フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

アンブシャー雑感

2009-09-30 | 演奏や練習に関して
そういえば、最近は(もう何年も)アンブシャー(楽器演奏時の口の形)を気にしたことがない。ということに最近気づかされた。

一番最近の出来事としては。

師匠主催のクラスでフルートアンサンブルというのがあって、一度来てみたら、と言われたのでアルトフルートを持って行ってみた。ちょう久しぶりのフルートアンサンブルというのも、なかなかいいもの。


そこで、私同様にさそわれて来た人がいて、見学だけのつもりが師匠にピッコロを貸し出されて吹かされていた。

アンサンブルクラスの途中で、その彼女が「ピッコロ吹いて、フルートは大丈夫ですか?」という質問をしていた。もちろん師匠は何の問題もない、と答える。私の方を見て、あそこにもきちんと(?)吹いて大丈夫な人がいる。という旨のお答えも。

それでも、彼女は不安げ。

まあ、私もそういう時期があったので気持ちはすごくよくわかる。


実際、どうなんだろう。
いろいろ楽器(や頭部管)をとっかえひっかえしては良くない、という先生もいるのだろうか。

以前に習っていた先生は、ダブリング(異種楽器の持ち替え)は、もしそれができるのならばぜんぜんやって構わない、という趣旨のご発言。(まあ、実際音大では副科もあるらしいし。)

それ以後、離れるようにしていた私のクラリネット活動が復活したという経緯もある。


いまの師匠は、それこそフルートとっかえひっかえ。もちろんピッコロばりばり。

何本か所有されている楽器で、レッスンのたびに持ってきている楽器が変わっていたり、いろいろな材質の頭部管をテスト兼ねてか私にも使わせてくれたり、アルト、ピッコロはもちろんのこと、先日はトラベルソまでレッスンルームに置いてあった。


そういう私は、レッスンはマテキを基本(変化がつけやすいが難しいけど最近は音色も気に入っている)にたまにサンキョウ(曲がつらくて根性なしでマテキでは吹ききれないときなど)、オケはサンキョウ(リスクが少なくて、楽で反応がよく、音がよく通って、かつH管で音程が安定している)、吹奏楽はアキヤマ頭部管(吹奏楽は吹き方が雑になってしまうで、吹くスポットの小さいもの)+サンキョウ胴部、木管アンサンブルはその時の気分で+たまにクラリネット持ち替え。というローテーションに今はなっている。

というか、せっかく今あるやつはできるだけ万遍なく使いたいというだけのことでもある。


金管含めていろいろ管楽器を見てみると、フルートって、管楽器の中では最もアンブシャーの形を作らない楽器かもしれないと思った。
要は、楽器や作りたい音色にあった「暖かい息」を使える位置に顎をもってきて、「プッ」と息を出した時に最低限息のながれる道の大きさを制御できる力を入れる以外は唇は極力リラックスさせている、というだけが一番いい状態じゃないか。


つまり、一番重要なのは息の使い方で、アンブシャーはそれを支える最低限の力以外は余計なことをしない。

なんではないかなぁ?

それが難しいんだけどね。

レッスンの次の曲

2009-09-15 | レッスン
最近はレッスンでバッハのソナタh-moll(1030)をやっていた。
内容的には、もっともっと前に行くとか、「ゆらぎ」系の指示が多くてどうぶ文章にならない。

このところフランスものやバッハとか、「アカデミック」なものばかりやっていたので、息抜きしたいなぁ、と。

最近はあんまり指を動かしてないので、ボルンのカルメンファンタジーとか、練習するぞっっって言う感じで、ちょっと惹かれてみた。


その前に、ちょっと気楽に。

いわゆる一般的な有名どころが入った曲集から、「美しきロスマリン」。
やっぱ、これでしょ。

中野真理さんの模範演奏と伴奏のCD付き楽譜から。


馬鹿にしてはいなかったが、なかなか難易度高い。

できないわけではないが、最初はピアノ伴奏に振り回される感じで、汗だく。


結局レッスンでは、いかに伴奏に引っ張られるのではなく、「我がまま」にするか。ということ。
なんかこれって、バッハの時と同じ(笑)。


ソリストっていうのは、どんなにか我が強くないとやれない商売だなっ と思ってみた。

40周年モデル

2009-09-12 | フルート本体
サンキョウから40周年記念なるモデルが出た。
管楽器系の雑誌も買わないのでそんなことは知らなかったのだけれど、少し前の山野楽器でのフルートフェアにあまり時間がなく少しだけ行った時に見つけた。

