フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

久しぶりのフルートフェア

2008-08-19 | フルート本体
ちょっと古い話になるけれど、お盆前に銀座山野楽器でフルートフェアみたいなものをやっていたので行ってみた。
ほぼ一通りの国産楽器がメーカー別にならんでいて吹き比べることができる。

あまり時間がなかったので、ぐるっとまわりつつちょろちょろっとお目当てをかじってみた。


今回の第一のお目当て。

パールの「グラナディッテ」なる怪しげな命名がされた素材を使った、かなり安価なピッコロ。
この値段なので、台湾製ということである。
台湾製だから悪い、というつもりは毛頭なくて、よくこの値段で出したなぁ、というポジティブな意見である。

私の持っているパールのアルトフルートも台湾製で、キーの造りや設計にはいろいろ言いたいことはあるが概ね良好で、パールの台湾製に関しては良いイメージを持っている。

ピッコロに関しては、吹いたのは少しの時間ではあるが、音はすごく良く出る。反応も良い。

全音域で良くでる・・・と書きたかったところだが、吹いたのは高いBbまで(それ以上は耳鳴りがしそうでやめた(笑))。

少なくともそこまではばりばりに良く出る。ネットを見ていたら、このピッコロを購入された方のコメントとして、最高音域HとCは出ないがその下は良く出る、と書いてあるものを発見した(笑)。
なのでここで全音域・・・・と書くとウソになった可能性がある。が、少なくともBbまでは良く出るのはウラがとれている(笑)。

営業さんに、「どうですか?」と聞かれたので、「なんだか立ちますねぇ」と答えた。

どうやらこれに似た意見は良く出ているようである。
「立つ」とは何かは説明しにくいけれど、音量が立ってしまう。ちょっと小編成のオケで使うとうるさそうな感じ? ブラバンばりばりなら全然問題はなさそう。

それでも設計的に「立」たないような努力はしてきているみたい。

音色は、なんというか、木と塩ビ管を足して2で割ったような感触?で不思議。
私のPハンミッヒの、いかにも木ですっ、というのとはだいぶ違う感じはする。

でも、値段を思えばすげーいいかな、とも思った。


そして、このピッコロのニュースを見た人ならおそらくは誰もが感じているであろう、「グラナディッテのフルートはないの?」という質問をしてみたっ。

ピッコロがこの値段ならば、木管「もどき」フルートの値段もそーとーに期待できるではないか!
いよいよ、多くの人が手に届く、銀管のサブとして使える、木管(もどき)フルート登場か!!!?

営業氏曰く、「もちろん試作はあります」。「キーメカニズムがグラナディッテというのもあります」

なんとぉ!

で、どんな感じなんですか???

「・・・・・・」
営業氏、試作のできばえについては、何故か口を割らず。
よほど変な出来だったのか、さもなくば発売予定あり??
話の感じだと、どうも前者のような・・・・・?

でもさあ、よほどひどいものでない限り、ああいう場では展示すればいいのに。
話題作りになるから絶対メーカーにとってプラスになると思うのだけれど。

パールの展示会や上野のギャラリーに行くよいこの皆さんは、必ず一言「グラナディッテのフルートはないの?」と呪文を唱えよう。

みんなの現世利益間違いなし。



次のお目当て。

それは、ミヤザワのブロガーシステムなるもの。
別にそういう名前の製品があるわけではなくて、キーメカニズムにそういう名前の、けっこうお金のかかるオプション仕様がある。

フルートのキーの構造は、芯金にピンを打ってキーを固定する部分があって、どうやらそれがとても嫌なものらしい。で、例えばパールフルートだと、ピンレスメカニズムとか言って、このピンを使わないで済む構造をわざわざとっていたりする。

私的には、そのピンレスメカニズムのミヤザワ版(ブロガー氏より購入?)がこのブロガーシステム、と理解している(合ってるのかしら?)。ただ、このブロガーはかなりパールのピンレスよりも外観的特徴が強い。特に左手親指キーのあたりは特徴的で、俺のは少し違うぜ!的満足感がありそうではある。

