第一党になったカタルーニャ社会党のイジャ氏
5月12日はカタルーニャ自治州議会選挙でした。投票率は58%でした。州議会は135議席で過半数は68議席です。議会は二つのブロックに分かれています。スペインからの独立を目論む「独立派」とそれに反対する「反独立派」です。この40年間は独立派が過半数の議席を獲得していました。今回は逆転して反独立派が過半数を超えました。74議席対61議席でした。主な反独立派政党はカタルーニャ社会党(PSC/中道左派)、国民党(PP/中道右派)、ヴォックス党(VOX/右翼)です。独立派はカタルーニャ連合(Junts/ジュンツ/左翼)、カタルーニャ共和党(ERC/エルク/左派)です。
第一党になったのはカタルーニャ社会党です。大躍進をして42議席(前回は33議席)を獲得しました。国民党は5倍に議席数を増やし15議席(同3議席)でした。第二党はカタルーニャ連合で35議席(同32議席)でした。今回の選挙では与党だったカタルーニャ共和党が議席数を前回の33議席から20議席に落としました。しかしメディアの予測ではカタルーニャ社会党(反独立派)、カタルーニャ共和党(独立派)、小党のコムネス(Comunes/反独立派)の三党連合になるそうです。三党で68議席数になります。
国外逃亡中のカタルーニャ連合の党首プイデモンテ氏(カタラン語ではプチデモン)は今回の選挙運動をスペイン国境に近いフランス側からしました。彼はスペインのサンチェス首相に独立派で固めた州議会と自分の州知事を求めています。もし受け入れられないのなら首相の座は保証しないと脅しています。現内閣はスペイン各地の民族党の助けで成り立っています。さて、カタルーニャ州ですが、スペインの北東にあり地中海沿岸です。バルセロナ県(Barcelona)、タラゴナ県(Tarragona)、ジロナ県(Gerona)、レリダ県(Lerida/内陸です)の四県です。州都バルセロナは大聖堂のサグラダファミリアやサッカーチーム・バルサで日本にも知られています。
話は戻りますが2017年、当時の州知事プイデモンテ氏が強行した独立の是非を問う住民投票、州議会の一方的な独立宣言はスペイン中央政府によるカタルーニャ州自治権の一時停止に至りました。憲法に不服従の罪を受けたプイデモンテ氏は国外へ逃亡をしました。それからです、カタルーニャ州にあるスペイン企業の他州への移転が始まりました。今は戻った企業や新しくできた企業で会社の数は増えたそうですが、以前から比べると4000社くらい足りない様子です。日本の日産自動車もバルセロナから撤退をしました。スペイン大手銀行のカイシャ・バンク、サバデル銀行も本社を移転しました。経営者には独立騒ぎは迷惑なだけです。
今は4人に一人のカタルーニャ人が貧困に怯え、社会脱落者になりました。カタルーニャ州議会は中央政府に特別予算を要求していますが、ほかの州が黙っていません。台所が苦しいのはどこの州も同じです。観光名所のバルセロナもオーバーツーリズムで住民の抗議が絶えません。確かに大型観光船は一回に数千人の観光客をバルセロナの旧市街に送り出します。それらが一日数隻訪れます。人気のランブラス通りの住民は溢れるツーリストでスーパーの買い物や犬の散歩など日常生活に支障がでています。救急車が通れなくなったら命にかかわります。6月末までには新しい州知事が決まり、新しい州政策が問題解決を始めるでしょう。まさか再選挙にはならないと思います。
第二党になったカタルーニャ連合の国外逃亡中のプイデモンテ氏