マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

アンダルシア州選挙でスタートしたスペインの選挙年・2015

2015-03-30 17:17:17 | スペイン日記

喜ぶ社会労働党

 日本へ帰った時(秋です)は家の近くの病院で健康診断を受けますが、スペインでも毎年健康診断を受けています(春です)。今回の結果はビタミンDの不足でした。オイオイ、光り輝く南欧と言われているスペインに住んでいてそれはないだろう、と思いました。仕事は夜型ですが、昼めし前のジョギングは毎日しています。アトリエにこもって居る時間が長く、そのアトリエは半地下なので直射日光は入りません。確かにバルへ飲みに行くのも日暮れだし、週末の昼間に「テラスでビール」をしても日除けがあるテラスです。マドリードのひなたは見ているだけでも十分なほどに輝いているので、それだけでも日を浴びている気持ちになります。ハダカになってビールを飲んでいる隣のテーブルの北欧人を馬鹿にしていた祟りで、とうとう自分がビタミンD不足になってしまった。


 日光浴をしないとダメだと、医者から言われたので公園のベンチでハトにエサをやっている老人達の仲間入りです。スペインと日本で健康診断を受けている僕は検査結果の数値の判断には、それぞれの国民性があるのに気づきました。コレステロール値や尿酸値などの数値はどこの国で検査しても大差ありませんが、それらの推奨値あるいは適正値と言うのでしょうか、国によって違います。同じ体重でも日本の推奨数値では僕の腹の出具合は「やや肥満」です。ほぼ全員が腹の出っ張っているスペインでは「痩せ気味」です。これは骨の太さの違いです。それと同じように、ビタミンDの量がスペイン人は生まれた時から多いのでしょう。このように自分の都合の良いように検査結果を解釈しないと人生は楽しくありません。

マドリードはいつも青空(マヨール広場です)

 おっと話はアンダルシアでした。スペインの2015年は選挙の年です。地方選挙が3回あり年末は総選挙です。そのスタートがアンダルシア州選挙でした。州選挙ですから選挙民はスペインの明日よりも今日のパンを優先させます。選挙結果はスペイン社会労働党(PSOE)が前回と同じ議席数を守り、アンダルシア州議会の与党になりました。前回一番議席数を取った国民党(PP)は大幅に失いました(17議席)。アンダルシア州選挙に初登場のポデモス党(Podemos/新興左派)は三番目の議席数でした。ポデモス党のように初登場したシウダダノス党(Ciudadanos/市民党)も四番目となりました。とうとう共産党(IU/左派連合)は最下位に落ちました。


 労働組合とグルになって公金(スペイン政府のだけではなくEUの援助金も)を組合や党の懐に入れて、うまい汁を吸っていたのが社会労働党でした。33年間もアンダルシア州議会を牛耳っていますが、その社会労働党が再び勝利をしたことは「アンダルシア人は金をばらまいてくれて働かずにして食わしてくれる党に票を入れる」と言うことです。もうギリシャ人と同じですね。このアンダルシア州選挙の結果で国民党のラホイ首相の首に手がかかりました。5月のスペイン地方選挙の結果次第で首の締め付けがきつくなりそうです。総選挙では息の根を止めかねられそうです。


 ラホイ首相はギリシャの財政破綻の二の舞いを踏まぬように3年間財政緊縮政策をしました。そのお陰で今年からやっとスペイン経済も明るくなってきましたが、そんなことはアンダルシア人には知った事か!です。セビジャーナスを踊って美味しいシェリー酒が飲めれば、彼らには一番幸せな人生です。スペインが少しでもEUのお荷物にならないようにと、マドリードやそれよりも北のスペイン人はまじめに働いています。そんな彼らが自分たちの愚直に逆切れしないことを祈ります。今週は聖週間が始まり、それが終わったら、セビージャの春祭りです。それが終わったら、ロシオ(Rocio/ウェルバ県の聖母マリアの巡礼祭)です。4月はセビージャの人たちには毎日が日曜日です。折にも、今日からサマータイムになりました。夕暮れが1時間遅くなりました。つまり日の輝いている時間が長くなりました。これでビタミンD不足になるのは、よっぽど働いている人ですね。えへん。

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春、カタツムリを煮込む

2015-03-09 10:00:00 | スペイン日記

カタツムリ


 突然カタツムリを食べたくなった。スーパーの棚にカタツムリのパックがあったからか、食べたくなったのでカタツムリパックが目に入ったのか、は分からない。3月に入ったマドリードは太陽が輝き始めたので、冷たい風も苦にならずにジョギングが出来るようになりました。そのジョギング中に突然頭に浮かんだのがカタツムリでした。


