マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

スペインもコロナウイルスに襲われています

2020-03-13 11:00:00 | スペイン日記

延期となった火祭り

 スペイン人の間では今回のパンデミック・コロナウイルスは「コロナヴィルス/coronavirus」と呼んでいます。1月に中国の「新生肺炎」が茶の間のTVニュースに流れたころは、対岸の火事でした。中国って不衛生な国だね、程度でした。バルでもビールを片手に大いに唾を飛ばしてサッカーの話で盛り上がっていました。2月にイタリア北部にコロナウイルスが“上陸”したニュースでも「マルコポーロの時代から中国と交易があったもんね」と、まさしく地中海を隔てた対岸の火事でした。

 

 でも、ミラノ大学が閉鎖され、スペイン留学生が“マスク”をして帰国してきました。マドリードの空港に着いた留学生たちは何の検査もなく、だれもマスクをしていないのに彼ら自身が驚きました。そのころ僕は日本の友達からのラインで日本ではマスクも消毒液もトイレットペーパーもなくなり、日本中がナーバスになっているのを知っていました。でも、スペイン人は能天気にバルでスペインワインは体内消毒をしてくれる、と大いに飲んでいました(僕も)。

 

 皆が慌て始めたのは2月の下旬のバルセロナの“世界スマホ博”が中止になってからです。さらに、明日は我が身、と焦り始めたのは3月なってからです。スペイン各地で感染者がでて、北東のバスク州のヴィトリア県(Vitoria)とマドリード州ではどんどん広がりました。政府は311日に保育園から大学までのすべての学校を2週間の休校にしました。観客1000人以上の催し物は禁止、プラド美術館をはじめすべての美術館、オペラ座もクローズされました。サッカーの試合も中止です。

 

 必要がない限りは外出を控えるように呼び掛けたので、バルは客足が半分以下に減り、オヤジが頭を抱えています。ホテルも大量のキャンセルに真っ青です。ツーリストが減ったので、土産物店も暇です。会社も社員の自宅でのオンライン勤務にしたので、ラッシュアワーの無くなったメトロはガラガラです。スペインの三大祭りの一つのバレンシアの火祭りは延期となり、セビージャの春祭りもそうなりそうです。

 

 マドリード州は隔離になるかも?のニュースで、スーパーからトイレットペーパーが消えました。が、今日行ったらありました。薬局にはマスクも消毒液もありません。無いからではなく、この場に及んでも誰もマスクをしていません。咳は腕を“への字”に曲げて口を覆えばよいそうです。

 

 正直言って、日本の友達から流れてくる日本人の“ピリピリ”がここにはありません。科学的根拠を無視して“ウイルスは暑さに弱いから夏が来れば収まるよ”と言っています。あまり神経質にならない国民性には自分が感染者にならない限りでは、いい国です。312日の状況はスペイン人の感染者は3033人、死亡は84人です。死亡者の半数はマドリード州です。僕もバルへは行かずに“家呑み”をしています。

3月12日の午後1時のマドリードのメインストリート(エル・ムンド)

コメント (1)
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