間だ。県道でも国道でも車の流れは鈍い。高速は区間的に短いから問題はないが、車の量は多かった。緊急事態宣言を解除したものの、東京の新型コロナ感染者は連日50人以上になり、その年代も若年層が中心になりつつある。キャバクラ、カラオケであっ気なく感染し、埼玉県の知事は東京で飲食をするなと呼びかける始末だ。
東京方面のナンバーの車が群馬辺りを走っているのを見かけると、内心のところ来ないで欲しいなと思ってしまう。新型コロナもこれからどういう展開になるのだろう。日本は第二波に向けての小康状態を装ってはいるが、世界中で蔓延が続いている。特効薬はいつになったらできるのか。できたとしても、すぐに使えるわけもない。毎年のインフルエンザの予防接種すら、年齢別で順番にしたり、病院の通院患者以外は受け付けなかったりする始末だ。
実は、一月に、四月の旅行の予約を入れていた。これがコロナの影響で六月に延期した。それが昨日の出発だった。もっとも、搭乗予定の飛行機は運休になっていた。さらに今回もキャンセルして台風の季節が過ぎてからということにしているが、半年近く先で収まっているという保証はまずないだろう。
この辺りの土地感がなかったので、芳ケ平のワタスゲ
有り難い情報です。この時期が良さそうなので来年にでも
行ってみようかと思います。その後の滝見に200mの登下降
辛かったでしょうけど見事な滝で甲斐がありましたね。
ここは山スキーのクラシックルートで、30年ほど前に下見で訪れた事があります。今は無くなった料金所の脇から林道がでていて、そこが正規ルートでした。2012年の秋に再訪した際、超古い地図をもって林道ルートで入山したのですが、廃道となっており、何か変だなと思いつつ歩きました。このたび、最後に掲載の地図から新たな正規入山位置が判りました。
ここ、秋もいいですよ!上の国道から見た草津側が特に美しかったです。横手山は興味を削ぐようで申し訳ありませんが、たそがれさんの指向には受け入れがたい所かもしれません。観光客だらけですから。ただ、眺めは良かったです。K女さんあたりと、渋峠でボルシチでも食うのも一興かと。大きなお世話でした。
今日は雨ですねぇ。どこにも出かけられず、私は合羽を着て草むしりになるでしょう。
芳ケ平のワタスゲは、それだけが目的なら、渋峠から行っても、私の歩きで行っても、あまり苦労することはありません。みー猫さんでしたら、かなり物足りなくなるかと思います。さりとて、マニアックなコースを考案して歩いたとて、果たして価値あるものかあやしいところもあります。せいぜい、白根も加えればどうかとは思いますが。
嫗仙の滝ですが、登って、見て、下るといった順序なら感じも違ったでしょうが、いきなりの下りには参りました。滝そのものは一見の価値があります。ただ、どうしても観光滝である以上、ハイキングならぬ普段着の格好の人が目立つ。厳しいところなのにアンバランスを感じます。嫗仙の滝を先行していたら、おそらく、芳ケ平には行かずに、別の、もっとやさしい山に行ったかと思います。
大きなお世話どころか、渋峠も横手山もそんなところですか。山地図を見る限りはわかりませんね。まぁ、そんなところでボルシチを食べる趣味もないので遠慮しておきますが、その眺めが良かったとは、おそらく芳ケ平の方かと思います。せめて紅葉の時期に上から見たいとは思っていますから、山歩きではなくドライブということで行けば、がっかりもせずに済むのではないでしょうか。ただ、ドライブなら赤城山で十分といった気もしますが。
ぶなじろうさんの2012年の記事は、今、改めて拝見しました。納得しました。蟻の塔渡りの先、常布の滝展望地の手前に立入禁止の林道があって、ブログの中では「砂防ダム関係の作業道」ではと記しましたが、おそらく、ぶなじろうさんはそこからハイキングコースに出られたのではと思います。気になったので、37年前に出版された『東京付近の山』に掲載された地図を見ると、確かに香草に林道が延びています。現地図では消えています。
かつては山スキーのクラシックルートでしたか。傾斜もゆるく、快適な下りが楽しめそうですね。もはやあこがれだけで終わりですが。
それはさておき,常布の滝,13年前に訪ねましたが,看板は新しいように見えても当時と同じモノですネ。それと,今は荒れてしまったカモ知れませんが,普段山歩きをしない娘でも行けたくらい整備された道でした。
