日本酒を飲むと愚痴が多くなり、ワインを飲むと歌い始め、ウォッカを飲むと狂暴になります。それぞれの平均アルコール度は低い順にワインは13度、日本酒17度、ウォッカ45度でしょうか。おっとくだらない話はさておいて、このウクライナ戦争の避難民は180万人にもなりました。EU(欧州連合)は戦争が終わるまでの間、無条件でウクライナの子供、女性、老人を受け入れることにしました。
スペインも受け入れ態勢が整いましたが、気の早いスペイン人はマイカーを運転してポーランドまで避難民を引き取りに行きました。マドリードからウクライナの国境までは3000㎞はあると思います。市民は食料品、日用品、医療品を赤十字や支援センターにどっと持ち込みました。スペイン政府も武器の援助をウクライナ軍に始めました。当初は、ヨーロッパ議会のウクライナ軍への武器援助要請を渋っていたのがサンチェス首相でした。EUが兵器を各国から集めてウクライナに武器援助とするなら提供します、の姿勢でした。
現内閣は社会労働者党(PSOE)と極左翼連合(UP/UNION PODEMOS)の合同内閣です。UPは勿論ロシア寄りです。そんなサンチェス首相にスペインも武器援助をせよ! と怒鳴ったのは、PSOE出身のヨーロッパ議員のボレル・EU高等外交官でした。彼が欧州連合外交のトップです。「武器援助は戦争を泥沼化させるかもしれないが、我々は戦後から今まで臆病すぎた。今、ウクライナを救はないとヨーロッパは歴史的後悔をする」と叱咤しました。彼はNATO(北大西洋条約機構)を介入させないで戦争を終結させるために飛び回っています。中国に仲介を頼んでいるのも第三次世界大戦になるのを一番恐れているからです。
前世紀の頭の持ち主のプーチン大統領に21世紀のヨーロッパ地政学の重要さは通じません。戦争をして欲しいものを手に入れていたのがローマ帝国時代です。そんな時代錯誤もほどほどにとプーチン大統領に言うと、核で脅します。EUには以前からEU軍を造る案がありました。このウクライナ戦争を機にヨーロッパ議会で可決されるでしょう。ドイツとフランスが昔から練っていた案です。この両国でヨーロッパ経済の4割を握ります。ヨーロッパ軍を装備する兵器製造とは言え、両国の軍事産業力はさらに強くなりドイツ、フランスの経済力はより強大になります。因みに、残りの6割の経済を25国(EUは27国/スペインは第4位の経済力)で分け合っています。
核兵器を保有するNATO軍、核なしだが最新武器を持つEU軍、武器を持たない国連軍(UN)となります。プーチン大統領を失脚させて、ロシア国民は自由主義を選んでEUに加盟した方がいいと思いますが、ロシアの民主化は時間がかかります。陸続きのヨーロッパ、さらに広げてユーラシア大陸の歴史は戦です。中国からスペインまでユーラシア民族はイチャモンを剣で解決してきました。21世紀のIT世界では理解できませんが、プーチン大統領の頭には中世の戦争解決策しかないのです。僕が初めてヨーロッパを歩くように旅行したときは西側だけでソ連邦領の東欧はシャットアウトでした。
コカ・コーラを飲んでる奴らは入れないと、ベルリンも二つに分かれていました。そのベルリンの壁が崩壊をして生まれたこの30年間のヨーロッパの平和が奇跡だったと思います。とは言え、このコロナウイルス禍の時に戦争をしている場合でしょうか。このコロナウイルスに罹っても庶民は毎日の生活のために働いています。その為にワクチン接種をしています。スペインは濃厚接触者の隔離は無くなり、学校は感染者でも無症状なら登校できます。コロナウイルスとは戦うのではなく共存する方をヨーロッパは選びました。プーチン大統領のミサイルで死ぬのもコロナウイルス感染で死ぬのも運です。
日本人は外国人がコロナウイルスを持ち込むので、年金老人は孫がかかったら可哀想、と岸田首相に水際対策をさせています。ウクライナ人はポーランドの国境まで子供を連れて行き、親はロシア軍と戦うために戻ります。その子供たちが他国で育ち、戦争が終わった時に祖国ウクライナへ戻ってこられるように彼らは戦場に戻るのです。水際対策で祖国を守る国民と自分の子供を他国に預けてでも祖国を守る国民とはプライドの質が違います。僕は涙が出て頭が下がります。頑張れ、ウクライナ!
保身に徹する日本人を有事の時はある程度までアメリカ合衆国が助けてくれるでしょう。でも、ウクライナのように大勢の仲間が日本を助けてくれでしょうか? 日本人も我が身の安全だけを考えるのではなく、国境を開けてコロナウイルス禍の生む痛みを他国民と分かち合えないと日本は孤立します。イギリスやオーストラリアも島国です。でも彼らにはファイブ・アイと言う仲間がいます。自然災害で起こった福島原発事故は世界が助けてくれました。戦争が起こったらそうはいきません。このウクライナ戦争とコロナウイルス禍で思うのは、日本は独りぼっち、です。