このブログ「マドリーの恋人」はヴァカンスでした。は言い訳で、7月8月の僕の体は作品の制作のみで動いていました。飲み屋にも行きませんでした(ほとんど)。頭はかなりの余裕がありましたが、絵のこと以外には回りませんでした。毎日が40度の猛暑だったので、脳みそが回転を嫌がりました。冷たいビールを飲むと回転を始めました。そんな訳で午前中からビール浸りだったので、当たり前にビール腹になりました。
9月に入り、スぺインの各地は集中豪雨に見舞われました。地中海沿岸のヴァレンシア、アリカンテ、ムルシアの各州は被害が甚大でした。街のメインストリートが川と化してすべてを押し流しました。路上駐車(スぺインでは当たり前)の車だけではなく、人の背丈はあるゴミ箱も流されました。一階のバルや商店にも泥水は流れこみ、地下の駐車場はプールとなりました。
マドリードにも雷雨が来ましたが被害は地中海沿岸ほどではありませんでした。ただ、郊外の南東の街だけがかなりの被害に遭いました。それも、二回も。不運でした。我が家は市内の東側に当たりますが、トイレの換気口からの雨漏りがあった程度で屋根には被害はありませんでした。スペインは6月9月など、夏の始まりや終わりは豪雨や雷雨が多いのですが、困るのがヒョウです。地表や海が温まってるところにアイルランド方面から寒風が流れ込みます。それが製氷機のようにヒョウを造ります。我が家にもヒョウは降りましたが、今回はコンペイトウの大きさでした。以前はビー玉サイズのヒョウが降りました。
マドリードTVの天気予報も随分とよくなり、「はずれ」は減りましたが表示は大雑把です。困るのはお天気予報のお姉さん(おばさんかも)です。画面の真ん中に立つので肝心の天気図が見えません。ふつうは天気図の端に立ちますよね、でも、スペイン人は中央に立ちはだかります。
そんな感じで中央に居座りたがるのが、スペイン暫定内閣の暫定首相・サンチェス書記長です。再び総選挙です。この四月にあったばかりです。組閣できなかったので(なので暫定)、再び11月に総選挙です。これでこの4年間だけで4回目の総選挙です。スペイン人もうんざりですが、日本では考えられない事態ではないでしょうか。四年間も無政府状態に近い状態だったのはギリシャぐらいです。その間に国家予算案だけではなく、年金値上げや諸々の案件が国会審議をできなかったわけです。議員は給料をもらって遊んでいたようなものです(クソ!)。
その社会労働者党書記長のサンチェス首相は転がり込んだ首相の座を手放したくないだけで、スペイン人のための政治を考えているとは思えません。国のことを考えたら、何が何でも内閣を造り、国会を開き、野党とはその場で戦うでしょう。もう場外乱闘を続けているだけです。もう、雷雨です。他の左派の党と組めば組閣は可能でしたが、あくまでも「自分たちだけの内閣」を造りたいのです。言い訳は、安定ある内閣です。ロシアのプーチン大統領、ドイツのメルケル首相、日本の安倍首相のような長期政権の維持を目論んでいるわけです。
スペインで一番長かったのはフランコの独裁政治ですが、民主主義国家になってからは、80年代の社会労働者党書記長のゴンサレス首相の内閣です。12年間でした。もう、時代が違うと誰でも思いますが、先輩(ゴンサレス氏とサンチェス氏は同党)を超えたい野心家のサンチェス“暫定”首相本人がそうは思わないのが怖いところです。
話は庶民生活に戻りますが、制作は終わり、作品の点検をしています。細かいところを気にし始めると作品を初めから作り直さなければならないので、離れて見ます。工房の作品(例えばヴェラスケスの絵)は複数のアーティストの手作業ですが、絵描き一人の作品の責任は自分一人にかかってきます。つらいです。
今回の個展タイトルは「NO・ZO・KI」です。箱の中をのぞいて貰います。まずは作品を外から眺めて頂き、さらにその中の作品も楽しんでいただければ幸いです。お待ちしております。スぺインのことは忘れて、日本でゆっくりと温泉に浸る日を夢にみている今日この頃です。
ヤマダトミオ展
2019年10月28日(月)~11月9日(土)会期中は無休。
ギャラリーQ 〒104-0061東京都中央区銀座1-14-12 楠本ビル3F
03-3535-2524 www.galleryq.info