第一印象。

「これいいっ、欲しい!!」

何がいいって・・・彫刻がきれい。


ムラマツの楽器(の一部?)は、標準でEbキーに彫刻がはいっているらしい。
吹奏楽の知人がムラマツ買って、なんで中途半端に一個しか彫刻入れなかったの?と聞いたら、これが標準だ、と言っていたのでたぶんそうなのだろう。


いくつかのメーカーの彫刻入りフルート。彫りがいまいち浅かったり、細かったり、パターンがいまいちだったりでなんとなくピンとこないかなあ、というのが私の感覚。

ハンドメイドに彫刻入れたいのなら、メーカーによってはパターンも指定できたりするが、自分はそんなにセンスがいいわけではない。
しかも、彫刻料がとっっっっっっっても高価。

で、号泣しながら断念した経緯もある。


この記念モデルは、記念ということで、アーティストの価格据え置きで、あのきれいな彫刻が入るというのがミソ。
機械彫りということで、比較的安価ということらしい。
某社の、リッププレートやリングが金、というよりぜんぜん惹かれてしまう。

すごい、私の楽器にも入れてほしいよぉ~ よぉ~ よぉ~
(たぶん後での彫りは無理)

うらやましい。


勧められるがままに、ちょびっと試奏してみた。


んんんん~、
んんんん~、
んんんん~。

なんと言ったらいいか、手応えがない。


説明員氏が教えてくれたところによると、管体は従来アーティストと同じだが、キーポストの形状が違うらしい。
で、だから、鳴りが軽く、楽に鳴らしやすくなっているのだということ。

むむぅ。

次に、従来モデルのアーティストを試す。

そうそうそうそう。こんな感じ。こんな感じ。
私の思うサンキョウに近い(当たり前だ)。


いろいろ、その後師匠にも聞いたりして統合して私が理解した所によると。


従来アーティストはその上位のセミハンドメイドに近い感じであったが、もう少しステップアップユーザーに売りやすくするため、とっつき易い方向に振ったということらしい。

なので、私のようにハンドメイドの「手応え」系の楽器を既に持っている人には何か物足りない印象があるかもしれないということらしい。

まぁ、営業判断なのだろうから仕方ないね。

いやいや、そういう鳴りが好きな人もきっといる。だから一概に良くないとは言えない。


少なくとも、私には用なし、というだけのこと。
彫刻は惜しいが、仕方ない。
そういう我がままな人は、セミハンドメイド以上を買えと。そういうこと。


まあ、私も初心者に近い知人が、ムラマツ、サンキョウの「旧来の手応え系」フルートでは私がどんなに勧めてもどうしてもまともに音が出ず、結局他の「ずっぽり音が出る」系のメーカーでしかも有り得ない系ずぼずぼ頭部管を付けての楽器に流れてしまったのをリアルに目撃しているので、もう何も言えない。

理念もいいが、それ以前に食えることが重要だ。
サンキョウも、理念や趣味性の高さだけでは食べられなくなってしまったということだろうか。
確かに、私のような人間がファンにつくようでは、一般性に乏しいのかもしれない?(笑)


趣味性の高い分野の商品は、高級品の方がより使い手を選ぶ傾向があった。
ただ、普通に考えれば、お金を出せば出すほどより容易に性能を発揮されて当然、という考え方もできる。

前者は、例えばスポーツカーだし、後者は例えばリビング系セダン。


ヤマハは偉いし凄いと思った。

ビジューのような、普通ならなかなかまともに吹けないような極嗜好性モデルがあったかと思えば、メルビーユのように「たくさんお金を払ってくれる人こそが最上のお客様」なのだからより上手であるかのように聞こえるように気分よく吹かせてあげる的な資本主義的ファーストクラスホスピタリティラグジュアリーモデルも出してみたりもする。


どうせだったら、従来アーティストは残し、アーティストとは違うモデル名、あるいはブランドにしたらよかったのではと思う。
ついでに頭部管のカットもずっぽり系に変えてしまって。(頭部管や管体は同じであるとメーカーは主張している)



それにしても、あの彫刻は魅力的すぎる。浅すぎず深すぎず、目立ちすぎず目立たなすぎず、自己主張の度合いが(私にとって)ちょうど良い。


あの吹き味が好きであれば、他人の意見に左右される必要は全くなく、あの彫刻モデルは絶対に買い。
買ったら私に見せてくれれば、満足いくまで死ぬほどうらやましがってあげるられる自信がある。



彫刻アーティストは、なんとも微妙なポジションなのであった。