ところで,今回,少しばかり入口付近を探索されたようですが,窪地は通過しなかったと思います。確か真っすぐ下って,途中から左側の山腹を(岩壁だったような気が?に沿って)トラバースして下ったハズで,簡単に毒水沢の右岸側に出られたと思います。それと,道は滝横の高台まで毒水沢の右岸側に付けられていて,対岸に渡ることはありませんでしたヨ。ちなみに,自分が行った時には,既に「常布の滝下の湯」という野湯はダメになっていましたが,沢に近づけるのは其処くらいで,むしろ沢から離れた山寄りに道は付けられていました。それと,ガッカリさせるようでなんですが,落差70mは大嘘で,実際は30mくらい。ただ,綺麗な直瀑布と周辺の岩壁の模様は特筆すべきモノがあります。
嫗仙の滝,その前の年に訪ねましたが,階段があったという話を聞いていたので,あの劇坂が解消されたのかと思っていたのですが,今もって楽させてはくれないようですネ。まぁ,それはそれとして安心いたしました(笑)。
一日目の朝は見事な晴天で、山頂から熊の湯スキー場までのダウンヒルは最高でした.ところが、午後になり吹雪になって熊の湯から早々に引き上げたのですが、上のリフトが強風で運休になり、その行程を山頂小屋まで下のリフトの人の案内で、リフト沿いに登る事に.山頂小屋の泊まり客(登る人間)は我々2人と他に女性3人か4人か、、登る途中でその内の2人がへたばり、女性達のスキーを案内人と我々で分担し自分のと2つ担いで小屋まで戻りましたが、右手の指先が凍傷で真っ白に.それから二日間吹雪で小屋に足止めくらいました.凍傷の方は幸い手当が早かった(小屋でお湯で暖めたくらいかな)為か重症化せずに済みました.済みません、つまらない昔話で.
嫗仙の滝も行ってみたい滝の一つですが、中々足が向きません.
毒水沢もここでしたか。以前沢登りの記録を見たことがあります。優しい沢登りレベルらしいですが。上の登山道まで上がり芳ケ平、たそがれさんの歩いた登山道経由で帰れるようですね。
ハクナゲは珍しく案内板に乗せてもらえてましたか。やはり草津はナゲに優しいようですね。ハクナゲはちょうど花の時期じゃないかと思いますが出会えなかったのでは残念ですね。かわりに最近良く会うにょろりとしたやつにも会われなかったようですが(笑)。私はヤマビルにはあってませんがアブに刺された個所が腫れてツユで出ておりましたがようやく治ってきました。
ワタスゲ、丸山岳や尾瀬の外れに取り残されたようなやつしか見たことがなくて思い入れもありませんでしたが、これだけ群生していると見応えもありますね。
常布の滝、ヤマレコで記録を見ましたが15年前はこんなこともなかったのに今はゲロ藪で辟易したというのを見ました。ネマガリ藪の隙間にかつての遊歩道の名残で鎖があったりするようで笑えましたが。
今日、たそがれさんの先鞭をつけてこようかと雨降沢を遡行してきました。トラロープに惑わされず左岸巻きで行くと意外とすんなり滝上に出られてその後は難所はありませんでした。
瀑泉さんが常布の滝に行かれたのは13年前でしたか。道理で…。というのは、瀑泉さんのブログで検索したのですが、見つけられず、ブログ開始以前のことだったのですね。
まっすぐに下って毒水沢の右岸に出たとのことですが、私はあくまでもテープと踏み跡を追いました。下ってすぐにユーターンする形になりました。そこが窪地状になっていたわけですが、その先がどうなっているのか、おそらくまたユーターンして毒水沢に下って行ったのかもしれません。ヤブになっているからいろんなところを歩く。そしてテープもあちこちに付ける。これに崩壊が加われば、すんなりとは行けもしないでしょう。滝下に降りるところはほぼ垂直で、かなりやっかいだと記したレポも見ています。整備された道ですか…。あれでは想定できませんよ。
毒水沢の温泉の件ですが、その「滝下の湯」ではなく、件のオッサンの話では「上流」とのことでした。つまりは「滝からかなり上流の湯」ということで、要沢歩きということですが、これもまた滝をいくつか越えて行く温泉らしく、そこまでして温泉に入りたいとは思いませんね。
嫗仙の滝の階段ですか? 階段に記憶はありません。「階段状」じゃないですか。道は確かに整備され、転落防止のロープも張られていますが、あの激下りには参りましたよ。いったいどこまで下るのかと、帰路の苦労ばかりが気になりました。結果として見ごたえのある滝だったわけですが、ここはやはり往路で苦労して、帰路は楽チンの形になりたいものです。
