まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

ビル・ゲイツ氏

2007-01-31 21:42:53 | イベント
1月30日(火)。

僕が風邪で寝込んでいた先週金曜日に、うちのセンター長が何人かのPhDの学生に直接声を掛け、今日の式典に出席するよう話をしていた、というのは噂で知っていた。内容は、極秘扱いだったが、マイクロ・ソフト社の創立者であるビル・ゲイツ氏の名誉学位授与式らしかった。

月曜に大学に行ったが声を掛けられなかったので、僕はお呼びでないのだと思っていたら、当日携帯に連絡があり、僕も出席せよとのこと。

日本から持ってきたスーツを、こちらに来て初めて身に付け、夕方5時半にオールド・カレッジに入った。ここは、16世紀のエディンバラ大学開校当時から使われている、中心的建物である。会場となる2階の「図書館」は、天井が高い、見事な装飾が施された、非常に美しい部屋だった。確かに本も置いてあるが、今は、特別な行事にのみ使用する神聖な領域となっているのだろう。

ゲイツ氏は、財団を創設し、世界で治療困難な難病や、世界の貧困削減に資する研究助成をしている。この日は、エディンバラ大学医学、獣医学部が行っている6つの研究を30分でポスターを使って紹介し、その後速やかに名誉博士号の授与式が行われた。この6つの研究のうちの一つが、僕の担当教授による、アフリカ眠り病の研究だったのだ。大学としては、目玉となっている研究を紹介して、是非財団から研究費を助成してもらいたいところ。

ほぼ予定時刻通りに数人の人々に付き添われて現れたゲイツ氏は、穏やかな微笑みを浮かべた感じの良い人だった。身長は、175センチくらいだろうか。しかし、すごい人というのは、光っているものだ。まず図書館に入ってくると、ポスターを一つ一つ回られ、的確な質問をしたり、自分のアイデアをぶつけたりしていたが、頭の回転が非常に速くて発想が豊かだ。僕のような凡人とは、やっぱり違うんだなあ、と感心した。

こんなことは、全く予想していなかったが、人生の中には驚くような出来事が起こるものだ。お金を払ってローリングストーンズやエリック・クラプトンなどのミュージシャンを見たことはあっても、遠くからだった。今回はただだったし、2メートルくらいの距離だった。でも、こういうのは緊張するから、正直言って、もうこれきりでいいかな。