バルはまだ人数制限中です(マヨール広場のバルのテラスのテーブルもこのように測って2メートル離しました)
やっと非常事態令が解除されました。長い100日間でした。スぺイン人の友達は早速マドリードから出ていきました。田舎のオヤジやオフクロの顔を見てくると他県の村に帰へったJ君、セゴビア県に持っているセカンドハウスの様子を見に行ったA君、地中海の浜辺へ泳ぎに行ったF君、皆あたふたと出かけました。
どこへ行くところもない僕はマドリードに残っています。ぶらりと街を歩いていて思ったのは”チャリンコ”が増えたなぁ、です。車の減ったマドリード市内は自転車がスイスイと走れますし、若い人はメトロやバスの人込みを嫌がります。でも自転車を買いに行っても売り切れです。仕方がないので古い自転車を引っ張り出して修理屋へ持っていっても直ぐには直して貰えません。自転車修理屋は仕事が三倍に増えたそうです。
コロナウイルス禍は「風が吹けば桶屋が儲かる」も生み出しました。反対に儲けが出ないのが、まだ店内や屋外の客の数が制限されているバルです。前の客が出るまで入れませんしテラスも座れません。僕はこの炎天下、そこまでしてバルで生ビールを飲みたくはないので、都心の飲み屋街へまだ行っていません。こうなると日本にはどこにでもあるビールの自動販売機が夏の都会のオアシスに見えてきます。ただ僕はビールの泡が好きなのでコップ付きのビール自販機が欲しいです。
スぺイン人の中にはまだ人込みは避けたい、と必要以外は外出をしない人もいます。それはあくまでも見知らぬ他人との接触を避ける為ですが、これが身内となると全く話が違います。もともとハグやキスが習慣のスペイン人は家族とか友達と再会をしたら、喜んで抱き合います。初めはマスクのうえから”チュツチュツ”していますが、そのうちにマスクもずれて肌と肌がくっついています。もう2メートルのソーシャル・ディスタンスもへったくれもありません。
大方のスぺイン人は今回の新型コロナウイルスで初めてマスクを付けました。僕はのどが弱いのでマスクをして寝ます。そのために昨年帰国した時にも日本から100枚ほどマスクを持ってスペインへ戻りました。日本ではスーパーでもマスクを置いてありますが、スペインのスーパーにはありませんでした。ところがワクチンができるまではマスク着用が義務付けられたので、今は置いてあります。10枚入りパックが6ユーロ(750円)です。
ブルーのマスクがスぺイン人用、白が日本人用
写真のマスクは二つとも中国製ですが、ブルーはスペイン人用、白は日本人用です。縦幅は同じですが横の長さがスペインのは僅かですが、長いです。ところが広げると(着用すると)スペイン(ブルー)のはデッカイと思いませんか? 鼻の高さの違いなのか、僕がスペインのマスクを付けて寝ると朝は外れています。
広げるとスぺイン人用はデッカイです
ところで、南のアンダルシアはもうすでに43度です。暑い浜辺で誰でも皆がマスクを付けるとは思えませんが、もししたとして、このブルーのマスク顔が浜辺に並んだら笑えます。警察はドローンを飛ばしてマスク着用の監視をすると言っていますが、そこまでするか!です。ちなみにマスクはスペインではマスカリージャ(mascarilla)と呼びます。
その浜辺も、勝手にタオル敷いて家族全員で日光浴はできません。歌舞伎座や相撲場の枡席(マスセキ)のように浜辺を仕切りました。一枡に4人までです。ヤレヤレ、です。ある浜辺は老人ゾーンとそれ以外のゾーンに分けました。老人の感染が死につながるのが今回の新型コロナウイルスの怖さなので、老人の一人の僕にもその浜辺の市役所の好意は分かります。でも、誰が爺さん婆さんの水着姿に囲まれて楽しいでしょうか?
海のないマドリードはプールですが、そのプールも厳しい人数制限がされます。ちなみに、うちの共同プールも今年は初めて人数制限になりました。一緒に泳げるのは16人までです。隣人たちは全部で22軒ですが、24時間オープンなのでノープロブレムです。僕が泳ぐ午前中はたいてい僕一人です。もちろんプールは泳ぐためですが、人数制限をされると日本の銭湯っぽいです。まぁ、体を冷やすか温めるのか、の違いです。
その首都マドリードですが、国際空港と言う問題を抱えています。ヨーロッパ人のリゾート客はスペインのリゾート地に自国からの直行便があるので問題はありません。マドリードのバラハス空港は24時間オープンのスペインの大玄関です。大方の外国人観光客はマドリードで入国か乗り換えです。ここを通してスペインにコロナウイルスが入り出ていきました。マドリード州長・アユソ氏(Ayuso)はサンチェス内閣に出発国でのコロナウイルス検査を義務付けるように要請しています。観光業はスペイン経済の大黒柱なので規制をどこまで押し通せるか?です。
マドリード空港は検査員、警官、医者などを増員中ですが、出るツーリストも検査しないと搭乗できないのでその数が半端ではありません。まだEU内のツーリストだけなのに、検査・通関に2時間かかっています。これが世界のツーリストで溢れるようになったらどうなるのでしょう?
再発が怖いマドリードを捨てて、今のうちに疎開する手もあります。今回の“引きこもり100日間”で食料品は滞らずどこででも手に入るのが分かったので、どんな田舎の村でも今から引っ越してしまえば溶け込めそうです。スペインに残っている住民50人程度の村の問題はWi-FiとATMです。まぁ現金と公衆電話(あれば)でどうにかなるでしょう。
マドリード州の北にもそのような村が点在しますが、感染者がゼロでした。非常事態令が出されるかもしれない、と噂された時点で村長が村へ入る道にトラクターを置いて塞いでしまいました。それが法的に許されるのかどうかは知りませんが、村民はウイルスから救われました。
サンチェス首相は厳しい規制を敷いたので100日で新型コロナウイルスをコントロールできた、と自画自賛しています。そうではなくて、ヨーロッパでも一番長い100日間もの非常事態令を続けなければウイルスをコントロールできなかったのは、貴方の責任でしょう!です。一番の失策は非常事態令を出すのがひと月も遅れたことで、遅くても2月中に出すべきでした。
3月8日の国際女性デーは全国で大規模のデモ行進をしてしまいました。これで一気にコロナウイルスが広がりました。結局非常事態令が出たのは3月14日でした。その3月ではマスクは不要です、と言っておいて、今は手のひらを返したようにマスク着用が義務付けられました。しないと罰金はやりすぎです。
こんな政府の言うことには誰も信じなくなったので、コロナウイルスの死亡者数・28.313人を誰も信じません。この100日間のスペイン全土の死亡者数は43.300人なので、1万5千人程の方々が交通事故や他の原因で亡くなったことになります。でも外出禁止の間は誰も車は運転しませんでした。どうも、このサンチェス内閣はコロナウイルスでの死亡者数世界ランキングにスペインが上位に入らないように、数字を操作しているように見えます。世論調査結果の数字も操作するくらいですから、何でもやるでしょう。