渋峠から眺める芳ケ平の紅葉はおそらくは池塘が点在してきれいだろうなと思いました。ただ、それでは車で行って眺めることもできるわけで、つまらない。今回は大平湿原に行きませんでしたから、そのチャツボミゴケ公園から芳ケ平を経由して渋峠に行き、そこから芳ケ平を眺める。そんなことを考えています。
芳ケ平のワタスゲはあまり知られていないようですね。かくいう私も地元の新聞記事を読むことがなかったら、芳ケ平そのものも知らないままだったかと思います。瀑泉さんのコメントにもあるように、紅葉が素晴らしいようですから、改めて紅葉目的で行きたいと思います。おそらく、秋田駒のような紅葉ではと期待しているのですが。
嫗仙の滝はお薦めです。滝つぼには行けないことになっていますが、だれもいなければ問題ないでしょう。ただ、勢いがかなりありますから、飛沫はかぶりますね。ただ、雪田爺さんにはそれだけでは物足りないと思います。せめて芳ケ平を加えるとか。
横手山にはそんな思い出がありましたか。45年前ですか。人のスキーまで担いで小屋に戻る。おそらくは吹雪の中だったわけですよね。そして小屋で缶詰ですか。私も木曽駒ヶ岳で同じ目に遭いましたよ。ロープウェイの運休です。グループで行っていましたから、飽きることもなく、朝から酒を飲んでは寝るの繰り返しをしていました。もっともそれは一日で解放されましたが、ロープウェイ乗り場に下るのに1m先も見えない始末で、お互いに声を出し合って下りました。雪の中であんなおそろしい思いはしたくはありません。
雪田爺さんも私と同じようなものかと思いますが、阿仁のスキー場にはロープトウすらなかった。上までスキーを担ぐか横登りで上がって行く。スキー場は小さいから、二つかけてもあっという間の下り。それではおもしろくもないから、隣の山に入り込んで勝手にコースを作ったり、簡単なジャンプ台を作って遊ぶ。米内沢の二本松だったか? 大会があって行った時は、こんなでかいスキー場があったのかとびっくりしましたよ。余計な思い出話です。
雨降沢に行かれましたか。みー猫さんからふみふみぃさんは雨降沢にこだわりがあるようだと伺っておりましたが、おそらくは私に遠慮されていたのでしょう。そうだとしたら気にすることもないのにと思っていました。私自身が、足尾方面からは遠のいてきているし、おそらく、雨降沢からに行くことはもうないだろうと思ってもいますから。相棒はきたっちさんですか。
冒頭の写真を拝見する限りは、私の想像していた沢とは様相が違いますね。薄暗く、狭く、急な沢で、あまり面白みはない沢だと思っていました。何だかのんびりした感じの沢ですね。ああだとしたら、改めて行きたくもなります。
左岸巻きとのこと。もしかして、あの恐ろしげな尖った岩場を登ったのでしょうか。私は登りかけて、降りられなくなったらやばいなと途中でやめました。むしろ、滝の左から直登した方が、水量の少ない時は安全かと思っていましたけど。
話は芳ケ平に戻します。
ハクナゲはやはり見頃の時期ですか。ちっぽけな花ならともかく、ナゲの花が咲いていればすぐにわかるはずですから、ハイキングコースを外れたところに咲いていたということになりそうですね。往復ともに同じところを歩いたわけですから、帰路でじっくりと観察していればあるいは…と思いますね。ギンリョウソウしかりです。今回はワタスゲ目的でしたが、ふみふみぃさん同様に思い入れはありませんでしたが、あの新聞記事を見て気になり、過去の芳ケ平のワタスゲ記事を探すと、結構な群生で、これなら行ってもいいかと思ったわけですよ。
常布の滝の情報はふみふみぃさんが知った情報は大方は私のと同じでしょう。瀑泉さんのように過去に行ったことがあるのならともかく、初めてだとかなりしんどいと思います。テープ頼りで歩いても、ヤブの中、いろんな方面に踏み跡ができてしまっているのでは、まともに帰って来られるかも保証はないでしょう。案外にすんなりと行っている人もいますけどね。
毒水沢はそれほどにやさしくはないと思います。記録を読むと、簡単そうに出ていたりしますが、経験度を見ると、やはりそれなりに沢をこなしている方々のようです。滝も簡単に巻けるのであれば、行っても面白いかなとは思うのですが。
ヤマビルについてですが、これは思いつきです。火山性の山、硫化水素が漂っているようなところにはいないのではないでしょうか。そんな気がしました。これはアブについても同様で、毒水沢を通過する際にアブが寄ってくることはなかったし。確証はありませんよ。草津白根はそうでも日光白根にアブやヒルがいないとは断定できないしね。