マドリードは雨不足です
「マドリーの恋人」が3ヶ月間ブランクしてしまい申し訳ありませんでした。絵の制作に追われる頭の中は絵を描く絵筆の世界で、文章を書くペンの世界ではありませんでした。それと天候不順で体調が崩れました。冬-春-夏が行ったり来たりの天気で僕の血圧はジェットコースターのように上下しました。目まいも起こすので診断してもらいましたが、降圧剤を増やされただけでした。
それが仇になったのか頭がボ~としたり立ち眩みも出ました。おまけに、血圧の変動が心配で行っただけなのに医者から高齢者対象のヘルペスウィルスから老体を守るワクチンを打たれました。その夜は37度を超える熱がでたので渡された解熱剤を飲みました。翌日は寝ていました(一月後の二回目接種後も同じ繰り返しでした)。つくづく病院は行かないに越したことはないと肝に銘じました。寒いなら寒い、暑いなら暑いとはっきりとした毎日が続くならそれに体調を合わせる術はあります。歳をとると気候の移り変わりが異常になるとついていけなくなります。それにマドリードは雨不足です。去年のクリスマスから雨が降った日は数えるほどです。
サン・イシドロ祭はチョッティス(chotis)を踊ります
そのせいか、この春は花粉症で目のまわりがかゆく、鼻からは鼻水がダムの放水みたいに流れ出ます。歴史的な濃度の花粉のようで公園のウォーキングは出来れば目にもマスクをしたいほどです。いつもの4月だったら雨が沢山降り、そのお陰で五月のマドリードは花が咲き乱れる香しい月です。それにマドリードの守護聖人・サン・イシドロの祭りの月でもあります。しかし今年はもう真夏の気温になってしまい、おまけに雨が降らないので街は埃だらけです。空気はカラカラです。それに今月の最終日曜日は地方選があるので、メディアはそのニュースで溢れて面白くもありません。
楽しくない環境の五月ですが、免疫力アップの為にも人は毎日食べないと体力を維持できません。僕は週に2回か3回市場やスーパーへ買い物に行きますが客数は少ないです。特に魚売り場は少ないです。あまりの値上がりで魚は庶民には高値の花です。サーモンの切り身はキロ3000円、キロ2000円以下の魚を探すのは難しいです。イワシでもキロ1500円です。肉も野菜もオリーブオイルもパンも去年の2倍に値上がったので一回の買い物が30ユーロ(ほぼ4000円)で済んでいたのが、今は50ユーロ(7000円)になりました。
サン・イシドロ教会は参拝者で長蛇の列です
そうそう、サン・イシドロ祭のお菓子と言えばロスキィージャス(rosquillas)です。小さくしたドーナツを揚げて砂糖をまぶしたようなものですが今年は30%も値上がりました。これに使われる材料は全てが最も値上がった食料品なのです。砂糖、牛乳、小麦粉、卵、バター、オリーブオイル等です。家の電気代ガス代も3倍に値上がりました。給料や年金は雀の涙しか増えないので、貯金を崩して生活費に充てる庶民が増えました。
ところがこのとんでもない物価高で生活費に余裕がなくなってもスペイン人は宿泊日数を短くしてでも4月の聖週間の連休(スペイン語ではプエンテ/puente)は旅に出かけました。ホテル代もレストランもかなりの値上がりですが、新コロナウイルスのパンデミックで旅に出られなかった反動でしょうか、どっと遊びに出かけました。この夏のヴァカンスもスペイン人は必ずリゾートに行きます。50度の酷暑でも出かけるでしょう。芋を洗うような浜辺が好きで、スペイン人は人がごった返す場所に自分も混じるのが好きです。僕には開いた口が塞がらないスペイン的メンタリティーです。ですが国民性はそれぞれで、日本人には分からない彼らなりの理由があるのでしょう。そんな暇があったら皆で神様に雨乞いをした方がいいです。図々しいお願いですが僕のところだけワインの雨にして欲しいです。
お菓子ロスキィージャス