フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

風邪とせきとフルートとソロ

2005-02-25 | 演奏や練習に関して
 風邪ひいた。オーケストラの本番二週間前ぐらいのことだった。熱はあまり出なかったのだけど、せきが残った。本番が終わった今も止まっていない。もうせきが一ヶ月近くにもなる。

 以前ここのブログで、息の当たるポイントの小さい頭部管はソロに良いのではという趣旨の文を書いた。しかし、風邪ひき中にはそれが通用しないことが今回わかってしまった。かなりショックである。


 本番前日のリハーサル。

 会社の診療所でもらってきた咳止め薬を飲んで臨む。そうとうやばい

。薬を飲んでいても、息を強く吸ったり、息を吐いて肺の空気が残り少なくなった時にむせる。
 要するに、長いフレーズがぜんぜん吹けない。まあ、緊張して吹いているときあまり咳は出なさそうだからなんとかなるかなぁ。

 今回の曲は、カルメン組曲から抜粋。例の有名な、フルートの目立つ「間奏曲」がある。フレーズも長い。

 通し練習で、いよいよ間奏曲。ハープ(の代わりのピアノ)から始まり、3小節目からフルート。
 やばい。音が出てない、というか、かすれた音になってしまっている。

 どうやら「やばい!」という気持ちと、薬で感覚が鈍っているせいで上手く唇がリッププレートの適当な場所に乗らなかったらしく、息がきちんと”当たって”いない。そのままの状態でソロの終わりまで修正できずに行ってしまった。

 むむー、これは今まで経験のなかったタイプのピンチだ。
 しかも最大のピンチだ。どうしよう。


 夜、家に帰って考えた。
 ここは、吹くのが易しい頭部管を使うことにしよう。でもなあ、普段と微妙に音程の取り方とか変わってしまうので、今から変えるのは危険か? まあ、そんな厳密な演奏してるわけじゃないから大丈夫かな?


 本番当日。

 日頃の「ポイントの狭い」頭部管と、楽器についていたオリジナルの「ポイントが狭くはない」の頭部管の両方を持って演奏会会場へ。
 途中、友人の車に乗せて送ってもらったのだけど、その車が少しタバコ臭がする。それだけでせきがでてしまう。状況は改善していない。

 ステージリハーサルでは、「ポイントが狭くはない」方でトライ。まあ、音はでているようだ。今日はこれで行くことにする。

 薬も、ちゃんとステージに上がる時間を計算して飲む。
 おまじないにと、一錠多めに飲む。
 頼むから、楽屋ではみなさんタバコすわないでねと、祈る。


 本番終了後。

 「本番に強いんだね」(←裏を返せば、GPはそうとうやばかったということ)「えっ、そうなの?全然平気だったよ」などというありがたいお言葉を団員の方々からいただいた。


 その後の反省。

 録音を聞いた。しかし怖くてあまりじっくりは聞いてはいないのだけど、自分の演奏について(ソロ部分)は次のようなことがわかった。

・咳でむせそうになっている、というのは一応わからない。緊張するとその瞬間だけは咳がとまっていた。
・事前に決めた、フレーズの取り方とか、装飾音のつけ方とか、もろもろの思惑が全部すっ飛んでしまっていた。

 雑念と、練習不足によるものに違いない。

 風邪で熱がでるなど、悪いコンディションで本番に出ることになった人は、いままでよく見かけてきた。しかし、その時は必ずと言ってよいほど上手くいっている。余計な雑念が入らないからと思われる。プロの演奏家の場合でも、そのような趣旨の話を雑誌等で紹介していることがある。

 でも、咳はだめみたい。

 集中のしようがない。むせてしまうので、練習はおろか息の使い方のイメージトレーニングでさえできない。

 咳止め薬は、市販のものも医者に処方してもらうものでもかなり感覚が狂ってしまう。咳止めは「症状を緩和」するだけなので、場合によっては悪化させてしまうこともあるのでリスクが大きい気がする。

 最近になって、漢方薬局で薬を買った。効き目は緩やかではあるものの、徐々に快方に向かっている。今から思えば、咳が出始めたときにこれにしておけば本番に間に合ったかも???


 本番前に不摂生はしないように、なんて偉そうなことは言わないけれども、「咳」には本当に注意しなくては。

アルトフルートのキーバランス調整5&教訓!

2005-02-22 | フルート本体
少しだけ悩んだ末、メーカーのサービスセンターへ再び持っていくことにした。
ドアを開けると、リペアマンのおじさんが私の顔を覚えていた。
いやあ、実はキーの高さが気に入らなかったのだけど、購入店の○○楽器に行った時にそれを言ったら直してくれるというので、ためしにやってもらったのだけど、もっと悪くなりました。と正直に言いました。

リペアマン氏、楽器を少しみて曰く。「いやあ、だいぶ崩されちゃいましたね。これは調整に時間がかかりますよ。」
「そうなんですよ、Eメカなんて全然連動してないし、タンポはよく閉まらないし、キーの段差も増やされちゃったし。めちゃくちゃなんですよ。ショックでしばらく動けませんでしたよー。
そうそう、こういうのって、店のためにもはっきり言ったほうがいいんですかね?」
リペアマン氏「体調なんかによってうまくいかないときもありますから。あまり言われるとショックで落ち込みますから。」と。
「ああ、そういうものかもしれませんね。」
では、おとなしくしてることにしますか。

リペアマン氏「では、特別に今回は無料ということで」
「あれ、保証期間でもお金とるんですか?」
「他店でやられた場合はそういうことになっています。まあ、○○楽器さんにはよくお世話になってますし、今回は○○楽器さんの顔も立ててということで。」
「そうですか、ありがとうございます。いや、ほんとは、有料になっちゃったら○○楽器にいって費用請求しようかとも思ってたんですよ。でも、ほんとうにこういう場合はどうしたらいいんですかね。ユーザーの私としてどちらに出しても保証期間内であることには変わりないんですけど。」

