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インフラ開発 日本と加速 インドネシア大統領、中国への傾斜修正

2016年05月25日 | 日記
インフラ開発 日本と加速
インドネシア大統領、中国への傾斜修正
日本経済新聞 朝刊 1面 2016/5/25 3:30

 【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアのジョコ大統領は24日、日本経済新聞の取材に応じ「インドネシアの最優先課題はインフラ開発だ」と述べ、「日本とは経済面での協力を強化したい」と語った。インドネシアは日本と進めてきた高速鉄道の建設計画を中国に発注し、日本との間に隙間風が吹いた。ジョコ氏の発言には、インフラ開発で中国への傾斜を軌道修正する狙いがありそうだ。


24日、取材に応じるジョコ大統領=写真 浅原敬一郎
 ジョコ氏は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の拡大会合に参加するため訪日する。安倍晋三首相との会談も調整中で、港湾や発電所など重要インフラの整備で日本の協力を求める考えだ。



インドネシアはインフラ整備に2019年までに約5400兆ルピア(約40兆円)を投じる。日本が建設に参画するジャワ島の西ジャワ州パティンバンの新たな港湾施設と中部ジャワ州バタンの火力発電所を具体例に挙げ、開発の加速を表明した。

 インドネシアのインフラ開発はユドヨノ前政権と蜜月だった日本の存在感が高かった。両国はジャカルタ―バンドン間の高速鉄道計画や西ジャワ州チラマヤの大型港湾計画などを進めていた。

 だが14年10月にジョコ政権が誕生し、様相は変わった。事業費約6000億円もの高速鉄道は中国企業が落札、新港計画は凍結された。ジョコ氏は日本との関係修復で、バランスのとれた多国間の経済関係の構築をめざすとみられる。

 インフラ開発計画では、8割程度を民間資金で賄う方針だ。外国からの投資を集めるため「過剰な許認可などをなくしていく」と語った。重要インフラの投資の事業許可を3時間で出す制度は一例。規制緩和の進捗は「自らチェックし続ける」と強調した。

 ジョコ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)への参加意思を表明している。その理由を「経済統合は止めることができない」と説明。欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉をまず進め、その後、TPP交渉を進める考えを示した。

 中国とフィリピンやベトナムなどが領有権を巡って争う南シナ海問題については、「航行の自由や国際法は順守されるべきだ」と語った。対立する双方に配慮する中立の立場を改めて表明した。

 南シナ海問題ではフィリピンがオランダ・ハーグの仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。東南アジア諸国連合(ASEAN)として共同声明を出すべきかとの質問には「ASEANはすでに行動規範などの声明を出している」として、共同声明に否定的な考えを示唆した。