不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

スペインもコロナウイルスに襲われています。その3

2020-04-27 13:30:00 | スペイン日記

トマティーナも中止です

 7月のパンプローナ(Pamplona)のサン・フェルミン(San Fermin)「牛追い祭り」も中止となりました。これで、スぺインの三大祭り―他の二つは3月のヴァレンシアの火祭り、4月のセビージャの春祭り―が全て中止となりました。いかにこの新型コロナウイルスにスぺインが苦しんでいるか!です。セビージャの春祭りは9月に移す、とかの話はありますが夏になるまでは分かりません。

 

 今回、パンプローナ市が早めに中止を出したのは、闘牛士や闘牛牧場に配慮をしたからです。闘牛牧場は困っています。育てた闘牛は日の目を見ずに場行きです。2月末から始まった各地の若い闘牛(novillo)のお披露目コリーダ(corrida)も今は中止です。5月はマドリードのサン・イシドロ祭(Fiesta de San Isidro)があり、スぺイン全国の若い闘牛士のデビューの場でもあり、年間ナンバーワンを決める「闘牛士チャンピオン」の大舞台でもあります。

 

 が、5月から10月の間のマドリード州の祭りはすべて中止となりました。パンプローナのサン・フェルミン祭りの中止はこれで5回目です。1回目、2回目の中止は1937年、1938年でスぺインは内戦中(Guerra Civil)でした。3回目の中止は1978年の獄中エタ(ETA/ バスク解放戦線)の囚人解放を求める社会動乱でした。4回目は1997年で、同じエタですが3回目と反対にエタに暗殺された国民党議員・ブランコ氏の哀悼でした。

 

 他では、これは楽しい祭りですが8月のブニォル町(Buñol)の“トマト合戦”トマティーナ(la tomatina)も中止になりました。カソリック信者のスペイン人には家族や社会を繋げる絆が聖人祭です、がそこには民族の魂も染み込んでいます。なので、たんにサン・フェルミン祭りが中止になった、サン・イシドロ祭が中止になった、では済まないのです。でも今は「非常事態」中なので、ガマン、ガマンで済んでいます。

 

 またも「外出制限」が延長になり510日まで自由に出られません。この「外出制限令」が延長されるたびにスーパーの棚から消える商品がトイレットペーパー → ビール → 小麦粉 と変わりました。小麦粉はベーキングパウダーとセットで消えましたが、日本のように小学生を持つ親にはお菓子作りが手っ取り早い子供騙しです。僕は今朝も新聞を買いに遠くまで歩いてきました。近所のキオスクが閉まったのは、僕のように毎日一刊しか買わない客だけではやっていけないからです。キオスクは周りのホテルやバルに数部売るのでやっていけます。

 

 でも、バルもホテルも閉まったので、「トミオ、悪いけどしばらくは閉める。開けたら連絡をするよ」とオスカーさんは店を閉めました。彼らの儲けはたったの20%です。僕が買う朝刊は1,7ユーロ(200円)なので一部売っても34セティモテ(40円)です。仕方がないので、わざと遠くにあるガソリンスタンドまでウォーキングがてら通っています。ガソリンスタンドにはコンビニが付いているので、そこでは新聞も売っています。家からそこまで往復して速足で30分くらいです。

 

 いつもの公園でのジョギング/ウォーキングは一時間ですが、「非常事態」では公道でのジョギングも禁止なのでウォーキングをだけです。パトカーを見たら老人が買い物に行く姿の超ゆっくりで歩きます。ついでに買い物袋を大袈裟にふります。ホント、疲れます。ウォーキング量の足りない分は家の周りを歩きますが、歩きながら想い出すのは子供の頃家で飼われていたリスです。リスはかごの中で丸い回転車輪を一生懸命に回していました。

 

 スペイン感染者数や死亡者数は横ばい状態ですが、マドリードは双方とも減ってきたので、国際見本市会場の病院は一館を閉めました。遺体安置所に使われていたスケート場も死亡者が減ったので閉まりました。だいぶ落ち着いてきました。今回の新型コロナウイルの感染者数や死亡者数を各国で何千万人、何百人と発表していますが「人口の何%」が大事ではないのでしょうか? 

 

 スペインは人口の5%が感染者数なので、集団免疫の人口5070%にはほど遠いです。政府はワクチンができるのを待っていられても、我々庶民にはこの缶詰め状態はもう限界です。ホテルもバルもレストランもユニクロもザラもデパートも営業を緩やかに元に戻す頃です。マドリードは独自のルール(客数制限)をつくり来週から緩和を始めるので、5月にはバルのテラスでワインを一人一杯は飲めそうです。6月にはレストランでパエジャも食べられそうです。78月はアンダルシアの浜辺ではビキニ娘を遠くから眺められそうです(浜辺も入場制限になります)。

 

 でも年末には忘年会でシャンパンをバンバン開け、「アディオス!クソ!2020年!」を叫べるでしょう。そうそう、納車は「遅くても三か月先の415日です。保障します」と言われたトヨタのカローラはまだ届きません。セールスマンのアントニオさんに連絡をしても、営業はストップだしディーラーも閉まってるのでお手上げで~す、だけです。(政府のせいなので)スミマセンもご迷惑をおかけします、もありません。

 

 トヨタって日本では、お客様第一、サービス第一と聞いていたけど、スペインでは全く他のメーカーと同じです。まぁ、今、新車を届けて貰っても「ドライブは禁止」状態なのでガレージに置いておくだけです。これも、アスタ・マニャーナ(hasta mañana/ また明日ね)国なので仕方ないです。まだ月賦の支払いが始まったわけではないし、うんざりしたらキャンセルしてマツダ車に替えてもいいし・・・。手付金はフイになるけど、この先どうなるのかは誰にもわかりません。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スペインもコロナウイルスに襲われています。その2

