マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

輝かない夏

2021-08-10 13:00:00 | スペイン日記

マドリードの中心地の高級ホテルは客もまばらです

 東京オリンピックはスペインでも国民の関心度は低くかったです。開会式の実況中継を見たスペイン人は多かったのですが(ちょうど昼ごはんの時間でした)、スぺイン選手団の入場まで見てその後はシエスタ(昼寝)だったようです。スぺイン人の友達とバルのテラスでビールを飲んでいても、「そう言えば、日本でオリンピックをやってるよね」と思い出す程度でした。話題はすぐにワクチン接種やコロナウイルス禍に移ります。一応テレビ中継をしていましたが、スぺイン選手の出る競技だけです。

 

 7時間の時差のせいかライブよりもスぺイン人が観ていたのは録画です。ニュースでの扱い方は入賞したスペイン選手の画面よりも、息子や娘や兄弟の受賞をテレビの前で喜ぶ家族の“バンザイ”が勝っていました。スぺインツーリストが東京へ行って観戦をしていればスぺインに居る彼らの回りの友達も彼からのスマホライブで盛り上がりますが、無観客ではそれもありませんでした。寂しい限りです。

オリンピックの特集ページ「TOKIO 2020」です

 日本選手の活躍場面のテレビ中継は無いので(スぺインに居るので仕方ありません)僕はネットのNHKニュースや他の日本ニュースで観ました。スぺインの新聞にもオリンピック特集ページがついていましたが、8割はスぺイン選手の記事です。東京へ行った特派員が書いている街の様子も「へ~、そうなの?!」と読む人の気をそそる内容ではありませんでした。

 

 ただ、実況中継だったスぺインチームのサッカー試合はかなりの人が観ていました。決勝試合でスぺインはブラジルに負けたので銀メダルに終わりました。今回スぺインが獲得したメダルは17個で、それは前回のリオ・オリンピックのメダル数と同じです。それが何を意味するのか(毎回種目は変わるし、金銀銅のそれぞれの数も違います)僕にはわかりませんが、アナウンサーはほっとした顔でした。まぁその程度の関心度だった東京オリンピックは終わりました。閉会式も観ました。スぺイン語で説明が入ったとは言え外国人にはそのメッセージが伝わらない内容のショーと映像でした。それらと一緒に“庶民の街・東京”もアピールしたかったのなら、選手も一緒に皆で浴衣着て東京音頭で盆踊りを踊れば誰が見ても納得したと思います。

マドリードの銀座通りグラン・ビアも買い物客は減りました

 そのオリンピックの間に8月に入りました。マドリードは涼しい夏です。例年ならガンガン猛暑なのですが、今年は30℃を少し超える程度です。夜は20℃を下がるので心地よく眠れます。東京と違い湿気がないマドリードの本当の“焼ける真夏”は軽く40℃を超え、夜は下がっても30℃です。スぺイン中がフライパンになります。こんな快適な8月のマドリードは数年ぶりなので僕はとことん満喫していますが、友達はヴァカンスに出かけました。この夏は海外旅行組が少なくほとんどが国内派です。やはり海が一番人気ですが、コロナ禍で三密を避けたい家族には高原にある村のロッジが人気です。

 

 あっちこっちの村にはまだ昔のままの家が残っています。それらを民泊用に改装したのがネットで簡単に見つかります。市役所のHPにも載っています。にわかに人気が出てきたヴァカンスの過ごし方がキャンピングカーです。ドイツやフランスではかなり前からキャンピングカー旅行は当たり前ですが、ここスぺインではコロナウイルス禍で急に増えました。家族だけとか友達同士だけとかの“安全の核”でヴァカンスを楽しむにはうってつけなのでしょう。

先月再オープンしたメトロ「グラン・ビア」の入り口

 それにしても長期の休息を求めるのがヴァカンスだと僕は思うのですが、スペイン人には家族と集まるのがヴァカンスの第一目的のようです。そのせいか、わざわざ人混みでごった返す浜辺のリゾート地へ家族総動員して“イモ洗い”に行きます。それは人混み嫌いの僕には何年たっても理解できないスペイン人の感覚です。レストランでもわざわざ先客の座っているテーブルの隣に座ります。コロナ禍のお陰で“ソーシャル・ディスタンス”とか“セフティー・ディスタンス”とかと呼ばれるルールが生まれ、テーブルを離すようになったのは僕には嬉しい限りです。それをこの先永遠に続けて欲しいのですがコロナが収まったら元に戻りますね。

 

 そうそう、そのコロナですが、スぺインも第五波が広がっています。コロナウイルスの感染者数はほぼ4百50万人、死者数はほぼ8万2千人になりました。ワクチン接種が始まりいっとき感染者数や死亡者数が減りましたが、再び増えています。第五波では12歳から29歳の世代の患者が増えました。学校が夏休みになり夜遊びが増えたのが原因です。現在人口の65%が完全接種済ですので集団免疫の目安「人口の70%接種」にはこの8月末までには届きそうです。でもデルタ株などの新種ウイルスが出てきたのと若者たちの間で感染が広がっているので12歳からの接種も始まりました。

入り口の周りは混雑しています

 さらに集団免疫を広める為に10月頃までには人口90%の接種済を目ざすようです。その後は我々老人の第三回目接種も考えているようです。二回目接種で高熱が出た僕としてはもう勘弁して欲しいです。スぺインで使われているワクチンはファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジャンセンの4種類です。三回目となったらどのワクチンでも良いのですが、インフルエンザ予防ワクチンの接種時期と重ならないことを願います。

通りのバルはテラスだけが満員です

コメント (1)
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