Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

THE NUTCRACKER -NYCB (Fri, Dec 15, 2006)

2006-12-15 | バレエ
ニューヨークシティバレエのくるみ割り人形を初めて見に行きました。
同じ舞台芸術とはいえ、雰囲気がオペラとはまったく違います。
まず、客層。バレエは子供が多い!(特にくるみ割り人形がそうなのかもしれませんが)
そして、音楽が始まっても、ダンサーが踊り始めても、しゃべる。
まねしてくるくる座席そばで踊りまくる。。
大人はあたたかくそれを見守る。
誰も、”しーっ!”とか言って叱るような無粋な真似はしません。
メトでは、すぐ叱られます、ちなみに。
そして、かくいう私もどちらかというと叱るほうの部類です。

長いヴァイオリンのソロも、誰も拍手しないし、
ああ、オケの人たち、報われなくってかわいそう。。

さて、オペラでも、どんなにすぐれた歌手が束となっても
素晴らしい演奏を約束するわけではないのと同様に、
バレエもどんなに個々のダンサーが素晴らしくても
全体としては、いまいち熱さに欠けることがあるのですね。

特に、このくるみ割り人形はバランシンの振り付けで、
初演から50年以上上演されているもの。
歴史があるのはいいことですが、なんとなく、マンネリ化したゆるいムードが
漂っているのもまた事実。
歴史をとるか、エキサイトメントをとるか(まあ、失敗する可能性もあるわけですが)
バレエ団にとっては難しい選択なのでしょう。

しかし、バレエの世界もきびしい!
NYCBは一般的に、背の比較的高いすらっとしたダンサーが多いようなのですが、
(これは、バレリーナが背が低いと思い込んでいた私には驚きでした)
どんなにテクニックにすぐれていても、体型が少し重厚感があるだけで、
本当に印象が違います。実力以前に、体型で淘汰される世界!厳しすぎ。。。

しかも、この公演のあとで、たまたま日本の新国立劇場のバレエ団に関するテレビを見てなおびっくり!
日本人、ずんぐりしてる。。。
(もちろん、日本人の中では抜群にスタイルのいい方たちのグループなのに!)
ということで、NYCBのダンサーたちのスタイルのよさに今更ながら感心したのでした。

ソリストたちの中では、さいごの二人が抜群にすばらしく、
観客も大喜び!
何気ない、それでいた洗練されつくした動きのそれぞれの裏には、
ものすごい努力があるのだと思うと本当に感謝の念が起こります。

さて、昔の昔、テレビで、どこのバレエ団だったかは忘れてしまったのですが、
海外のバレエ団によるくるみ割り人形の公演を見たとき、
確か、すべては子供の夢の中の話だった、というようなおちになっていたように記憶しているのですが、
NYCBの演出では、子供がそりに乗って空に飛んでいってしまいました。
このそりの部分も含め、少し子供を喜ばすことにおもねりすぎて、
大人の鑑賞に若干耐えなくなくっている部分も散見されました。

バレエ好きの知り合いの方が、バレエを見るならくるみ割り人形以外の方がいいよ、
と言ってましたが、今、納得。
Sleeping Beauty(眠れる森の美女)が新年からかかるようなので、
そちらも見に行こうかと思います。


New York City Ballet
New York State Theater
FR left C
***くるみ割り人形 The Nutcracker***