 陽気とカタツムリの間にはどのような関係があるのかは分からないが、食べたくなった時に食べるが何でも一番美味しいので、ジョギングの後に毎日寄るスーパーで買いました。コンビニに毛の生えた程度の小さなスーパーです。大粒のカタツムリの詰まったパックの「当社のカタツムリは茹でただけで、冷凍はしていません」の能書きも気に入った。

大粒カタツムリが詰まったパック

 さて、買ったはいいけど、僕はカタツムリの調理は初めてです。カタツムリパックにレシピはありますが、「45分煮て、味付けはお好みで」だけです。パリ風味エスカルゴをつくるのじゃありませんが、その味付けが肝心なのです。仕方ないのでいつも世話になるスペイン料理書を開きました。以下はその料理書からです。

いつもお世話になるスペイン料理書

 「カタツムリ煮はつまみなので量はあえて書きません。まず、生きているカタツムリに小麦粉を食べさせ、56日間おいて・・・・」と日が暮れそうです。僕が買ってきたのは下処理が済んでいるので、先へ進みました。「ぬるま湯に入れたカタツムリを弱火で茹で、カタツムリが殻から頭を出してきたら強火にして30分煮る」。五右衛門風呂か・・・。「フライパンにタマネギとピーマンのミジン切りを炒め、細かく切ったトマトを加える。火を止める前に小麦粉を少々ふりかける。パプリカ、ローレル、塩を加える。再びフライパンを火にかけ、細かく切った生ハムとニンニクを入れて煮るように炒める。これを鍋のカタツムリにかけて、混ぜながらしばらく蒸し焼きにする」。


 料理書のようにつくりましたが、カタツムリに味がありません。カタツムリの「ヨダレ」(カタツムリが歩いた後に残るヌルヌル?)の味がするだけで美味しくありません。う~ん、ワインのつまみになればいいので、ネットで調べる程の料理ではありません。キノコ採り仲間のバルのオヤジに聞いてみました。


 彼は冷凍のカタツムリを使います。炒めたタマネギのみじん切りと豚の腸詰めを入れた鍋に解凍したカタツムリをぶちまけて、トマトソース缶をたっぷり流し込んで(オヤジは大缶2缶と言うので1キロ)、水気が無くなるまで煮込むそうです。う~ん、これだとカタツムリのトマト煮です。僕の求めている味ではありません。こうなったら、昔食べたカタツムリの味を思い起こすしかありません。


 ラストロ(蚤の市/ラストロ)で店を冷やかしたついでに寄っていたバルがカタツムリ・バルでした。裸一貫でマドリードへ出て来たスペイン田舎オヤジのウナギの寝床のような小さなバルです。6人だったか9人だったかは忘れたが、子供全員を一人前に育てたのがオヤジの自慢でした。まじめに働けば必ず報われた良き時代のスペイン人です。


 そのオヤジがサービスでカタツムリの皿に豚のすねも載せてくれたのを思い出しました。トマト味ではなかった。僕の台所にあるイベリコ豚の生ハム(ワイン片手にスライスしながらの立ち飲みが至福の一時)の硬い部分を切り取り、細かく切って入れました。30分煮込んだのでスープ味は濃くなりましたが、パンチがありません。

生ハムの硬い部分(サイドの部分)を使いました

 困った時の神頼み的存在の隣の夫婦に聞いてみました。カタツムリ煮込み用のスパイスがあるのを教えてくれました。鍋からカタツムリを取り出して、スープにもっと生ハムを足してスパイスを入れて1時間煮込みました。それにカタツムリを戻してさらに2時間煮込みました。カタツムリが塩をふられたナメクジみたいになるのが心配でしたが、大丈夫でした。

カタツムリ煮込み用のスパイス(シラントロ、唐辛子、粒コショウ、グローブなど)

 一晩寝かしてつまんだら、カタツムリにしっかりとスープがからみ込んで、ピリッとした辛さが舌を刺激します。これです!バル・カタツムリの味です!カタツムリ用スパイスのお陰です。これをつまみしたらワインが進みました。白でも赤でも合います。

2時間煮込みました

 サザエのツボ焼きは磯の香りの醤油味ですが、カタツムリ煮は泥臭さと豚骨の味です。歯ざわりは両方共、はじめコリコリ、あとクチャクチャです。個展が近づいてきてるのでカレンダーをめくるのも怖ろしい。そんな現実から逃れるみたいなカタツムリ煮込みでした。

出来上がったカタツムリ煮

ジョギングで回る公園もアーモンドが満開になりました。とうとう春になってしまいました。個展の秋までもうすぐです。

ジョギングする公園のアーモンド林

コメント (1)
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