圧勝したPP党。左よりアルメイダ・マドリード市長、ヘイホー・PP党首、アユソ・マドリード州長(El Mundoより)
5月のスペインの地方選挙では右派の国民党(PP/ペェペェ)が圧勝をしました。スペインの州、市町村の60%を治めます。現スペイン首相サンチェス氏の社会主義労働者党(PSOE/ペセオエ)はボロボロに負けました。州議会の過半数を獲得できたのはイベリア半島の中央に位置するカスティージャ・ラマンチャ州だけでした(ドン・キホーテの村です)。皮肉にもそこの州長は党内でもサンチェス首相の“フランケンシュタイン内閣”を批判してはばからないパヘ氏(Page)が治める州でした。国民党はそれぞれの州や市町村で最も議席数を増やした党でした。
マドリードでは州議会も市議会も過半数を獲得しました。このような選挙結果なら今頃は社会主義労働者党内ではサンチェス氏の進退の議論に口から泡をふかしている頃です。が悪知恵のサンチェス氏が口にしたのは12月予定だった総選挙を前倒して7月23日にする、でした。これで党内の不満を封じ込め、時間を無駄遣いせずに総選挙に向けて皆で一緒に頑張ろう、となりました。7月23日総選挙では選挙候補者をまとめ、提出する日数は20日もありません。党内ではサンチェス氏の対抗馬を探す時間さえありません。
転んでもただでは起きぬサンチェス首相です。ヨーロッパ諸国の総選挙は党に投票する直接選挙です。スペインの7月、8月は夏ヴァカンスの真っ盛りなので、今までの選挙は月をずらして、例えば6月とか9月に行うように調整をしていました。大方のスペイン人はヴァカンスの予定は決めていて、ホテル代やエアーチケット、新幹線チケットなどは購入済みです。基本的には総選挙は住んでいる地区(現住所のある所)の学校で投票をします。ヴァカンス先ではできません。
スペイン人はヴァカンスを犠牲にして投票の為だけに家へ帰るはずがありません。人生の優先順位は1位:家族、2位:ヴァカンスです。仕事さえも順位は低いので、選挙投票は問題外です。投票率が悪くなってもそれはサンチェス首相の責任だ、です。唯一の手段は郵便局で投票用紙を前もって送ることです。こんなことになるなら、5月の地方選挙の時に総選挙も一緒にやれば良かったのです。
話は変わりますが、マドリードの気温は上がったり下がったり、雷雨があったり(我が家の地区のみの集中豪雨で家は雨漏り)の不安定な天気が続いています。物価は上がったままで、庶民の無駄遣いが無くなりました。TVニュースのマイクに答えるおばさんたちは「必要なもの以外は買いません」が当たり前になりました。近くのスーパーの生鮮食品パックは賞味期限が近い生ものは30%引きで売るようになりました。国を挙げての「食料を無駄にしない」もありますが、消費が減ったのでスーパーは売り上げをキープするのに必死です。バルでの飲み友達とのおしゃべりも明るい話題はなく、赤ワインの量も三杯程度に減りました。元気が欲しいです。