マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

2016年、よろしくお願いします

2016-01-08 12:00:00 | スペイン日記

今年もよろしくお願いします

 やっとクリスマス週間が終わりました。話は前後しますが、昨年の12月20日にスペイン総選挙がありました。暖冬で好天だったので73,20%の好投票率でした。フランコ独裁が終わった70年代後半にスペイン民主主義政権は生まれました。その後の40年間、社会労働者党(PSOE)と国民党(PP)の二大政党が交互に政権を取り合いました。それが壊れました。この総選挙では国民党、社会労働者党、ポデモス党(PODEMOS)、市民党(Ciudadanos)の四大政党制になりました。各党の性格を一言で言えば、

です。


 国会議席数の半数は176なので、安定した政治には国民党と社会労働者党と市民党の三党での組閣が望ましいのです。ところが、社会労働者党の書記長・サンチェス(Sanchez)が猛反対です。書記長派(PPとの組閣反対)と重鎮派(賛成)の対立は社会労働者党を二分割したので、組閣に参加どころか書記長選になりそうです。国民党と市民党はそれを静観していますが、二か月たっても新政府が出来なかったら再総選挙です。

 夫婦喧嘩をしている場合ではないだろう、と思っているスペイン人には開いた口がふさがりません。こうなったのは、政治家たちがスペインの明日よりも大衆迎合のポピュリズムを優先させたからです。ですが、当人たちの言葉を借りれば「スペイン民主主義が円熟した」からだそうです。

玄関の外にはツリーを飾りました

 年明けから、船頭だらけの舟に乗ったスペインですが、スペイン人はクリスマスを大いに楽しみました。12月24日~1月6日がナビィダァ(Navidad)と呼ばれるクリスマス週間なのがスペインです。その間にクリスマス、大みそか、正月、レジェス・マゴス(Reyes Magos /東方の三賢帝)のイベントがあります。昔はベレン(Belen/イエス誕生)を飾るだけだったスペイン家庭もクリスマス・ツリーも飾り、サンタクロースも煙突から入るようになりました。プロテスタントや他のヨーロッパの国々のクリスマスは12月24日と25日なので、そこの日本人家庭はツリーを片付けて正月のお飾り、だと思います。

中にはベレンを飾りました

 クリスマスのながいスペインの日本人家庭は、ベレン、ツリーと一緒に正月のお飾り(門松や鏡餅)も並びます。クリスマス週間は家族、親戚、友達、隣人が集まり、毎日がパーティーです。ともかく食べて飲むのでどんどんデブります。うちはカポン(Capon /放し飼いの地鶏)の丸焼き、生ハム(Jamon Iberico)、羊肉の炭焼き、クルマエビの鉄板焼き、ステーキ、コシード(cocido /ガルバンソ豆とトリ、牛、腸詰の煮込み)でした。日本人には重すぎるので、僕はイベリコブタ鍋、すき焼き、石狩鍋、おでん、巻き寿司、スズキのカルパッチョなどの和風料理も作り、できるだけ軽くしました。

カポンの丸焼き

 カポンは肉屋に注文をしておかないとマドリードではなかなか手に入らないので、12月初めに予約をしました。ガリシア(スペイン北西部)の地鶏で、6~8人分は4キロを超えました。6000円くらいでした。カポンは焼く前夜に塩水に一晩漬けます。ご飯を軽く炒め、それにネギ、干しプラム、クルミ、キノコなどを混ぜてお腹に詰めました。ラードをカポンにたっぷりと塗り、オーブンを200度にセットして3時間焼きました。一度カポンを寝返りさせましたが、たびたび汁を浴びさせて焼きました。ラードのお陰で、肉がパサパサになりませんでした。普通のトリ肉とは比べ物にならない味の濃いカポンの肉はしっかりした歯ごたえでした。

お腹の詰め物

 イベリコブタ鍋は水炊きの鶏肉の代わりに生ハム用に育てたイベリコブタのロース肉を使った水炊きです。大根おろしを入れたポン酢で食べると、イベリコブタの肉のうまみが際立ちます。スペインではすき焼き用の牛肉は売ってないので、自分で切ります。牛ロースを500グラムか1キロのブロックで買います。一度冷凍してから軽く解凍させて、スライサ―で切ります。スライサーはすき焼きの為に買いましたが、使うのは年に2,3回です。

今年のハモン・イベリコ

 日本より持ち込んだ乾燥糸こんにゃくをお湯で戻し、干しシイタケも戻し、中華食品店のエノキダケの缶詰をあけ、日本人豆腐屋の焼き豆腐を切っていれます。割したは関東風にしました。石狩鍋はこんにゃくがなかったので豆腐を使いました。日本から持ってきた酒粕を冷凍保存して使ってます。ゴボウも乾燥ゴボウです。

スライサーと牛ロースのかたまり

スライスしたロース

豆腐の石狩鍋

 ワインは毎日飲み、それにカバ(cava /カタルーニャのシャンパン)もたびたび加わりました。クリスマス週間には甘いものが付きものです。普段甘いものは食べない僕も年に一度しかお目にかからないお菓子なので、食べてしまいました。マサパン(mazapan /アーモンドの粉で作る、餃子の形をした焼き練り物)、ツゥロン(turon /砂糖、蜜、卵白で固めた板に丸ごとのアーモンドが入っています)、ポルボロン(polvoron/ウイキョウを混ぜたアーモンドのクッキー)、ロスコン(roscon /丸い菓子パン)がクリスマスお菓子の主役たちです。

ロスコン

ツゥロンとポルボロン

 ()の説明だけでも太りますが、僕も2キロ太りました。一年で一番食べて、プレゼントもするので、食費と買い物に金が消えていきます。だから、12月のサラリーは2か月分、年金も2か月分出ます。大みそかはマドリードのソル広場の時計台のボ~ンに合わせて12粒のブドウを食べました。カバで2016年おめでとう!を乾杯しました。


 元旦は胃がヘロヘロなので、昼はお雑煮と根野菜の煮つけ、夜はけんちん汁だけで十分でした。クリスマスの締めくくりが、1月6日のレジェス・マゴスです。クリスマスプレゼントの日ですが、1月5日の夜はレジェス・マゴスのパレードなのでマドリードのメインストリートは子供たちで埋まりました。その1月6日はニーニョス(Niños)と呼ばれる「子供の宝くじ」もあります。スペインはドン・キホーテの国なので、クリスマス宝くじで始まって子供の宝くじで終わります。確率たった5%の大当たりに夢を託すのです。

レジェス・マゴスのパレード

 その大当たりに2回もたて続けに当たった町があります。アンダルシア州(スペイン南部)のアルメリア県のロケタス・デ・マル(Roquetas de Mar)はクリスマス宝くじの一等を当てましたが、その2週間後の子供の宝くじでも再び一等を当てました。双方の一等に当たった人もいて、一人で1億5千万円を手にしました。当たる人には当たるのです。クリスマスなのでくだんの教会の鐘もほぼ毎日けたたましく鳴っていました。今年もワインを片手に年が明けました。よろしくお願いします。

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