グレロス 一束のグレロスも茹でると下のタッパーに入ります
元気なグレロス(Grelos)が八百屋に並び始めました。スペイン北西部のガリシア地方(ホトケさんの数よりも多い葬儀場(斎場)があるのがガリシアです)のカブの葉の一種ですが、カブを食べるために栽培をするのではなく葉を食べます。普通のカブの葉よりも味は濃いのですが繊維質は柔らかいです。生の茎を噛むと味や香りは大根に近いです。一昔のマドリードの八百屋では見かけませんでしたが、この10年くらいでしょうか、マドリードのスーパーでも買えるようになりました。
夏に植え付けが始まり、冬に出ます。花開く前に収穫をしないと煮込んでも噛み切れないほどに筋っぽくなってしまうそうです。2月、3月が一番味が良いとガジェゴ(Gallego/ガリシア人)は言いますが、僕は出始めたら直ぐ買います。750g~1キロの一束が500円くらいで、日本の野沢菜のように塩漬けにも出来るので二束や三束も買ってしまいます。いつも手に入るわけではないのでひと束は湯がいて、その汁と一緒に冷凍します。もうひと束は塩漬けにして野沢菜漬けのように味わいます。残りの一束はガリシア地方の名物料理・ガリシア風ポトフのポテ・ガジェゴ(Pote Gallego)をつくります。それを薄めたのがカルド・ガジェゴ(Caldo Gallego)と呼ばれるスープです。
マドリードのガリシア料理のレストランにも必ずカルド・ガジェゴがありますが、多くはグレロスの代わりにアセルガス(Acelgas/日本名は「不断草」だそうです)と呼ばれる一年中手に入る葉野菜を使います。僕のつくるポテ・ガジェゴは肉よりも葉っぱが主役なのでスペイン人の倍の量のグレロスを煮込むので、大根おろし煮(?)みたいになってしまいます。
材料はグレロス、コディージョ(Codillo)と呼ばれる骨付き豚もも肉の塩漬け、牛のすね肉、白インゲン豆、ジャガイモで、写真の量は4人分です。骨付き塩漬け豚もも肉は日本では入手が難しいですが、この塩漬け肉を乾燥させれば生ハムになります。日本でつくるのが無理なら、冬のマドリードへ来た時にでも食べるといいです。
コディージョ/塩漬けの骨付き豚もも肉 牛すね肉
白インゲン豆 ジャガイモ
全ての材料を並べました
作り方は簡単です。白インゲン豆は前の夜に水に漬けておきます。塩漬け豚肉はかなり塩っぱいので僕は水たっぷりの鍋で30分くらい茹でます。湯水を捨てて、新しく水を鍋に入れて、牛すね肉と白インゲン豆と一緒に1時間半から2時間くらい弱火でアクを取りながら煮込みます。豚もも肉から骨が外れたら、すね肉と一緒にまな板の上でぶつ切りにします。ぶつ切りを再び白インゲン豆の残っている鍋に戻し、ジャガイモのぶつ切りとグレロスのザク切りを入れて1時間煮込みます。もちろん、ジャガイモは皮をむき、グレロスは水洗いしておきます。スペイン人は500gぐらいのグレロスを使いますが、僕は倍の1キロ近くを入れます。だから、台所は大根の香りが溢れますが僕には日本の田舎へ戻ったみたいで、幸せになるのです。煮込み料理は一晩寝かすと更に美味しくなるし、鍋料理同様に人数も多いほうがもっと美味しいです。
グレロスが鍋からあふれそう グレロスがこの色になったら出来上がり
ポテ・ガジェゴです
さて、出来上がった僕の「大根おろし煮香り」のポテ・ガジェゴですが、味も味噌汁(豚汁?)みたいになってしまいました。これでは、隣りのウサギ肉大好きスペイン人夫婦はダメなので、さて?誰を呼ぶか?と考えたら、居ました!マドリード生まれなのにヴァカンスはガリシアやその隣りのアストゥリアスで過ごす友達が!電話をしたら、二つ返事でOKです。そうと決まったら、ポテの他に数皿欲しいので、車エビの鉄板焼きとタコとジャガイモのマリネサラダもつくりました。サラダの上にはザクロを散らしました。僕も彼も好きな山羊のチーズも切り、ワインはガリシアの白、アルバリィニョです。味噌汁風ポテ・ガジェゴにはピッタリです。そうそう、スペイン人はラドーも加えますが、無くても美味しいです。
車エビの鉄板焼き ザクロを散らしたタコとジャガイモのマリネサラダ
山羊のチーズ(ですが、食べないと分かりませんね) さぁ、食べよう!