病院スト
退院をしてから2ヶ月近くになるけど、衰えた体力と減った体重は回復しない。髄膜炎の発熱も強力だったけど、回復がこんなにもたつくとは入院中には思ってもみなかった。ドクター(専門医)からは快復には時間がかかる病気だから、とは言われていたが、自分ではまだ老人じゃないし他の人よりも若いつもりなので直ぐに治る、と甘くみていた。決して自分だけがスーパーマンじゃないことがつくづく身にしみて、現実はまわりのスペイン人のオヤジと何ら変わりなかった。
ラッシュ時の東京駅みたいな場所へは行けないし行かないが、混んでいるカフェやスーパーでも疲れる。車を運転出来るようになったが、マドリード州内からは出ない。ドクターから病院カードを渡されて、異変があったら救急車に提示してすぐ来い、と驚かされた訳ではないが、遠くへは行きたくない。
病気中の労働者には病欠手当てが出る。スペイン人の友達は髄膜炎なら3ヶ月の病欠が貰える、と言う。僕みたいな画家は納税別職業では自営業だが、サラリーマンとは異なる手当てが貰えるそうだ。もちろん入院費(パジャマも、食事-サカナのジャガイモ煮が旨かった-も、ヒゲ剃りも)はタダだったけど、失業手当てみたいに病欠手当てが自営業者にも国から支給される。
この財政引き締めの時に税金から分けてもらうのは気が引けるが、申請をしたら二つ返事でOKだった。近日中に病気の確認書を郵送するとケータイにメッセージが入ったと思ったら、翌日に確認証と一緒に振込み通知が来た。しかし、主治医(日頃から診察してもらっているホームドクター)からは、顔色もいいし普通に生活ができるから、と病欠を切られてしまった。3ヶ月どころか2ヶ月にもならなかった。
退院してからマドリードの病院ストが始まってしまった。ストのお陰で退院ひと月後の診察が来年の1月に延びて、患者は困る。ストやデモで一番困るのは市民だ。今思い出したスト、デモだけでも並べてみます。
☆スペイン語授業料反対デモ(カタルーニャ州はスペイン語クラスの授業料を負担する、に反対)
☆マドリードの病院スト(一部の州立病院の事務業務のみを民間に委託する州議会案に反対。僕の入院していた病院は国立だったが今は州立)
☆年金者のデモ(2013年の年金の値上がり率が消費物価率にスライドせずに最高2%に止まったので反対)
☆パラドール従業員のデモ(国営ホテル・パラドールの赤字店を閉めるので、失業する従業員のスト)
☆レンフェのスト(スペイン鉄道・レンフェの賃金カットに鉄道マンが反対)
☆破綻銀行に金返せデモ(公営化-国や州-した銀行が以前売った金融商品で無一文になった庶民のスト)
☆立ち退きストップのデモ(住宅ローンを払えなくなった家族を立ち退きから救けるスト)
☆判事のスト(裁判官、裁判所事務員、弁護士など司法関係者による訴訟料値上げに反対)
☆お巡りさんのデモ(スペイン警察は3つに別れるが、主に犯罪を取り締まる警察官が給料とクリスマスボーナスのカットに反対)
☆身体障害者を持つ家族のデモ(まだ何も決まってないけど、不景気なので福祉をカットされそうなのを心配してのデモ)
☆マドリード地下鉄のスト(今日突然あったが、これも賃金カット反対でしょう)
まだまだあるような気がするけど、僕が退院した2ヶ月間にマドリードを中心にスペインであったスト、デモです。冗談みたいですが、全て町中でシュプレヒコールをしていました。病院ストはまだ続行中です。
判事のスト
昨年までのサパテロ政権(PSOE・社会労働党)の時代はこんなにデモ、ストはなかったが、今年のラホイ政権(PP・国民党/保守政策)が始めた財政縮小政策に不満を表すデモやストです。
でも冷静に考えてみれば、いかに前政府が何もしなかったかです。バブルの終わった2008年から縮小に手を付け始めて居れば、こんな最悪の経済状態にはならなかった、と経済学者や経済評論家が口を揃えて言う。サパテロ政権前のアスナール政権(PP党)が残した財政黒字をサパテロは“豊かな福祉社会”と使い果たして財政赤字を生んだ。当時の社会労働党政府は舵取りを誤った、と今頃になってから、ああすれば良かった、じゃ困る。
今年、2012年の年金を据え置きにしたのは社会労働党内閣だったのに、野党になった途端に、2013年の年金の値上がり率が低いと政府に国会で喚く姿には呆れ返った。このスト、デモも社会労働党と労働組合が結束をして煽り立てているのを国民は分かっているし、この一年の保守党政策が良いかどうかは現時点では分からないが、他に打つべき手がないのも知っている。
社会労働党内でも前サパテロ政権の過ちを国民に詫びないと社会労働党の信用を取り戻せないとの声も出ている。スペインの政治は今までの社会労働党と国民党の二党政治から、議席を増やしている革新党や最左翼党の小党連立政権へだんだんと流れて行きそうです。
政治の話はうんざりしてきたので、宝くじの話に変えましょう。
12月22日は恒例のロテリア・デ・ナヴィダ(クリスマス宝くじ)の抽選日です。この日が来ないとスペイン中がクリスマスにはなりません。昨年はピレネー山脈の麓の寒村に700億円くらいが集中して当たったので、世界中のニュースになりました。何故大当たりがひと村に集中するのか?何故この宝くじだけ抽選に半日も要するのか?はどこかのブログに書きました。どこだったのかを忘れましたので、思い出したらメモしておきます。(こちらです)
今年は入院などもしたので、それに引っ掛けて運を呼びこもうと退院日が23日だったので、末尾23番の宝くじ券を買いました。“髄膜炎に当たった”ので倒れて入院した17日ほうが良かったのでしょうか?僕が買ったのは20ユーロ(2千円くらい)の十分の一券ですが、それでも一等なら400,000ユーロ(4千3百60万円)です。3DKのマンション一軒分です。2万円だして一枚買ったら4億円です。
当たれ!夢をくれ!
不景気になると庶民はクリスマス宝くじに夢を求めるので、昨年よりも売上は増えたはずです。今年のクリスマス宝くじは賞金が無税で受け取れる最後のチャンスです。来年からは宝くじの賞金にも税金がかかります。スペインも世知辛くなりました。僕の23番が当たったら年末前にもう一度ブログをアップしますが、外れたら次回のブログは新年です。
スペインは12月25日~1月6日の間がクリスマスです。31日の夜は恒例の12粒のブドウを食べて、新年オメデトウ!良いお年をお迎え下さい。
我が家のベレン(イエス誕生)