で、同仕様の楽器でブロガーと通常のキーメカニズムのものを比べさせてもらった。

が、どうも違いがよくわからない(>_<)

もう少し時間をかけて試せれば良かったのだが・・・・


そもそも、本質的に問題を内包している製品があって、ユーザーにもっとお金を出させることによってそれを解決してあげましょう、という思想が嫌いである。メーカー的にはいろいろコストとかライセンスとかの問題があるのかもしれないけれど。

思えば、私がマテキを買ったとき。マテキにはやはり「左ピンレス」というオプションがあってどうする?と聞かれた。内容を聞くと、ほとんどメンテの話ばかりが出てきて、音の話にはならない。要は、職人さん視点の議論。私にはあまりメリットもなさそうだし、高価だし、迷わずこのオプションは却下。確かに今までAisレバーの動きが悪いかな?と思ったことがないではないが、通常のメンテで対応してくれる範囲であったし、ガタが出たとかそういうこともなく10年以上使って問題ないし、で、費用対効果を考えても別に後悔していない。

やっぱり、こういうメカニズムは標準にしてこそ意味があると思う。パールは偉い?
私の中のミヤザワの評価が下がることはないが、パールの評価が少し上がったのであった(笑)。


最後のお目当て。

時間がないので、これが最後となった。
それは、サンキョウの「エスプリ」。

山野楽器のオーダー仕様だそうで、要するに、総銀のアーティストに、薄い管厚と低めのライザーという仕様。

仕様から想像されるとおり、軽く軽快に明るく響いた。

中学・高校の頃。これは金管楽器の話であるが、ヤマハはすぐに鳴るからダメ。バックは最初鳴らないけどだんだん鳴るようになるから良い、なんて話が通っていて。要は、重いものを鳴らせるようになるのが偉い、みたいな、ステレオタイプ。今でもそんなこと言われているのだろうか?
フルートもそう。重い材質、重い管体を鳴らせてこそ一人前。昔はそう思っていたから、このエスプリの仕様も結構昔からあったけれど、そんなわけで「何それ?」的に試したこともなかった。どうせだったら厚管にすれば?みたいな。

でも、今吹いてみると、なかなかいいよ、これ、と思う。

もしかして、ちょっと大人になったのかな? と思ったのであった。(既に十分おじさんであるが・・・)

ご冥福を

2008-08-04 | 楽器、その他
フルート愛好家の多くの方は既にご存じの方も多いかと思いますが、サンキョウフルートの創始者である久蔵氏が亡くなられたとの話を聞きました。

単なるサンキョウフルートの愛好家の一人でしかない私は当然面識もありませんが、ご冥福をお祈りしたいと思います。


久蔵氏の削られた頭部管はそうとうに良いものだった、という話はあちこちから聞きます。私の師匠からも、何十本の頭部管のなかから試奏して良いものを選択したらすべて久蔵氏が調整したものだったなどという話を伺ったこともありますし、それ以前にも、ちょっとヤスリを入れてもらっただけで全然変わった・・・うんぬんという話は、違う場所で複数の人から聞いたことがあります。

そうなるとどうしても気になってしまうのが、自分の楽器についている頭部管は果たしてどなたが最後にヤスリを・・・??

私の二本のサンキョウ頭部管はどうなのだろう・・・・仮にわかったところで何がどうなるわけでもないので、どうしようとも思いませんが。

少なくとも初期の頃のサンキョウの木管は久蔵氏の手による頭部管だとか・・・
もしかして要保存??


私の持っているマテキフルート。

マテキの創始者の方も残念ながら早くに亡くなられています。
私がマテキフルートを購入した頃は、まだ創始者の方のみが頭部管を削られていたという話なので、この楽器は間違いなく創始者の方の削りによる頭部管。

