フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

私の好きな音色とは?

2009-05-23 | フルート本体
パウエルから新しいフィジョーネなる頭部管が出て、これがかなり良い、という話を師匠から聞いた。

どの位良いのかというと、(私のあいまいな記憶によれば)試作?デモ?として入ってきたこの頭部管を試してみたあるプロ演奏家が気に入ってしまい、そのまま持って帰って、そのまま仕事に使い始めて、そのままご購入。とのこと。

買うというほどのものではなくても、世の中にこういうものがあるんだ、という意味で機会があれば試してみたらどうか、という師匠のお勧めもあった。


たまたま銀座方面に出たとき、山野楽器がフルートフェアで、たまたまパウエルの日だったので、ちょこっと試させてもらった。

よくパウエルのモデルはわからないが、銀の半田付け本体にその頭部管をつけてもらった。

吹いたところ、上から下まで音量の大小かかわらず、すごくレスポンス良い。
特に、最高音域でのppのアタックが、パウエルらしい音のまま(?)、何事もなくうまく決まるのにはとても感心した。

残念ながら私はパウエル通ではないので、この特徴が昔からなのか、新頭部管の威力なのか、実は特徴が別のところにあるのか、などはよくわからない。

とにかく、抜群に操作性がいいと思ったのは確か。音の広がりもすごくいい。


その後別の知人に、その人のパウエルを吹かせてもらう機会があったが、それはもう今のと比べるとオールドなモデル、ということらしく、もう少し扱いが難しくて響きはもう少し焦点を絞ったような感じだったので、上の感想は当たらずとも遠からずではないかと思う。


その後、久しぶりに自分好みの楽器や音色について考えてみた。

その新しいパウエルは、私の感覚ではピンとこなかったのは確か。
安全第一ということでいつも使っているサンキョウよりも、おそらくは安全度がもう一段高そうではあるのだけれど。でも何か違う。
このパウエルに対して音が悪い、という人も、おそらくどこにもいないだろうことは確かなのだけど。

でも、やっぱり、良い=好き、ではない。


最近なぜかフロイト・ユング精神分析やら脳科学やら社会経済学、音楽心理学なんていうものを拾い読みするようになっているからか、自分の音色の認識、というか価値観がどうなっているのか気になって仕方がない。


と。ふと、ひらめいた!


久しぶりに死蔵状態となっていた「篠笛」を取り出して、鳴らしてみた。


おおおっ

もしかして、これか!?
私の笛の音色の原風景は。


思い出せば私がまだ小さいころ、親に連れられて、天理教の教会で行われている書道教室に通っていたことがある(信者ではない)。

で、その天理教では太鼓やら笛やらちゃっぱやら拍子木やらの鳴り物を使って舞?みたいなことをやっていて(お経みたいなもの?)、その時に幼いながらも笛に興味を持ったことを思い出した。

もちろん、お祭り好きというわけではないが、祭囃子(の笛)は大好きだ。


そのあたりの幼児体験から、もしかしたら金製やグラナディラ製フルートや海外製フルート(何故か古いヘインズ除く)が今いち私にピンとこない理由なのかもしれない。

サンキョウが篠笛的か?と言われると少々苦しいが、倍音要素は近いかもしれない。マテキは篠笛的なものから大きくははずれていないと思うし、私の嫌いな湿っぽいムラマツは少なくとも祭囃子的乾いた明るさはないと思う。いまだに好きになれない金製フルートの多くは、篠笛とは対極な音色であると言えよう。


どうだろう、私と似た原風景を持つ人向けに、竹でフルート(みたいな横笛で、西洋の音楽を充分に演奏可能なもの)を作ってみるというのは。
技術的に問題は多々ありそうだが、実現したら、これこそジャパニーズなフルートではないだろうか????