Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

DON CARLO (Mon, Dec 4, 2006)

2006-12-04 | メトロポリタン・オペラ
Sirius(衛星ラジオ)で聴いた、先週のプレミアの公演があまりにすばらしく、
期待が高まっていたこのドン・カルロの公演!
現在、これ以上のキャストで聞くのは難しいのではないかと思われるほどのスター・キャスト。
メトの強さ&よさのひとつ、”金の力に物をいわせてスター歌手をとりそろえる”
の最たる例でしょう。
しかし、これまでにも何度かふれたとおり、一筋縄でいかないのがオペラ。
同じキャスト、同じ指揮者、同じオケにコーラスでも結果が違う。
それがオペラの公演を見に行く楽しみでもあり、怖さでもあるのですが。。。
さて、今日の悪条件その1は観客。
今日の観客はほんと”のせ下手”。まじで、本当にいやになるくらいののせ下手でした。
要は、歌手も人間、観客がのせてくれれば、がんばろう!と思うもの。
しかし、今日の観客は冷めてました。ろくすっぽ拍手すらしない人も。
許せないですね、この態度。
悪条件その2。スケジュール。先月の木曜にプレミア、土曜は他演目のマチネと夜の二公演、そして月曜にまたドン・カルロ。
今日、思ったのですが、このドン・カルロ、本当に観客として見てるだけでも疲れます。最初のインターミッションにたどり着くまでにおよそ2時間ぶっ通し。全幕終了したのは12時過ぎ。これでは、キャストもオケもくたくたでしょう。
悪条件その3。今日はラジオの生放送がなかった。Siriusが週3日から4日のペースでで生放送をするようになって、放送のない日が、若干息抜きの日になっているように感じられます。新法則=公演を見に行く日はラジオ放送のある日にすべし。

と、このようなわけで、プレミアの日より、かなりテンションが低い。
そんな中、すばらしかったのはまずRacetteのエリザベッタ。
この方のユニークなところは、役によって声の質まで違って聞こえるところ。
正直言うと、道化師やムゼッタを見て、やや硬めの声質のように感じていたので、
エリザベッタはどうなのかなあ?と疑問に思っていたのですが、
なぜあの声がこんなにエリザベッタにはまるのか?
というよりも、こんなまろやかなやさしい声だっけ?と不思議に感じられるくらい。
優しい中にノーブルな雰囲気まで醸し出しているところがすばらしい!!
これでこそ、自己犠牲の精神で、愛する国民のためにドン・カルロへの思慕を
断ち切るエリザベッタのキャラクターにもリアリティが出るというもの!
ソプラノの力量によっては、退屈、もしくは最悪の場合、拷問にも感じられる
”世の虚しさを知る神よ”の感動的なこと!
彼女をエリザベッタに配したメトの判断力、感嘆いたしました。

そして、ルネ・パペ。この方のすごいのは、毎回裏切らない歌唱力。
この人が調子の悪かったのを見たことがない。すごい人です。
これはこの公演の演出家にも責任がありますが、厳しくいえば、
少し演技の面の役作りで浅さが見られた感がなきにしもあらず。
しかし、これだけの歌唱力だとそれでもお釣りが来るくらいですが。

彼とレイミーとの一騎打ち、宗教裁判長とのシーンは今日のハイライトでした。
ああ、やっぱりこのシーンは、宗教裁判長がうまいと迫力ありますねー。
今日はほんとお腹いっぱいになるくらいで大満足。



期待はずれはHvorostovsky。ものすごく人気があるようですが、
ロドリーゴ役に関しては、まだ役が練れておらず、歌唱的にも自信なげなところがちらほら。

エボリはザジックで聴いてみたかった。
ボロディナの”呪わしき美貌よ”も体温が低い。
特にラストのフレージングに問題があると思います。

しかし、Hvorostovskyやボロディナが、キャスト上の弱点に感じられるとは、なんという贅沢!

演出は非常にオーソドックス。
ただし、書割、絵画的に過ぎるところがあるというか、
生きた人間のドラマというよりは、額にかかった絵のようなイメージ。
直立不動で歌うシーンが多く、
無意味に歌手を動かすのも問題がありますが、じっとしてる場面の多さが観客の
目から気にかかる、というのもかなり問題です。

23日の最後の公演も見に行く予定なので、リベンジに期待!

Johan Botha (Don Carlo)
Patricia Racette (Elisabeth of Valois)
Dmitri Hvorostovsky (Rodrigo)
Rene Pape (Philip II)
Olga Borodina (Princess Eboli)
Samuel Ramey (the Grand Inquisitor)
Conductor: James Levine
Production: John Dexter
Grand Tier A even
ON
***ヴェルディ ドン・カルロ Verdi Don Carlo***

LA BOHEME (Fri, Dec 1, 2006)

2006-12-04 | メトロポリタン・オペラ
主演の二人に関しては、11月18日の公演とほとんど同じ感想。
それぞれはよい歌手なのに、ケミストリーに欠けるというか、
全然恋人同士に思えない。
Anna Samuilのムゼッタはなかなか興味深かったです。
(ムゼッタの役は、一聴しただけで歌手の力量を判断するのが難しいですが。。)
一昨年前に登場したネトレプコのアプローチに似てました。
他の役柄で一度聞いてみたいです。


Rolando Villazon (Rodolfo)
Angela Marambio (Mimi)
Anna Samuil (Musetta)
Peter Coleman-Wright (Marcello)
John Relyea (Colline)
Aaron St. Clair Nicholson (Schaunard)
Conductor: Placido Domingo
Production: Franco Zeffirelli
Grand Tier Box 35 Back
ON
***プッチーニ ラ・ボエーム Puccini La Boheme***