これは手放せないな・・・と当時は思いつつも、実はサンキョウ入手後に手放そうとしたことがあったのを思い出します。


日本のフルートの歴史を語る上で欠かすことのできない人物の訃報に、ユーザーの一人として何やら複雑な心境になりました。

サマーキャンプ 3

2008-08-01 | 楽器、その他
さて、楽器が違えば人格も違うのは有名な事実。あるいは定説。または風説。

今回のオーボエ合宿では、そのオーボエ族諸兄(諸姉)の人格はいかなるものなのか・・・・と少し観察してみようと思った。

ちなみに、N響茂木氏の著作によると、フルート「冷たさも軽みも備えた貴族的エリート」、オーボエ「ストレスに苦しみ、くよくよと細かい」?ということになっている。


まず、第一印象としては、みなさん大人しい(但しアマチュアのみ)。
まぁ、これはみんながみんな知り合いではないので、フルート族が集まったとしても同じだろう。

ただ、大人しく待っている時の表情というか振る舞いは、やはりやや神経質なのかな? という感じはさせられた。フルートの集まりならば、もう少しニヤケた(柔らかい)奴が多いのではないかと思う。


参加している受講生には、何人か音大受験生がいた。
これが、アマチュアオーボイスト達にいくつも輪をかけて暗い。
(ごめん!)

レッスンを少し見たが、受験生相手のレッスンのというのは過酷だ。冒頭にちょっと音だしで?オクターブの跳躍をゆっくりやらせてみた瞬間、「朝から音出ししとけって言ってあったのに、今まで何やってたの? ちゃんと音聞いてやってる? 君はもういいから、次に人に替わって。 その間にちゃんと音だししといて。 そんなんじゃレッスンの意味ないから。 音楽について何か教えることはできるけど、君の内面については何も教えることはできないから!・・・・」という勢い。大変だなぁ・・・

まぁ、確かに受験生君の三オクターブ目は、半音近く(!)音程がぶら下がっていたので、それはそれで良くないことではある。

が、朝から晩までこの調子では、とてもとても合宿を楽しむ気分にはなれないよな。
と思う。食べ盛り世代の割に、というか世代を考えなくても、我々より食が細くてなんかかわいそうな感じだ。


私が昔行ったフルートの合宿でも、音大受験(と現役?)グループは金魚のフンのように、連なって先生と一緒に来て、なにやら連なって勝手に吹きまくって、我々の輪にもはいろうとせず、なにやら連なって勝手に帰って行った。当時は、なんなんだ、こいつらは。選民意識があってアマチュアの大人なんて相手にできないのか?ぐらいに思って鼻持ちならないなあ、ぐらいに軽く思っていたが、今になって、彼ら彼女らの気持ちが少しわかった気がした。


でもね。

音楽家というのは客商売でしょ?
楽器や音楽も大事だけど、社会性も早くから身につけさせたらどうよ?
と思ったのであった。

私の知り合いのプロフルーティストは、音楽家は自分たちのことを、音楽の学校に入ったのが大学からなら「高卒」、音高からなら「中卒」という、とよくおっしゃっていた。要するに、一般と同じ教育を受けていた時期までが、その人の成熟度を示しているという自嘲の意味である。

なんか、それもそうかなぁ、と思わずにはいられなかった。


話は戻る。

では、オーボイストたちは暗いか? というとそんなことはない。
食事の時に一番賑やかでずば抜けて明るいエリアは、講師陣のテーブルだ。


この様子を見て、またまた私は邪推した。

きっと、受験まではかな~り抑圧されているが、ある壁を越えて抑圧される理由がなくなった瞬間。それはおそらくは大学入学。あるいは就職?すると、とたんに全てがはじけてしまう。のでは。

最近結婚したばかりという若い女性オーボイストが、大学で覚えたらしいコンパでの一気飲みさせる踊りを披露してくれたが、これがなんというかハレンチな凄まじさ(笑)。そもそもそれは某有名オーケストラの○○さん(私も名前を知っていた)から教わったとか。いやぁ、恐るべし、オーボエ族のはじけた姿。

あ、フルートも同じか?(笑)

私に鼻持ちならないと思われていたフルートの音大族。
今頃、どうなっているのだろう。立派な演奏家、あるいは指導者になっているのだろうか。是非、どこかの合宿で飲み交わし、いやーあの頃は確かに暗かったっすねぇ、失礼しました! などといいながら馬鹿笑いしたいものだ。