フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

ステージでのあがり防止法

2004-04-20 | 演奏や練習に関して
昔は吹奏楽でソロを吹かなければならないとき、今よりもすっごーーーーーーーく緊張した。楽譜のsoloと書いてあるところが近づくにつれ、今では考えられないほど心臓ばくばくだった。

私の場合、今は少なくなったが緊張すると唇が震えることが多かった。やばい、と焦りだすと余計に震える。当然音も震える。これはビブラート(息で音を振るわせる演奏技法)をもじってビビラートとよく言われる。

ビビラートがかかると、目で見てわかるぐらい楽器も震えることがある。こうなると客からもわかるので恥ずかしいが、どうにもならない。行きつけの楽器屋の店主は、こうなった時は左肩に楽器をあてて震えを止めると言っていた。なるほど、と思ったが実際にやったことはまだない。

最近は、汗をかく。人前でなにか発表するような時も同じだから体質なのだろう。めがねのレンズに汗がかかって楽譜が見えにくくなる、目に汗が入ってしみるという困ったことがおきる。吹奏楽や管弦楽ならば拭く暇を見つけられるのでいいのだが、少人数のアンサンブルなどでは長い休符がないので非常に困る。

本番のステージでこのような困った汗をあまりかかないで済む方法を発見した。事前に汗をかいてしまえばいいのである。ただし、ただ単に汗をかけばいいのかと、運動をすれば良いということではない。

緊張すると分泌される(?)というアドレナリンは、一度使い切ってしまうとすぐには補充されないというようなことを読んだか聞いたことがある。つまり、本番直前のステージリハーサルで思いっきり緊張して汗をかいてしまえば(=アドレナリンを使い切る)、本番はかなり涼しい心持で演奏できることを発見した。

ただ、そんなに都合の良いタイミングでリハーサルがあるとは限らないというのが難点。リハーサルから本番までの間が空きすぎるとアドレナリンの補充が完了していまう。もう少し便利でいつでもどこでも使える方法はないものか。


ステージで緊張しない方法としてよく言われるのは、「ちゃんと練習しておくこと」。要するに、演奏技法上の不安をかかえたままステージに上がるな、ということである。確かにお説ごもっともなのだが、こちらはアマチュアなんだから完璧に演奏できる状態になること自体不可能である。

私が思うに、「ちゃんと練習すればあがらない」「はい、わかりました」と言えるのはかなりの上級者である。上級者には今さら練習しろ、ということ自体ナンセンスである。反対に、初、中級者には「練習して完璧にしろ」「そうはおっしゃいますけど・・・」になってしまう。演奏が完璧でないことを余計に気にかけさせてしまい、練習や本番にかえって支障があるのではないかと思う。

つまり、この「ちゃんと練習しておくこと」というあがり防止法は正論だが、実質上何の役にもたたない。


あがり防止に一番いいのは、ステージ度胸をつけること。困ったことに、これは練習量ではどうにもならない。一日の練習を1時間から2時間、3時間に増やしたところでだめである。

どうすればいいかというと、場数を踏んで慣れる、そうとうヤバイ場面を一度通過して何かを吹っ切る、という方法が考えられる。実際にはこの両方のミックスとなるだろう。私は後者のことがあってから、以前よりだいぶソロが楽になった。(緊張しないわけではない)

それは、私があるアマチュア管弦楽団に所属して間もないころであった。ソプラノ歌手(もちろん女性)が来て、我々の管弦楽団が伴奏してオペラアリアを歌うという企画があった。
歌の伴奏ということで、管弦楽の他の人たちはなんだか気楽にやっている。が、フルートの1stだけは違った。アリアでは、歌手と共にフルートもソロなのであった。しかも相手はプロ。

指揮者と、歌手の師匠には言葉は優しいながらそーとープレッシャーをかけられた。私は演奏会の3週間ぐらい前からかなり機嫌が悪くなり、妻には多大なる迷惑をかけたのを覚えている。よく出て行かなかったものだ。

演奏終了後、歌手の師匠が私のところに来て握手をして帰っていった。なので一応良い演奏ができた、ということにしてある。


以来、吹奏楽では「よくそんなに堂々とふけるな」と言われることもあるようになった。(管弦楽では当たり前なのでそんなことをいう人はいない)
自分としてはまだまだだけど、私の吹奏楽の中では相対的に度胸のあるほうになったらしい。

現在は、いろいろと効果があるという「イメージトレーニング」を研究しようかと思っているところである。

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