The collection of MARIBAR 

マリバール 文集・ギャラリー

社食の君

2006-11-23 06:02:02 | 抱茎亭日乗メモ
 今私が働いている銀座の会社は、仕事があれば14時頃出勤、18時頃夕飯を社員食堂でとる。
社食があるのは有難いが、タダ!というのは大変有難い。
夕食も昼と変らないレベルなのも素晴らしい。

 私はほとんど一人で食べているので、人々の会話を聞いている。
1階では社員の人たちが仕事や組合の話など。
2階には主に学生アルバイトがたくさんいて、話題の多くは「シューカツ」。

2階で食べた人は、食器のエレベータにトレイを乗せて1階の洗い場に送リ、手ぶらで階段を降りられる。

 ある日、二人の男子学生アルバイト君が2階で席を立ち、一人が食器をエレベータに乗せようとして、もう一人を待っていた。
すると背の高い男子は「俺は下まで持ってく。顔を見て『ご馳走様』って言いたいから」。

いいねー、君。採用!

大変爽やかな感じ。
しかし爽やかではない私は、これは躾?ビジネス感性?宗教的徳?と想像してしまう。
『ご馳走様』と言わない人もいるし、必ず言うにしても、そう決めているんだと他人に言う人は少ないだろうし、またそれをサラッとはっきりと言うのが好感度高し。

顔を見なかったのは失敗。
誰か「ああ、それなら○○部の誰それだよ」って教えてくれないかなあ。
多分可愛いんじゃないかなあ。

学生時代を思い出す。
ロンドンで靴を買って来てくれと頼まれた私は「成田に車で迎えに来てくれたら、お土産にあげる」と可愛い男子に言った。
ところが彼は「車は人を殺し、大気を汚し、迷惑なので嫌いです。迎えには行きません」。
トホホ。しかし、これに私は痺れたのだった。奴は後に私の内縁夫になった。

元内縁夫は「嫌い、しない」のネガティヴ、アルバイト君は「したい、する」のポジティヴな言葉というのが更に好印象。
ひょっとしてアルバイト君の実家はレストランとか旅館とか、サービス業なのかしら、と数日たった今も考えたりして。

これから毎回1階に座って、元気に「ご馳走様でした!」と厨房に声をかける男子をチェックしようかな。
何のために?ただの好奇心。あと、私も「君、素敵だわ」と言いたいのだ。