・・・それ以上はやめておきました。
 一週間後に楽器を受け取りにいき、一応元気になって帰ってきました。
 楽器の鳴りはいいんです。値段相応の造りですが。まあ、気に入らなければ全部直してもらうぞという気合とリスクがありますが。

それで、今回の教訓。
(というか、昔からわかっていたことだけれども)

1.調整は、リペアマンとしっかり対話できる店に出すこと。

 知識の中途半端な店員が仲介するとトラブルのもと。
 キーの高さやバネの高さのような微妙なものは、リペアマンの感覚によるところが大きいので伝言ゲームはだめ。
 そもそもユーザーが気がついていないようなキーメカニズムのほんの少しの不調でも、リペアマンが見つけ出して、ユーザーに不調を告知して、ユーザーが納得してから調整してくれるようなところでないと。

2.修理のうまい店にだすこと。

 自分や楽器との相性というのもあるから。
他人はみんないいと言っているのに、どうも自分の楽器はまともに帰ってこないということがある。まあ、それは相性と割り切るしかないように思う。
 できれば、本命楽器を出す前に予備楽器でも調整してもらって様子を見たほうがいい。

 ただし、安い楽器だとあまりまじめに取り合ってくれない店もあるので注意。

3.安い楽器はもともと狂う。

 あまりいろいろな店に出してみるのも問題かもしれないけれど、私のハンドメイドでは問題は起きなかった。いつもは購入店に調整をお願いしているけど、都合で2度ほど池袋にあるメーカーサービスに出したことがある。でも、どちらもばっちりで大満足。

 それを考えると、スチューデントモデルは調整が困難なのかも。理由としてはいくつか考えられる。
・スチューデントモデルは、造りがいまいちで、しかも工場での調整もテキトーである。
 高級モデルのほうが、狂いにくく、調整しやすいということ。
・スチューデントモデルは、ハンドメイドと違って、新入社員などの二軍が調整する。
 真偽はわからないけれど、そういううわさを聞いたことがある。私が使っていたスチューデントモデルのタンポ交換をメーカー工場出しでやってもらったら、タンポはしわくちゃだし、同時期に買った頭部管のすり合わせもいい加減だった。いまだに怒り心頭。入門者にこそいい思いをしてもらってこそそのメーカーのリピーターになるのだぞ。結局、違う専門店でお金を払って調整してもらった。今回の事情に少し近い。

アルトフルートのキーバランス調整4

2005-02-21 | フルート本体
そして待つこと約10分。
楽器が帰ってきて吹いた瞬間、この店の技術者とは相性が悪いと直感。体に悪寒が走る。
だって、音が出ないの。
技術者は曜日によって違うみたいだから、今日はハズレを引いたか?
いやいや、某フルート専門誌でも名前を見たことがあるぞ。むむーっ。

その後なんどか楽器が店員を介して私と技術者間を往復すること数回。時間にして2時間半ぐらいか。
その間、金のフルートを試奏したりバイオリン売り場の人と話し込んだり・・・・
しかし結局、なんとか音は出るようになった程度で根負けして楽器を引き取った。

家に帰って冷静になって楽器をみてびっくり。

そもそもの発端であった、左手親指Hキーとブリテャルディキーの段差。最初より悪くなってる! なんとそこにご丁寧に調整用フェルトまで突っ込まれてた。まいりました。

まだある。Eメカの連結が全くだめ。連動が狂ってぜんぜんタンポが閉まってないじゃん!
これじゃあ、学校の備品と同じだよ。
あきれてひっくり返って言葉も出ず。
再調整にも、同じ人に出す気はしませんなあ。
他の店に持って言ったら絶対金とられるなぁ。どうしよう・・・・・・

アルトフルートのキーバランス調整3

2005-02-18 | フルート本体
前回の続き。
大失敗談です。

購入した店にたまたま立ち寄った時、店員にアルトフルートをメーカサービスセンターに持っていったのだけれど、まだこういう不具合があって困っているという話をしてしまいまった。
すると、今丁度技術者がいるから見せてみるという。

多少の不安がよぎったものの、そのまま楽器を店員に渡して技術者のもとへ。

すぐに店員が戻ってきて言うには、10分ぐらいでキーの高さ調整はできるからお待ちくださいと。
キー高さを変えると音程が変わってしまうことがあるので良いですか?とも。
あのさあ、それは技術者判断で設計値に持ってきてほしいんだけど、と少し思った。

専門店の人がこの調整には時間がかかるよと言っていたのが少し頭をよぎったけれど、まあ10分ぐらいならいいかと。この店の技術力を見るいい機会かも、と思ってしまった。うちの技術の腕は定評がありますと常に店員が言っていたものだから。

アルトフルートのキーバランス調整2

2005-02-17 | フルート本体
前回の続き。
ちょっと反則かなと思いつつも、行きつけの専門店で調整間もない楽器を見てもらいました。

すると、やっぱり。すぐに出てきますねぇ。さすがは専門家。
とにかく全体にキーの開きが広すぎるということ。
これでは操作しにくいでしょうと。

確かに。
特に左手親指キーはパカパカ。どうりで持ちにくいわけで。

小さなところでは、あるキーのタンポが凹みすぎている。
タンポが凹んだ状態で、しかも柔らかい状態なのでしっかりと閉まっていない。
強く押さないと音が出ないんですね。

確かにそのとーり。
なんとなく操作しにくいと感じたのはそういうことだったんだ。