まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

道を歩いていく人たち

2008-03-07 09:21:35 | いろんな人がいるよ。
3月6日(木)。

今日、日本から来られていた先生が帰国され、先生と一緒にうちの大学に来た短期の研究生をフラットに案内したので、ようやく一段落でブログを書きます。

先生方の来英の日に、ネパールで青年海外協力隊に参加した同期隊員F君が、数日間家に泊まった後、次の旅先へと旅立って行きました。

彼と会うのは4年ぶりでした。確か2年前、彼がケニアのナイロビに勤務していた頃、休暇を取ってウガンダに行くというので、僕も調査の日程を出来るだけ合わせようと努力したのですが、何と僕が来るたった一日前にF君が先にウガンダを離れてしまい、再会は結局ニアミスに終わってしまったのでした。

さて、イギリスは日本から随分遠いようで、僕の渡英からもう3年半も経ちましたが、日本からの友人の来客は、妻の姉と友人達以外は全くありません。今回F君が来ることが出来たのも、彼が国連の一機関であるWFP(世界食糧計画)での仕事を手に入れ、イギリスから近いイタリアで働き始めたからでした。

協力隊を終えた頃、僕にはすでに安定した仕事があり、彼はこれからの人生を、希望と不安を抱えて模索していたと記憶しています。僕たちには共通の夢、仕事として発展途上国に貢献すること、がありました。しかし、夢を叶えるための確実な足がかりなど、当時の僕たちにはなかったのです。

F君は、着実に英語の能力を伸ばし、アメリカの大学院へと留学しました。一足遅れ、彼の帰国後すぐ、僕も奨学金を手に入れ、当時の仕事を退職してイギリスの大学院へと進学しました。その頃、F君はナイロビで、国連の仕事に就くチャンスを得たのでした。

最後に会った時と、現在の状況では、お互い夢を一歩一歩実現させて来たという意味で前とは別人なわけです。今回、再会前は、お互いどんな風に感じるだろうかと想像すると、怖くもあり楽しみでした。

随分たくさんのことを、F君と妻とで話しましたが、気が済むまで長い時間かけてお互いの近況を話し終えると、まったりさ加減が、ネパールのお互いの村からカトマンドゥに上京してきて、隊員宿泊所で会った時の感覚そのままであることに気が付きました。あの極めて独特な感覚は、村での厳しい生活と不安から開放された安堵感、異文化の中で暮らす日本人としての仲間意識、同期隊員という仲間意識、途上国で生きる生命力、若さ、そして自由感、そんなものの入り混じったものです。

そのまったりの中で、F君は僕に尋ねました。
「いつまで続けてみるか、考えてる?」

夢をいつまで追うか、ということです。実際、安定を得ることが出来るか、子供の教育をどうするか等、現実問題をいつも突きつけられているわけです。

いつまで続けるか、と言われても、もう戻るところはないし、道の開けたところに向って歩いていくしかありません。F君も同じです。契約期間が終われば、終身雇用にたどり着けるまでは、そしてたどり着いても、自分の道を歩いて行くのでしょう。

何だか、ネパールで住んでいたジリの村からエベレスト方面に向けてトレッキングしていた、あの長い長い山道を歩いているのと非常に似ているなと感じました。ビスターライ、ビスターライ(ゆっくり、ゆっくり)。今度会えるのはいつのことでしょう。今と同じ道を歩いているにせよ、その頃には僕はきっと、長い長い博士論文を書き終えていることでしょう。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ポカラドミ (まっきー)
2008-03-07 18:32:08
アハマドさん、
そうそう、旅ばっかりしてたFじーです。ちなみに家のかみさんもFじーなので、F2じーとします。
なんだか、アハマドさん、Fじー、F2じーでいるのを想像すると、今はなきポカラドミを思い出しました。懐かしいですねぇ。

アハマドさんも、間違いなくアハマドさんたちの旅の途中にいるわけです。ほんと、F2じーとまきたじジュニアとでいつか遊びに行きたいと思いますので、その時はよろしく。もちろん、Fじが一緒だとさらに楽しいでしょうね。
返信する
Unknown (アハマド)
2008-03-07 15:03:15
F君って村落開発普及員だったFじーだよね?(わけわからないコメントですみません)いやー、なつかしいわ。元気そうで何よりです。

私は初心からすっかり外れてしまいましたが、気づいたらインドネシアに腰を落ち着けていました。いつまでここの生活が続くかわかりませんが、ひょっとしたら今の家が終の棲家になるかもしれません。かみさんはそのつもりで家を買ってしまったし。

いつでもいいので、マッキーもFじーも日本へ帰る途中にでも遊びに来てね!
返信する