The collection of MARIBAR 

マリバール 文集・ギャラリー

ナンパ作戦

2004-12-31 13:11:54 | 文章道場
 夏の夜、ミニスカートに赤い鼻緒の下駄を履いて酔っ払って歩いていたら、後ろから「どこに行くんですか?」と声をかけられた。「素敵だなと思って」と男性。「なんで後ろから来て素敵だってわかるんですか?」「駅の階段ですれ違って、引き返してきたんです」「ああそうなんだ」ってことで飲みに行った。

 不安はあったが楽しかったし、かなりいい気分だった。悪い人ではなかった、と思う。

 この年になって街でナンパされるとは予想外。面白かったので、今年後半のテーマを「ナンパ作戦」にしてみた。ごくたまに、電車の中などで目が釘付けになるぐらいの人に遭遇することがある。話しかけたい、ついて行きたい衝動に駆られるが、行動に移したことはない。

 今度そういう人がいたら、声をかけてみる。怪しい女だと思われたらそれまでだが、傷つくほどのことでもない。

 周りの男性に聞いてみると「ナンパしたこともない」という人が多くて驚いた。しかし「声をかけられても自分じゃないと思って無視する」恥ずかしがり屋の日本男児も「実は嬉しい」とか「話は聞いてみる」とか。

 問題は、始めになんと言って話しかけるか。ハンカチを落としてうまくいくのは相手もこちらに関心がある場合のみ。セールスや宗教の勧誘と間違われたらお終いだ。

 ナンパの夜から3週間、究極の言葉を思いつく。構えていたのにターゲットには未だ遭えず。来年は作戦実行の年としたい。