2020-04-01 13:00:00 | スペイン日記

マドリード一長いアルカラ大通りも閑散です

 3月29日は「外出自粛令」が解かれるので、バルでワインを飲むぞ!を心待ちにしていた僕です。が、スペイン政府はさら2週間の延長を発表しました。がっくり。今回はさらに厳しくなり「外出制限令」です。主に制限されるのは建設労働者で、彼らは現場での職を失いました。コロナウイルスの感染者やそれの死亡者の職種は発表されてないので分かりませんが、外で働く彼らの感染率は低いのではないでしょうか?日本の“飯場”のように小屋で一緒に寝泊まりはしません。

 

 今回の「外出制限令」で頭を抱えたのは農家です。レタスやネギの春野菜、イチゴ、サクランボ、桃の果物の収穫が4月の初めから始まります。収穫作業を請け負うのはルーマニア人、モロッコ人、アルジェリア人など外国の季節労働者です。スペインは国境を閉じたので入国ができません。代わりに「自粛令・制限令」で仕事を無くした労働者に収穫を頼みたいのですが、国内の移動が禁止です。

 

 サラリーマン・OLも通勤は会社から通行書を発行してもらう羽目になり、それが面倒な人は自宅でオンライン勤務を強制されます。今回の「外出制限令」で4月9日まで休校が延び会社も休みです。スペイン人家族は、これ幸い、と遊びに行きます。だからこそ移動禁止に目を光らせるように内務省はポリスだけではなく軍隊も引っ張り出してきました。地方出のマドリードの大学生が実家に戻る、田舎にセカンドハウスを持っている家族がマドリードから離れる、それらはコロナウイルスを広げるのでストップです。

 

 駅やバスターミナルでは警察官が一人一人の移動目的をチェックして、車での買い物は運転者一人、特別の事情のみ後席に一人乗れます。その場合は二人ともマスク着用です。マドリード州が一番厳しく制限されるのはスペインでも最も感染者が多く死亡者も多いので仕方ありません。スペインの大都市の交通量は70%まで減り、マドリードは75%まで減りました。

 

 が、マルラスカ内務大臣はそれを85%まで減らさねばダメだ、と恐ろしいことを言っています。もうバスもメトロもタクシーも止めて、国民を缶詰めにする気です。この元裁判官の大臣はあまりにも極端ではないでしょうか? 司法の世界は知りませんが、庶民の世界には白と黒の間のグレーがあります。法にちょっと触れるけど、夜中の三時に立小便をしちゃった、です。

 

 話は変わりますが、僕の家の近くに国際見本市会場があります。頑張れば歩いても行けますが、車で10分くらいです。そこがコロナウイルスの大病院になりました。大小10館が立ち並びますが、たった三日間で一つの館をベッド500台の緊急治療室にしました。さらに一週間をかけて他の館にもベッドを入れ、全体で1400ベッドの大病院にしました。軍隊も手伝いました。マドリード中の患者が集められたので、他の病院は4月には通常の患者の診察に戻れそうです。

 

 一つの館はホームレスの仮の住まいになりました。これもうちの近所ですが、アイススケート場が死体安置所になりました。今回のコロナウイルスの死亡者の大半は80歳以上の老人ですが、皆持病持ちです。細かい数字では70歳以上の死亡者が85%です。疫病で亡くなったので火葬を希望する家族が増えました。カソリックの国民には火葬の習慣はありません。なので火葬場の少ないマドリードの斎場はパンク状態になり、遺体の安置所不足になりました。

閉まった公園の垣根から春を告げる花

 スペインの病院はマスク、保護服、ゴーグルなど医者や看護師を守る用品が不足しています。対策が遅れる中央政府に見切りをつけた各州は自分たちでマスクや酸素呼吸器、テスト器を海外に発注しました。スペイン人は助け合いが好きな国民です。病院で酸素呼吸器が足りないと聞けば、夏に海で使う全面型酸素マスクを集めて送ります。医療用酸素ボンベとは簡単に繋げられます。保護服がないと聞けば、自宅のミシンでゴミ袋を縫って作ります。一回の使い捨てなので十分です。

 

 毎日夜の8時にはマンションのバルコニーに家族で出て、病院の皆さん、おまわりさん、兵隊の皆さんご苦労様です、ありがとう、と町中が拍手で包まれます。基本的には買い物と犬の散歩以外は外出禁止です。僕が毎日ジョギングをする公園は閉まったので(これが意味不明。広い野外なので入園者数の制限で十分でしょう)、買い物のふりをしてその回りをウォーキングしていす。他人との間隔距離が2メートルとなりました。

 

 いつも寄るスーパーは日本のコンビニのように店内が狭いので、店内客数の制限を始めました。8人です。でも、バゲット一本の爺さん客も居るので10分も待っていれば入れます。コロナウイルスの間は行く回数を減らしたので、僕は4日分の食料品を買いだめします。一回目の自粛令ではトイレットペーパーが無くなりましたが、二回目の制限令ではビールとワインが無くなりました。やっぱり、スペイン人ですね。

 

 周りのスペイン人たちは“缶詰め状態”が延期になっても、“あ、そう”と呑気なのは、政府の言うことなどは初めから信じていないからです。4月の中ごろにならないと収まらない、と皆が言っていました。そうそう、サマータイムになったので日没が一時間遅くなりました。日本との時差は8時間が7時間になりました。でも外出禁止なので夕日を眺めながらのバルのテラスでのビール一杯はおあずけです。今日は9万5千人の感染者、8千人の死亡者のスペインです。やれやれ。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする