
『テンダのベアトリーチェ』 Beatrice di Tenda
作曲:ヴィンチェンツォ・ベッリーニ
台本:フェリーチェ・ロマーニ
初演:1833年3月16日 ヴェネツィア フェニーチェ劇場
第一幕
軍司令官ファチーノ・カーネの未亡人ベアトリーチェはミラノ公フィリッポと再婚した。
フィリッポは彼女が再婚前に治めていた領地の人々が、自分ではなく彼女の方に忠義を尽くしているのではないかと内心恐れている。
フィリッポは延臣たちにすでにベアトリーチェから心が離れ、アニェーゼに恋していることを打ち明ける。
延臣たちは、ならばベアトリーチェを捨てればいいではないか、と彼にすすめる。
匿名の手紙に誘われ、オロンベッロがアニェーゼの部屋に現れる。
自分が恋しているのがオロンベッロであることを仄めかそうとするアニェーゼ。
しかし、オロンベッロは彼女の言わんとすることを誤解し、
胸のうちに隠して来たベアトリーチェへの思慕にアニェーゼが勘付いているものと勘違いしてしまう。
オロンベッロがベアトリーチェへの愛を認めると、アニェーゼは怒り狂い、自らの恋敵への復讐を誓う。
ベアトリーチェが愛のない結婚と彼女に仕える者たちへのフィリッポの冷遇振りを嘆いているのを、お付きの女官たちが慰めていると、
そこにフィリッポが現れ、彼女が不実な妻であり、自分に対しての謀反を周りの人間に働きかけ扇動している、となじり始める。
彼はベアトリーチェの部屋から盗み出した手紙を見せ、これが両方の罪の証拠であると主張する。
兵士たちはフィリッポの普通でない様子をいぶかしがり、彼から目を離さないでおこう、と語り合う。
ベアトリーチェが亡き前夫の像にいかに自分が孤独で愛されていないか嘆いているところにオロンベッロが現れ、
私ががあなたに代わってフィリッポへの謀反を扇動・計画するから、自分と一緒に逃げてもらえないか、と申し入れる。
ベアトリーチェは彼ら二人が恋人なのではないか?という誤った疑念に火を注ぐような行動はしたくない、とオロンベッロの申し出を拒否するが、
しかし、実は自分はあなたを愛しているのだ、と告白するオロンベッロの言葉に、
これは大変なことになってしまった、、と恐怖におののく。
オロンベッロがベアトリーチェに懇願しようとひざまずいた丁度その時、
アニェーゼに導かれてフィリッポが現れ、そんな二人の姿を見て、彼らをすぐに投獄せよ、と命令する。
第二幕
ベアトリーチェの裁判のために宮廷の人々が集まった。
男性達がオロンベッロが受けた拷問について、
また、その拷問に挫けたオロンベッロが罪を認め、ベアトリーチェを共犯者として名指したことなどを語り合っている。
ベアトリーチェは自らの身の潔白を主張し続け、
彼女の勇気に自分の行動が恥ずかしくなったオロンベッロも、罪を認める告白を撤回しようとする。
裁判官たちは彼らが罪を告白するまで拷問を続けるよう言い渡す。
ベアトリーチェに対する裏切りを後悔するアニェーゼはフィリッポにどうか二人に慈悲を見せてあげてほしい、と嘆願する。
拷問を受けてさえ、ベアトリーチェは自分の無実を主張し続けた。
しかし、それでも結局審議会は彼女を死刑に処す決定を下す。
自らの行動に迷いを感じ始めたフィリッポは、ベアトリーチェに恩赦を授けようと考え始める。
しかし、ちょうどその時、兵士たちより、ベアトリーチェに味方する軍隊が城に攻撃をしかけて来た、との報告を受ける。
フィリッポは恩赦の考えを捨て、死刑の執行を許可する書類に署名する。
友人たちが差し迫る死を嘆く一方で、ベアトリーチェは偽の告白をすることなく自らの潔癖と声価を守りぬいたことを喜ぶ。
しかし、フィリッポに罪を信じさせる原因となった私信類を彼に手渡した謎の人物には天から復讐が下るようにと願う。
後悔に突き動かされたアニェーゼは嫉妬に狂った自分こそがその書類を盗んだ張本人である、と、べアトリーチェに告白する。
はじめは怒りを感じていたベアトリーチェも、オロンベッロの”敵をも許す強さを持ってほしい。”と訴える声に心動かされ、
アニェーゼとフィリッポを許して死の場所に向かうのであった。
(出自:カレジエイト・コラールによるカーネギー・ホールでの公演のプレイビルより。
トップの写真は1961年にミラノ・スカラ座で行われた『テンダのベアトリーチェ』の舞台より。
ベアトリーチェ役はジョーン・サザーランド。)
*** ベッリーニ テンダのベアトリーチェ Bellini Beatrice di Tenda ***
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