The collection of MARIBAR 

マリバール 文集・ギャラリー

ブランドを貶めるもの

2004-09-15 00:09:48 | 盛長紅璃子
 創業者一族による、映画以上にドラマチックで壮絶なお家騒動を経て、スーパーブランドとして見事復活した『グッチ』。或いは女優との婚約がきっかけでドロドロの兄弟喧嘩が露呈した『君島ファミリー』。ワイドショーと女性週刊誌だけが盛り上がるところが、日本と世界の老舗ブランドとの違いではあるが。

 かようにファッションブランドのスキャンダルはブランド価値を下げない。セレブな方々の、庶民とは桁の違う骨肉の争いは、ある種のエンタテインメントでもある。

 それに比べて『ジュンコシマダ』。あまりのせこさに驚愕する。バブルの頃、数あるデザイナーズブランドの中でも『ジュンコシマダ』の存在は際立つものがあった。私も買った。女性たちはデザイナー島田順子に憧れ、「都会的、エレガント、セクシー、上品」がキーワードの服作りを支持した。

 そんな『ジュンコシマダ』が、デザイナーズブランドブームが去った時、何をしたのか。商品を愛し、ブランドに誇りを持って働いていた女性を貶める手口でリストラを進めたのである。働く女性にそんな仕打ちをするブランドの服を女性たちが着たいと思うか?販売員は自信を持って商品をお客様に勧められるのか?

 ファッションブランドは「品質」ももちろんだが「イメージ」が命。島田家スキャンダルではなく、労働争議とは。ゼッケン・ハチマキ姿の団体に「シュプレヒコール!」などとやられて、ダサ過ぎて目も当てられない。

 落ちたブランドイメージを回復するのは大変なコストと時間がかかる。『ジュンコシマダ』は従業員いじめなどやってる場合ではない。